法治の獣 (ハヤカワ文庫JA)

  • 早川書房 (2022年4月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784150315207

作品紹介・あらすじ

あたかも罪と罰の概念をもつかのように振る舞う異星の草食獣シエジーたちの衝撃的な秘密を描く表題作を含む、宇宙SF中短篇3作

みんなの感想まとめ

生物学と法律、イデオロギーが交錯する独特の世界観が魅力の作品です。異星の草食獣シエジーたちの衝撃的な秘密を描いた表題作を含む中短編集は、サイエンスフィクションの新たな可能性を示唆しています。特に、異種...

感想・レビュー・書評

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  • 2024年をハードSFで締めたので、2025年もと思っていましたが、年明けにずれ込んでしまいました
    なかなかうまくいかないものです

    というわけで日本にもこんなにワクワクさせるハードSFの担い手がいたんだと嬉しくなってしまった春暮康一さんの中編集が2026年の一冊目となりました

    サイエンスの基軸となるのは生物学
    生物学からアプローチするSFも面白いのよ

    表題作の『法治の獣』は、その生物学に法律やイデオロギーの話をミックスさせた上に獬豸という中国の瑞獣まで登場してくるという

    ごちゃごちゃしてると思わせて、一本筋の通った展開

    そして思ったのは、生物ピラミッドの頂点に君臨する人類ですが、その人類にも天敵が存在するってことでした
    もちろん言わずもがな、人類の天敵は人類

    ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

    はい、改めまして新年明けましておめでとうございます
    今年も特にふわっふわに漂って行きたいと思います
    変わらずお付き合い頂ければと思います
    またこれまでお付き合いのなかった方たちにも楽しく交流ができれば嬉しいです

    そんな丙午!( ゚д゚ )クワッ!!

    • ひまわりめろんさん
      まきちゃ

      うむ、おめっとさん
      しょうがないので今年も面倒見てあげます
      まきちゃ

      うむ、おめっとさん
      しょうがないので今年も面倒見てあげます
      2026/01/02
    • かなさん
      あけましておめでとうございます。
      今年も、ひまわりめろんさんのレビューを
      楽しみにしていますね(*^^*)
      読まずにレビューとか、また...
      あけましておめでとうございます。
      今年も、ひまわりめろんさんのレビューを
      楽しみにしていますね(*^^*)
      読まずにレビューとか、またしてほしいです♪
      2026/01/03
    • ひまわりめろんさん
      かなさん

      おめっとさんです
      ごめん見逃してて遅くなっちった

      今年もテキトーに色々やります!
      たぶん!

      『読まずにレビュー』って実はジャ...
      かなさん

      おめっとさんです
      ごめん見逃してて遅くなっちった

      今年もテキトーに色々やります!
      たぶん!

      『読まずにレビュー』って実はジャンル被りがないんです
      意外に綿密に組み立てられてたりするんですよw
      2026/01/08
  •  作者のペンネームは、ハル・クレメントに由来するそうだ。短編2中編1からなる中短編集。ツボにはまれば、気に入るだろう。

     人類は太陽系外にその目と手を伸ばしていた未来の物語。作者命名の《系外進出》(インフレーション)シリーズ。
     異種生物への危害を禁ずる<人類の憲章>により異星の生物へのコンタクトは超限定的で、観察が主となっていた…

     本書の解説にもあるとおり、堀晃氏の作品を読んだ時と同じ印象を持った。ペンネームの由来からしても、ハードSF作家と呼んで差し支えないだろう。あ、この山岸真氏の解説は必読です。表紙カバーイラストが加藤直之氏なのも嬉しい。

  • 「一億年のテレスコープ」で衝撃受けて、遡って3中篇からなるこちらを。3作品とも太陽系外に居場所を求め調査に乗り出した地球人が、生命に遭遇したそれぞれのケースを描いている。この作品でも驚かされるのは、作者の発想で、思いもよらなかった視点を得て、なんだけ得した気分になれた。

  • ファーストコンタクトをテーマとした短編3篇。筆者のペンネームはあのハル・クレメントからいただいたそうで、異星人だけでなくその住む世界も丸ごと構築してスケールの大きいヴィジョンを描くのが得意だったハル・クレメントばりの、実に直球ストレートなSFです。清々しいですね。

    ただし、異星人と人類の交流を通して血湧き肉躍る冒険譚を繰り広げるハル・クレメントの作風とは、全く異なります。
    この短編集においても、異星生物と人類の接触は描かれますが、人類側は異星生物の生態環境に悪影響を与えないよう厳しいルールの下で異星生物との接触を慎重に行っており、それにも関わらず悲劇的な展開となる場面が描かれます。異星生物の物の考え方や行動原理は人類とは全く異なり、その異質さを”理解”することにより、人類が自らを省みてある時は悲嘆に暮れ、ある時は未来の希望に繋げます。
    たいへんクールで内省的な、まさに今現在のファーストコンタクトものハードSFです。

    ただ、気になるところもあってですね・・・。
    人類が異星生物と接触し、その行動や世界観から学ぶところあり、自省して再び前を見て進み始める、その物語の在り方はSFとしてとても美しいのですが、美し過ぎて鼻白むというか、ちょっと物足りなさを感じてしまうのですね。例えば登場人物の価値観がステロタイプなところであったり、議論のシーンが予定調和的であったりとか、そういったところが鴨的にはもっと踏み込んで欲しかったなと思います。
    ただ、これはもぅ本当に好みの問題だと思います。如何にもSF的な未知のヴィジョンを楽しみたい方には、文句なくお勧めできます!

  • 春暮康一「法治の獣」読了。中編SFの3作品ともに地球外生命へのコンタクトものだが、よくあるアイディアとは全く異なり圧倒された。特に、”主観者“では、人類が探査をしたきっかけが意図せず彼らを滅亡へ追いやるのは斬新で、まるで豪州の入植者が持ち込んだ動物が固有種を駆逐した事を彷彿とさせた。

  • 部分を切り取り、そこだけで評価する傲慢な人間という印象を受けました。
    また、海外や日本でも、人間にとって不都合な面がある動物を減らすためその動物の捕食者を恣意的に野生に放った結果、生態系が崩れ人間が暮らすのが困難な土地になったというニュースを思い出しました。

    「残念だけど、正しいかどうかは関係ないの。適応したものが広まるだけ。」

  • 中編3編収録。それぞれ時間も空間も登場人物も異なる話だけど、共通の世界線での出来事。また違うストーリーも追っかけていきたい。

  • これは純文学では。。。?とくに【主観者】
    国語の教科書にでてきそう。

    この本の収録作は3つとも共通の世界が舞台になっていて、人類は太陽系外に生命や知性の存在を求め、たまには移住先を求めて、各地に調査の手を伸ばしている。

    とはいうものの、探索にあたってのモラルと言うか考え方はいろいろあって、基本的に客観者として他の生態系に大きく影響を与えないというのが大前提となっている。(今の考え方と近い)

    しかし、人間は好奇心に抗えず、そんな前提を無視して度々問題を起こしてきている。そんなどうしようもない人間について3章では
    "私達は与えるものも持たずに何かを見つけては、与える代わりに奪っていくんだ。望むものも、望まないものも"
    といっており"私達は宇宙に、何を与えられるだろうか…"と自問からの"私達は宇宙に交流を与えられる"で自答している。

    全体的にまとまってるなぁ〜と思いました。
    軽い純文学認定を勝手にしました。

  • 春暮康一との出会い方は、最近出会った上田早夕里と全く同じだった。カバーの色も同じ青緑色。現在、この2人の過去の作品を順序だてて読む準備を進めている。これもアンソロジーに積極的に取り組んだ結果である。今後の読書生活に潤いを提供して戴き、本当に2人には感謝している。

    春暮康一といえば地球外生命とのファーストコンタクトのオーソリティー、しかもコンタクトに当たっては緻密で複雑な検討・思考実験を行っており、臆病なくらい相手の生命体の尊厳を考えているという設定。JAXAとは雲泥の差、爪の垢を煎じて濃縮して大量に飲んで欲しいものだ。リュウグウに剣を突き刺してサンプルを持ち帰るとは・・・微生物の親子が突然爆撃を受け、どちらが異星人に拉致されたかもしれないぞ。これは北朝鮮が行っている行為と何ら変わりがない。そこらへん、JAXAは全く配慮していない、研究のためなら、人間の単なる興味・知的満足のためなら、何をやっても許される団体なのだから。

    脱線はほどほどにして、各作品については最後に作品ノートがあり、作者の意図は明確に記載されているので、ここでは所感を述べるに留める。

    〇主観者
    遠く離れた宇宙でなくとも、身近な所と言った方が良いのか、深海に住む動物に対しても同じことが言える。外部からの光が殆ど無い世界で微弱な光を使って意思疎通をはかる動物に対して、突然強力なサーチライトを持った潜水艦がうろうろと調査するとどうなるのか。人間は深海生物の姿を捉えることができるが、深海生物の受光器はどうなるか?もしかしたら、その強力な光は深海生物のセンサーを破壊してしまうのではと考えた。サーチライトを当てられた深海生物はその後どうなったのか?今でも元気で深海をすいすいと泳いでいるのだろうか。

    〇法治の獣
    法律の自立性とは何だろうかと考えさせられる作品。日本国憲法、戦後アメリカによって作られたと言っても過言ではない現在の日本国憲法は改正することは至難の業だが、自民党の特にアベによって歪められた憲法の拡大解釈がすぐに頭をよぎった。アベというシエジーが自分の欲望のままに民意を意識もせず憲法の拡大解釈を繰り広げる。そして、その様な民意を蔑ろにしたウソツキキシダの勇み足国葬により日本国民が分断、Xデーには日比谷公園・国会議事堂前で暴動が起きるのか。日本の法律を政治家主導で改正するのは非常に危険だ。なぜなら、現在の政治家は常識が無さすぎる、この無能な政治家が日本を沈没させる。小松左京もビックリだな。

    〇方舟は荒野をわたる
    この方舟は地球のことだと考えた。今は人間が地球の代表者で、地球の命運を握っている。代表者の特権で人間にとって住みやすくするため炭酸ガスを極度に排出して地球温暖化を促進し、その結果特定の国家が消滅するのは小さい話、数多くの種が滅びる、そのうち人間自体も滅亡させる言わば自業自得との予測も立っている。早く人間に代わる高い知性を持ったミズグモが地球を統率する未来が来るのを願っている。そうなれば、地球外生命と建設的で素晴らしいコンタクトができるだろう。

  • 表題作を含む中短編集。
    表題作のみ読了。
    惑星ソードで、不快衰弱という性質を基に生息している動物シエジー。
    シエジーが持つこの法則を、人の法体系に適合させて暮らす社会実験場ソードⅡでの話。
    SF読み慣れていないので、ちょっと手間取ったが、なかなか面白い。



  • 中編3篇からなる。どれも異星の生物とのコンタクトをテーマとしており、筆者の並はずれたアイデアによるファーストコンタクト事例集としておもしろい。中でもシンプルながら新鮮な展開がある「主観者」がよかった。「法治の獣」もアイデアはおもしろいが、設定が混み入りすぎた感があった。「方舟は荒野をわたる」は、方舟の設定はメチャクチャ好みだったのだが、ミズグモ以降の展開がちょっとご都合主義的だったな。終盤の地球人の在り方の考察はワクワクした。ほかの系外進出シリーズも読んでみたい。

  • ファーストコンタクトにおける常識を問うような展開が面白い!そうですよね、SF作品では当たり前になっているからスルーしてしまいますけど、冷静に考えれば地球外生命体が二足歩行したり、話しかけてきたりと、こちらの常識で計り知れる存在であると信じてしまうことがおかしいんです。そんなことに気づかせてくれたことが衝撃でした。

    そして、こちらの常識を疑うような生物(特に「方舟は荒野をわたる」に出てくるまさに方舟と呼ぶしかない生物群)に対する考察の深さや、コミュニケーションの是非を問うような物語の展開がとてもユニークで、非常に面白かったです。

    総評として、三体にまったく引けを取らない読み応えの生物学メインのハードSFであり、ここまで本格的なSF小説を日本人作家が書けるということに衝撃と感動を覚えました。素晴らしい。

  • 知性のあり方について宇宙にはありそうだなと思える描写が良かった。

  • どの作品もストレートなハードSFで、人類とは異質な生物の登場にワクワクする。「法治の獣」と「箱舟は荒野をわたる」は後半の展開が意外で引き込まれた。遠い未来に人類が宇宙に進出して異星生物と出会ったときにどこまで干渉すべきか(あるいはしないべきか)という問いは面白い。端正な文章も作品の雰囲気と合っていて良い。本書の収録作はデビュー作『オーラリメイカー』と同じ世界が舞台だそうで、この世界を舞台にした作品をもっと読みたい。

  • 昔の宇宙ものでは、未知の惑星に降り立った宇宙船の乗組員が、「酸素がある」の一言で宇宙服まで脱いでしまうという描写が結構あった。今の感覚ではとんでもないが、映像系ではやっぱり宇宙服はジャマだ。というので「危険な微生物は存在しない」とエクスキューズを付け加える場合もあった。つまり此方が汚染する方は気にもしないというわけだ。元々ある種の宇宙SFが抱えていた植民地主義的な感覚がこの辺に表れてると、告発調で言ってもいいのかも知れない。この短編集に登場する科学者たちは、そうしたことに極めて自覚的で、細心の注意を払って、異性の生態系に接触する。それでも、ややこしいことは幾らでもおきてしまう、というお話が続く。そのなわけで、ヒューマンインタレストには乏しく、物語的な盛り上がりには欠けるきらいがある。例えば、「法治の獣」のクライマックス近く、シエジーに異変が起こるのだが、ヒロインたちはコロニーからそれを見下ろしてるだけ。やっぱり現地にいないと盛り上がらないわな、とか思う。とはいえ、SF好きを自認するならマスト。異性の生態系の謎を理詰めで解いていく過程に酔えるはず。

  • 宇宙生物との接触を描く3つの短編で、この生物のデザイン?設定?がいちいち凝ってて(n‘∀‘)η<イイワァ
    我々鳥見るマンもそうなんだけど、観察するだけ、刺激を与えない、ってルールがあっても何が刺激になるか分からんし擬人化や楽観視に陥ったり交流欲も出てしばしば悲しい結果になるのね…と最初と最後短編「主観者」「方舟は荒野をわたる」でちょっと苦い気持ちになったよ

  • 少し硬いかな。ファーストコンタクトの短編集。20世紀のファーストコンタクトに比べると、生物がかなり凝っていて、コンタクトをとるルールが随分と科学であっても倫理的。

  • 三篇のどれも面白いが、「方舟は荒野を渡る」がぶっ飛んでて最高だった。どうしてこんなアイデアを思いつくのだろう。ビジュアルを脳内でイメージするのも楽しい。

  • 2022-05-27
    ファーストコンタクトしない短編集
    文化汚染の問題を見事に生体汚染にまで外抽した佳作。集合知性ってもうそれだけではアイデアにはならないネタを丁寧に積み上げている。
    思わずデビュー作「オーラリメイカー」ぽちっちゃったよ

  • 三作の小説が入った本書だが、どれも地球外の知性と思えるものとのコンタクトが、題材になっている。特に、印象的なのは、二作目の法治の獣。一作目の主観者にも言える事だが、ヴァイオレンスなシーンが挿入されている。それが完成度を落としているように感じるが、それ以上の瑞々しさを作品に与えているように感じた。

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