急行霧島 それぞれの昭和 (ハヤカワ文庫JA)

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  • 早川書房 (2023年5月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784150315504

作品紹介・あらすじ

鹿児島から東京へ多くの人と夢を運んだ急行霧島内で、故郷を離れる娘、伝説の車内スリ師、逃げ続ける傷害犯らの人生が交錯する。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

昭和36年の急行霧島を舞台に、鹿児島から東京へ向かう26時間の旅の中で、様々な人々の人生が交差する群像劇が描かれています。生き別れの父に会うために上京する少女美里や、訳ありのお嬢様靖子、傷害犯を追う刑...

感想・レビュー・書評

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  • 昭和36年の急行霧島を舞台にした群像劇。

    鹿児島から東京まで26時間の旅。今なら飛行機であっという間の距離だが、当時はとてつもなく遠い距離だったことを改めて思う。
    しかも登場人物の一部は座席で26時間を過ごす。つまり横にはなれない。もっと言えば座席に座れない客もいて、そういう人は通路に新聞紙を敷いて座っている。時間がかかるだけでなくて過酷な旅だなと思う。

    そんな急行霧島を舞台に
    生き別れになった父親と会うために上京する少女・美里、お嬢様然としているのに二号車に乗っている靖子、傷害犯を追っている鹿児島県警の刑事二人、伝説のスリを追う鉄道公安室の公安職員二人とそのスリ、そして宝石泥棒という面々の物語が描かれる。

    それぞれの物語が絡み合うのかと思っていたので少し肩透かしなような。。
    それほど大きな山があるわけではないものの、上手くまとめてくれて楽しめた。
    傷害犯の話は少し切なくなったし、スリの話も小気味良さとほろ苦さがあって良かった。
    一番気になっていた靖子の話は思っていたのと違っていた。そして美里の父親は東京駅に迎えに来てくれているのか。

    読み終えてみれば、内容紹介通り『人情系鉄道ミステリ』だった。アッサリしていたが軽快なテンポで読めた
    。今の忙しい状況にはちょうどいいボリュームの読書となった。

  • 昭和36年、鹿児島ー東京間を結ぶ急行霧島。千五百キロをおよそ二十六時間半で走り、そこに居合わせた生き別れた父親に会いに行く美里と訳ありのお嬢様の靖子、傷害犯とそれを追う刑事、伝説のスリ師と鉄道公安職員、様々な思惑がノンストップで描かれます。

    1日のうちに色々起きるので、給仕がぼやいた「厄日かな」という言葉がしっくりきました。

    時代ではありますが、今の世の中で椅子に座って26時間は流石に無理だな、と思ってしまいました。

    大きな事件が起きたり、名探偵が登場したりといった話ではないですが、中盤から一気に色々起きるので飽きずに読めました。

  • 舞台は昭和36年の鹿児島駅から東京駅に向かう急行霧島車内。東京の父に会うため乗車した上妻美里の見聞や、容疑者確保に目を光らせる警官や鉄道公安官らの奮闘は、ロードムービーにも見える。高度経済成長を支えた人々なんだなあと思うと感慨深い。

    スリの常習犯『知恵蔵』や傷害容疑がかけられている瀬戸口がどのように見つかるのか。サスペンスの要素はあるが、物語全体に流れる空気はまったりしている。警官や公安官に緊張感は見られるが、乗客それぞれのストーリーが興味深く、彼らの服装や車窓の描写のゆったり感に引き寄せられた。見知らぬ者同士がボックス席でいっしょになり、共通の話題で盛り上がる。短い間に友情が育まれる。美里が向かいに座った靖子との距離を詰めていく過程には心温まるものを感じた。

    罪を犯した者たちの背景もつぶさに語られる。犯罪は許されるものではないが、一方的に糾弾するのではなく、彼らに弁解の余地を与えているところに好感が持てる。

    昔旅行好きの親と寝台特急に乗ったことを思い出した。時代は違うが、作品上の列車風景に、ふと当時の思い出が重なった。

  • 山本巧次さんの『阪堺電車177号の追憶』は大好きな作品なので同じ鉄道ものってことで。
    今回は阪堺電車みたいな擬人化ではなく鹿児島東京間で起こるドタバタ劇って感じです。
    傷害犯瀬戸口とそれを追う刑事、スリ師知恵蔵とそれを追う鉄道公安、これだけだと男臭い感じになるところに父に会いに行く美里、上京する理由を明かさないお嬢様靖子というメンツが彩を添えます。
    それぞれに事情がありなんだかんだそれぞれが良い着地をして物語は東京へ到着し幕を閉じます。

    阪堺電車もそうでしたが根っからの悪人はおらずみんな好感が持てる人たちで読んでて清々しい気持ちになれますね。

  • 昭和レトロなタイトルに惹かれ、あらすじからオリエント急行殺人事件チックな内容を想像して購入。どうでも良いことだが本のサイズが微妙に大きく、文庫用のブックバーに収まらない。
    数十年前、ブルートレインと呼ばれた寝台特急に乗って東京から熊本に行った。その列車も急行霧島と同じく東京と(西)鹿児島を結んでいた。車中で日の出を迎えてから降車まで5時間程、結構退屈した覚えがある。作品では鹿児島から東京まで26時間半を要す。その間、寝台で横になれれば良いが、座席または床に新聞引いて過ごすなど、荒行と呼ぶべき体験だ。
    同一区間を空路はさておき、新幹線を乗り継げば7時間足らずで移動する現代では、犯人も警察も時間に追われてさぞかし忙しいことだろう。
    事件解決後から東京駅ホームのエンディングに至ってはそう来たかという感じ。
    列車一編成を町にたとえた表現があったが、成る程言い得て妙である。それぞれの事情を持つ人々が一千人規模で移動するなど、想像すると不思議な光景である。
    あれこれと一人思いを巡らせながら読ませていただいた。

  • 普通かな〜
    驚くような展開もないし感動も特になし。
    鹿児島弁ってこんなだっけ?っても思った

  • 車内で様々な人生、出来事が交錯する面白さ。私の好きな時代背景。

  • 昭和36年急行「霧島」鹿児島発15時55分。東京着は翌18時20分。この時以外交わることのない多くの人々の人生か一瞬だけ交錯する。

    アイデアが良い。時間、空間が限られた中で伝説のスリ、逃走する傷害犯、追いかける鉄道公安官と所轄警察署、家出同然に上京する両家の子女、初めて会う父の元へ向かう娘など。

    今や絶滅危惧種の夜行列車を舞台としたミステリー。

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著者プロフィール

一九六〇年、和歌山県生まれ。中央大学法学部卒業。第十三回『このミステリーがすごい!』大賞隠し玉となった、『大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう』で二〇一五年デビュー。同作はシリーズ化され、人気を博す。一八年、『阪堺電車177号の追憶』で第六回大阪ほんま本大賞受賞。他に『開化鐵道探偵』『軍艦探偵』『江戸の闇風』『途中下車はできません』『鷹の城』など著書多数。

「2023年 『江戸美人捕物帳 入舟長屋のおみわ 隣人の陰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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