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Amazon.co.jp ・本 (656ページ) / ISBN・EAN: 9784150315511
作品紹介・あらすじ
画像生成ソフトからChatGPTまで、人間とAIの関わりは歴史的な転換点を迎えようとしている。22人のSF作家が見通す未来とは?
感想・レビュー・書評
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日本SF作家クラブ編集による短編集である。ポストコロナとSF(2021)、2084年のSF(2022)に続く書下ろしアンソロジー。
まだ”AI”という言葉がなく、電子頭脳あるいは電子計算機、単にコンピューターと呼ばれていた時代からそれらを題材にした小説があった。人間に造反したり、反乱を起こしたりするものが多かったような気がする。本書にはそんな単純な話はない。現在では実際に人間の能力と同等のAI(人工知能技術)が登場してきたからである。帯にある「未来をつかむのどちらか?」のとおり、未来は一体どうなるのであろうか、気になるといえば気になる。
本書の最後に収録されてる「この文章はAIが書いたものではありません」は、小説ではなく大学の先生が書いた「現在のAI」についての解説である。AIってよくわからないと感じている方は、これを最初に読んだほうがよい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
現在からの延長線上の話だけではなく、「考え方だけSFの要素」っぽい作品もありぶっ飛びすぎて
「今何の話?」と置いてけぼりになる部分もしばしば…そこの理解できる部分が少ないのが私の弱点で、ちゃんと言葉の定義と関係性を図示して整理しないとわからないままになりそう。
で、そここそ一番読みたい部分なので…
読みたいけど理解しきれずという悶々読了。
気になった作品だけ再読する(しても良いくらい長いので忘れてる話もある)
微妙にアニメなどでよくあるモテ設定入れてきた話がなんか邪魔に感じるくらい違和感があった。 -
日本を代表するSF作家たちがAIを切り口にした短編を書いているということで、深く考えずに購入しました。600ページ以上の大作ですがあっと言う間に読了しました。各作品の冒頭に書かれている1ページの解説が、作品理解にとって非常に有用でした。AIがもたらす未来像を考えるにあたって様々なヒントをもらった気がします。
以下自分の備忘録として各作品の要点を書きますが、各作品のキーワードが入っていることもあると思いますので、そのあたりはご容赦ください。
<以下ネタバレにつながるキーワードが入っているケースもあります>
『準備がいつまで経っても終わらない件』:自ら問いを発するAIの凄さと恐ろしさ。
『没友』:亡くなった人間として存在するボット
『Forget me, bot』:AIの回答をエンジニアする。AIに「忘れさせる」テクニック。
『形態学としての病理診断の終わり』:過去のデータ分析はAIに、新領域を人間に。
『シンジツ』: AIによる真犯人特定。ただしAIによる冤罪も起こりそう。
『AIになったさやか』: 亡き人がAIとして「生き続ける」時代の到来。
『ゴッド・ブレス・ユー』: 亡き人がAIになるだけでなく、体も保有する時代の到来。
『愛の人』:感情労働を担うAI
『秘密』:AIに自分の顔を使う許可を与える売顔というビジネス
『予言者の微笑』:AIによる世界滅亡の予言
『シークレット・プロンプト』:超監視社会とマイノリティ排除
『友愛決定境界』:誰が友で誰が敵かを決めるのは誰?
『オルフェウスの子どもたち』:ペーパークリップ・マキシマイザーの建物版
『智慧練糸』:仏師が生成AIを使ったら・・・(コメディ)
『表情は人の為ならず』:表情→文字情報としての感情への変換
『人類はシンギュラリティをいかに迎えるべきか』:人類リセット計画
『覚悟の一句』:AIにおける心や意識
『月下組討仏師』:言葉を介さず脳内イメージを直接アウトプットしてくれるAI
『チェインギャング』:モノが人をコントロールする世界
『セルたんクライシス』:アシモフ作品のオマージュ
『作麼生の鑿』:素のままのところに仏はいる?生成しないAI
『土人形と動死体』:AIが生み出すもの、AIによる人間のなれの果て -
2023/6/24読了。
非常に面白かったのだが、なんとまあSF味の薄いこと……。現代小説の延長にあるようなものを読んでいるような気分で、ちょっと寂しかった。
話題のテキスト生成AIのChatGPTに触れた瞬間すぐに「これは……AIテーマのSFのほとんどは陳腐化するな。それもAIとの対話という体裁で書かれたものは」と思ったのだが、まさしくそんな感じだった。面白くなくはないのだが、もうそこにSF的なセンス・オブ・ワンダーを感じることができなくなってしまった。
余談になるがAIとの対話ということで言うと、僕は個人的な趣味の創作で「ChatGPTに対話形式で手伝ってもらいながら小説を書くという小説」という二重構造のメタフィクションを書いてみた。出来上がったものを客観的に読んでみると、ChatGPTと一緒に作った下層レイヤーの物語は馬鹿馬鹿しいフィクションであるとしても、上層レイヤーの僕とChatGPTの対話の部分つまり「人間とAIが共同で物語を作っていく」姿を描いた最もSF的であるべき枠組は、単なる対話ログの出力にすぎず、もはやフィクションではなく事実であるのが奇妙だった。つまり僕が書いた作品はジャンル的にはもうSFや小説ではなく、エッセイもしくはノンフィクションに分類されるべきもので、しかもChatGPTが想像以上に馬鹿だったのでコメディタッチのバディもののようになってしまった(本書に収録の作品で言うと野﨑まど氏の「智慧練糸」のテイストに近い)。
AIとの対話がSFではなくコメディやエッセイになる世の中が数ヶ月後に迫っているとは、今年の正月には夢にも思わなかった。急にやってきたそういう世の中でどういうスタンスで生きていこうかと考えるときに、本書はとても有用だ。
生成系AIを業務に導入することに前向きな(前のめりな?)自治体の首長が6割以上にのぼるという報道を見たのだが、市長なのか村長なのか知らないが、彼らにはぜひ本書を読んでほしい。ChatGPTとバディを組んで物語を作ろうとしてコメディにしかならなかった経験を持つ僕からすると、深く考えずにこいつに真面目な仕事や役に立つ仕事を任せて楽をしようとすると、たぶんひどいことや愚かなことやレベルの低いことが必ず起きる。自分たちの失望や失職だけで済めばいいが、たぶんひどいこと、マイナンバーの比ではなく人の尊厳や生命に関わるひどいことが必ず起きる。それはGPT-4が今後5になろうが6になろうが100になろうが本質的には変わらない部分に起因するものだ。AIのある世の中の本質を具体的にイメージしておく必要が絶対にある。そのためには、やはりまだ本書のようなSFは極めて大きな力を持っていると思うのだ。 -
こいつはオモシロい。
そもそもは品田遊さんの作品が読みたくて手にとってみたけど、22人の作家によるAIと人類の未来には圧倒されるばかり。
とはいえAIについては懐疑的な未来を提示する作家さんが多い。そうかな?
「AIも単なる技術で、普及すればAIとは呼ばれなくなる」とする鳥海さんの解説は、まったくその通りだね。 -
名著。マジでよい。今すぐよむべし。短い作品ばかりなのに、めちゃくちゃ筆が乗ってて、方向性もさまざまで、とにかく楽しい。
日本SF作家クラブ編の直近2冊の本は、コロナ禍というのもあって暗い方向でまとまってしまって感じがあったが、それがない。
個人的によかったもの。全部。だけど、印象的だったものを一言感想を付して述べる。最高なのは円城塔の地下ダンジョン魔法ファンタジーものである。マジだから。読んで。なろう系好きな人もきっと気にいるから。
高山羽根子『没友』は、仮想現実が行き渡った世界での日常を描き取るのがうますぎる。品田遊『ゴッドブレスユー』は、エンタメ小説として楽しめる。福田和代『預言者の微笑』は、ハリウッド映画的スピード感があって楽しい。斧田小夜『オルフェウスの子どもたち』は、未来のホラーっぽくて良い。野崎まど『智慧練糸』はゲラゲラ笑うネタSF。十三不塔『チェインギャング』は、手塚治虫のどろろみたいな雰囲気の作品なのにAIでSFだし。
あと、円城塔『土人形と動死体』は、マジ最高。久々のエンタメ寄りの円城さんですよ、わかりやすくてめちゃくちゃ楽しい。地下ダンジョン潜ったりゴーレム出てきて魔法がある世界なんですよ。なろう系とか好きな人も気にいるんじゃないかなこれ。 -
AIの進化によって社会はどう変容するのか。そして社会の変容によって私たちの人間はどのように変わり、また変わらないでいるのかというSFの根源的テーマに正面から向き合った作品群。生成系AIの登場によって現実は小説よりも奇なりをまざまざと見せつけられ、SFは陳腐化との闘いに敗北したかのようにも見えてしまう時代。この中で、作品の現実の科学技術に対する陳腐化や未来の予言性などといった概念を超越した文学を感じた。
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近未来から遠未来の構成だろうか。前半は想像つく範囲に面白い。既視感もあるが。後半はついていくのが大変と共にそうくるかの感じで刺激的。あとがき風の最後を除けばトリは苦手な円城塔作品。セルたんクライシスはちょうど「核融合最前線」を読んだ後だったので技術的な話レベルが凄いなと感心。覚悟の一句が一番好き。
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・月下組討仏師
・準備がいつまで経っても終わらない件
・シークレットプロンプト
がお気に入り。
・智慧練糸
は抱腹絶倒。ところでこれの読み方がいまだにわからない…… -
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2023-08-03
ボリュームたっぷり22篇の書下ろし。AIとSFというより、シンギュラリティと、SFって感じ。それでも着眼点も視点も描き方もそれぞれで、確かな想像力のキラメキを感じる。堪能。 -
30ページ前後の短篇が22篇収録されており、1つ1つはサクサクと読める。ただ、1篇ページでも全体としては650ページ超であることとAIというテーマ故か似てるものを扱っているものがなんとなくある気がする(もちろん作家ごとに異なる味付け・切り口ではある)ため、読み終わるのに少し時間がかかってしまった。単純に実生活で本を読んでいられない期間と重なったのもあるが。
お気に入りは『準備がいつまで経っても終わらない件』『シンジツ』『愛の人』『シークレット・プロンプト』『智慧練糸』『人類はシンギュラリティをいかに迎えるべきか』『覚悟の一句』
巻末の解説も非常に面白かった。 -
日本SF作家クラブ編「AIとSF」読了。Chat GPTなど生成AIを楽しく使っている。そんな中で、こんな豪華な執筆陣のAI/SF短編集を読めて、生成AIの将来に対する想像が膨らみ、AIへの興味が深まった。特に、野尻抱介「セルたんクライシス」の世界観とストーリー展開が気に入った。最後の解説も秀逸だった。
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AI✕SFの書き下ろしアンソロジーと来たら、読まずにはいられない。それ関係ではテッド・チャンがいろいろ名作を書いているけれど、日本の作家ではどうだろう?(円城塔はいま「文學界」に連載している「機械仏教史縁起」が傑作だけど)
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AIのことはさっぱりわかりません。でもSFならば読めるはず、と思って。わかるものも、やっぱりわからないものもあった短編集。「シンジツ」、AIが真実(と思っているもの)を見つけ、それを人々に知らしめるために取る行動に寒気。「シークレット・プロンプト」、そうしてAIが何らかの真実、方向を見せたとしても、そうでない道を探す人も。「友愛決定境界」、AIが見せる真実、敵と味方を区別する境界に、バグが仕掛けられたとしたら。伊藤計劃「虐殺器官」を思い出す。そんな危険がありながら「覚悟の一句」では、責任を取りたくない人間の代わりにAIをお上に据える計画が語られる。お上か神かに仕立てあげられるAIは、それでも人の側に立ち続けられるだろうか。アニメ「ユア・フォルマ」や「鉄腕アトム」では人を攻撃しない、とされたAI、人ではなく「敵」ならば、攻撃するようになるとしたら。これは未来のお話、と思っていると、すぐに追いつかれる。
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AIテーマの短編
揚羽はなさん「形態学としての病理診断の終わり」、菅浩江さん「覚悟の一句」が印象的。前者はエンディングが最高によい。後者は最後のひねりが驚愕。
AIときくと、なぜかあまりいい未来像が浮かんでこないんだけれど、上記2作は違ったな。とても新鮮かつ楽しい。 -
短編集なのでSF初心者でも楽しめる話から全くついていけない話まででした。ただ、直近のAIが起点にあるので考えやすかったり考えさせられる話もあり、総じて楽しかった。分厚い本だったけと。
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《目次》
「準備がいつまで経っても終わらない件」長谷敏司
「没友」高山羽根子
「Forget me, bot」柞刈湯葉
「形態学としての病理診断の終わり」揚羽はな
「シンジツ」荻野目悠樹
「AIになったさやか」人間六度
「ゴッド・ブレス・ユー」品田遊
「愛の人」粕谷知世
「秘密」高野史緒
「預言者の微笑」福田和代
「シークレット・プロンプト」安野貴博
「友愛決定境界」津久井五月
「オルフェウスの子どもたち」斧田小夜
「智慧練糸」野崎まど
「表情は人の為ならず」麦原遼
「人間はシンギュラリティをいかに迎えるべきか」松崎有理
「覚悟の一句」菅浩江
「月下組討仏師」竹田人造
「チェインギャング」十三不塔
「セルたんクライシス」野尻抱介
「作麼生の鑿」飛浩隆
「土人形と動死体 If You were a Golem, I must be a Zombie」円城塔
「この文章はAIが書いたものではありません」鳥海不二夫
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