氷の致死量 (ハヤカワ文庫JA)

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  • 早川書房 (2024年2月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (544ページ) / ISBN・EAN: 9784150315672

作品紹介・あらすじ

学園で起きた女性教師の惨殺事件。14年の時を隔てて中学教師・十和子と連続殺人鬼・八木沼の運命が交錯するとき、驚愕の真実が!

みんなの感想まとめ

学園で起きた女性教師の惨殺事件を背景に、緊迫した心理描写が展開される本作は、シリアルキラーの視点と、被害者である十和子の視点が巧みに交錯します。性的マイノリティの問題を絡めつつ、難解なテーマを読みやす...

感想・レビュー・書評

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  • 櫛木理宇『氷の致死量』ハヤカワ文庫。

    シリアル・キラー・サイコサスペンス小説。

    グロテスクな描写もあり、耐性の無い方は御用心なのだが、櫛木理宇の作品としてはイマイチ、いやイマサンの出来だった。


    私立中学の聖ヨアキム学院中等部に赴任して来た35歳になる美貌の女性教師・鹿原十和子は、14年前にこの中学で殺害され、未だに犯人が見付かっていないという教師の戸川更紗殺害事件に興味を持つ。かつての戸川更紗を知る人物は皆口々に十和子の雰囲気が戸川更紗に似ているのだと言う。

    十和子は無性愛者であり、夫は居るのだが、夫の浮気もあって夫婦関係は冷めきっていた。

    一方、神が自分に殺人の使命を与えてくれたと信じる28歳になる連続殺人鬼の八木沼武史はこれまでにデリヘル嬢を4人殺害していた。そして、まさに4人目のデリヘル嬢を『ママ』と呼びながら解体する八木沼の異常な行為が描かれる。


    性的マイノリティーという流行りの文句で正当化される性的倒錯者たち。グロテスクな描写よりも吐気がする。

    本体価格900円
    ★★

  • ジェンダー問題、機能不全家族、毒親。
    なんて多くの問題を含んだ作品なのだろう。

    十和子は勤めていた公立中学で心に大きな傷を負い、私立の学園に転職する。
    だが、その学園では彼女によく似た女性教師が14年前に殺されていた。そして未だに犯人は捕まってはいない。
    彼女と殺された教師を重ねる学園の教師や事務員たち。

    そして、凄惨な殺人を犯す連続殺人犯の八木沼は十和子を見つけ、彼女が探していた聖母だと確信する。

    この二人の視点を交互に物語は進んでいく。

    圧倒されました。ミステリとしても秀逸な作品ですし、冒頭に上げた問題を改めて考えさせられる作品でもありました。

    スプラッタ苦手な私にしては、よく読めたなとも思いますが、駄目な方は読む前に一考を。

  • シリアルキラーによる惨殺な犯人目線と殺された更紗と鏡のような存在の十和子目線に性的マイノリティの問題を絡ませ、難しいはずの内容を読みやすく書き上げているので500ページ越えの厚さもすぐに読み終えた。先が気になり読む手が止まらなかった。

  • 読書で年越ししちゃいました。
    情報量が多くて、新しい知識がドンドンと流れ込んできました。そんな中でも、やはり親の影響というのは、こんなにも大きいのかと恐ろしくなりました。最後の最後まで、ドキドキした1冊でした。今年もたくさんの素敵な本に出逢えますように。

  • そんな中学生の心理ある⁇と疑問に思いつつ恐怖を抱きながら。後半になると、そうだったのか!!の驚きと感嘆の怒涛が追ってきます。あらまあびっくり。あー面白かった。

  • 相変わらず櫛木先生は強烈ですな。
    サイコパスとLGBTQ、加えてネグレクトまで織り交ぜて、社会問題をここまでかと言うくらい突きつけられました。アセクシャルって言うのを初めて知りました。(他にも色々あるんですね)
    聖母がこんな崇められ方になると怖いな…笑

  • いや面白いな!こんな話になるとは予想外。
    良い意味で裏切られた。
    相変わらず凄惨な殺害シーンや胸糞悪いシーンはあるものの、性的マイノリティである十和子が本来の“自分”を取り戻すまでを描いたサスペンスだといえる。
    それにしても、歪な親子関係が齎す悪影響には腹立たしくて虚しい気持ちになる。
    「じゃあ第三者として何が出来るの?」と問われると、何も言えなくなるのが歯痒いな。
    性的指向でも、初めて聞くようなものがあって「知らないことばかりだな」と思った。
    何においても少数派は理解されにくい事が多い。
    作中の『ASMA』のように、それを安心して開示できる場ってホント大事ですよね。
    全体的に重めだけど、希望はある。
    即解決は無理でも未来は開けてる。
    読後感も良いし、本当に面白かった。

  • 今回はシリアルキラーである。
    さすがの櫛木、シリアルキラーのインパクトは抜群なのだが、社会問題や閉塞さを織り交ぜて物語に落とし込むのが実に巧みである。
    例えば『殺人依存症』のような強烈さは本作では息を潜めているが、代わりにじわりじわりと明かされる謎がある。そのどれもが人間の闇をこれでもかと描いている。
    相反するように人間の持つ「光」にも焦点が当たっている。闇と光が織り交ぜられた物語をぜひ。

  • ミステリーと性的マイノリティを合わせたようなお話で非常に面白かったです。ミステリーとしても二転三転するどんでん返しも多く満足しました。

  • おもしろい!ガツンと櫛木氏にもらいました。一気に読んでしまう。
    今まで知らなかった事を教えてもらった。LGBTQについて、ネグレスト、アセクシャルetcこれは人に接する時の勉強にもなり、ストーリーもおもしろい。

  • 愛情って誰に向けるものなんだろうか。
    「死に至る病」を映画で見てすごく作家さんが気になってこちらを読みました。
    殺人の手口のグロさがまず衝撃すぎる。映像化したら気持ち悪くなっちゃう人絶対いるよって思いながらも見たい好奇心がでちゃいます。
    母親の愛を求めて女性の臓器を取り出して抱きしめる殺人犯、14年前に殺された女性教師とよく似た主人公の女教師。このふたりの視点が交互に動くからこそ、どこで交わるのかハラハラしました。
    サイコパスの猟奇殺人かと思えば、愛情って何だったんだろうと親子関係の在り方を問われる作品で重みが十分にありました。
    また、女教師がなぜ殺されて、自分も嫌な雰囲気に巻き込まれているのかというところも性別や、人を愛すること、自分とは何だったんだろうと社会の息苦しさを自らの殻を破っていく成長も見える壮大な問題提起でした。
    問題行動に見えて実はSOSだった、大人になってからはもう変わることがないなど、思春期の行動や言葉の1つ1つが分岐点になって未来が歪んでしまった行く末をそれぞれ見せられています。
    でもラストはまた事態が大きく変わって、こんなにも連続殺人犯の印象が変わる作品は中々ないと思います。ちょっと好感度あがってしまいました。

  • 櫛木理宇さんらしいテーマ。
    こんな親いる?!と毎回思ってしまうけど、きっといるんだろうなとも思う。
    ただ、ここまで猟奇的な事件はなかなか起きないだろうけど。
    イヤミス?と言われがちだけどなぜか読後感が良い櫛木理宇さん作品。
    この本も、ラストは主人公も樹里ちゃん
    も救われて良かった。

  • 「ぼくは、彼女を理解しきれなかった。いや、理解できずとも、丸ごと許容してやればよかったんだ。」

    内容は全然違うのに、着地点が『本性』と重なった。
    列挙される性的マイノリティを調べつつ、”ヘテロセクシャル:異性愛者”の段で、ああ、普通の…ってなって、こういうとこだな、と思う。「『こうあるべき』なんて型は、性的指向には全く意味がない」「人それぞれとしか言いようがない」、そのとおりだと思うし、偏見もないつもりだけれど、つい”普通”とか”基準”を設けてしまう。なかなか意識を変えていくのは難しい。
    犯人も含めて登場人物の、その生い立ちに起因する言動に筋が通っていて腹落ち感がすごい。櫛木理宇には珍しくサイコサスペンスには終わらないメッセージ性の強いもので、読後感もよかった。

  • 最近、グロテスクや残酷描写よりもミステリーとかトリックとか最後のどんでん返しみたいなそっちの技巧系が多い気がしてる。少女葬よりもグロいのってまだない。

  • 「ママ」なんて気色の悪い呼称で呼ぶからこんな事になるんだ。「おふくろ」と「おっかあ」で統一したらこんな事件おきないんだぜ

  • 主人公の周りにはいろんな(特殊な?)人がたくさんいて、本人も普通とは違った。
    あまりにも奇抜な世界に感情移入できぬまま物語は終わってしまった。

  • 読み切った感!大満足でした。
    アセクシャル、性的マイノリティ、幼少期の虐待、虐待の連鎖、、、たくさん勉強になりました。
    ミステリーの方もとても面白かった。読み応えあった。

    主人公は最後何と言いたかったんだろう、、

  • 性的マイノリティ、シリアルキラー、毒親と内容は盛りだくさん。
    グロい描写もあるけど読みやすかった。

  • ”戸川更紗はわたしと同じだったー。その推測に、確証がほしい。わたしは孤独ではないのだと、先人がいたと思いたい。

    彼女を理解することで、わたしの心を癒したい。”

    そんな文章が初めのほうにある。そして読み進めていく。

    グロい残酷な表現はこの作者の特徴で私はそれが好きだ。

    読んでいくうちに小説ではあまり感じたことのない、ハラハラとしたり、どきりとしたりする体験をした。

    いったい”わたし”は最後どんなハンドルネームにしたのか。氷が溶けたらいったい何に変化するのだろうか。

  • 櫛木さんの作品は、読む人を選ぶかもしれないけどいつも考えさせられる。性の多様性が叫ばれる今でもまだまだ理解が十分ではない。そういう自分も自分の理解を超える嗜好には、偏見はあると思う。自分が思う普通、親の思う普通、社会が思う普通。ありのままの自分でいたいけれど、それを認めてもらえるかはわからないというのはすごく怖いだろうな。たった一人だけでも認めてもらうことができたなら、気持ちだけでもすごく楽になるだろうけど…。

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著者プロフィール

1972年新潟県生まれ。2012年『ホーンテッド・キャンパス』で第19回日本ホラー小説大賞・読者賞を受賞。同年、「赤と白」で第25回小説すばる新人賞を受賞し、二冠を達成。著作には「ホーンテッド・キャンパス」シリーズ、『侵蝕 壊される家族の記録』、『瑕死物件 209号室のアオイ』(角川ホラー文庫)、『虎を追う』(光文社文庫)、『死刑にいたる病』(ハヤカワ文庫JA)、『鵜頭川村事件』(文春文庫)、『虜囚の犬』(KADOKAWA)、『灰いろの鴉 捜査一課強行犯係・鳥越恭一郎』(ハルキ文庫)など多数。

「2023年 『ホーンテッド・キャンパス 黒い影が揺れる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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