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Amazon.co.jp ・本 (560ページ) / ISBN・EAN: 9784150315689
作品紹介・あらすじ
人類がテレポートに目覚めた未来。赤川勇虎は少女ナクサと逃亡中に驚異的な能力に目覚める。緊迫のハイパーインフレ瞬間移動SF
みんなの感想まとめ
未来のテレポート社会を舞台に、主人公の青年が驚異的な能力を持つ少女と共に逃亡を繰り広げる物語は、壮大な設定と発想の奔放さが魅力です。荒廃した社会の中で、テレポートによる衝突事故や新たな生活様式が描かれ...
感想・レビュー・書評
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SFの醍醐味のひとつ「壮大なホラ話」をお腹いっぱい味わえる。サイコキネシスによる物体の破壊ではなくテレポーテーションによる衝突破壊、高速道路のサービスエリアが独立国となっている荒廃した未来社会など、「設定」の面白さ、発想の奔放さが際立っている。設定自体の凝りに凝ったアイデアだけで突っ走るくらいの乾いた娯楽作で行って欲しかったくらいだが時折感情がウェットになるところが個人的には少し好みに反した。もしウェットな感情を描くのであれば、個人的にはそのSFでなければ成立できない特殊な設定下におけるその世界の住人たちの心性の在り様が、「現実世界におけるわれわれの心性」に普遍的なものとして何かしら訴えかけてくるものが欲しかった。たとえば瞬時に移動するという距離感の喪失というものは、現実のわれわれの感情の中の何が変わってしまうことになるのかを想像して描くことで、SF以外の小説では書けない現実のわれわれの感性を再構築するような、そういうところに踏み込んだものがあればなお良かったかなと思った。
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21世紀晩年、社会は移動するのにはテレポートするようになっていた。このテレポート社会の描写がこれぞSFといった読み応え。
自身が自力で、あるいはWBワープボックスに入って業者によってテレポートする。なので住宅に玄関は無く、高層住宅に住む。しかし適応できない人は下層に住んだり、今や使われなくなった高速道路に住んで、サービスエリアに仮想政府を作って生活している「ロードピープル」という人たちもいる。しかしテレポートには失敗もあって、移動している人が途中で人間にぶつかりその内臓を突き破ってしまう、という事故も発生している。
主人公の赤川勇虎は、運送業務中に翔突事故(衝突ではなく翔突という字を使っている)を起こし、後遺症でテレポート能力を失った青年。ある日ゴミ箱に隠れていた少女ナクサを助けたことから「灰なる月」という組織に追われ始める。. テレポートは水平方向より垂直方向は何倍も難しいが、このナクサは世界にも稀有な能力、垂直方向への高いテレポート能力があり、地球の裏側へもテレポートできる。
後半は、テレポート能力者同士の戦いが本格化する。移動先の相手を裂殺するという設定を生かし、これは前半ではマイナスだったが、後半ではこれが一撃必殺の達人技になっている。WBワープボックスを使わずに心のみで自在にテレポート(古典テレポート)できる者は「奥義者」と呼ばれ、手練れ同士の戦いが繰り広げられる。
「奥義者」は「旦那」を必要とし、解説によれば、みんな誰かとつながろうとしていて、その切実な思いが荒唐無稽な設定や派手なバトルに奥行を与えている、と書いている。そして、「テレポート×振動」の設定を貫き、インフラであり、武器であり、恋愛や親子関係の核にもなり、宇宙存亡の鍵にまでなってしまう、というところが、この作品の力だという。
著者は大学浪人中に白血病になり治った、という経験を持つようだ。それがこういうつながりを描いた元になっているのか。「人間36度くらいの平熱で、健康でいるのが一番だよね」ということから「人間六度」というペンネームにしたそうだ、と解説にある。
2021年、第9回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作(6~8回は大賞受賞作無。優秀賞は安野貴博の「サーキット・スイチャー」
2022.1に単行本で出版
2024.3.24発行 図書館 -
スタイリッシュというより、ストロングな感じの戦闘描写がとにかくかっこいい。粗さを感じさせながらもその話のスケールで圧倒してくる世界観がとても魅力的。
ただ関係に関する描写が少なく、交流が描かれないのに関係が進展していく感じは少し置いてけぼりにされた様に感じる。節々のワードセンスに厨二感が溢れてて、これを中学高校の頃に読んでたらとんでもない事になってたんじゃないかと思う。 -
設定がすごい。スケールがでかい。
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テレポーテーションが実用化された近未来を舞台にしたSF。
麻薬組織から逃げ出した少女をかくまった男性主人公が特異なテレポーテーション能力に目覚め、遺棄された高速道路を根城とするコミュニティと関わり合いながら、世界的な組織を相手に戦っていき、さらにはこの宇宙自体の危機に直面していく。
なんとなく今どきの設定だなと思いながらも、1クール分のよくできた深夜アニメを一冊にぎゅっと詰め込んだような内容で、デビュー二作目でこれだけの内容をよく書ききったものだと感心した。
変に欲張らず、テレポーテーションという説明不要のシンプルな能力に限定して書いたことがわかりやすく、なにより”移動”という概念を移動者の逆側から捉えたアイデアにはうならされ、ハードSFにありがちなひとりよがりの理論を無理やり押しつけない点もよかった。
気になったのは、なぜかサブキャラの方が感情移入しやすい反面、主人公たちのキャラがあまり立っていないのと、粗削りすぎて展開がわかりにくい部分が多々目についた点だが、新人作家に求めすぎか。とにかく変にまとめようとせずに一点突破的な大胆な発想で書き切っただけでもすばらしかった。
このような新人を大賞に選んだハヤカワSFコンテストの評者たちはなかなかやるなと思うが、早川書房の編集者はもう少し格好いいタイトルにするようにアドバイスできなかったものか。せっかくのいい作品なのに、よくわからないタイトルで損をしていてもったいないと感じた。 -
色々言いたいことはある。そのうえで、私はこの作品に100点満点で99以下の点数をつけることができないと思う。
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テレポーテーションが当たり前になった世界線。テレポートを物質の消失と出現という物理の観点でとらえたバキバキのサイエンスファンタジー。
超能力物かと軽い気持ちで読み始めたが、思いの外 重量級の読後感でお腹いっぱいになりました。 -
世界観が濃すぎて、途中ついていけなくなることが何度かありつつも読み終わりました。
なんともギュッと凝縮されていていろんな要素が詰め込まれすぎていて……話の大筋は理解できても細かい所まで楽しめる余裕がなかったかな、という感じです。
アニメや映画など、映像化したら絶対面白い作品になるだろうなと思います。 -
ちょっと荒削りかなとも思うけどアイディアは秀逸だしエンタメ性も充分。
最後の場面の理論的な種明かしがあればもっと良かったかも。 -
SFの好きな分野は時空航行に始まる宇宙全般。タイトルからしてハマるはずだった。これはこれで面白かったけど、すこし好みが違った。
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人類がテレポート能力を持ったことで激変した未来の地球を舞台にしたSFであり、ボーイ・ミーツ・ガール的な恋愛物語でもある作品でした。『テレポート』が如何なる原理でどのような現象が起こるのかをしっかり定義したことによって、テレポートだけでここまでやれるのかと、「テレポート=瞬間移動」という古典的な固定観念を覆させられた感じがします。作品全体としては様々な要素がこれでもかと詰め込まれており荒削りな感じは否めないものの、素粒子レベルから宇宙規模まで語られるスケールの大きな作品で、その面白さを堪能させて頂きました。
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著者プロフィール
人間六度の作品
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