- Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150400026
感想・レビュー・書評
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格調高い幻想文学を探していた
ジーン・ウルフのような
佐藤亜紀のような
これこそ本物だ という実感
いたるところ 人生の本質のかけらが 散りばめられている
そうなのだ 名作を読めばよかったのだ詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
理想の園を作らんと燃え立つアダム。しかし、自分が利用とする「キャシーの姿」を持つ彼に現実はそう行かなかった。それでも2つの新たな命が。
トラクス家に何かと手を差し伸べるサミュエル。
だが彼はキャシーの本質を見抜いていた。キャシーの邪悪な手口はサミュエルに通じるどころか、口で噛み切る‥真に蛇そのもの。
もう一人、リーという中国人の召使が登場する。
彼とサミュエルの「中国人の有り方に対する」会話が面白い。
そういう私も1980~2000年くらいよく見た映画に出てくる中国人の種々の場面での在り様は「そうあるべく、仕込まれた」のではなく、「周囲がそうすることを期待することで自らの考えて自分を擬態」したものだと語るリーの言葉。
ブルースリーも卑屈っぽい話し方、もみ手をする媚びの態度を見せていた記憶がある。
案の定、キャシーの転身があこぎ・・これも天の配剤なのか。
今回は訳者が大橋氏・・学者さんらしい硬い訳文。3巻が楽しみだが解説ですでに語っている大橋氏(笑)
サミュエルとと会話で赤子の命名を話す部分が興味深い。
カインとアベル・・アベルは父の名前として付けられている。
キャルとアロンのドラマがくりひろがる。
「怒りの葡萄」にあった善と悪の熾烈な戦いとは異なる「エデンの東」平和と寛容を求めてのドラマは善と悪を一つの箱に納め 更なる広がりを持たせるものと解説してあるが、どうなるか。。 -
アダムはキャシ-の妖しい魅力に憑りつかれ結婚、弟チャ-ルズと遺産分けした資金で、サリナスの地で新たな〝エデンの園〟の開拓に夢を託します。やがてキャッシ-は双子の兄弟を出産しますが、アダムを銃で撃ち、嬰児を置いてサリナスを去って行くのでした。失意と絶望のアダムに救いの手を差し延べたのは、アイルランドから入植した純朴ながらも高潔なサミュエルと孤高の召使・中国人のリ-でした。カリフォルニアの渇いた大地に、愛憎の熱い血がジワジワ染み込んでいくかのような衝撃的な展開は、更なる悲劇の待つ第三部へと駆り立てていきます。
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「エデンの東(2)」ジョン・スタインベック著・大橋健三郎訳、ハヤカワ文庫、1972.01.31
332p ¥861 C0197 (2018.02.05読了)(2018.01.25借入)(2002.02.15/19刷)
以下は読書メモです。
第二巻を読み始めました。第十五章まで読み終わりました。
第二巻からは、図書館で借りた旧訳で読んでいます。大橋訳はちょっと読みにくいかもしれません。
アダムとキャシー夫妻は、カリフォルニアに移住し土地を購入し、家をリフォームしています。
アダムは、井戸を掘って庭園を造ろうとしているようです。エデンの園です。井戸掘りは、サミュエルに頼みました。
第二巻を読み終わりました。
キャシーは、双子を産み落とした後、家を出て行ってしまいました。アダムは、キャシーに拳銃で肩を打たれ瀕死の状態で助けられました。
アダムの倒れていたのを見つけたのは、料理人のリーです。アダムの家に雇われていた中国系のアメリカ人です。傷の手当てをしたのは、サミュエルです。出産にも立ち会っています。
双子の子供の面倒を見ているのは、リーです。
キャシーは、ケイトと名前を変えて売春宿でまめに働いています。常連客も多数います。こういうところで働くのは性に合っているのでしょう。宿の女主人フェイにも気に入られ、母と娘になっています。遺産を相続できるようです。
ケイトは、フェイが寿命で亡くなるまで待つ気はなさそうです。
アダムは、腑抜け状態で、一年経っても子供に名前も付けていません。心配になったサミュエルは、激励にやってきました。
アダムとイヴの子供の名前は、カインとアベルです。カインはアベルを殺害していますので、この二人の名前は、ちょっと付けられません。
結局、出エジプト記に出てくるカレブとアロンに決まりました。カレブとアロンは、二卵性双生児だそうで、一卵性双生児のように瓜二つとはいかないようです。
それとなく、アダムとチャールズの子供たちであるようなことがほのめかしてあります。
カインがエホバに許されて住んだところが、エデンの東ということなので、この本の題名に使われているようです。
【目次】
第二部
第十二章~第二十二章
訳者あとがき 大橋健三郎
●二つの見方(39頁)
あるものは、しゃべらない人間は賢い人間だと言っていますが、ほかにはまた、口をきかない人間はものを考えない人間だと言うものもあるんですよ。
●ウェールズの鼠(111頁)
それはつまり、ガスのように人の心のなかにわきおこって絶望をまきちらし、見つけられないような心の傷をわざわざ探りもとめないではいられないように人を駆り立てる世界の悲しみなのであった。
●教会と淫売宿(199頁)
教会と淫売宿は同時に西部にやってきた。そしてもし各々が、この二つは同じものの違った局面にすぎないということを考えたとしたら、おそらくどちらもゾッとしたことであったろう。
教会の聖唱や信心や詩は、しばらくのあいだ人間にそのわびしさを忘れさせるものだったが、それと同じ役目を女郎屋もまた果たしていたのだ。
●遺伝か育ちか(299頁)
「わしは血なんていうものはあまり信用しませんわい」「わしは、人間が自分の子供たちのなかに善や悪を見出すときには、子供たちがおなかの中から生まれた後で、自分がその子供たちのなかに植えつけたものだけしか、その人間は見ていないと思いますわい」
●エデンの東(311頁)
カイン、エホバの前を離れてゆきて、エデンの東なるノドの地に住めり
☆関連図書(既読)
「エデンの東(1)」ジョン・スタインベック著・土屋政雄訳、ハヤカワepi文庫、2008.01.25
「エデンの東(1)」ジョン・スタインベック著・野崎孝訳、ハヤカワ文庫、1972.01.31
「怒りの葡萄(上)」スタインベック著・石一郎訳、角川文庫、1956.09.10(1939年)
「怒りの葡萄(中)」スタインベック著・石一郎訳、角川文庫、1956.09.20
「怒りの葡萄(下)」スタインベック著・石一郎訳、角川文庫、1956.11.05
「二十日鼠と人間」スタインベック著・大門一男訳、新潮文庫、1953.10.10(1937年)
「真珠」スタインベック著・大門一男訳、角川文庫、1957.08.15(1947年)
(2018年2月6日・記)
(「BOOK」データベースより)amazon
愛妻キャシーとともにサリーナスに入植したアダムは、父の遺産で農園を買い取り、新しい“エデンの園”の建設に着手する。聡明な中国人の召使いリーや、近隣に住む純朴なアイルランド人サミュエルも協力を惜しまなかった。だが飽くなき欲望を胸に秘めたキャシーが、双子の男児を出産した直後に、恐ろしい悲劇を巻き起こす。営々と築き上げてきた楽園の崩壊を知ったアダムは、失意と絶望の淵をあてどなく彷徨うのだった。 -
請求記号・933/St/2
資料ID・310003790 -
アダムの目さまさせるサミュエルのやりとりは読ませるものがある。P278からの下り。