料理人 (ハヤカワ文庫NV)

  • 早川書房 (1972年2月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784150400118

みんなの感想まとめ

人間の欲望と支配の関係を巧みに描いた物語は、田舎町コブに現れた謎の料理人コンラッドを中心に展開します。彼はその天才的な料理の腕前で、町の権力者ヒル家に取り入り、次第に町全体を掌握していく様子が描かれて...

感想・レビュー・書評

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  • 前から気になってた一冊。
    コンラッドという謎の男がコブという田舎町に自転車でやってきて、その町の権力者ヒル家のコックに収まり、天才的な料理の腕でヒル家の人たちの胃袋を掴み、あれよあれよという間にヒル家どころかコブの町全体を牛耳っていく…というストーリー。
    コンラッドは表ではヒル家に取り入りながら、裏では冷酷な一面を見せたりして、何を企んでいるのかわからなくて終始不気味。ドキドキしながら読みました。最後の方で町のお医者さんがコンラッドの尻尾をつかもうとするけど、結局取り込まれちゃった。まさに悪魔的。どうもコンラッドは丘の上の古城プロミネンス城に御執心だということはわかったけど、結局何がしたかったのかな。最後はプロミネンス城での狂乱の宴の描写で幕。コンラッドも美食という悪魔に取り込まれてしまった一人だったのか。
    作者は経歴など一切不明の覆面作家だそうで、そこも何かこの作品の不気味さに拍車をかけていいですね。奇妙な味を味わえる一冊でした。
    古い翻訳ものですが、読みやすかったです。

  • まず、著者自身が変名を使っていてプロフィールが一切不明。
    作品も、コブという田舎町に得体の知れない長身の痩せた男が訪れるところから始まります。これは、大人になってから読んだ方が面白いと思います。人間にはあらゆる欲求があり、それらを満たしてくれる存在があるとどうなるのか。
    1965年の作品ですが、全然古く感じません。何故かしら乙一さんの暗黒童話を思い出しました。

  • 痩せて背の高い、鷹のような顔つきをした一人の男が、「コブ」という平和な町に自転車でやってくるところからこの物語は始まります。そして、彼は料理人で、コブの町の半分を所有するヒル家の雇われコックとなります。しかし、そこで彼は魔術的とも呼べるような料理の腕前を見せ、ヒル家の人々をその料理の虜にし、町全体も巻き込んで人々に変化をもたらします。それも、主従関係が逆転し、町の者が彼を中心に回り始めるほどに。彼の真意は、はたして・・・?料理は総合芸術であるとともに、料理すること、食べることがどんなに人間の奥深い欲求に根ざしているか、そしてそれが性格や体質まで変えることも充分ありうるのではないか、ということをこの幻想的でブラック・ユーモアに満ちた物語は感じさせてくれます

  • 「美味しい料理で人を支配する」というテーマで書き切った、古典名作。
    食の提供者と受け手には、そこに身分の違いがあれど、与える者と与えられる者という関係性が生まれる。
    美味しいものを与えてもらった興奮、喜び、あたたかな気持ちを利用し、更に人心掌握に長けた主人公は自分の欲求を押し通していく。
    どんなに信頼できそうな人に会っても自分の手綱は離さないということを肝に銘じる、寓話のような物語でした。

    映画化は一度されているようだけど、限られた場面での駆け引きが中心となり、とても舞台映えしそう。
    いつかどこかの劇団が上映してくれないかな、と期待。

  • 謎の雇われ料理人のコンラッドが作る料理は絶品
    しかし、それを食べた者は痩せ、肥えてしまう

    そうなる理由は謎のままで、ブラックユーモアが効いている作品

    最後おちはなんだか釈然としなかった…

  • ブラックユーモア小説として有名らしいが、それほどの名作とは思えなかった。
    前半は謎もあり、コンラッドの個性もあり、後半の展開に期待を持たせる。
    しかし後半は期待を裏切る拙速な展開。
    個人的には期待外れの作品だった。

  • 怖い…!
    ミステリーだと思って読むとオチもトリックも特になく肩すかし感あるけど、悪魔ものガッツリホラーだと思えば納得。

  • かなりの古典。今でいうとダークファンタジーなのか。謎の料理人が田舎町を怪しく染めてくんだが、料理は最小限、内面描写もほぼ無しで各人物の行動だけで読ませてく技量がすごい。

  • 途中までわたしはただコックが人々の胃袋を掴んで支配するというストーリーだと思っていた。しかし、ラスト城での生活を読んで違和感を感じた。単なる征服物語の結末としてはそぐわない…そこで気づいた。

    この作品が単なる恐怖小説でもなく、はたまたユーモア小説でもなく、読後なんとも奇妙な味を残すのは、人々を操っている支配者のコック自身も美食の毒にあてられているからではないか。

    一見、骨抜きにされていく人々の中でコックだけが意思を持った支配者であるように見えるが、真実、このコックの行動の原点にあるのは飽くことない美食への追求と異常な執着だ。

    というのも、コックは屋敷の人々を召使い同然に扱って自分が主の席に座り満足しているのではない。ただそれだけだったならば読後は恐怖小説に感じられるだろう。
    彼はただ最高級の料理を生み出すこと、最高級の料理たちに最高級な特等席(プロミネンス城)を用意してあげること、この2つを追求し続けただけではないか。それはすべて美食のための行動である。


    彼にとって食は「手段」ではなく「目的」であり、そもそも彼にとって食は「手段」とするなんてとんでもないほど尊いものだったのだ。

  •  面白かった!狡猾に戦略的に、そして時に暴力的にじわじわと人々を支配していくコンラッド。反抗的な者を周到に片付けながら周囲の人々に自分を慕わせていく手際の良さと、主従関係の逆転の境目が綺麗なグラデーションになっている不気味さにぞくぞくしながら読み終えた。これをマインドコントロールというなら、自分はそんなものには絶対にかからないと言いきれなくなるほどのコンラッドの邪悪な魅力が本当に面白かった。

  • 食べてる料理がよくわからないのに、すべておいしそうに思えるのがすごい。

  • じわじわくる。
    終盤まで、彼の目的は不明なまま。だが、“何かがある”ことは示唆され続ける。

    ゆっくり、しかし確実に、まるでそれが当然であるかのごとくターゲットを洗脳し邪魔物を排除していく様は気味がいいほどである。
    彼の料理に、侵されたくなる。

  • なともまぁ不気味な小説でした。主人公の感情を描写しないあたりが白夜行にも通じる不気味さを醸し出しています。
    淡々とストーリーが進み、主人公の真意や本音が語られぬままエピローグまですらっと読まされる感じですね。
    翻訳物にしては読みやすいと思います。

    スッキリはしないし、オチもだいたいわかっちゃうけど、雰囲気小説としては十分面白いと思います。

  • ある日ある時ある田舎町に、異様な風貌の男が現れる。彼はその町の名門家にコックとして雇われ、その不思議な料理で次第に人々を魅了していくが・・・?

    なるほどまさに、「悪魔本」である。
    不気味で恐ろしくて、でも奇妙な魅力があり、さっぱり本意が見えない。引き込まれるようでもあり、翻弄されているようでもある。
    淡々とした語り口。断定的な説得力。そして美食、魅惑的で向上心とさえ勘違いしてしまいそうな、とろけるような美食・・・。

    なんでもこの本の作者は経歴の一切が伏せられているそうで(その経歴すらもこの本をより引き立てるための要素で、だからこそ出版社も堂々と著者経歴にそう書いているのだろうけど)、現在でもその正体はわからない、そうである。
    そしてそれは、この本の異様な主人公・コンラッドにも当てはまる。


    以下、少々ネタばれ↓↓


    結局この主人公の目的、というか望みが何なのかは、この本では具体的には示されない。
    ただ、遠く遠くからの遠景として、そして人づての噂として、淡々と、まるで風に飛ばされてきた便りのように、描写されるだけである。
    しかし、その最後まで貫き通される「第三者的視線」と「底知れなさ」が、この物語の結末には非常にふさわしいものと思われた。
    コンラッドが求めていたもの、それがどんな形であり、何であったかが明らかになったとしても、その「意味」を「噛み締め」、「味わい」、そして「消化」できるのは、おそらく彼ただ一人であろうから・・・。

  • 悪魔物にジャンル分けされるらしい

    「悪魔物」なんでジャンル始めて知ったけど、

    ゲーテのファウストとか読んでいるので、

    「ああ、こういう話か」と納得がいく


    にしても作者についても全然知らないし、タイトルも特に惹かれるわけでもないのに、

    めちゃくちゃおもしろい

    爽快で、ブラックな雰囲気が漂っていて、なんかちょっと矛盾してるけど、それでもそれらが上手く両立している

    なんか伝わりづらいけれど、不思議なテンションで話に夢中になってしまう

    こんなに面白い小説久しぶりに読んだ

  • 面白かった(笑)徐々に周囲を支配していくコンラッドの不気味な怖さがちょっとホラーのようで良かったです。下手なホラーより怖いですね(笑)やっぱり胃袋支配されると人間は弱いですね~(笑)とりあえずコンラッドの作る料理を食べてみたい(笑)

  • 不思議な話だった。
    なんとなくオチが読めそうで意外と違った。

  • 文章が読みやすかった。
    主人公のコンラッドが料理人としての自信とプライドが高くてかっこよかった。
    人を虜にさせる魅力を持っている反面、敵対視するブロッグの手にナイフを突き立てるなど残虐な面もあったのがダークな感じで良かった。
    最後は夫妻ともにまん丸に太っていたのがかわいかった。


    読み終えた後に最初の文章を読み返すと少しゾッとした。
    ー人間とは料理をする動物である
    ー人間とは食事を楽しむ動物である

  • #8奈良県立図書情報館ビブリオバトル「飲む・食う」で紹介された本です。チャンプ本。
    2011.10.15
    http://eventinformation.blog116.fc2.com/blog-entry-683.html?sp

  • 期待しすぎたせいか面白いとはならなかった 主人公を好きにはなれなかったな りょうりにんってより、りょうりじんって感じ

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