春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV38)

  • 早川書房 (1973年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784150400385

みんなの感想まとめ

自己認識と他者からの視点の違いをテーマにした物語は、主人公が自らの信念と過去に向き合う過程を描いています。周囲の人々との関係や過去の出来事に隠された感情を掘り下げることで、主人公は自省し、自分の行動が...

感想・レビュー・書評

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  • 自分の自己認識と、他人から見た自分は違う。
    かなり近い人はいるかもしれないが、
    100%同じことはありえない。
    ということを思い出させられる話。

    自分から見た信念、これはこうあるべきだ。とか
    これが最適なチョイスである、
    周りの人はそれを受け入れて当然だと
    思っていた主人公が、砂漠での自省により、
    思い出すことを避けていた過去の事実と向き合い
    自分のやってきたことは間違っていたのかも、
    という考えに至っていく。

    自省により気づいたとはなっているが、
    自分でも薄々気づいていたけど気づかなかったことにすることで自分を守ってきたということもあるのだろう。
    たとえば子供から信頼されていない、愛情を向けられていないという事実を受け止めるなんて、厳しすぎる。
    自分がやってきたことが間違ってたと認めて謝罪するのも難しすぎる。でもあそこでは…

    なんの犯罪もおこらない小説なのに、
    過去の事実に隠された周囲の人の気持ち、
    主人公の自省が発見となっていくにつれて
    推理小説の点と点がつながっていくような
    ドキドキを味わう。
    アガサクリスティーの小説はこれが初めてだったけど人間の行動や感情に対する観察力、人と優劣をつけたい気持ちの描写など、とても人間的で驚いた。ロバートと再会する数秒前とか本当にスリリング。

    誰も教えてくれなくて
    ひとりぼっちにされることほど
    寂しく可哀想なことはないのかもしれない。
    自分の考え方が間違っていたとしても
    それを伝えてもらえたり話せる人だとは
    思われたい。

  • 久しぶりのアガサ・クリスティ。表題が詩みたい。素敵。原題は"Absent in the Spring"。
    やはり途中、外国人のカタカナの名前が分からなくなった。同じ人物でも愛称とか別の呼び方もあるし。
    主人公ジョーンは問題ありな自己中妻・母。でも誰もがそういう一面を持っているのでは?良かれと思ってやっていたことが、家族に無理を強いていて苦痛を与えていたり。
    帰路途中の砂漠で一人になってあれこれと考える。これまでの自分の言動や周りの様子に気付き、省みたところまでは良かった。しかし「やはり気のせいだったのかも」と納得して開き直ってしまうのは残念。砂漠で考えたことを家族に伝えてほしかった。

    ジョーンの立場で、こんなにも深く書けるアガサ・クリスティ。見事だと思った。
    一週間で書き上げる。一語も修正せず、そのまま出版したとのこと。


  • 優しい弁護士の夫、結婚して何不自由なく暮らす子どもたち。理想の家庭を築き上げ、ジョーンは満ち足りていた。そんな彼女に心の迷いが生まれ…。
    ミステリじゃないアガサ・クリスティも凄かった…。

  • お母さんヒス構文の古典的作品だと思った。

    内省を怠ると客観性を見失って、ひとりぼっちのモンスターになってしまうことを学びました。

  • 良き妻、良き母として満足しているジョーンは、
    病に倒れた末娘・バーバラの元へ看病へかけつける。
    帰国する際に、学生時代の友人・ブランチに出会う。
    その後帰国の電車が来ず、何もない砂漠で数日間を過ごす中、自分は本当に夫や子供たちに愛されていたのか?子育てに成功したのか?などを考える。

    初めは何事も完璧だったと満足しているジョーンだが、
    回想を追うごとに、読み手としては違和感を感じた。
    そこからだんだんとジョーン自身も違和感を感じていく、、、という構成。

    斬新で面白かった。
    ジョーン目線で語られるため、正解がどうなのかは読み手の想像に任せられているが、
    明らかにバーバラや長女の話では、娘たちからは愛されていないだろうと察せられる。
    気づいていないというよりも、気づかないふりをしているところに、
    自己満足の塊だな、と言うふうに感じた。

    今後子育てするうえで、とても面白かった。

  • クリスティーのミステリではない作品は初めて読みました。でも、ジョーンが回想から真実に気づいていくところは、さすがミステリ作家、という感じです。
    真実は時に残酷ですね。知らない方が幸せか、苦しいほど後悔することになっても、真実を知った方が幸せか。知らずにいて欲しいと思うのは、本当に優しさでしょうか。誰が間違っていたのか、裏切っていたのは誰なのか。赦しを乞うべきは誰でしょうか?
    ジョーンだけが悪いとは思いません。

  • 読みながら、主人公は私の母みたい…とずっと思っていました。周りが何を言っても聞き入れない人へのもどかしさ。そしてそういうことを考えるたび、私自身にも同じようなところがあるのでは?という気持ちがわいてきます。
    また、主人公は瞑想と同じような状態になっていたのかなと思いました。私も、何もすることがない状態になってみたいという願望が出てきました。
    一気読みしました。めちゃ面白かった!

  • 三宅さんがお勧めしてたので挑戦。深すぎる、、、
    笑。ミステリ以外も面白いのか! 独りよがりになってしまう所が自分と似ており過去を振り返って自分も大反省したが、ジョーンの気持ちも凄いわかる、、、本当にわかる笑
    けど、ロドニーの気持ちも共感できる。
    人生において何が重要かも問われてる気がする。
    とにかく色んな要素盛り沢山で、最高でした。
    自分は変われるように努力しないと、、難しいけど

  • 1944年、つまり82年前に執筆された 小説。
    母親目線で描かれているけど、子ども目線だと「世間体重視で子ども本人と向き合わない毒親」なんだろうな。

    時代や国が違ってもこういう親子関係の拗れって存在するんだ、と思うくらい主人公の思考や言動の人間臭い描写がリアルに描かれてる。

  • 古い作品のせいか読むのに苦労した。

  • メアリ・ウェストマコット名で出版された小説。
    自分がひとりぼっちであることに気がつかず、幸せに生きている、と思い込んでいるのは幸せなのか否か。
    ジョーンみたいな人って、結構いるんじゃないかしら。もしかして、自分も? そう思うと、怖い。

  • ジョーンは本当に可哀想な人だなあと思いました。自分の小さな物差しの中に無理矢理周りを当て嵌めようとして、周りに自分の物差しを合わせることができないから、物差しをはみ出たものは、"あり得ない"こと、"下等な"こと、"現実的じゃない"こと、としか思えないのだなあ、なんて残念な人なのだろうと思いました。
     しかし、ジョーンだけがそうなのではなく、人間誰しもが程度の差こそあれ、そういう自己本位な所があり、ジョーンはその度合いが強く、人の目に分かりやすいだけなのではないか、とも思いました。
     愛しているからなんでも赦されるというわけではないということが良く伝わりましたが、では、何が赦されるのかと言われれば答えられないのが、ちょっと悔しいです笑

  • 2019年12月21日に紹介されました!

  • プアリトルジョーン。
    人間、そう簡単には変われないものですね…。

  • これは非ミステリー作品です。
    そう6作あるそうでない作品の
    1つです。

    この作品はロマンス系ではなく
    子育てを終えた女性の回顧録
    でもあります。
    そう、完璧だ、と思っても
    穴ってあるものなんですよね。

    結局子供は最後には
    言うことを聞かなくなるのです。
    それを受け入れられるか否か…

    そして夫のそれは
    かなりさびしいものがありました。
    かなうことのないものですし…

  • 2009/2
    メアリー・ウェストコット名

  • 「結婚」について考えるときに、なんとなくこの小説のことを思い出してしまう。んだけど、本当によくできている。が、結局、死ぬまで続く孤独についても考えさせられる。

  • 何も事件は起こらないのに、ここまで読ませるなんてすごい。主人公の回想・心の動きを追って、読み手までも不安にさせます。のほほんと読める人はいないはず…。

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著者プロフィール

1923年、東京に生まれる。東京大学西洋史学科卒業。翻訳家。『シェルシーカーズ」上・下『九月に』上・下(朔北社)『懐かしいラブ・ストーリーズ』(平凡社)、ハヤカワ文庫のクリスティー文庫(早川書房)、『子どものための美しい国』(晶文社)など児童書から推理小説まで幅広いジャンルの本を多数翻訳している。

「2022年 『ロザムンドおばさんの花束』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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