- Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150400484
感想・レビュー・書評
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「ホテル」がよかったので次はこれ。大雪で機能停止寸前のリンカーン国際空港。その空港長メル・ベーカースフェルドを軸に、空港でのあれこれのエピソードをつないでゆく。スタイルとしては同じだ。舞台が大きいので関係者や出来事も多彩でそれぞれおもしろいのだが、なんといっても後半の飛行機爆破と緊急着陸のサスペンスが大きすぎて、逆にその他の挿話の影が薄くなってしまっている。キースって何悩んでるんだったっけとなる。サスペンスドラマにするなら後半部分だけに内容をしぼったほうがいいし、ホテルの流れにするなら、後半のクライマックスが大きすぎてバランスが悪い。映画化受けはするだろうけど、小説としては欲張りすぎたな。あと、分担訳のせいか第二部で突然メルが「わし」と言い出したときはずっこけた。全体のすりあわせくらいすればいいのに。
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大好きな航空ものに久しぶりに出会えた。
オヘア空港がモデルといわれるシカゴにある架空のリンカーン国際空港が舞台。
アメリカ本土へ旅行したときに何度かオヘア空港を乗り継ぎで実際に利用したことがある。
確かに巨大なオヘア空港の情景を思い浮かべながら読むと、
小説の世界に入っていきやすかったし、
いろんな場面が頭の中で映像となって臨場感が増す効果があった。
まったく関係のなさそうな伏線となる個々のストーリーが、
読み進めていくうちにひとつの事件へと徐々につながっていく構成が実にお見事!
物語の前半は各登場人物の性格・立場・人間関係などの紹介に費やされているので、
かなりゆるやかに進んでいく。
しかし、後半から一気にスピードアップ。
終盤の一刻を争うハラハラドキドキの展開に止められない止まらない。
この小説が出版されたのは1968年。
当時の空港には金属探知機がまだ設備されておらず、
手荷物検査もされないことを知って驚いた。
すでに911同時多発テロを経験した今となっては、
なかなかイメージしがたい。
その一方で、昔から空港が抱えていた問題の多くは、
現在も解消されていなかったりする。
例えば、近所の騒音問題、増えるトラフィックに対して増えない滑走路、
管制官にかかる極度のプレッシャーなど。
小説そのものは多くの部分で古くなっていないのである。
バート・ランカスター、ディーン・マーティン、ジーン・セバーグ、
ジャクリーン・ビセット、ジョージ・ケネディらの豪華キャストで映画化もされている。
これが映画のエアポート・シリーズの第1作目だったとは、
まったく気がつかなかった。
2作目からアーサー・ヘイリーの原作から離れてシリーズ化されたらしい。
このシリーズ4作目の『エアポート'80』をかろうじて観たことがある。
アラン・ドロン主演でコンコルドが登場する映画だった。
映画版もぜひ見てみたい。
ちなみに、IMDBで調べたらヒロインのジャクリーン・ビセットはアガサ・クリスティ原作の映画『オリエント急行殺人事件』にも出演していたんですね。。。
オリエント急行は何回も見たはずなのに、こっちとぜんぜん結びつかなかった。。。
これは上下巻両方読んだ感想です。