華氏451度 (ハヤカワ文庫NV)

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  • 早川書房 (1975年11月29日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784150401061

みんなの感想まとめ

テーマは活字文化の衰退とその中での人間の思考や感情の葛藤です。作品を通じて、主人公の経験を通じて「本が禁忌な世界で読書に触発されると、人はどう変わるのか」という深い問いが描かれています。読者は、スリリ...

感想・レビュー・書評

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  • 大丈夫だよレイ・ブラッドベリ!

    そう言いたい
    大丈夫だと思うな〜

    活字文化は死なない
    ブラッドベリが危惧するのもわかるし
    確かにこの作品が書かれてから現在に至るまでゆっくりと活字文化が衰退してるのはいるんだけど
    中学校の数学の反比例を表すグラフのような0を目指して急降下!みたいなことにはなってないし

    もちろん過度な楽観論によって様々な悲劇を生み出しているのが人類の歴史でもあるんだけど

    活字文化は死なない

    ブクログがある限りw

    本好きたちの魂は華氏451度でも燃え尽きない!
    (なんかいい感じ風のこと言った!)

  • この本をこの歳まで読まずにきてしまったことを激しく後悔。まったく、いつだって読もうと思えば読めたものを、何やってたんだかなあ。感動しすぎて感想が書けない。

    何かのポスターにタイトルが使われているのを見て、久しぶりに読んでみようか、と。
    初めて読んだときほどの胸の高鳴りはないけれど、より深く、静かに心に沁みこんでくるものがあり、やっぱりいいものはいいなあ。

  • 冒頭から引き込まれ、このスリリングな舞台設定からどう展開する!?とワクワクしながら読んだ結果、すごく面白い作品とは感じなかった。いや、主人公の家が焚書される展開からは目が離せなくて一晩で読破したし、面白いんだけど…心理描写・会話描写に没頭できなかった。文体との相性の問題かも。本好きとして印象的な作品なのは間違いないので、別の翻訳のも読みたいと思う。

    しかし、主人公を通して、「本が禁忌な世界で読書に触発されると、人はどうなるのか」というケースを見れたのは興味深かった。

    ラスト老人達の前向きな発言や姿勢に対して、風貌が暗いというのがリアル。確かにどんなに志があっても、社会に認められなければ苦しいだろう。

    個人的に本書と通じる現代の思考停止化は、読書離れってより働かせすぎ問題な気が。スマホや娯楽に逃げたりするのは防衛本能だと

  • NHK紹介で読む。テレビに脳を支配される時代はネットの衆愚社会と通じる。映画でみたときはわからなかったが、本がなぜメディアとして残されるのか考える機会になった。

  • もうちょっと頑張れば、面白くなると思うのだが。。。 ちょっと残念な感じ。ここから面白くなるかもというところで終わってしまう。
    都合良く支配するために本を読む事を規制している国で、取締る側にいた人間がちょっとしたキッカケで矛盾に気付き反体制派となる話。

  • まず、題名が秀逸。
    華氏451度とは、本が燃える温度。あらゆる本が焚書とされる未来世界の物語である。
    そこでは深い思索や知識の獲得は禁じられ、人々は「海の貝」と呼ばれるヘッドフォンや高性能のテレビを通して与えられる即物的な娯楽を貪り続けるだけの存在に成り下がっている。かつて消防士を指して用いられたfiremanという単語は、今や皮肉にも焚書官を表すようになっていた。その焚書官の一人ガイ・モンターグは、隣家の少女との出会いからそんな世界のあり方に疑問を抱くことになるが・・・

    テレビ等の普及による知性の退化に警鐘を鳴らすという明確なメッセージには、本好きの一人として深く共感した。私自身高校時代に下宿し始めて以来テレビを見なく(見られなく)なって久しいが、今でもそれは結果的にプラスだったと思っている。以前はかなりの時間をテレビに齧りついて過ごしていたのに対して、本を読んだり友達と話したり一人で考え事をしたりする時間がぐっと増えた。そして今の生活のほうが「生きている」という実感が確かにある。

    (そんな個人的経験も手伝って?)ガイが奥さんたちに懸命に詩を読んで聞かせても彼女たちは全く理解しようとしない、という場面ではなんだか無性に腹が立って悲しくて涙が出そうだった。こんな世界嫌だ、本当に嫌だ。・・・しかし考えてみると今の現実世界でも似たようなものかもしれない、と気づいてぞっとした。

    そして結末。皆さんの記憶力が素晴らしすぎる。私ならせいぜい『蜘蛛の糸』くらいが限界だろう。

    (ただ、気になった点といえば・・・これの前に古典ばかり続けて読んでいたためか特に終盤の展開がやたらと速く感じられた。クラリスとかビーティとかも重要人物っぽいのに、あんなにあっさりいなくなったんでびっくりしてしまった。私だけ?)

    しかし、いろいろと考えさせられたな。こういう社会風刺色が強い作品は好きだ。次はやっぱりオーウェル『一九八四年』だろうか。

  • 『結晶世界』『ペスト』『女には向かない職業』に続く、本棚でほったらかしにしていた本を読むシリーズ。これは1984年の12刷で、現行の新訳版とはちがってハヤカワ文庫NVの1冊。

    名作と言われる昔の小説(とくにSF)を読むと、なんかちょっと思ってたのと違うところがあって拍子抜けすることがよくあって、これも例外ではない。たとえば、冒頭に出てきて主人公モンターグに気づきをあたえるクラリスという美少女(とは書いてないけど、これは絶対美少女の名前である)は、後半でもう1回出てくると思ってたのに結局出てこなくてもったいないなーとか、妻とその友人がテレビにうつつを抜かしているのに腹を立てたモンターグがわざわざ隠し持っていた本を見せびらかして読み上げたりして、こいつ何考えてんだと思ってしまったりとか。とくに後者は人物の感情や行動の流れがとても不自然で、端的に小説がヘタという感じ。

    また、追われる身になったモンターグが、本を暗記して後世に残そうとしている人々に会うことになる場面。

    (引用ここから)ジョナサン・スウィフト、あの悪意に満ちた政治的著作、《がリヴァー旅行記》の著者にも会ってやってほしい。それからこちらの男は、《チャールズ・ダーウィン》で、こちらのほうが《ショーペンハウエル》だ。そして、こちらは《アインシュタイン》、もうひとつこちらの、つまり、わしのすぐわきにおるのが、《アルベルト・シュヴァイツァ氏》いたっておだやかな哲学者だ。(引用ここまで)

    ここは、一人一人の名前は本の題名の方がいいんじゃないかなあ?

    ……《ガリヴァー旅行記》にも会ってやってほしい。それからこちらは《種の起源》で、この男が《意志と表象としての世界》だ。そして彼は《一般相対性理論》、その隣、つまり私のすぐわきにいるのが《水と原始林の間に》。いたっておだやかな哲学者だ。

    こんなふうに。

    また細かいことですけど、このちょっと前に「わしがそのプラトンの《共和国》だ」という箇所があるのだけど、ここは《国家》とすべきじゃないだろうか? たいていの邦訳や解説書では「国家」で通ってるんだから。

    《海の貝》やフェイバー氏が通信用に自作した装置がカナル型イヤホンだったりとか、『ブラック・ミラー』に出てきたような戦闘用ロボット犬、空中ドローンによる追跡みたいに、今でもまったく古びないガジェット類が描かれているのはすごいと思いました。

  • 認知的不協和を嫌い黙過と享楽に耽る世界。思考を生み出す書物が徹底して焼かれていく。考えることだけが唯一の人間性なのに、それを放棄する人々。
    しかし、それほど不自然でもない。
    この先、種々の依存症が増えていかざるをえない社会となれば、まさにこういった姿に容易に近づくことだろう。「ホワイト社会」はその先駆けではなかろうか。

    「どうせ、みんな、消えてなくなることだ! 人間の思考なんて、出版業界、映画界、 放送業界-そんな社会のあやつる手のままにふりまわされる。不必要なもの、時間つぶしの存在は、遠心力ではねとばされてしまうのが運命なんだ!」 p95

    しかし、ここへの対抗策、大事にすべきことが何なのかがしっかり描かれてもいる。

    「なぜか知らないが、ぼくはきみを、ずいぶん以前から知っていたような気がするんだ」「それは」と、彼女はこたえた。「あたしがあんたを愛しているからよ。それでいて、あたしはあんたから、なにも望んでいないの。つまり、あたしたち、おたがいによく知りあっているということね」p49

    (社交性とは)この世界のふしぎなことについて、話し合うことなの。p51

    ただただ言葉をかわすこと。善悪や正誤なく。そこにある他者を見つめ受け入れていくこと。やはりこれで良いのだろう。そう考えると、神すら共構築的なものかもしれないな。

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/TW00064953

  • 「本が燃える温度」、あまりにも生き急いだ人類が失いつつあるもの…。


     徹底した思想管理体制のもと、書物を読むことが禁じられた社会。禁止されている書物の捜索と焼却を任務とする「ファイアマン」のモンターグは、偶然出会った女性クラリスの影響で、本の存在を意識し始める。テレビのままに動く無気力な妻リンダの空虚な生活と違い、クラリスは本に熱意を持っていた。・・・・・・

     テレビに支配されて思考も思想も失った妻たちとクラリスの対比から、主人公が気づき、変わっていく様子が面白かった。

  • 言わずと知れた名作。

    今見ると未来の姿に違和感を感じることもあるが、楽しめました。

    この本の凄い所は、極端すぎる部分もありますが、充分起こり得る未来を寓話的に表現している事だと思います。

    「今年の流行は白だ」と言われて、考える事もなく取り入れ、不倫が何故悪なのかを考えた事もないのに断罪する。本を読む事もなく、自分に無関係な事はそもそも真剣に考えた事もない。

    こういった人はいつの時代も一定数いましたが、情報が多すぎて、もはや自分で考えることもなく「答え」がある現代では少しずつ増えている気がします。

    これが、悪い事だとは思いません。企業にとっては、こうゆう人こそ扱い安く、学校でもそう教育してる傾向にあります。
    人間がトラブルもなくみんな仲良く生きて行くには、いい意味でも悪い意味でも突出した人間など必要ないのでしょう。

    ただ今後も増えていけば、この本の世界はすぐそこにある未来なのかもしれません。

  • む〜…
    色々な本におすすめ本として出ていたのだが、正直、それ程のものを感じなかった。

    焚書の物語。市民には過去の知識を学ばせず、映像と音声に浸らせておく社会。楽しければ良いであろう。何も考えずに政府の方針に従うがよろしい。その方針に少しずつ違和感を思える焚書官。それでいながら、焚書官のボスは多くの本を読んでいるに違いないほどの博学。突然戦争が始まり、全ては破壊される。地下に隠れていたグループが再び新たな社会を目指して…

    作者が書いた当時、これからの社会がどの様な方向に進み、それがどの様な結末を迎えてしまうかについての示唆・恐れについては十分に感じとられるのだが、それに至る展開が自分にはあまりにも唐突すぎる…

  • 60年前に書かれた管理洗脳国家。
    国民はすべて制御され、子孫を残すことさえ人工授精を理想する。1984年は25年前だけど、ここに書かれているような国家は21世紀でも、多少なりともあると思う。
    自由ってなんだろう?
    思想ってなんだろう?
    思考ってなんだろう?
    楽しみってなんだろう?
    恋愛はどうだろう?
    友情はどうだろう?
    義務と権利ってどうだろう?

    情報がセーブされた社会は恐怖を覚える。同じ管理国家を描いたザ・ミャーチン『われら』と読み比べると、過去の同時期に未来を警鐘する作品がある。

  • SFの名作ということで購入した。
    レイ・ブラッドベリの華氏451度は本が禁止されている近未来。持つことも読むことも許されない。主人公のモンターグはそれを取り締まるファイアマン、焚書官として働いていた。火の色は愉しかった、という冒頭からもあるように、モンターグは焚書という行為を心から愉しんでいて、一分も疑いなく職務を全うしていた。しかしクラリスという隣家の少女と出会うことにより、彼は混迷の道を歩み始める。

    クラリスにミルドレット(妻)との冷え切った関係を見透かされ、動揺するモンターグだったが、彼女が物事の本質的な部分をついているのだということに気付く。ミルドレッドは三面の壁に張られたテレビ画面に夢中だ。いつも「海の貝」と言われる超小型ラジオにばかり耳を澄ませている。そこにクラリスの指摘した愛情に由来するものが存在することができるわけもなかった。

    モンターグがいつものように仕事に向かう。緊急連絡が入り、ある老女の家で書物が見つかり、それを焼却すべく同僚たちと共に現場に向かった。本を燃やしていく過程で、老女は本と共に命を断つべく石油の中にマッチを落とす。どうしてそこまでして書物に囚われるのか、モンターグには不思議でならなかった。そのときから彼は書物の魔力に取り憑かれることになる。

    焚書、という言葉の意味を検索すると、「書物を焼却する行為。通常は支配者や政府などによる組織的で大規模なものを指す」(Wikiより)と出てくる。あいにく日本の現代社会においてそのような野蛮な行為をする人間はいないだろう。本当に行為に及んでしまったら放火事件となってしまう。しかし歴史的にもナチスや奏でも起こった行為だ。未来社会だけではなく現代でも他国では行われているのだろう。

    書物というものは映像や音声記憶媒体のように情報を後生に残すためのものである。しかし書物自体は人間同士のコミュニケ―ションと同様、あまりにも不備が多く優れた媒体とは言えないだろう。それは昨今の映像化文明を見れば言うまでもないことだ。どれだけの人が画面を見つめ、映像に見入って、ダイレクトな情報を得ているか。映像は人に目に映ればまるでその場にいるような錯覚すら起こせる。人を魅了するのだ。

    太古の時代、書物もそういった面があったことだろう。大昔の人間と対話できる手段でもある。ページをめくり、思索にふけりながら、語りを聞くことができる。現代においても書物が波及している様を見れば、書物自体ある種の魔力を持っていることは否めない。

    華氏~の中で描かれる画像文明においては、ずっと人間と対話もせず(本書の中では妻ミルドレッドとモンターグの冷え切った関係)幸福を享受することができる。これは画像文明VS活字文明という対比の中で、画像の即時的、簡略化された情報を享受する、ということを批判しているだけではないと思う。書物も充分にミルドレッドが魅了されている画像文明と同様の要素を持ちうるからだ。(省略された情報源という意味で)

    それよりも、情報を享受し快楽に耽る思考停止状態の人間たちVS思索を行う哲学的人間という対比の方が合っているように感じた。レイ・ブラッドベリがこの本を通して警鐘を鳴らしたかったものは何なのか、考えさせられるところもあるが、華氏451度はエンタメとしても充分に楽しめる作品であった。
    追い詰められるモンターグ、彼の思索、彼に出会う人々、その交流、そこから得られる知見は興味深いものであった。

  • <閲覧スタッフより>
    【SF文学諸作品】
    国内外のSF小説黎明期から現代まで、定番を中心に様々な作品を集めました。中には映画化されたものもあります!お気に入りの一冊を探してみてください。

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    所在記号:文庫||933.7||フレ
    資料番号:10093942
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  • ブラッドベリの、緊張感のある文章が好きです。

  • (1990.06.09読了)(1983.07.29購入)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    焚書官モンターグの仕事は、世界が禁じている“本”を見つけて焼き払うことだった。本は忌むべき禁制品とされていたのだ。人々は耳にはめた超小型ラジオや大画面テレビを通して与えられるものを無条件に受けいれ、本なしで満足に暮らしていた。だが、ふとした拍子に本を手にしたことから、モンターグの人生は大きく変わってゆく―SFの抒情詩人が、持てるかぎりの感受性と叡智をこめて現代文明を諷刺した不朽の名作。

  • 本を読み、考えることは苦しいことである。だからこそ、それを放棄してはいけない。それが幸せに繋がるとは限らないけど。

  • 反体制物で胸焼け気味だがブラッドベリ先生は別腹。

  • 3年ぶりに再読。 正直、SFとしては印象は薄い。
    物語の設定としては、面白いのだがストーリー展開が地味な感じがした。

    1)主人公にとっての変わらぬ日常。
    2)ある少女の登場によって、日常に対する懐疑の念が生まれる。
    3)主人公の日常が少しづつ崩壊していく。
    4)主人公は楽園(?)を追放され、あてどのない旅に出る。
    希望を求めて・・・。

    と、整理して考えたときふと思ったのが、 これは、アダムとイブの話ではないかということだ。

    失楽園をモチーフに、近未来の暗黒社会を描いた作品。 作者のブラッドベリは、人間という未完成の存在は、完成された楽園から追われることが宿命づけられていると考えているのか?

    それとも、人間自身の自我こそが人間の証であり、何かに抵抗することによってしか、人間性を保てないと考えているのか? 物語の端々に聖書のエッセンスが鏤められており、宗教的な示唆に富んだ物語であるとは思う。

    ただ、ちょっと恐いのがビッグデータ時代との類似性。
    世界中の人々が諸手を挙げて迎えるビッグデータ時代の恐ろしさを婉曲的に感じる作品ではあった。

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著者プロフィール

1920年、アメリカ、イリノイ州生まれ。少年時代から魔術や芝居、コミックの世界に夢中になる。のちに、SFや幻想的手法をつかった短篇を次々に発表し、世界中の読者を魅了する。米国ナショナルブックアウォード(2000年)ほか多くの栄誉ある文芸賞を受賞。2012年他界。主な作品に『火星年代記』『華氏451度』『たんぽぽのお酒』『何かが道をやってくる』など。

「2015年 『たんぽぽのお酒 戯曲版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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