北極戦線 (ハヤカワ文庫 NV 147)

  • 早川書房
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感想 : 1
  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150401474

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  • 初期のマクリーンというのは、鬼気迫るといってもいいような厳しい自然描写が特色といっても良いくらいだけど、その中でもこの作品は、名作「女王陛下のユリシーズ号」と並んで、もっとも印象に残るものだ。

    舞台はグリーンランド。北極にある観測基地近くに旅客機が不時着し、その乗員を安全なところまで送り届ける、というのが大きなプロットだけど、不時着は事故ではなく、乗客の中には惨事を引き起こし、しかも連続殺人を犯した犯人がいる、それは誰か?というのも大きな設定である。

    誰が犯人か、というまさに本格推理小説さながらの設定はなかなかよくできていて、「こいつが犯人か!」と思わせておいてそれを崩す、という面白さは、それこそミステリそのものである。この点では、たぶん「ナヴァロンの要塞」をしのぐと思う。

    もちろん、厳しい自然の中で最善を尽くす主人公の姿や、多彩でそれぞれに魅力的な登場人物像を楽しみながら、氷点下をはるかに下回る北極の寒さを迫力のある文章に引き込まれながら読むのが正解。マクリーンの作品の中でも、ベスト5に入ろうか、という傑作である。

    ただし、犯人の動機というか、スパイ小説的な設定の作り方では、どうもこの作者はうまくない。そのあたりの「幼さ」に拍子抜けしてしまうのも、また愛嬌と言うところだろう。

    いずれにせよ、春の暖かい日差しの中で読む本ではない。

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