寒い国から帰ってきたスパイ (ハヤカワ文庫NV)

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  • 早川書房 (1978年5月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784150401740

感想・レビュー・書評

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  • ジョン・ル・カレを読まずして旅立つことはできないのだよ諸君

    ただ、ひとつだけ告白しておこう
    ずっとジョン・カレ・ルだと思っていたよ
    バーモントか!

    はい、スパイ小説の教科書と言っても過言ではない『寒い国から帰ってきたスパイ』です
    1961年刊行でイギリスとアメリカの最優秀ミステリー賞を同時受賞した傑作であります

    いやー、こっち側もいいですなぁ
    巻末の解説にもありますがいわゆるスパイ小説というのは「超人的な能力の持ち主である主人公が、《手に汗握る危機一髪》的な事件で活躍する《神話》であった」のに対して本作は圧倒的なリアリズムを持ってスパイの世界を描いているんですな

    そしてもちろん、それだけでは英米同時受賞なんてことにはならないわけで、とんでもないどんでん返しとスパイの世界を象徴するような結末が待っているわけです

    いやー、ジョン・カレー・ルー(開き直った)おもろいわ!
    スパイ小説、どっち側もおもろいわー!

    • ひまわりめろんさん
      まぁ大人の男は中辛ですよ
      これがハードボイルドですよ
      まぁ大人の男は中辛ですよ
      これがハードボイルドですよ
      2023/07/14
    • 1Q84O1さん
      大人の中の大人の男、ハードボイルドの上を目指して辛口で攻めますよ( ̄ー ̄)ニヤリ


      けど、辛いの嫌いなんだよなぁ…
      大人の中の大人の男、ハードボイルドの上を目指して辛口で攻めますよ( ̄ー ̄)ニヤリ


      けど、辛いの嫌いなんだよなぁ…
      2023/07/14
    • ひまわりめろんさん
      わいも辛いのダメ
      ほんとは嫁や娘は辛口がいいんだけどお父さんが辛いのダメだから妥協して中辛が真相
      ごめんなさい、ちょっと見栄はっちゃいました
      わいも辛いのダメ
      ほんとは嫁や娘は辛口がいいんだけどお父さんが辛いのダメだから妥協して中辛が真相
      ごめんなさい、ちょっと見栄はっちゃいました
      2023/07/15
  • 誰が真実を語り、誰が嘘をついているのか、信じる根拠も曖昧な諜報の暗く陰惨な世界。ベルリンの壁建設後の60年代初め、英国情報部員アレック・リーマスは、ある任務を託されるが、その任務自体に幾重もの巧詐があり、真の目的を完遂する為に利用され、騙され、操られ、偽情報を渡される。全て目的は手段を正当化するという原則に基づいた情報部のシナリオ通りだったと気付いた時は…
    複雑な伏線が至る所に張られ、読了後に確認して合点させられる。

  • 有名な小説、やっと読んだ。瀬戸川猛資著「夜明けの睡魔」に出ていた。見出しは「ル・カレはえらい」 

    発表は1963年9月、ベルリンの壁を越えようとする男が撃たれる。それを主人公、アレック・リーマスがこちらでみている。リーマスはイギリス諜報局の部員なのだ。場面はロンドンに移り、リーマスは管理官と対峙していて『・・ときには寒いところから帰ってくる必要がある・・』しかし『無理を承知で、いますこし、寒い場所からはなれずにいてほしいのさ』と続く。そうか題名はここからきているのか。

    と、リーマスに興味が湧き、舞台が壁ができてすぐの東西緊張のころとありとてもおもしろそう、と思ったのだが、やはり私にスパイ小説はハードルが高かった。リーマスには最後まで惹かれるのだが、途中の入り組んだ諜報、二重スパイ、とかもう頭がついていかない。しかし最後はブランデンブルグ門。実は最近ドイツ旅行に行って、壁の跡とかブランデンブルク門を見てきた。今ではブランデンブルク門では道路に壁のあとの石が埋め込んであるだけだが、遠く60年前の壁を想像した。

    1965には映画化。リーマスはリチャード・バートン。


    1963.9発表
    1978.5.31発行 1996.5.31第27刷 図書館 
    (日本での単行本は1964.9発行)

  • 1978年発行ということなんで私が生まれる一年前。結構古いですね。スパイ小説の金字塔と紹介されたら、見ないわけにはいかない。面白かったんだけど、やはり洋書ということでスッと理解できないときがあるのと、字が小さい‥。老眼が始まってる私にはちと辛い。やはり、ラストシーンが印象的でしたね。それは見てください。

  • 切れ味がすごい。東西冷戦の時代におけるスパイたちの非情な現実が淡々とした筆致でつづられ、ローテンションであるが故にその過酷さがより一層にじみ出ている。『ティンカー~』と同じ世界観であることから、サーカス(情報部)の面々も登場するが、今作の主役は機関の一部として捨て駒のように扱われ、時代と世界に翻弄されていく人物で、終盤へ向かうにつれ自身が大いなるメカニズムの一端であったことが判明していくため哀愁が半端ない。自分自身で選んだと思っていた正義でさえ、誰かに与えられたものだとしたら。誰かの計略だったとしたら。その絶望感たるやいかほどのものか。人道に反した行いを貫くことで全体の平和を維持し、全体を重んじるが故に犠牲となる個人の存在。その矛盾を切れ味鋭く突きつけた本書はやはり凄い。だがリズへの愛だけは本物だったはずだ。そこには確かに「真実」があったはずだ。そう信じたい。そう信じさせてくれ。頼むから、リーマスが見た夢まで否定しないでくれ。あの祈りの風景まで。

  • スパイものの古典かつ金字塔と言われる作品らしい。その手の『分野で一番』と言われる作品は読めるうちに読んでおきたい、と思って読んでみた。

    ラスト30頁で見事に世界が反転する様は、ミステリーファンなら嬉しい騙され方でしょう。
    ラストは切ないけど。

    守りたいものを守るために、敢えて嵌めに行って失敗させる、という大変逆説的な作戦で、人間の心理として、こんな作戦がとれるものだろうか、と言う気もしたが、少なくとも撹乱戦法としては機能するような。

  • 池上彰さんがお薦めされている、しかも珍しくフィクション(勝手な印象ですが、よくノンフィクションをとり上げられているイメージなので)というところに興味をひかれ、はじめてのスパイ小説に挑戦。

    主人公は、冷戦下の東ドイツで諜報活動を行っていた初老のイギリス人スパイ・アレック。
    宿敵ムントとの戦いに敗れ、全てを失い帰国するものの、復讐のために再び戦いに身を投じる……という筋書き。
    要するに、すべての設定が渋めです。
    もちろん私の普段のごく平凡な暮らしぶりと何ら共通する要素はないのですが、それでも引っ張られるように最後まで読みました。
    とにかく、物語の緊張感がすごい。

    冒頭に、「喋らないことも嘘の一種」という一節が出てくるけれど、この言葉どおりの、喋らない、語らないことによる嘘の応酬が、本書の全体を通じて繰り返されています。
    それが特によく表れているのが、登場人物同士1対1で展開される尋問や法廷闘争の場面。
    個々のエピソードが、緻密に組み合わされて、大きな筋書きを描き出す様子は読んでいて圧巻で。

    そして、本書の凄さは、ああ面白かっただけでは終わらない読後感だと思います。
    筋書きが巧みであればあるほど、もっともらしいイデオロギーを掲げたって戦争は結局は暴力のぶつかり合いで、誰しもその中ではなすすべがない、あまりに小さな存在であることが胸につきささります。

    期せずして終戦記念日近くに読んだ本書。
    恐らくは非常に高いクオリティでつくらているNHKスペシャルなどの戦争特集番組も怖くてみられない、気が小さすぎる私だけど。
    どんな理由があっても戦争が、暴力が正当化されることなんてありえないのだと、強く感じる1冊でした。

  • 元英国諜報員であった著者によるスパイ小説の古典的名作。舞台は米露冷戦が続く東西ドイツ。
    最後まで読まないと全体像を把握するのは困難だが、薄氷を踏むような緊迫した騙し合いはリアル。何が真実で何が真実でなかったか理解するのも難しいが、場面場面を振り返ると管理官指令と工作活動がよくわかる。真実はリーマスとリズの愛だけであったか。
    ジェームス・ボンドのような銃撃戦やカーチェイス、ボンドガールとの色恋といった派手な場面は皆無だが、ゆえにより一層生々しいスパイ活動の実態が伝わってくる。

  • 【しょうらいのゆめ】
       〇〇7くみ  やまどり ぶんこ

    ぼくわ おとなになったら スパイに なりたいです。
    スパイになって てきをだまして やっつけたいです。
    どうしてかというと 气もちが いいです。

    でも もっとなりたいのは 二じゅうスパイです。
    二じゅうスパイは うそをついて みかたをだましています。かっこいいです。からです。

    でも ほんとおに 一ばんなりたいのは、てきも みかたも 知らない ひみつの 二じゅうスパイです。このひとは てきも みかたも やっつけることができます。このひとは 一ばんつおいスパイだとぼくわ思う。

  • 冷戦下、イギリスと東ドイツのスパイ小説。
    騙しているのか騙されているのか、確かだと思えるものが何もない。焦燥感を煽るような文章ではないけど、不安で周りを窺いたくなっちゃうような落ち着かなさで、どっしり構えていることが出来ない。
    小説を読んでいるだけでそうなのだから、実際に当時の情報部員は気が狂いそうにもなったんじゃないかと思う。
    全容が見えたときは愕然とした。命懸けの作戦の、根底にある思想が恐ろしい。

  •  晩秋の湿り気のようなものを感じます★
    『寒い国から帰ってきたスパイ』(1963)は、季節感を醸すスリラー小説。それは、厳しい東西冷戦の時代を表しているようでもあれば、主人公のぬれ落ち葉的な境遇を例えているようでもあります★

     潜伏期間に落ちぶれて、図書館勤めに身をやつし、地味に暮らしていた諜報員リーマスは、再び危険な網に絡めとられます。
     冷酷無慈悲で卑怯なラスボス・ムントは、不都合な相手の息の根を止めていく、どこまでも得体の知れない化け物です。
     そんなムントを憎み、リーマスは罠にかけようとしたはずが逆にかかっちゃったらしい。また、行きずりのつもりで(多分)関係を持った女性司書が××党員だったことが、リーマスの運命を左右するのだった――!

     って内容ですよね?
     前に一度読んだものの、どうもわからなかったのです。読み直したものの、やはりつかみどころがなかったな★ 彼らは何と戦ってるのか? 当人たちもわかってるのか? このわけのわからなさが、スパイ人生の複雑さを物語ってるのかもしれません。
     二重、三重スパイとなり、闇のなかを渡り歩いてる怪物たちがいるのでしょう。なかなか理解しがたい生態だ★

     恐ろしい話なのに、秘密情報部は「サーカス」、大物は「スマイリー」というラブリーな名前。「スマイリー」は、ル・カレ作品にたびたび出てくる人物のよう☆ そんな部分ばかり気になりました。

     スパイって、とにかく頭脳も肉体も優れた、万能選手のイメージがありましたが、腐ったおじさんに変わる人もいるのだなぁ……
     彼らの抗争は私には理解不能でしたが、冬枯れのようにどんどんダメになっていく主人公の状況と、しみるような寒さを感じたのでした。

     最後は、二人の男女が逃げていて、サーチライトに照らされた道が罠だとわかっていてもそこを走るしかなく、その細い光の中を乾いた風が吹き、枯葉が飛ぶようなイメージを見た気がしています★

  • ティンカー、テイラー…がものすごく面白かったので、(スマイリー三部作の一つと勘違いして)読み始めました。
    確かに色々古いんだけれど、そんなこと関係なく面白い!!素晴らしいストーリーテリングや描写力。特に人物描写がすごい。どんな登場人物にも存在感がある。
    著者が訴えたかったことは、今も全く改善されていないと残念ながら思うだけに、今の戦争を舞台とした著者の小説も読んでみたいと思った。
    スマイリー、ギラムはほんの少し出てきます。
    あと、後味は悪いです。

  • ハデな銃撃戦とかじゃなく、リアリティのあるジメジメした感じの諜報活動がスパイ小説としては新鮮なんじゃないか。
    何回ひっくり返すんだってぐらいどんでん返しがあって、淡々と進むストーリーながら退屈しなかった。ただ突っ込むなら寒い国から帰ってねぇだろと。

  • ◼️ ジョン・ル・カレ
    「寒い国から帰ってきたスパイ」

    ハラハラする展開と、リアリティ?結末は、虚しさ。思想闘争の時代。

    1963年の人気作で、スパイ小説の古典ともされている、らしい。著者は学業優秀な経歴、またドイツ語が堪能だったこともあり、実際に短期間イギリスの情報部に在籍したとのこと。

    アレック・リーマスはベルリン駐在のイギリス情報部員で、東ドイツの要職にあった者を抱き込むなどの仕事を成し遂げていたが、やはりイギリス側に寝返っていたムントに部下を次々と殺され、恨んでいた。リーマスは免職となり、仕事を斡旋された図書館でイギリス共産党員のエリザベスと出逢い、深い仲に。そして、特命のため姿を消すー。

    東西冷戦の渦中であり、策謀、スパイのシステムなどのリアリティが人気を呼んだという。ストーリー展開もたしかにハラハラする。読者が期待していた、底に隠れた陰謀が進行するうちち絶体絶命の危機に。ベルリンの壁が象徴的にそそり立ち、女性との関係による帰結が1つの物語の焦点でもある。緊張感みなぎる国際スパイの雰囲気に哀しく、人間っぽいアクセントをつけている。

    最後が清算となっていて、かつ、序盤との符号を成している。うーん。読み手への誘導は見事ではあるが、どうもオチが綺麗すぎるようでもある。リーマスがムントにさんざん部下を殺された件は結局どうなったのだろうか、なんて思ったかな。作戦は現代の一般読者からすると、かなり遠回りのような気がしないでもない。

    20世紀後半は大きく言って思想闘争の時代というイメージが強い。帝国主義と社会・共産主義。ユダヤ人もポイントとなっている。当時たしかに緊迫感はあったと思う。その狭間の、ドラマ性とリアリティを併せ持った佳作といったとこだろうか。

    えーそれやばいやん、どうなる?という気分を味わえます。

  • The spy who came in from the cold
    John Le Carré, 1963

    寒い国から帰ってきたスパイ有名なスパイ小説。私が冷戦のスパイものに興味も知識もないので残念ながら惹きつけられたということはないんだけど、それは別として客観的に面白い。

    全文はブログで
    www.akapannotes.com
    (英語で読了)

  • 英国情報部員である主人公リーマス。仲間の死、同僚への欺き、恋愛、敵へのすり寄り、尋問、裁判、裏切り、逃亡とドラマのような展開がリアルに語られる。そして迎えるラスト、最後の章『26 寒い国から帰る』は4ページしかないのに、スパイという職業の厳しさを味わうには十分すぎる長さ。一つの選択、一つの失敗が即命取りつながる厳しく孤独な世界では生き残ってきたスキルの分だけ、小さな幸せからは遠ざかってしまう哀しさ。読み終わり感想を書いていると、この結末しかなかったかと思える。悲しいけど。

  • とある映画をみてから
    著者の作品に興味がわき
    小説に手をだした
    最初がコレ

  • 寒い国から帰ってきたスパイ ジョンカレ早川文庫
    なぜこのサスペンスを読もうと思ったのか忘れたが
    英国と東ドイツの情報戦争を描いた物語
    二重スパイの取りっこも狭間で
    無意味に殺し合う小賢しく愚かな人間の現実が浮かび上がる

  • 素晴らしかった
    全体的に無機質な印象を持ったけど、それが等身大の主人公があくまで組織の歯車でしかないことを暗示してたようにも感じるし、ハイスペによるスパイアクションにはない重みを与えてたと思う

  • 話が込み入っていて、筋立てを追うのがなかなか難しかったが、個人より組織を優先させる考え方の残酷さ、そして、優先された組織の恣意に踏みにじられる個人の悲しさが胸に迫った。

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