寒い国から帰ってきたスパイ (ハヤカワ文庫 NV 174)

制作 : 宇野 利泰 
  • 早川書房
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本棚登録 : 577
レビュー : 59
  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150401740

感想・レビュー・書評

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  • この暑い最中に読み終えることになったけど、どこか晩秋の湿り気のようなものを感じる本。

    ざっくり言うと……、
    ・季節感のあるスパイ小説だということが、他の作品とは一線を画している。
    ・どんどんダメになってきた主人公の状況、これこそが冬枯れであり、体にしみるような肌寒さが読後感として残った。
    ・残虐な場面も出てくるが、「サーカス」とか「スマイリー」とか、時々出てくるカタカナの響きが可愛い♡
    ………………………………………………………………………………

    落ちぶれて(……かな?)図書館勤めに身をやつし職場恋愛なんかもして、静かな暮らしを送っていた諜報員リーマス。だがそれも束の間、再びスパイ間に張り巡らせられた陰謀の網の中へ。活劇的で興奮を誘うシーンもあり、また、拷問なんかも出てくるのでとても穏やかな気持ちでは読めるものではない。
    冷酷無慈悲で卑怯なラスボス・ムント氏は、不都合な相手の息の根を止めていく、全部読んでも得体の知れない恐ろしい化け物のまま。そういうムントを憎み、罠にかけようとしたはずが逆に苦しめられる(のかな)リーマス自身も、姑息さの感じられる男である。
    そんな中で、行きずりのつもりで(多分…。)関係を持った女司書が××党員だったことが、リーマスの運命を左右することに――。男の戦いを描いた殺伐とした作品でありながらも、意外にロマンスの横糸も強めに絡んでくる。

    って内容ですよね……? 実は、以前一度読んでいるのですが意味が分からなかった。今回も、分からない部分はやっぱり分からないまま。翻訳のせいか、読むのに努力を要した。
    一体、彼らはなぜ戦っているのだろう? 情報を売買しながら力を得て、二重、三重スパイとなって闇のなかを渡り歩く怪物たちのやることなんて、理解できるわけもないですが……。

    はい、話なんかもう分からない。もういいや。でも、闇の中を二人の男女が逃げていて、サーチライトに照らし出された道が罠だと分かっていてもそこを走るしかなくて、その細い光の中を乾いた風が吹き、枯葉が飛ぶような光景を、ちらっと見た気がするのですよ。

    あらすじより、こういう印象が刻まれるかどうかが、読書ではとても大事だと思っている。読後、時間が経てば彼らの抗争についてのいろいろは、私は馬鹿なので忘れてしまう。
    「二人は逃げていた。冥路だろうと、希望を持ったまま走っていた」それがすべてになるのだ。

    あと、秘密情報部を「サーカス」を呼んだり、大物が「スマイリー」という可愛い名前だったりと、原語だと全然笑いどころではないのに、日本人的な感覚で聞くとふとほほ笑みが漏れてしまう言葉がちりばめられているのでした。「スマイリー」さんは、ル・カレの作品にたびたび出てくる人物だという。チャーミングなお名前……。

  • ティンカー、テイラー…がものすごく面白かったので、(スマイリー三部作の一つと勘違いして)読み始めました。
    確かに色々古いんだけれど、そんなこと関係なく面白い!!素晴らしいストーリーテリングや描写力。特に人物描写がすごい。どんな登場人物にも存在感がある。
    著者が訴えたかったことは、今も全く改善されていないと残念ながら思うだけに、今の戦争を舞台とした著者の小説も読んでみたいと思った。
    スマイリー、ギラムはほんの少し出てきます。
    あと、後味は悪いです。

  • ハデな銃撃戦とかじゃなく、リアリティのあるジメジメした感じの諜報活動がスパイ小説としては新鮮なんじゃないか。
    何回ひっくり返すんだってぐらいどんでん返しがあって、淡々と進むストーリーながら退屈しなかった。ただ突っ込むなら寒い国から帰ってねぇだろと。

  • スマイリー三部作を読了したので戻って本書を読んでみた。

    スマイリー三部作より話がだいぶわかりやすく、アクションシーンというか手に汗握る展開も多めだったので楽しく読めた。
    オチはやっぱこの作者だとこうなるよねえという感じだったけど感慨深い。

    これで新作の『スパイたちの遺産』を読む準備が整ったのでしばらくしたら読みたいなあ。
    それにしてもスパイたちの遺産のあらすじ本書のネタバレになっちゃってる気がするんだけど…本書は発売されたのだいぶ前だからもうネタバレでもいいだろって感じなのかな。

  • 原書名:The spy who came in from the cold

    1963年度ゴールド・ダガー賞、1965年エドガー賞(長編賞)、2005年Dagger of Daggers賞
    著者:ジョン・ル・カレ(Le Carré, John, 1931-、イングランド、小説家)
    訳者:宇野利泰(1909-1997、千代田区、翻訳家)

  • 冷戦下、イギリスと東ドイツのスパイ小説。
    騙しているのか騙されているのか、確かだと思えるものが何もない。焦燥感を煽るような文章ではないけど、不安で周りを窺いたくなっちゃうような落ち着かなさで、どっしり構えていることが出来ない。
    小説を読んでいるだけでそうなのだから、実際に当時の情報部員は気が狂いそうにもなったんじゃないかと思う。
    全容が見えたときは愕然とした。命懸けの作戦の、根底にある思想が恐ろしい。

  • スパイ小説の古典的名作。
    WW2後の東西冷戦時のベルリン、ロンドンを舞台にイギリス諜報部のスパイを描いている。

    時代のせいか、ちょっとわかりにくい箇所が多いと感じたが、後半の疾走感や緊迫感はさすがと感じた。ジョン・ル・カレ氏の作品は初めて読んだが、他も読んでみたいと思う。

  • スマイリーは脇役出演。
    これが初めだったのかあ。
    スマイリーとギラムって割と同年代?

  • 内藤陳が「月刊プレーボーイ」に連載していた書評集「読まずに死ねるか」のシリーズが好きで、その本の影響で「深夜プラス1」「高い砦」などを読んだ。もう20年以上も前のことである。
    この本も「読まずに死ねるか」で知り、今まで未読だったのだ。
    歴史的背景に疎いので、分かりにくい箇所もあるが、面白かった。
    ラストは意外だった。

  • 2017.11.24 読了
     007のような荒唐無稽な活劇ものとは違い、リアルなスパイドラマ。騙し騙され何が真実なのか、というストーリー。会話劇部分が多いのでやや読みづらかった。

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