真冬に来たスパイ (ハヤカワ文庫 NV 411)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (388ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150404116

作品紹介・あらすじ

キム・フィルビーを徴募したソ連の大物スパイ、オルロフがその正体を世界に明らかにしたのは、米国に亡命後17年目のことだった。CIAが彼を英国のテレビ番組に出演させ、ソ連に打撃を与えることを目論んだのだ。最初しぶっていたオルロフは、昔別れた妻の娘リンが司会者としてこの企画に参加していることを知り出演を承諾した。だが、懐かしいかつての活躍の地に上陸した彼を待ちうけていたのは、テレビで対面するはずの元外交官の暗殺だった。事件の背後に蠢く陰謀に、老スパイの意地をかけて孤独な追跡が始まった。人気作家久々の力作巨篇!

感想・レビュー・書評

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  • 良く練られた作品。読み応え有り。退屈しないで読める。
    終盤に近付くと、黒幕が何となく分かって来るが、主人公が最後にどうなるのかは、ちょっと予測出来なかった。
    久し振りにビターな味わいの作品で満足して読了。

  • THEスパイ

  • 傑作「エニグマ奇襲指令」「パンドラ抹殺文書」によって、スパイ/スリラー小説の第一人者となったマイケル・バー=ゾウハー円熟期の秀作。プロットの骨子となるのは、ずばり「キム・フィルビー事件」で、この散々使い古されたともいうべき題材をバー=ゾウハーは熟練の職人技で料理する。主人公の元KGBの大物スパイ・オルロフの人物造形が素晴らしく、非情なスパイの世界を哀切感に満ちたラストまで一気に描き切る。

    オルロフが率いていたフィルビー逃亡から17年後、イギリス情報部内に所謂「ケンブリッジ5人組」とは別の二重スパイ組織の存在が浮かび上がり、引退した老スパイが皮肉にもKGBの「もぐら」捜しの役割を担うこととなる。オルロフが表世界に姿を現した動機は、かつて愛した妻の娘に会うためなのだが、「裏切り者」の烙印を押されてもなお、家族愛や友情にこだわり続ける男の姿に、せめてもの「救い」を求めて彷徨うしかない人間の足掻きを表出させ、物語により一層の深みを持たせている。

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