蝿 (ハヤカワ文庫NV)

  • 早川書房 (1986年12月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784150404277

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プレミアム

みんなの感想まとめ

科学者の人体実験が引き起こす悲劇を描いた短編小説集は、愛と苦悩が交錯する深いテーマを持っています。物質電送機の開発に没頭する科学者が、実験中にハエと交じり合い、恐ろしい形での変貌を遂げる様子を通じて、...

感想・レビュー・書評

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  • イギリスの小説家ジョルジュ・ランジュランによって1954年に発表された短編小説。
    イギリス空軍属の物理化学者ロバートの妻アンは、義兄のアーサーに夫を殺害したと自白の電話をすることから物語は始まる。アンは、やがて訪れたアーサーと、その友人のトウィンカー警部の眼前にプレス用のスチームハンマーによって上半身を潰されたロバートの死体を見せる。あまりの陰惨さからアンは逮捕の後に精神病院へ送られ、事態を予見していた彼女は、すべての経緯をレポートに記してアーサーに託し病院内で自殺する。
    物理化学者のロバートは物体を瞬時に別の場所に移動させる物質電送機の研究開発に没頭しており、試行錯誤の末、彼はシャンパンの瓶等を用いて電送実験を成功させていた。そしてついには自身の体を使って電送の人体実験を行う。しかし、機械の中にハエが紛れ込んでいたため、電送の最中に両者が交じり合い、ロバートは頭と片腕がハエの体になってしまったのである。
    と、ここまで書けばホラーファンならば判るように1958年に製作されたアメリカの怪奇映画『ハエ男の恐怖』の原作であり、1986年にデビット・クロネンバーグ監督によってリメイクされた『ザ・フライ』(The Fly)の公開に合わせてハヤカワ文庫として復刊されたのが本書。
    ストーリーはグロテスクな怪奇小説の体を成すものの、内容は科学者の夫自らの人体実験の失敗という窮地を救わんと務める妻の姿を通して、妻と子の将来を案ずる夫の苦悩、愛する夫の最後の望を叶えるべく、その手に掛けなければならない妻の葛藤という「夫婦愛」がテーマとなっている異色作。
    1843年、イギリス人のアレクサンダー・ベインがファクシミリの原型を発明。1929年にドイツのルドルフ・ヘルがテレプリンター方式をファクシミリに採用した新しい方式を発明した。ヨーロッパで生まれた画像転送器「ファクシミリ」の原理を発展させ「物質転送器」としてイマジネーションしたランジュランは、この作品で人間社会に深く関わり合うようになる電子機器の機械ゆえの誤操作によるアクシデントに警鐘を鳴らしつつ、引き裂かれた人間関係と苦境に立ち向かう夫婦の絆をショッキングな悲劇の中で描いたのである。

  • カバーに「ザ・フライ」の写真があるので、てっきりSFホラーみたいな話かと思ってたら、全然違いましたね。しかも短編集だし。
    何となく後味の悪い話が多いかな。

  • その科学者の死体は頭と右腕を粉砕された姿で発見された……。
    『蝿男の恐怖』や『ザ・フライ』の原作としても有名な表題作を含む十編を収録した短編集。
    やはり表題作「蝿」が素晴らしい。シンプルな謎解き形式の
    物語が孕む恐怖ときたら…。"頭の白い蝿"の正体なんてわかっていてもおぞましい。"20世紀に書かれたもっとも戦慄すべき物語"と評されるのも納得の傑作。
    皮肉な結末のものが多いのは、おフランス流のエスプリってやつなんですかね。
    「忘却への墜落」、「安楽椅子探偵」、「考えるロボット」あたりもお気に入り。

  • ザ・短編集! 

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