スクールボーイ閣下〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)

制作 : 村上 博基 
  • 早川書房
3.75
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本棚登録 : 185
レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (423ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150404321

作品紹介・あらすじ

カーラの資金を受けとる香港の大物実業家ドレイク・コウ。彼の弟ネルソンは中国情報機関の中枢に送り込まれたカーラの二重スパイだった。そしていまウェスタビーの調査により、ドレイクが弟を中国から脱出させようと企てていることが判明した。この情報を基にスマイリーはネルソンを捕えるべく秘密作戦を開始する。だが、密命を帯び戦火のインドシナ半島に潜入したウェスタビーが、指揮下を離れ、独自に行動を始めていたとは知るよしもなかった!非情なスパイの世界に生きる男女の姿をリアルに描写、ル・カレの最高傑作と絶賛された力作巨篇。英国推理作家協会賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 能の序破急のようにゆっくりゆっくりぐわぐわっと盛り上がっていく物語。往時のカンボジア、ベトナム、ラオス、日本、アメリカのこともそこはかとなく伝わってきます。ジョージ・スマイリーはチャーリー・マフィンかそれ以上に素晴らしいキャラクターです。次も楽しみ。

  • 下巻も相変わらず文章が読みづらくて時間がかかってしまった…。
    これは元の文が読みづらいのか訳のせいなのか。

    下巻は結構動きがあり、特にラスト100ページくらいは先が気になってさっと読めました。
    前作のティンカー〜…の終わりの時にもあった唐突にストンと終わる感じがあって少しびっくりしました。

    スマイリーやギラムの出番が少なかったのでそっちがメインなら私は精神的にもっと読みやすく感じたかもな、と。
    フォーンが狂犬って感じで結構好きでした。

  • 読んでいて小説の世界にずっぽり浸れるのが、心地よい。ウェスタビーのクズヒーローぶりが、ちと不愉快。描き方がうまいから文句をつける気はないんだが、でも女の視点から見ると、ひとりよがりだな。

  • 上巻での点が次々と線に。
    どんどんジェリーやスマイリーを取り囲む状況が明らかになった。
    でも状況が複雑でどうすれば解決、といえるのかさっぱり。
    ギリギリの精神状態のジェリー、とうとう任務を捨て美女と逃走。
    あんなにタフなスパイだったのに、崩れ始めるとあっという間だなあ。
    スマイリーの敵は他国だけじゃない。カズンズへの対応で割れる英国政府。アメリカの力は絶大ですもんね…。

    個人的にはドレイクとネルソンの兄弟愛にしんみり。
    あんな権力を持った大人になったのに、支えになるのはお互いだけで、危険を冒しても会おうとするんだなあ。
    それだけにラストはやりきれない。
    ジェリーの最期も、はぐれ狼の哀れな最期って感じで気が重い。
    スマイリー率いるサーカスも目的は果たせたはずなのに手柄はうやむやでカズンズが台頭。
    後味の悪い結末です。
    ってこれだけ読むと暗いだけで全然面白くなさそうだけど、面白いです!(笑)
    後味が悪いのも面白さのうち、と思えるのがこの小説の魅力なのかも。

  • 久しぶりの再読。前作で大きな打撃を受けたイギリス諜報部が香港を舞台に巻き返しを図る。スマイリーを筆頭に個性的な部下達が、宿敵カーラの尻尾をつかみ弱味を暴こうと奮闘する様にはワクワクする。そして現地工作員であるウェスタビーの持つイギリス貴族らしいロマンシズムが切ない。ルカレ自身が現地で取材したらしいが、戦争で混乱状態の東アジアの雰囲気が色濃く伺える。
    膨大な登場人物が入り乱れている上に、例によって親切な状況説明があるわけでもないので、初めは何が起きてるんだかさっばり分からない。人物一人一人の描写もことのほか念入りで読むのに苦労するが、全体像が見えてくると俄然のってきて幕切れまでのめり込んでしまう。読み終わってしばし呆然。

  • 所謂スマイリー三部作の中核を成す長編だが、とにかく読み終えるまで忍耐を要した。前作からの重厚感たっぷりの筆致は本作で極限まで達している。濃い霧の中を電池切れ寸前の懐中電灯を持ってそろそろと歩むが如き第一部を終え、末端の工作員が内戦中のカンボジアを舞台に活躍し始める段になってようやく物語は精彩を取り戻すのだが、宿年の敵であるソ連の大物カーラへの打撃が如何なるものであるのかは釈然としないままに、これまたぼんやりとミッションは閉じられていくのである。
    国家間の覇権争いの下、単なる駒として扱われ、虫けらの如き悲劇的な末路を迎える諜報員を描くことはスパイ小説の常套だが、本作ではそれさえも弱められた印象だ。やはり、饒舌過ぎるのである。この作品にエンターテイメント性を犠牲にしてまで訴える何らかの哲学を感じることは少ない。

  • ジョン・ル・カレの作品は、いつも沈み込むような読後感を与えてくれるように思います。結末は決して一つの観点からは割り切れることはなくて、底抜けの勝利も、救いの無い敗北も描かれません。

    スパイ組織という「社会」と、一工作員という「個人」が生むジレンマ。確かにサーカスは成功を収め、その地位を回復させますが、それと引き換えに取り返しのつかない犠牲が生まれます。
    この結末が私達の心に訴えかける強さは、個人的に『寒い国から帰ってきたスパイ』のそれに匹敵すると思います。

  • スマイリー三部作の二作目です。
    スクールボーイ閣下というのは、今回の主人公ともいえるジェリー・ウェスタビーはスマイリーを慕う臨時スパイで、何度も結婚離婚を繰り返したりとわりと破滅的な生活を送っていますが、中国人スパイを追って東南アジアを行き来します。
    相変わらず登場人物が個性的で面白いです。スマイリーの部下、コニーやギラムは前作にも出ていたし、中国専門家ディサーリスや雑用係(と言いつつも戦闘のプロ)のフォーンもどの人もキャラ立ちまくってます。
    最後の方で書かれるスマイリーとジェリーの絆も切ないです。
    面白いんですがややこしく長いです。ジェリーの行動もちょっと理解しがいたいところもあります。香港の記者クラブにいるクロウやルークの方が魅力的でした。

  • 感想は上巻に書きました。

  • 本の分厚さ以上の読み応えです。
    スマイリー三部作の中核を成す作品であり、最も、いわゆるスパイ小説っぽい作品かもしれません。
    当時の世界情勢に漂う緊張感が痛いほど伝わります。

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