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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784150404451
感想・レビュー・書評
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冒険小説の巨匠の一人である筆者が「天災」を大きく取り上げるのは、台風と戦争を絡めた初期の傑作(のひとつ)である「ハリケーン」、そして中期の傑作である本作である。本作の主役は雪崩である。町一つを飲み込み何十人もの死者を出す雪崩である。(土砂崩れをメインとした作品もあるが、これはちょっと別の意味でおもしろい)
以前読んだときの印象では、昔映画でよくあったような災害パニック映画のような感じがしていたのだけど、今回ゆっくり読んでみると、人間ドラマとしてきちんとサスペンスが盛り上がっているのがわかる。人と人との対立がはっきり出ていて、だけどそんな些細なことを全部飲み込んでしまう自然現象がそびえ立っていて、でもその中で人間がちゃんとうごめいている感じがよい。おもしろかった。
ただし、最後に来てのちょっと急ぎすぎたような、明確すぎる結末はもうひとつ味わいが感じられない。子供じみていると言いたいくらい真っ正直な主人公はなかなかかわいい。狂言回しをつとめる博士が妙にかっこよく、でもやや都合がよすぎる存在なのは、狂言回しだけにやむを得ないか。きわめて科学的に正確だという(専門の教科書に引用されたと聞いている)雪崩の描写および説明は、鳥肌が立つほど力がある。
今ひとつ個人的にはのめり込みにくい中期以降のバグリイだけど、「ちょっとひねったサスペンスドラマ」というのはもったいない傑作だと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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