鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫NV)

  • 早川書房
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本棚登録 : 999
感想 : 103
  • Amazon.co.jp ・本 (574ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150408343

感想・レビュー・書評

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  • “たとえどのようにいわれようと、彼は、勇気のある立派な軍人であった“

    もちろんかの悪名高きナチス・ドイツにもいたのです
    誇り高く、勇気があり、友情に厚く、公平で、命に真っ直ぐな人物が

    そしてもちろん『鷲は舞い降りた』は冒険小説の歴史に燦然と輝く名作でした

    3人の主人公とも言えるドイツ落下傘部隊長クルト・シュタイナ中佐、アプヴェールZ部第3課課長マックス・ラードル中佐、IRAの兵士リーアム・デヴリン、この3人がとんでもなく魅力的で、心を鷲掴みなわけです鷲だけに(いらないやつ)

    特にシュタイナ中佐はもうめちゃくちゃに格好良くて部下たちが彼のために命を投げ出すのを有無を言わさず納得させられてしまうわけです

    またラードルの苦悩とそれによって浮かび上がるヒムラーとゲシュタポの不条理な残忍さ

    デヴリンが出会う真実の恋と別れ

    もう怒ったり、笑ったり、泣いたりと大忙しなわけです

    人の持つ全ての感情を揺さぶる名作、それが『鷲は舞い降りた』なわけです

  • 戦争映画が好きだった。小学生高学年だった、懐かしの海外テレビドラマ『コンバット』が夕方再放送されるのを、学校から一目散に帰ってきて食い入るように見ていた。友達同士の合言葉「チェックメイトキング2~こちらホワイトロック!」トンプソン短機関銃もM1カービンもそれで覚えた。時を同じくして海外の戦争映画も釣られて見ていた。「トラ・トラ・トラ!」「戦場にかける橋」「史上最大の作戦」「バルジ大作戦」「レマゲン鉄橋」「戦争のはらわた」etc…

    そんな中にこの「鷲は舞い降りた」があった。当時としてはナチスドイツ軍が主役である、ということが驚きであり信じがたいことであった、なにぶんその程度の感想しか持ちえず、その後様々な情報を得て不朽の名作であるという事実は知りえていたものの、原作を読むのはこれが初めてであった。

    語る言葉はない、というかその言葉を選択するにあたり思いつくものがない。欧米圏では、男子たるもの読むべしなるスタンダードのようである。何もかもが素晴らしい、様々な立ち位置の人々が一つの目的のために結集する。それぞれの胸に去来するものも得るものも違うのだが、それぞれの仕事を立派にやってのける。戦時であり思うようにならない出来事をなんとか形に成し遂げようとしていく。ドイツ軍にかかわる皆が己の仕事に誇りを持って成し遂げる。完璧に思えた作戦が破綻する様、そこに戦争の本質を見る思いがした。敵も味方も同じような父であり息子であり、恋する若者であるのだ。かくて絶望的ラストとなる。

    それでも不可能を可能たらしむ為の、それぞれの戦いの緊迫、そしてロマンスまでも詰め込み、その悲劇さえラストを彩る色の一つと化してみせる構成、さらにこれほど多くの名セリフを持つ作品は他にないだろう、総じて「不朽の名作」に嘘偽りはなかった。

  • 2019/11/2読了。
    若いころに読んだものを久し振りに再読。
    「どぶの中で時折、靴にくっつくものだ」「暑い日にはとくに不快なものだ」
    いずれ誰かに使ってみたいセリフである。いや、ああいう局面でこういうセリフを使える者になりたいと思わせてくれる作品である。
    確か初めて読んだ若いころにもそう思った。さすがにこれと同じセリフを使ったことはないが、近い局面で似た態度を取ったことはその後の人生で何度かある。他人がそういう態度を取るところも何度か見かけたことがある。いま再読して思うのは、ヒギンズすげえな、ということである。

  • 冒険小説の古典的名作.

    物語は,歴史に埋もれた驚愕の出来事の手がかりを,作者であるヒギンスが発見する1章で始まり,ヒギンスが主人公たちの後日談を知る20章で結ばれる.
    劣勢が明らかになってきたドイツ軍が「チャーチル誘拐計画」を立案する.ここに一癖も二癖もある主人公たちが巻き込まれてゆくのだが,ステレオタイプの「ナチ」的な人物は1人もおらず(いや,主人公たちの”邪魔をする”のはヒムラーやSSをはじめとする典型的な悪党なのだが),彼らはみな血が通った普通の格好いい人たちとして描かれている.オルガンが特技だったり,バードウォッチングが趣味だったり,溺れた地元の子供を助けたりするのだ.

    チャーチルが誘拐されたことはない,ということは後の世に生きる我々は知っている.従って,作戦が失敗することは我々みんなが知っているのだが(しかも,とんでもない失敗だったことが20章で明かされる),しかし,プロットの巧みさと,登場人物たちの魅力が,本書を腐朽の名作としている.

  • 英国のチャーチル首相を拉致するため、クルト・シュタイナ中佐率いるドイツ軍落下傘部隊の精鋭たちが、綿密な作戦を遂行する、という冒険小説。

    シュタイナ中佐、IRAのデヴリン、参謀のラードル中佐など、魅力的な人物目白押し。そしてスピーディーかつスリリングな展開で読み応え十分。

    佐々木譲は、解説で、「わたしは『鷲は舞い降りた』に打ちのめされ、圧倒されますその強い影響下からいまのジャンルの小説を書き出したのだ。」と語っている。佐々木譲の一連の小説読まなきゃ!

  • 「考える人」の定期メールから。ハードボイルド。

    ・おれが心底から愛しているモリイ。かつてある偉大な人間がいったように、おれはある時期に人間が変わり、以来、二度と元のおれに戻れなかった。おれがノーフォークへきたのは、ある任務を果たすためで、もっと利口であるべきはずの醜い田舎娘と、生まれて初めてで、最後の恋をするためではなかった。今頃は、お前は、おれの正体を知っていることと思うが、なるべく考えないように努めてくれ。おれにとって、お前と別れることが、すでに充分な罰なのだ。だから、そこでおしまいにしようじゃないか。短かったが、楽しかった。リーアム。

  • 登場人物全員のキャラ立ちが凄い。
    一人1冊分の背景が見えるから恐れ入る。
    これが現実にあった話かどうかは、
    最早どうでもいい。
    だって、鷲は舞い降りたのよ?
    で、このあと飛び立つのよ。
    これでときめかない人は冒険小説読むのやめなさい。
    ライトノベルでニャンゴロしとけ。

  • やはり泣ける。内藤陳氏が紹介していた当時に以前の版を読んでいて、この完全版が出たことを知って、久しぶりに読んだ。今回は、登場人物等を丁寧にノートに取りながら読んでいった。久しく眠らせていた冒険小説愛が再燃し始めてしまった。

  • 冒険小説の傑作と言われている作品。時代設定のほかは、ほとんどフィクションと思われるが、それぞれの人物が、魅力的に描かれていて、引き込まれる。

    第二次世界大戦終盤、ドイツ落下傘部隊が、チャーチル首相を誘拐すべく、イギリス東部のノーフォークに降り立った。チームのメンバーを集めるところから物語は始まり、無事に鷲は舞い降りたのだが。

  • 文句なしに面白い!とはこの小説のことだろう。
    第二次世界大戦中のドイツ軍落下傘部隊による英国本土でのチャーチル誘拐、という暴挙とも言える作戦に、
    作戦を指揮するドイツ軍将校も落下傘部隊の歴戦の勇士も諦観の域で死に場所を求めるかのように、士気高く遂行していく。
    抗いきれない立場であろうとも、自分の意思に信念を持って行動することこそが人間の最も優れた価値であることを極上に面白い娯楽小説の形で明朗に伝える。
    なんといっても魅力あふれる登場人物の面々。男も女も皆とにかくヒロイックで、自分の思っていることを闊達にシニカルに語る。そして例え獄中であっても決して信念を曲げない。
    また航空機、船艇、小火器などの武装から服装や酒、タバコの銘柄までディテールにこだわることでリアリティを演出することに一役買っているが、描写がくどくどしくないのでスピード感に影響させない(もはや馴染みのない機種名や銘柄が登場しても、Google画像検索が楽しみを後押ししてくれる)。
    なかでもカバーアートにも描かれているダグラスDC-3がなんといっても印象的。
    夢中で読んで「あ!面白かった!」と声に出るほど感嘆した。

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