サバイバー (ハヤカワ文庫NV)

  • 早川書房 (2005年2月9日発売)
3.80
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Amazon.co.jp ・本 (448ページ) / ISBN・EAN: 9784150410766

感想・レビュー・書評

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  •  カルト教団の生き残りが飛行機をハイジャックして、落下するまでのあいだブラックボックスにむけてひたすら人生を回想し続けるはなし。章番号も47から1までどんどんカウントダウンしていく形になってて凝ってる。

     主人公とヒロインの境遇が特殊すぎてまったく感情移入できないので、ちょっと読みづらいかも。でもどんどん変なことが起こるのでぐいぐい読んじゃう。

  • パラニュークの文章はまさに「渦」。印象的なリフレインの多用や削ぎ落とされたシャープな文体でグイグイ読ませる。言葉が頭の中を駆け巡って、おかしな脳内物質を大量放出させていく。「カタルシス」という言葉がこんなに似合う文章はない。

    本作は「ファイト・クラブ」と対になっている作品だと思う。かたや高度資本主義に毒された現代社会に飼い慣らされ疲弊した典型的現代人が主人公(「ファイト・クラブ」)で、かたや現代社会とは隔絶されたコミュニティで育った男が主人公(「サバイバー」)であるが、どちらも「社会にコミットできない孤独な男」の物語であることには変わらない。登場人物の関係、話の構造も似ている。特に主人公とヒロイン(といっていいものか)の恋愛とは違った不思議な関係性。男の女を見る目がちょっと普通と違う。このひねくれたボーイ・ミーツ・ガールはパラニュークの作家性と言ってもいいはず。

    パラニュークは本作の文庫版の解説で「自分の小説はどれも孤独な人間がなんとかして誰かと繋がろうとする話」というようなことを書いているらしい。「現代社会におけるひとりぼっち」はパラニューク作品に一貫して流れるテーマなのだ。そしてそんな孤独な人間が社会とコミットするためにとる行動は悉く破壊的であり端からはただ自滅しているようにしか見えない。それは彼らが他にコミュニケーションの方法を知らないから。それでも、誰かと繋がりたい――その伸ばした手の先には破滅しかないかもしれないが、そこにはコミュニケーションへのほのかな希望が感じられる。

  • もう全ての文字が動き狂って終わりに突き進む感覚はたまらない。だからパラニュークはやめられないんだ!

  • これはオタク男の恋物語だと思うのだけれども、他人にその話をしてもあまり賛同を得れていない。でも最高のストリーテリング。

  • 14/5/10

    カルト集団の生き残りである主人公。

    ハイジャックした飛行機内での独白から始まり、自分の人生を回想して行く。

    自分の半生を売りに崇拝される存在になり、
    注目されないといても立ってもいられなくなってしまう。

    予知能力のあるファーティリティと、実兄のアダムとともに逃げ出したシーンから一気に盛り上がったものの、ラストはなんだかなぁ。


    一人で死んで行くのかしら。

  • 今までに読んだことのない変わった設定で、とてもおもしろい。文章は完結で短いがそこがおもしろさを発揮している感じである。
    結末から始まるストーリー展開で一気読みである。

  • 燃料切れをおこして墜落する飛行機の中で1人、ブラックボックスに向かって自分の半生を、自伝を吹き込む。
    カルト集団、メディア、救世主、謎の少女、そして自殺。
    すべてが間違った方へ進んで行く。

    癖のある文章。
    異常なうんちく。
    怒濤の展開。

    読んでいて壮快でした。

    なんどでも読める。

  • 奇想天外な超展開に、ラストでいったいどこに落ち着くのかと期待感を持って読み進めたが、よくわからないラスト。
    主人公が牧歌的と記憶していたカルト団体が、彼が唯一の生き残りとしえ外の世界で新しいカリスマ教祖へと成り上がりファーティアリティの予言を我がことかのように語りながら捏造していった宗教団体の形を借りた白人奴隷斡旋組織そのももであったとそういう解釈でよいのでしょうか。
    彼が結局死んだのも教団跡地で兄の自殺を幇助し、しんの生き残りとなった上で教義通り世界からの脱出しつつまり自殺する踏ん切りがついたと言うことで良いのかな。それでもやはり、ハイジャック紛いを行って死んだ理由がわからない。
    あ、真の伝記をブラックボックスにのこして、かつ目立って死ぬためか。カリスマ後遺症だ。
    繰り返し繰り返し(家庭科)の技能を呟く趣向や、ページ番号を逆回しにする趣向は面白かった。
    ただ予言の少女ファーティアリティ感情や動機が記述されてはいるものの飲み込めず兄アダムテンダーの考えもわかるようでわからず感情移入しづらかった。
    エージェントやファーティアリティの職業という要素が主人公に与えた影響もいまいちわ分からなかった。
    読解力不足かな…

  • 永遠に満たされない自己。
    本書の発表から10数年ということで過剰にカリカチュアライズされたマスメディアの描きように隔世の感を抱かなくも無いですが(あるいは米日のマスの規模の違いかもしれません)、人々の意識の場がマスメディアからネットに移行したからといって何が変わるというわけでもなく、むしろネットという新世界にすら期待していた類の救いは見当たらないといった話を聞くにつけ、パラニュークの書く閉塞感はつくづく現代的だなあと思います。『ファイト・クラブ』も古びないしね。

    全編通して象徴に満ちた文章のなか、個人的に印象的だったのは主人公が金魚を飼っている事実をエージェントが言い当てるシーン。

    主人公は訊く。僕の金魚のことをどうして知ってるのか。
    エージェントは答える。かならずとは言わないが、まず全員が飼っているからさ。

    エージェントは告げる。主人公が否応なしに陥った「集団自殺を遂げたカルト教団の生き残り」という特殊な境遇でさえも、過去を紐解けばなんら目新しい出来事ではないと。
    “「もしきみが世界でただ一人生き残ったクリード教信者でないなら、きみには何の価値もない」”

    上記の言葉に対抗する「価値を見出すのは自分自身」というカウンターすらも、現代では手垢のついた錦の御旗の感があり、拠り所を得られないパラニュークの小説が暴力に走るのは必然なのかもしれません。ひりひりするほど息苦しくてセンシティブな物語。けれども沈む船の中でワルツを踊るファーティリティのイメージはとても美しいよ。

    “「大西洋の水はとても澄んでるの。その水が大広間の階段から滝のように流れ落ちていた」”
    “「あたしたちは靴を脱いで、踊り続けたわ」”

  • これすごかった

  • 落下目前の飛行機のコックピット内で語られるひとつの物語。
    世間から孤立したコミュニティで自足自給の生活を行なっている
    カルト教団の出身である「僕」は、成人の儀式と同時にコミュニティを 捨てて、世間の人々に奉仕するという教団の教義に従った
    ささやかな生活送る傍ら、ボランティアを装った電話相談によって
    自殺願望の人々をひそかに死に追いやっていた・・・。
    そんな犠牲者の墓での、予知能力を持つ奇妙で魅力的な少女との出会い。
    教団の集団自殺によって唯一の「サバイバー」となってしまい、
    国からの保護を受け、強欲なプロデューサーによって
    新たなメシアとしてカリスマ的存在にまで押し上げられる日々からの 転落、逃亡。
    これまでの自分の人生の基盤となる価値観や考え方を
    時には自らの意思で、時には巨大な渦に飲み込まれるようにして
    叩き壊していく過程の先には圧倒的なカタルシスが!
    個人的にパラニュークの中でいちばん好きな作品。

  • ブラックボックスに今までの人生について語りさいごにはまた機内へと場面が戻るのにあわせて、ページが終わりから遡っていくというアイディアがやばい。豆知識もためになりました。

  • 2008/1 図書館から。『ザ・ワールド・イズ・マイン』とヴォネガットを少し。露悪的だけど切実だった

  • よく練られた小説。ラストシーンが最初に来るのが「ファイトクラブ」と一緒ってのがちょっと何だけど。

  • 新興宗教の最後の生き残り。飛行機墜落までのカウントダウン。物語の後が気になります。

  • 「ファイト・クラブ」も衝撃だったけど、これはそれ以上の衝撃作。映画化するっていう話が出てたけど、最近聞かないのでスゲェ不安(笑)。

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