NEXT―ネクスト〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)

  • 早川書房
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (461ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150412081

感想・レビュー・書評

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  • 上巻に引き続き下巻を読みます。
    多くの登場人物がトラブルに巻き込まれ、とぎれとぎれに読んでいたのでは誰がどの人だったか、わからなくなって 冒頭の登場人物一覧を何度も見返しながら読まなくてはならない。
    匿名での精子提供の無責任さを追求される場面、女の子が小遣い稼ぎに卵子を売っているらしいこと、とにかく驚くような内容ばかり。

    オウムのジェラール、オランの子供デイブは、人間の遺伝子を組み込まれたといっても頭良すぎ!
    そう、人間の遺伝子を組み込んだ動物を作るとあっという間に、人間は追い越されちゃうかも。
    小説とはいえ、2009年にはこれだけ遺伝子研究と実験がなされているとすれば、2015年も終りに近い現在では、一般人の知らない技術と応用の範囲は想像を遥かに超えているだろう。
    それが、研究者や企業のための研究にならなず 多くの人が正当に平等に恩恵をうけられるようになることを望むばかりです。

    マイクル・クライトンは、本文中でも 著者あとがきでもはっきりと今の危機とどうすべきかを述べていて、読後の混乱した頭に判断の指標を与えてくれます。

    2015/10/06 予約 10/7 借りて読み始める。10/24 読み終わる。

    内容と著者は
    内容 :
    内容(「BOOK」データベースより)
    BioGen社が保存するバーネットの細胞株が汚染され、彼自身も姿を消した。
    同社の依頼を受けた私立探偵は、バーネットの娘と孫から細胞を採取すべく、二人を追う。
    オウムのジェラールは鳥かごから逃げ出して冒険を繰りひろげ、学校に通い始めたヒューマンジーのデイヴは騒動を巻き起こす。
    そして、成熟遺伝子を組み込んだ薬を吸ったジョッシュの兄の体に異変が…
    事実とフィクションを一体化させ、斬新な構成で描く野心作。

    著者 : マイクル クライトン
    略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    1942年、イリノイ州シカゴ生まれ。ハーバード大学で人類学を専攻後、ハーバード・メディカル・スクールへ進み、医学博士号を取得した。
    在学中からミステリを書きはじめ、1968年に発表した『緊急の場合は』で、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞を受賞し、69年の『アンドロメダ病原体』が世界的なベストセラーとなる。
    その後、次々と話題作を世に送り出し、その著作のほとんどが映画化された。また、自らも映画監督として活躍。2008年死去。

    酒井 昭伸
    1956年生、1980年早稲田大学政治経済学部卒、英米文学翻訳家

  • 上巻で異なる場所、時間軸で展開していた遺伝子導入生物や特殊な遺伝子を巡るストーリーが少しずつ収束し、ついに焦点を結んだ時に新たな展開が。収束の展開は映画の早い場面切り替えを見ているようで完全に引き込まれた。遺伝子操作の今後を示唆するラスト。遺伝子とは何なのか。それにより形作られた個人とは別の人格を持たされたものとして存在するかのようである。人はどんな方向に進むのであろうか。
    それにしてもこういう問題を指摘し続けていたマイケルクライトンが急逝したのは非常に残念。
    本作も映画を意識して作られていると思うので、是非とも映画版も作って欲しい。

  • どこからどこまでが真実でどれがフィクションなのか分からなくなり恐ろしい。ことばを話すチンパンジーとオランウータン(と言ってもどちらもヒトの遺伝子が組み込まれている)。それから、自分の意志を持って話しをするオウム。成熟遺伝子を取り込むことで麻薬中毒を治療することができたり、ジェットコースターが大好きな冒険遺伝子があったり、支配欲の強いなんたら遺伝子があったり、何でもかんでも遺伝子で片付けようとする。あちこちでバイオテクノロジーに関する事件が次々と起こり、続きがどうなるのか、知らぬ間に2つ以上の話が交錯したり、何が何だかわからなくなりながらもどんどん引き込まれていく。いつものことながら後半は一気に読まされてしまった。最後の農夫の一言には私も背筋が寒くなる思いがした。次のページを開いた瞬間、これで終わりか???とも思ったが、著者あとがきと参考文献を読むことで、著者が何を考え、何を思ってこれを書いたかが良く分かった。本書は著者が生前最後に完成させた作品だそうです。

  • 訳者の酒井昭伸氏があとがきで語るように、種々のエピソードが細切れに進展し、登場する人物名が似通っていて、かなり読み辛い。大きなテーマは、遺伝子の特許に対する批判であった。

  • 遺伝子操作と遺伝子特許のお話。映画マグノリアやクラッシュのように、関係性を持たない人たちの群像劇になってる。これ読み終わってから気付いたんだけど、DNA のらせん構造みたいな作りになってるのか。洒落てるなあ。

  • -

  •  資本主義(拝金主義)がもたらしたディストピア小説を読んでいるようでした。最先端の科学がもたらす迷信と、法によって「正当」だと見なされる暴力が蔓延する、デオドラントされたクリーンな地獄。
     でもこの小説に書かれていることはかなりの割合で現実なんだろうな……

     それでも最後は読者に希望を持たせる楽観的な結末で、この読後感がクライトン作品の良さだと思います。徹底的に現実を踏まえて容赦なくリアルな描写を重ねていくのに、著者は希望を捨てていない。
     ……なのですが、クライトンはもういないのだと思うとたまらなく心細くなります……。複雑にこみいった問題をわかりやすく提示し、警鐘を鳴らし続けてくれたクライトンの作品がもう読めないのは、頼りにしていた先生を喪ったような気持ちです。

  •  上巻に続き、なんとか読破。
     本当は星2つなんですけど、クライトン氏の冥福を祈って星3つ。
     全体的に、ストーリーにかなり無理がある。
     医学治療として受けた遺伝子治療で難病が治るとかって、書いちゃっていいのか、本当かよって感じですが、それがリサーチした結果なんだろうかね。
     米国の大学が企業と同じく莫大な利権を狙って、遺伝子の特許合戦をしている姿は、神をも恐れぬ所業ですが、米国ならではダブルスタンダード、本音と建前の世界が如実に描かれている。このあたりにもう少し力点を置くべきだったのでは。猿人と人間の融合種、オウムと人間の融合種の話がかえって邪魔なような気がしました。
     神への敬愛はどうしたのか、モラルはあるのか、というクライトンの叫びは十分に伝わってきた。

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マイクル・クライトンの作品

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