運命のボタン (ハヤカワ文庫 NV マ 6-6)

  • 早川書房
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感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (458ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150412135

作品紹介・あらすじ

訪ねてきた見知らぬ小男は、夫婦に奇妙な申し出をする。届けておいた装置のボタンを押せば、大金を無償でご提供します。そのかわり、世界のどこかで、あなたがたの知らない誰かが死ぬのです。押すも押さないも、それはご自由です…究極の選択を描く表題作をはじめ、短篇の名手ぶりを発揮する13篇を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 星新一のような、手塚治虫のような、皮肉めいた作品が多いがなんと言うか、後味の悪い結末が多い。訳が合わないのかな。世にも奇妙な〜的な。

    表題作も期待したほどではないかも。

  • 評判を耳にして以前から気になっていた作家。先日本屋を訪れた際この本を購入。
    噂にたがわぬ面白さで、一気に読んでしまった。
    どの作品もよかったが、中でも特に印象に残った作品について簡単に感想を。

    ・「運命のボタン」
    表題作。以前どこかで耳にした結末と違うなあと思ったが、テレビドラマの際に結末が書き換えられたと知って納得。
    あれはあれで落語みたいにうまくオチがついてるけど、原作であるこちらの結末も好み。
    最後の一言が痛烈。

    ・「帰還」
    SFホラー、らしいがホラーの怖さは感じなかった。作品全体に漂う雰囲気は暗いが。
    ラストシーンは切なくも美しい。

    ・「死の部屋のなかで」
    サスペンス短編。アイリッシュの「消えた花嫁」を思い出した。
    ただ、同じような道具立てだからこそ、逆にマシスンがどういう料理をするか分からず、最後まではらはらし通し。
    意外にもちゃんんとサスペンスらしい結末。

    ・「声なき叫び」
    これも一応SFになるのだろう。
    周囲の「善意ある常識的な」人々にパールがどんどん追い詰められていく様が、読んでいて辛かった。
    客観的に見れば彼らがしていることが「いいこと」なだけに、実際の彼の内面とのすれ違いがもどかしく、苦しい。
    読後、しばし余韻に浸ってしまった。この本の中では「帰還」とこれが特に好き。

    ・「四角い墓場」
    作品全体のカラーも明るく、気軽に読めた。
    映画化されたそうだけど、どの程度膨らませてるんだろう。
    ケリーの前半生から描くのかな。

  • 私はどんなシチュエーションでも絶対に「運命のボタン」を押さない自信があります。ダメ人間の自分でもようやく誇りが持てることが見つかって嬉しいです(?)。ありがとう、リチャード・マシスンっ!
    星新一がおスキな方は、確実にハマると思いますv

    藤子F不二雄、スティーブン・キング、スピルバーグ監督をはじめ、多くの偉大な作家にインスピレーションを与えて、めいっぱいリスペクトされてる作家なのだそうですYO☆

  • アメリカの作家リチャード・マシスンの短篇集『運命のボタン(原題:The Box:Button,Button and Other Stories)』を読みました。
    リザ・スコットラインの『最後の訴え』に続き、アメリカの作家の作品です。

    -----story-------------
    訪ねてきた見知らぬ小男は、夫婦に奇妙な申し出をする。
    届けておいた装置のボタンを押せば、大金を無償でご提供します。
    そのかわり、世界のどこかで、あなたがたの知らない誰かが死ぬのです。
    押すも押さないも、それはご自由です……究極の選択を描く表題作をはじめ、短篇の名手ぶりを発揮する13篇を収録。
    スピルバーグ、キング、クーンツら世界中のクリエイターたちに影響を与え、彼らに崇拝される巨匠中の巨匠の傑作集
    -----------------------

    1951年(昭和26年)から2004年(平成16年)に発表された13篇を収録……スリルとサスペンスが詰まった短篇集です。

     ■運命のボタン(原題:Button, Button)
     ■針(原題:Needle in the Heart)
     ■魔女戦線(原題:Witch War)
     ■わらが匂う(原題:Wet Straw)
     ■チャンネル・ゼロ(原題:Through Channels)
     ■戸口に立つ少女(原題:Little Girl Knocking on My Door)
     ■ショック・ウェーヴ(原題:Shock Wave)
     ■帰還(原題:Return)
     ■死の部屋のなかで(原題:Dying Room Only)
     ■小犬(原題:The Puppy)
     ■四角い墓場(原題:Steel)
     ■声なき叫び(原題:Mute)
     ■二万フィートの悪夢(原題:Nightmare at 20,000 Feet)
     ■解説 尾之上浩司

    無名時代のスティーヴン・スピルバーグが監督したテレビ放送用の作品『激突!』の原作者であり、スティーヴン・キングらにも影響を与えたリチャード・マシスンの短篇集だけあって、テンポの速い会話と視覚的な表現が映画のように鮮明なところが特徴で、『世にも奇妙な物語』的な何とも言えない不思議な余韻を残す作品が多かった印象ですが……想像力が足りないのかなー 個人的には、あまり好みではなかったですね、、、

    そんな中で印象に残ったのは、

    押すと大金が手に入るが、見知らぬ誰かが死ぬボタンを巡る物語で、夫婦のすれ違いが結末の皮肉さを際立たせている『運命のボタン』、

    戦争をテーマにしたこの物語で、魔女という非現実的な要素を通して、人間の残酷さを描き出している『魔女戦線』、

    旅の途中で立ち寄った砂漠の安レストランでトイレに行った夫が姿を消し、客たちもだれも夫を見ていないという、突然の失踪というシチュエーションを扱った緊迫感あふれるサスペンス『死の部屋のなかで』、

    飛行機恐怖症の男性の心理を巧みに描き出し、高所からの恐怖と幻覚の境界を探る『二万フィートの悪夢』、

    の4篇かな……映像化されている作品もあるようなので、そっちで観た方が愉しめたかもしれませんね。

  • 運命のボタン、針、魔女戦線、わらが匂う、チャンネル・ゼロ、戸口に立つ少女、ショック・ウェーヴ、帰還、死の部屋のなかで、小犬、四角い墓場、声なき叫び、二万フィートの悪夢収録。
    他の短編集とかぶってるけど、何度読んでもオモチロイ。
    四角い墓場がリアル・スティール!
    運命のボタン共々、マシスン映画祭をやらねば。

  • 日本でもファンの多い、リチャードマシスンの短編集。

    奇想天外な設定、不条理な展開、それにアイロニックな結末が特徴的だ。

    表題作である「運命のボタン」は、リチャードマシスンの代表作ともいえる作品。

    物語は、ニューヨークのとあるアパートから始まる。
    夕暮れどきの夫妻を、突然訪ねてきた、ひとりの男。
    彼は奇妙な押しボタンの機械を夫妻に委ねる。
    「このボタンを押せば、5万ドル払います。ただし押せばこの世界で誰かが命を落とします。ただし、あなたたち夫妻の知らない人間です」

    思考実験的小説ともいえる傑作。

    そのほかにも、500年後の未来にタイムスリップする科学者とその妻の物語を描いた「帰還」。

    SF版ロッキーともいえる、ロボットボクシングを描いた「四角い墓場」など興味深い作品を数多く収録している。

  • ホラー系の短編集。
    不思議な世界を見せてくれます。

  • 不思議な話や皮肉な話、ホラーっぽかったりSFだったり、多種多様な短編で楽しかった。
    『死の部屋のなかで』は一枚の扉の先という僅かな距離で、非日常的な状況におかれてしまう怖さがあってハラハラしました。
    気付かないうちに寄り添ってくる恐怖感のある『戸口に立つ少女』と『小犬』も好きです。
    『声なき叫び』は設定が面白くて、短編なのが勿体ないと思ってしまった。

  • 同氏の「ある日どこかで」が面白かったので、手に取ってみた次第。

    読んでいて、どの話も悲劇的な結末しか予想できませんでした。それも、じわじわと異常さが露わになる不気味な物語がたくさん。以下は完全に独り言ですが・・・

    「運命のボタン」:最後、夫の両手が震えていたのはなぜか。そしてラスト。
    「チャンネル・ゼロ」:どういうこと・・・パニックに陥った少年の、ところどころ破綻した供述が恐怖を誘う物語。
    「戸口に立つ少女」:最初から怖い雰囲気だけど、土のくだりから異常っぷりがじわじわ明らかに。
    「帰還」:出だしからオチが読めるので、「やめろ!」と叫びたくなりました。
    「死の部屋の中で」:孤立無援の妻!保安官は敵か味方か?どきどき。
    「小犬」:どうしてかわいい小犬をこんなに目の敵にするのか?この子供もどこか嫌な感じ。最初に感じた漠然とした不安が、じわじわと異常さへの恐怖に変わってゆきました。
    「声なき叫び」:読んでいて「やめろ!」といいたくなりました。コーラは分かってあげられたはずなのに。
    「二万フィートの悪夢」:「これ以上ない派手な自殺だ!」とやけになるも、人びとを救い、人びとから「無茶苦茶な自殺」と思われるというしっかりした冗談が展開される物語だと思いました。

    明快で分かりやすいストーリーのなかで、人物への印象が徐々に変わるように書かれているのは、緻密としか言いようがないですね。

  • 昔みた映画の短編が入って驚いた

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著者プロフィール

Richard Matheson

「2006年 『不思議の森のアリス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

リチャード・マシスンの作品

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