アルジャーノンに花束を〔新版〕(ハヤカワ文庫NV)

制作 : 小尾 芙佐 
  • 早川書房
4.17
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本棚登録 : 1804
レビュー : 131
  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150413330

作品紹介・あらすじ

累計320万部の不朽の名作が新版に。野島伸司脚本監修、山下智久主演で連続ドラマ化が決定。知を求める青年チャーリイの苦悩と愛の物語。

感想・レビュー・書評

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  • ひらがなや簡単な漢字だけで綴られた、句読点もない"けえかほうこく"から始まる本書。
    この経過報告は書き手であるチャーリィ・ゴードンの急激な知能の発達に伴い、書かれている内容はどんどん変化していきます。
    彼の一人称の報告を読んでいると、だんだんチャーリィの記憶や心の動きがシンクロしてきて、いつしか自分の中にチャーリィがいるような気持ちになりました。

    知能が高くなるにつれ孤立していくチャーリィ。
    だんだん周囲が離れていく様子も、よみがえる幼少時代の記憶も、読んでいてとても苦しかったです。
    「かしこくなりたい」という彼の望みは叶ったのに…。
    この望みの根底には「かしこくなればもっと愛してもらえる」という思いがあるゆえに、よりいっそう切ないのです。

    終盤からラスト一行まで、油断すると泣いてしまいそう。
    ああ、すごいものを読んだ…という静かな興奮とともに本を閉じました。
    読後も胸の中を駆け巡るさまざまな感情を、うまく言葉にまとめられないのが悔しいです。

  • 知的障害のチャーリイ(32歳)は、アルジャーノン(白ネズミ)の動物実験で成功した最先端脳手術を受けて、高い知能を得る。この力作のスゴいところは、全編が彼自身の日記で語られる点で、はじめのほうのひらがなだらけのたどたどしいにっきは、段々と漢字混じりの洗練された文章になっていく。ということは、もちのろん、障害者の視点で語られるとても重たい話でもある。友達と仲良く遊んでいた過去の記憶はじつはいじめだったと知る。子供の頃に虐待を受けて母親不信の彼は、恐怖で女性ともうまく付き合えない。そして同じく高度な知恵を得たはずのアルジャーノンが。。。総じて救われない話なんだけど、日記という主観的な形式なので、逆にそれぞれのエピソードを客観視できるのが秀逸。ハイライトは母親との20年振りの再会。家族の苦悩をここまで鮮烈に描いた作品はなかなかない。「ライ麦畑でつかまえて」を挫折した過去があって心配だったけど、斬新な文章構成にも助けられて、なんとか読了した。翻訳者の苦労と工夫に敬意を表する。チャーリイは最後の最後まで、おりこうさんになりたい、つまり知的向上心をもった人間として描かれる。議論があるとすればそこだろう、、障害の有無にかかわらず。

  • とても優しい魂を持つ人に出会いました。

    天才に変貌した青年が知ることとなった愛と憎しみ、喜びや孤独、醜い感情、そして人の心の真実。

    チャーリイの検査から手術、術後の経過報告を読者が読むという形で話が進むのが斬新だなと感じました。

    チャーリイの持つ純粋な心に、最後まで前向きな気持ちを持ち続けたことに胸を打たれました。
    アルジャーノンに起こった事態から、手術の副作用で自分がこれからどうなるのかということにチャ―リィが気付いてからは読むのがとても辛かったです。

  • キョンキョンをはじめ多くの有名人が愛読書にあげてる作品。前から興味はあったけど何故か手にする機会がなかった。
    もしも人工的に知能レベルを急激に上げる事が出来たら?
    という所謂実験小説だが、そのリアリティの高さに驚かされる。チャーリーが知識を構築して行く様、周囲に疑いを感じるようになる様、凄いと思っていた人が実はちっぽけな俗物だったと失望する様、どれも子どもから大人に成長して行く過程に通じる。
    チャーリーの変化に接した周りの人間の驚きや狼狽や恐怖、実にありありと描かれていてまるで実録を読んでいるよう。
    名作だと思う。そして、読むのが辛い一冊だった。

  • 一瀬さんに薦められて読みました。どんどん引き込まれてあっという間に完読しました。
    手術してデキる人間になった自分の周りからどんどん人が離れていってしまい、当の本人はその理由に気づいていない感じが読んでいて寂しかったです。
    チャーリィの母親がもう典型的な自己愛人間でこの変も読んでいて切なかったです。
    そんなチャーリィが最期の最後で自分のこれまでの人生とこれからの運命全てを知って言ったセリフが重たかったです。

    「人間的な愛情の裏打ちのない知能や教育なんて何の値打ちもない」
    「愛情を与えたり受けたりする能力がなければ、知能というものは精神的道徳的な崩壊をもたらし、神経症ないし精神病すらひきおこすものである」

  • 登場人物ほとんどを理解できるし、自分でもある。
    チャーリーも、また私自身であると感じる。
    もう一度、読む。

  • 大学時代に読んで、今回二度目の読了。前回も確か電車の中で読み終わり、今回も電車の中で読み終わった。
    何度読んでも、きっと私は最後の3ページで泣く。部屋の中だろうと電車の中だろうと、人目もはばからずぽろぽろ泣く。
    無垢で、いつだって切実だったチャーリイの姿に揺さぶられた感情を、どう形容すればいいのか分からない。

  • 知性と愛情について。特に愛情とは、について考えさせられた本。母親やその家族が幼少期の主人公チャーリーへ与えた恐怖と愛情の枯渇がいつまでもチャーリーを支配し続ける。私自分もチャーリーであり、またその母親なのかもしれない。
    『金や物を与える人間は大勢いますが、時間と愛情を与える人間は数少ないのです。』
    この一文は非常に響いた。子育てをする身として、常に心に留めておきたい。

  • 友人からの勧めで、本書を手にとった。本書は、ある知的障害を持った中年男性が最新の手術を元に天才的な頭脳を手にするが、最後には元の知能まで戻ってしまう様子を描いた物語である。頭脳の発展と衰退の過程における彼の苦しみの描写は、人間とは何なのか、またどうあるべきなのかとの問いを改めて考えさせてくれるきっかけとなった。本書中の「人間的な愛情の裏打ちのない知能や能力なんて何の価値もない」との言葉は、著者が本書で一番伝えたかったメッセージなのではないかと思う。また、科学的進歩に重点を置きすぎた結果、倫理性に欠く社会を築いいてはならないとの著者の警告も感じ取れた。私も人間性や人間的振る舞いとは何かということを今後模索していきたいと思う。

  • 名作文学はおさえたく。
    たしかに、これは語り継がれるべき文章。翻訳の上手さで引き立っている。

    内容としては知性を手に入れていくことで、そうなる前に思っていた理想通りにはいかない葛藤を自分と照らしてみていた。
    一方で、知性を手に入れる前の主人公の周りにいる人間にも感情移入できるのが面白い。

    生きていく上での想像力、共感力の大切さを感じた。EQの本読みたい。

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