レッド・ドラゴン〔新訳版〕 下 (ハヤカワ文庫 NV ハ 11-6)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150413682

感想・レビュー・書評

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  • 面白過ぎた。
    容赦ないシリアルキラーのグロい事件現場に
    恐れを成しつつ、ドキドキしながら読む体験は、
    クセになる。展開も早く、飽きさせない。

    レクター博士、〈歯の妖精〉は元より、調査官グレアムもFBI捜査官クロフォードも何か凡人とはかけ離れていて、危うさを持っている。どこか狂っている。狂人と常人との境界線はあいまいなのかもしれない。

    重要なモチーフの赤き竜の絵(表紙の絵)は、ウィリアム・ブレイクという画家の有名な絵らしいが、とてもグロテスクで、本作にピッタリ。一度見たら忘れられない。

    羊たちの沈黙 レッドドラゴンと準備は整った。
    次はいよいよ「ハンニバル」へ。
    ようやくレクター博士と直接対面できるのが、
    今から楽しみだ。

  • シリーズの「羊たちの沈黙」「ハンニバル」は映画で観ていて、強烈な印象があった。活字で読めばどんな風か知りたかったので、シリーズの最初のこれを手に取った。

    解説が三つもある。よほど話題作と期待、違わぬ。次の場面が知りたく息つくまもなくページをめくるほど面白かった。(!?)

    解説を桐野夏生さんも書いてらっしゃる。読了後彼女の解説をよみ、感想を言い尽くされた感あり、しかも投影のほどはわからないが、最近の桐野さんの作品の傾向が理解出来たような気になった。

    私など書かなくてもいいのではないか、と思いつつ気を取り直して。

    私は想像力を珍重する。楽しみでさえある。でも覗いてみてぞっとするようなものをみつけると困惑、途惑う。それが本の中、想像の世界だけなら問題はない。しかし、現代は悪魔のささやきが当たり前のように、堕落していくようだ。落ちていく先がどこでもかまわなくなっている。

    『人は観るものしか見えないし、観るのはすでに心の中にあるものばかりである。』(アルフォンス・ベルティヨン)

    という冒頭の挿入句がこの本をよく表している。

    FBI捜査官に助太刀を頼まれた異常犯罪捜査の専門家ウィル・グレアム(主人公)が、異常な殺人犯人に心理を沿わせていく過程が、心憎い。グレアムが悪人ではないのかとまで思ってしまう。

    凶悪な悪人、殺人鬼の心理とは何か。自分の心の投影ではないか。と、グレアムは悩む。

    私は「食人鬼」とか「肉体を噛み切る」とかのオカルト要素は大して恐くなかったが、犯人の心理を読み取るグレアムの「さが」が怖ろしかった。

    有名な「ハンニバル・レクター博士」はここでは脇役なのだが、強烈な登場と印象するのは後の作品がなせるわざ。そのレクター博士も真っ青になのではないかと思われるほど。いや、作者トマス・ハリスの頭の中か恐い。

    「カラマーゾフの兄弟」も怖ろしかったが、宗教と思想という救いがあった。ここには現実しかないようである。世紀の違いだろうか。

    しかし、読んでよかった本である。

  • 「羊たちの沈黙」を読んだときも思いましたが、今シリーズで描かれる殺人者たちは、愛や自己承認欲求など、何らかが欠如した幼少期の歪みからだんだんと狂っていく印象。これらの犯人たちが絶対悪でない(もちろん到底許される行為ではありませんが…)のを補うかなのように、純粋な悪としての役割をレクター博士が果たしているのかな等々、読了後も色々と考えてしまいました。

  • はじめに、この作品が1981年発表ということに驚いた。
    全く古さを感じさせない!

    トマス・ハリスにしか書けない世界観。
    素晴らしかったです。

    ダラハイドがかわいそう…でも人を殺してはいけないわ。
    あとがきにも書いてあったけど、「サイコ」を思い出してしまう。
    幼少期って本当に大切だな、としみじみ感じた。

    そしてレクターがやっぱりスマートで、本当に恐ろしい殺人鬼なのに、人をひきつけるキャラクターになってしまう。
    なんて魅力的なんだろう。

    映画は見ていたけど、ラストを忘れていたので、もう一度見たい。

  • 最近ドラマ版ハンニバルにハマりにハマりまくって、起きてる時間の9割はウィル・グレアムとハンニバル・レクター博士のことを考えている。ドラマ版ハンニバルと映画、原作小説の相違点および共通点を知りたく本書を読んだ。あ〜この人は原作とドラマで性別が違うんだーあ〜!あのシーンは原作のここに繋がってるんだーなどと思いながらの読むのは非常に興味深く、普段とは一味違う楽しさがあった。

    この新訳版レッド・ドラゴンのウィル・グレアムは訳者のあとがきにもあったようにドラマ版の人物像に近い印象。しなやかなのに孤独で不安定で、神からのプレゼントといえるかもしれない共感覚や類い稀な知性すら本人にとっては苦痛に繋がるものでしかなくて…もうなんていうか博士じゃなくても庇護欲を掻き立てられる。ウィルの、かろうじてあちら側に堕ちないように踏みとどまっている様はとにかく魅力的。そして性的。みんながウィルに構う気持ちがすごくわかる。レクター博士はほんの数ページしか登場しないというのに強烈な存在感がある。それなのに、あぁこの人はウィルの唯一の理解者であり、破壊者であり、創造者にもなり得る人なのだ、ということが伝わってくるあたりがとても恐ろしく、しかしそんなところにとても興奮する。でもウィルには幸せになってもらいたい…幸せになってもらいたいんです…博士…博士お願いします…あああああ!!!

  • ハンニバルシリーズ1作目。
    サイコノワールという感じかな?
    ピカレスクロマンっぽいところもある。
    読み応えがあって面白かった。
    次は有名な『羊たちの沈黙』。

  • こうして、サイコパスは誕生するのか。

  • エンタメとしてはいいんだろうけど再読はないな。

  • なんだか訳がヒド過ぎて、違和感のある文章が多い本だな…という感想のまま終わってしまった。
    英語と日本語は例えとか表現が異なるんだから、そのまま訳せば良いというものではないよね。
    性格に違和感がある人物がキモである小説の訳そものもが違和感だらけだったら、楽しめるものも楽しめないわ。

  • サイコスリラーの金字塔。
    登場人物の全員に影があっていい。
    『羊たちの沈黙』に突入します。

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著者プロフィール

ウィリアム・トマス・ハリス三世(William Thomas Harris III)
1940年テネシー州ジャクソン生まれ、テキサス州ウェイコのベイラー大学(Baylor University)卒業。地方紙記者を経てAP通信社でレポーター兼編集者に。この期間中の知見が小説の機縁となる。
著作は現在5作。映画化もされた『ブラック・サンデー』をはじめ、「ハンニバル・レクター」シリーズの『レッド・ドラゴン』、ブラム・ストーカー賞を獲得した『羊たちの沈黙』に、『ハンニバル』、『ハンニバル・ライジング』。

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