新・冒険スパイ小説ハンドブック (ハヤカワ文庫NV)

  • 早川書房 (2016年1月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (512ページ) / ISBN・EAN: 9784150413736

作品紹介・あらすじ

冒険小説、スパイ小説に興味はあるけれど、どの作品から読めばいいんだろう?そんな疑問に、本書が答えます。識者による「架空の冒険・スパイ小説全集をつくる座談会」をもとに国内外の傑作百冊を徹底紹介。作家論、エッセイ、映画論も収録。入門者からマニアまで、すべての読者に贈る、新たな必携ガイドブック

みんなの感想まとめ

冒険小説やスパイ小説に興味がある読者にとって、非常に魅力的なガイドブックです。国内外の傑作100冊を厳選して紹介し、特に座談会形式での企画が新鮮な印象を与えます。古典的名作から新作まで、幅広い選択肢が...

感想・レビュー・書評

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  • 1992年に出版された『冒険・スパイ小説ハンドブック』を全面的にリニューアルしたガイドブック『新・冒険スパイ小説ハンドブック』。
    「いま読んで面白い」という基準を設け、「架空の冒険・スパイ小説全集を作る」というテーマで作られたものだ。
    ここには北上次郎氏、霜月蒼氏、関口苑生氏、古山裕樹氏、吉野仁氏の5名による座談会によって選出された国内外の傑作が100冊紹介されている。

    たとえば第1巻のテーマは「死にざまをみろ」、第6巻「復讐するは我にあり」、第11巻「酷寒を往く」、第13巻「脱出のとき」、第19巻「9・11以降の世界で」などなど全20巻。さらには「大いなる物語」、「名作選」の別巻2巻と、推薦作35作品が選ばれている。
    あ、そのテーマならあの作品が入ってるなと、ピンとくる〈冒険・スパイ小説〉愛好家の方々もおられるだろう。その反対に、これらのテーマに魅力を感じ、これから読んでみようというビギナーさんもおられるに違いない。ちなみにわたしは後者なので、ガイドブックを読みながらとてもワクワクしている最中だ。
    他にもエッセイ「私をつくった冒険・スパイ小説」、作家論「冒険・スパイ小説を拓いてきた作家たち」、「冒険・スパイ小説×映画論」と併録されている。

    ブックガイドには、前々から読んでみたいと思っていた『真夜中のデッド・リミット』や『女王陛下のユリシーズ号』も冒険小説に選ばれている。あと昨年読んだ『オービタル・クラウド』が大変面白かったので、今年は作品を追いかけたい藤井太洋さんの『ビッグデータ・コネクト』、また世界観に惹き付けられた『終戦のローレライ』や『 機動戦士ガンダムUC』を書いた福井晴敏さんの『亡国のイージス』も推薦作に入っていた。
    他にも気になる作家、作品がちらほらとあるし、あれ、もしかしてわたし、自分で気づかないまま〈冒険・スパイ小説〉が好きだったのか?

    ところが実のところ、わたしは〈冒険・スパイ小説〉がどういうジャンルかいまいちピンとこないのだ。なぜに冒険とスパイが並んでるの?この時点から不思議だった。
    『ビッグデータ・コネクト』は警察小説じゃないの?『マルドゥック・スクランブル』はSF小説でしょ?『ホワイトアウト』ってサスペンス小説だったと思うけど……なんて具合だ。
    うーん、ま、あれよ。ドキドキハラハラして、時には理不尽さに憤ったり、不条理さに涙したり、そんな面白い作品だったら、とどのつまりジャンルなんてそんなに必要ないんじゃない?
    ……なんて、恐ろしくいい加減なことを思う。
    そんなワタクシめに〈冒険・スパイ小説〉とはなんぞやの道筋を示してくれたのが、作家の方々のエッセイと座談会での白熱したやり取りだった。

    逢坂剛さんはエッセイで「私にとっては、たとえ恋愛ものであっても、すべての小説が冒険小説であり、サスペンス小説だ。冒険というのは、別に綱渡りをしたり、高いところから飛び降りたりするのばかりじゃない。心のありようが問題なんだ。」と綴られている。
    え、なに、ちょっと、男前な言葉じゃないか。か、かっこいい。フラフラしてた心根がシャキッとした感じとでも言おうか。
    要するに、わたしがこれから飛び込み世界は、心のありようが大切……
    なんかわからんけど、逢坂さんの言葉に一目惚れしちゃったよ。え、なんでー(ちょっと混乱に陥る)
    もうこれは逢坂さんの『カディスの赤い星』読むしかないでしょ。

    芝村裕吏さんは、「日本の冒険・スパイ小説で山中峯太郎という人は始祖であると考えている。」と記す。〈冒険・スパイ小説〉は、始祖より始まり、そこから継承、否定、改良してジャンルを作っていった歴史の上にあると。
    小学生の頃に読んだ「名探偵ホームズ」シリーズが蘇る。ああ、そうやん。このワクワクハラハラした気持ちを教えてくれたのは、山中峯太郎の文章だった。

    座談会ではアクション小説を入れるかを決める際に、霜月さんが『冒険・スパイ小説ハンドブック』として、なぜ冒険小説とスパイ小説が違和感なく並列できるかということを述べられている。英語圏ではどちらも「スリラー」とカテゴライズされている場合が多い。だから今回スリラーにカテゴライズされうる作品を選定した。アクションもスリラーだからというようなことをおっしゃっていた。
    スリラーの意味を考えると、これ、すごくわかりやすくない?逢坂さんの言葉にも通じるかもしれんし。
    さらに北上さんの「冒険小説の主人公は死んじゃいけない。」、鏡明さんの名言「冒険小説とは主人公が限りなく死に近づいて、そこから生還していく物語だ」とのことから、冒険小説とはどういうものかを教えてもらった気になる。
    確かに絶望のなかから生き残るからこそ、生まれてくる様々な感情が胸を打つってもんだろう。死んだらそこでおしまいだ。

    うん。冒険・スパイ小説とはどういうものかが見えてきたし、ますます読んでみたくなった。読んでいくうちに、わかってくることもあるだろう。
    今年はこのブックガイドを元にして〈冒険・スパイ小説〉も積極的に読んでいくぞ。

  • 「読ま死ね」再読して、俄然火のついた冒険小説熱。ハヤカワさんからも新しいガイドブックが出ているではないかということで購入。

    あれも読みたいこれも再読したいとワクワクしながら読みましたが、残念なのは本書で紹介されている作品のかなりの本が、すでに新刊書店ではあまり見かけない物がすごく多いこと。

    あと、日本人作家に関する本の紹介が少ないのと、なぜかハードボイルド系が扱われてないこと。ハードボイルドや警察小説を入れると、作品量が半端でなく収拾がつかないのかな。

    いずれにしても、また読書の楽しみが増えたし、本を探す楽しみも増えたので良しとします。

  • 1992年に出版された『冒険・スパイ小説ハンドブック』のリニューアル版。リニューアル版というよりも、全く新たに冒険・スパイ小説の傑作を選び直したところ、その中に偶然1992年版とカブる作品があったと理解するのが正しいようだ。非常に面白い企画であり、今後読む冒険・スパイ小説を選ぶためのガイドブックとして活用したい。

    メインは、北上次郎、霜月蒼、関口苑生、古山裕樹、吉野仁の5名のツワモノが、架空の冒険・スパイ小説全集全二十巻をつくるというテーマで座談会を行い、新たに厳選された非常に興味深い100冊の冒険・スパイ小説の紹介。古典的名作もあれば、新作もある。

    さらには、多くの作家、書評家、翻訳家、コラムニストなどによるエッセイや作家論、映画論も収録され、非常に贅沢な内容になっている。

  • 以前買った『海外ミステリ・ハンドブック』を読んだときにスパイ・国際謀略小説がごっそり抜け落ちていると思い、「ああ、このジャンルはもうだめなんだ、業界的にもそう認定されてしまったのか…」と地味に落ち込んでしまったんだけど、この本の編集のために『海外ミステリ―』に収録しなかったということで、満を持して飛びついた。

    しょっぱなから、座談会、あるいはブレインストーミング形式の「架空の冒険・スパイ小説全集を作る」の熱量が高い。「自分が選ぶなら」を読者の好みにつなげることには賛否両論あるだろうが、好きじゃないと人に勧めても伝わらないことがままあるので、そのあたりは許容範囲だと思う。

    それに、国内外問わずにセレクトされたガイド本であるので、それぞれのテーマの面白みにつながりと幅がある。そして、その対談をもとにした小説解説の章につながり、エッセイ・作品論・映画論へと進んでいく。まあ、それなりに突っ込んだことが書かれていて、ついていきにくいと感じる部分もないわけではないけれど、『海外ミステリ―』でやけに目についた、記事のクオリティのばらつきがなく、一定レベルに揃えられているので、読んでいても拍子抜けたり興ざめしたりしない。こういうクオリティコントロールは本当に大事。

    文中でも触れられているように、冒険・スパイ小説は自分の体験をリアルに開陳して執筆した世代の作家がどんどんいなくなり、次世代への展開がなかなか難しい分野だと思う(実際に諜報員の経験を直近に持っている作家がいても、守秘義務も以前よりずっと厳しいし)。でもそこには、絶望的に不利な立場からの逆転といった、ロマンと友情と愛(恋愛、同志愛とりまぜて)の要素が盛り込まれた面白さは他の分野の追随を許さない。そこを汲まれたのかはさだかではないが、アンソニー・ホープ『ゼンダ城の虜』が紹介されていることに、「そうだよ、スパイ小説って思うからとっつきにくいんだ、活劇なんだよ!」と嬉しくなってしまった。もうそれだけで私の中では合格ラインを上回るガイド本でございます。

    それにしても、藤井太洋さんのエッセイにさらっとすごいことが書かれてないか。

  • ●24年ぶりの『新・冒険スパイ小説ハンドブック』出版は非常にうれしかった。

    ●ただ、これだけの長い年月が経つにもかかわらず、新しい作品があまり載っていなかったのは驚き!時代背景がこのジャンルの作品を書きにくくしていることもあるが、古典や今までの名作が凄すぎるのだと再認識することもできた。

    ●掲載作品で、未だ読んでいないものはすぐに読みたい♪

    『女王陛下のユリシーズ号』
    『エニグマ奇襲指令』
    『パンドラ抹殺文書』
    『ヒューマン・ファクター』
    『暗殺者グレイマン』
    『高い砦』

  • 旧版でこのジャンルにハマり、そして今である。
    私にこのジャンルの扉を開けたのは、この本と
    クライブ・カッスラー、トム・クランシーだった。

    あれから月日がたち、まるで小説の設定だったことが
    続々と日常に起こっている。そんな中で、旧版以降に
    でた作品から、沢山の作品が入っているのは嬉しい。
    つい決まったものしか読まなくなるからだ。

    日本の作家も数々エントリしていて、邦文の作品を
    どうも野暮ったく堅苦しいと毛嫌いしていた私には
    ちょっと読んでみようかと思わせるあたりがいい。

    そして、旧版を読んで夢中になったものも
    もいちど通読してみるのも一興。

    作品のどこに痺れるかが変わっているかもしれない。
    ブクログの「読みたい」に沢山登録するつもりで
    お手に取られては。

    ゲームもいい、でも小説の中で血湧き肉躍る冒険を
    するのは、こたえられない。
    じっくりその状況を味わう。
    通り過ぎない緊迫感がいい。

    旧版とこの新版、両方通読をお勧めする。

  • 丹念に作品と作家を解説しているが、読みたい!と思っても、その大半が絶版という絶望。

  • 冒険小説とスパイ小説は、英語圏ではどちらもスリラーにカテゴライズされるらしく、まとめてひとつのガイドブックになってる。
    架空のベスト冒険・スパイ小説全集があったら…というテーマで、名作が40冊、解説とともにリストアップされている。
    (全解説は読み切れず、一旦ざっと斜め読み)

    もちろんガイドブックとしても使えるし、コラムも充実。

  • 冒険小説、スパイ小説から名作と呼ばれる作品を出版社問わず集めたブックガイド。

    このジャンルはあまり読んだことないのだが、面白そうな作品もいくつかあったので今後の読書計画の参考になれば。

    作家論など読み物も多いが、ある程度知識がないと理解が難しいので読み飛ばし。

  • あいかわらず、早川のハンドブックは役に立ちますね。
    読みたい本がたくさん出てきました。
    今回はテーマを絞って何冊かずつ出すっていう企画が良かったと思います。
    作家論は良し。グルーニー礼賛はちょっと度が過ぎている感じか。
    確かにグルーニー面白いけどね。

  • 歴史や変遷などに言及するわけでもなく「架空の冒険・スパイ小説全集全二十巻をつくる」ということで北上次郎氏の軽〜いノリとゴリ押しで決まった、ラインナップに解説が付く。ラインナップには平然と入手困難な本も並ぶ雑なツクリという印象を受けた。比べるということをしたくないけど、「読み出したら止まらない! 海外ミステリー マストリード100」や1992年刊行の「冒険・スパイ小説ハンドブック」のほうが読者のことを考えて作られていると感じた。期待が大きかったのだろうか、せっかくの企画なのに、とても残念。

  • 2016 3.14

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