本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (496ページ) / ISBN・EAN: 9784150413743
作品紹介・あらすじ
第二次世界大戦中、極寒の地で展開される男と男の対決。冒険小説の名作が新版で登場!
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
登場人物の会話には「ジャッ〇」「〇ンキー」「インディア〇」と、今ではとても使えない単語がスラスラと。
この本は1970年頃に日本語翻訳された戦争冒険小説。
すると、すぐに、アメリカ人の美男子が「卑劣な敵(ドイツ・日本)」の目をかいくぐり危険な作戦を成功に導くという、第二次大戦を題材とした冒険小説や映画のストーリーが浮かぶ。
この作者はドイツ人。
厳しい自然を舞台に次々と変わる局面のなか、逃げる日本兵も追うアメリカ兵も等しく差別用語を使い等しく使命感と憎しみ怒り不安の感情を表していて、ストーリー上の善悪の区別はない。
戦争であることから「冒険」の陰には、「やられていく」人たちが存在し、冒険の一言では片づけることはできない……そういったことも、差別用語や当時の日本の考え方がそのまま読者に伝えられていることで、ストレートに「時代の愚かさ」を感じるという効果が生まれている。
日本人にとって「アッツ島」は「玉砕の島」である。
この「玉砕」という言葉もまた、置き換えにより事実を見えにくくしている。
実態は、自ら選択して「全滅」したことで、生命の原理に反する行為。
もちろん全滅した人たちの問題ではなく、せざるを得ない「時代の悪意」である。
そんな島から物語が始まることも、象徴的であるようだ。
ラストは、過酷なアラスカの大自然が「悪意」から主人公たちを守ったのかもしれない。 -
原書名:ALATNA DUELL IN DER WILDNIS
著者:ハンス=オットー・マイスナー(Meissner, Hans Otto, 1909-1992、フランス、外交官)
訳者:松谷健二(1928-1998、大田区、ドイツ文学) -
細かい戦闘描写と、追う者追われる者のデットレースが素晴らしい。
-
第二次世界大戦中、アラスカで特殊な任務を命ぜられた日高。その作戦に気がついたアランが日高を追跡する。極寒の厳しい気候の中、極端な緊張感に包まれた殺し合いが始まる。お互いの兵士は死に追い詰められ、日高とアランの一騎討ちとなる。最後は衝撃的だ。とにかく本作品は、日本兵と米国兵の隠密だがピリピリした戦いをドイツの作家が描くというのが異質だ。だからなのか、一方的に日本人を悪くすることもないし、米国人を悪く言うこともない。また、日本人の戦時中における言動などは、日本人が書いたのと錯覚するくらい、正確に描かれている。翻訳家がかなりの部分を補ったのだろうか。改めて冒険小説の緊張感あるストーリーテリングを面白く感じた。
-
ハンス・オットー・マイスナーが描く異色の冒険譚。物語は、1942年にアッツ島に進出した日本軍は、この地に長距離爆撃によりアメリカ本土を可能にすべく飛行場の建設に着手したところから始まる。同時に気候が安定しないアラスカ深部の気候情報を得るために支援のない敵地の未開の奥地に日高少佐をはじめ11名の精鋭を降下させ、気候情報を無線で送り始めた。一方、アメリカ側もアラスカ奥地から定時に発信される謎の電波を受信し、日本軍の活動と看破し対抗のために自然監視員のアラン・マックルイアのもとスカウトのメンバーを厳選し、アラスカ奥深くに送り込み、お互いに大自然の中に存在を消しながら死闘を繰り広げる。アラスカの大自然を舞台にお互いの全霊をかけたマンハントが繰り広げられる。色濃い自然の詳細な描写は、現場でなければ書けないシズルが溢れてでてハンターの機微に引き込まれていく。原題のALATKAは、逃避行の果てに出会い日高の嫁になる原住民族の娘の名前であり、壮大で孤独な闘いに色を添える。
-
冒険小説サバイバル部門の傑作。
ストーリー以外の感想、発見。
原題は僅かなドイツ語知識でも「荒野の決闘」と読める。なるほどね。
作者の経歴の方に興味が湧く。
作者はナチス時代の外交官。ということはリッベントロップやモロトフと握手をしたり、ヒトラーやスターリンともあっているかも。東京の独大使館勤務もある。
さらに東部戦線でソ連との戦いにも加わっている。
小説より劇的じゃないか。
父親についてWikiが出来ている。 -
ドイツの作家ハンス=オットー・マイスナーの戦争冒険小説『アラスカ戦線〔新版〕(原題:Alatna Duell In Der Wildnis)』を読みました。
ドイツの作家の作品は、3年前に読んだザーシャ・アランゴの『悪徳小説家』以来なので久し振りですね。
-----story-------------
【壮絶なサバイバル戦を描く冒険小説の名作が新版で登場! 】
1944年、アメリカ本土爆撃作戦を進める日本軍は、爆撃機の針路にあたるアラスカ上空の天候を知るため、精鋭部隊を原野に潜入させた。
この動きを察知した米軍も部隊を送り込み、追跡を開始するが……苛酷を極める大自然の中で知力と体力の限りを尽くして戦う男たちを描く戦争冒険小説の名作。
解説/関口苑生
-----------------------
1964年(昭和39年)に刊行された作品……第二次世界大戦下のアラスカの原野を舞台に、日本軍とアメリカ軍の精鋭が死闘を繰り広げるというユニークな設定の作品で、その作者がドイツの作家という異色作です。
第二次世界大戦中、極寒の地で展開される男と男の対決。冒険小説の名作が新版で登場! 1944年、日本軍は占領地アッツ島で飛行場の建設を開始した……この地から爆撃機を飛び立たせ、米本土を攻撃しようというのだ、、、
だが飛行ルートにあたるアラスカ上空は天候不順で、出撃には多大な危険が伴っていた……かくて日高遠三大尉以下11名の精鋭はアラスカ山中に潜入、気象情報を送り始める。
が、これを米軍が察知、アラスカを知り尽くした男たち14名を送り出した! 苛酷な大自然を舞台にしたサバイバル戦を描く冒険小説の名作。
満州の関東軍で特別任務に就いており、先祖は武士で親子代々軍人の家系に生まれ、オリンピックの十種競技で銀メダルを獲得するほどスポーツ万能なうえに英語も話せ、少年時代から荒野の生活を好み樺太などで生活しており豊富な野外生活経験のある日高遠三大尉、
自然と動物を愛するアラスカの自然保護局の役人、森林生活と狩りの名手で根っからの狩人であることから日本軍の精鋭を探し出して捕らえるという、いわば「人間狩り」に興味を抱いているアラン・マックルイア、
過酷な自然の中で生き抜く力を持ったサバイバルのプロ同士が、酷寒のアラスカで生死を賭けた必死の追跡と逃走劇を始め、壮絶な闘いが展開……極北の原野で互いに罠をかけあい、相手の出方を読み、裏をかき、死力を尽くして闘う、、、
そこには、人間の敵だけでなく、獰猛な獣、全てを凍りつかせる寒さと強烈なブリザードといった大自然、飢餓感、自身の内部に生ずる焦りと絶望感……それらが脅威となって襲い掛かってきて、次々と生じる危機、二転三転する状況の変化に対応しながら生き抜いていこうとするという展開でしたね。
自分は絶対に死ぬわけにはいかない、自分が死なないためには、相手を斃さなければならない、そのためにはどんな手を使ってでも、最大限の努力を傾けなければならない……敵でありながらお互いにリスペクトしているというプロ同士の闘い、国家、民族、思想の違いを超えた、個人対個人、男同士の熱い思いがひしひしと伝わってきて、冒険小説の魅力、醍醐味が存分に味わえました、、、
途中から登場して日高らと行動をともにするアラトナというアラスカ少数民族ヌナムイト族の娘が物語に爽やかなロマンス的色彩を与えているところも印象的でしたね……本来なら自由の立場にある彼女たちの身にも否応なく戦争の渦が襲い掛かってくる現実も描かれていた良作だったと思います。 -
★3.5
アラスカ山中で戦う日本とアメリカの男たちの過酷なサバイバル戦。作者はドイツ人。第二次世界大戦の時代なのは良いですが、何故、日本とアメリカの戦いにしたのでしょうね?
フィクションです。なので、設定に微妙に妙に感じるところがあります。特に、日本人の設定。とはいえ、通り一遍のステレオタイプの描き方よりは、かなり勉強したようで、変ではあるが、まぁギリギリ許容範囲という感じです。
話としては、過酷なアラスカで、死力を尽くして戦うという話なので、結構面白いです。上記の妙な設定がちょっと残念。 -
任務を果たさんとする日本軍、追跡するスカウト達、アラスカの自然、襲いかかる野獣、謎に包まれた部族、そしてロマンス。感動のラスト。あぁ。。なんでもっと早くに読んでおかなかったんだろう。。いままで読んだ冒険小説の中でも屈指の傑作ではないだろうか。。全然色褪せていない訳文のまま2016年1月に新装版として刊行。読みやすかったです。
-
すごい!すご過ぎるほど面白い大傑作冒険小説。ハヤカワ文庫補完計画に現代に甦えった名作。
敢えて一言でまとめるならば、感動のサバイバル戦争冒険大河小説である。しかも、驚くなかれ、今から50年前の1964年に描かれた小説なのだ。
1944年、日本軍はアッツ島に飛行場を建設し、アッツ島から爆撃機を飛ばし、アメリカ本土を攻撃しようとする。飛行ルートであるアラスカの天候情報を入手するため、日本軍はアラスカに日高遠三大尉らサバイバル技術に長けた精鋭部隊を送り込む。一方、日本軍の作戦を察知した米軍は、日本軍に対抗すべく、アラスカを知り尽くした精鋭部隊を派遣する。
過酷なアラスカを部隊に繰り広げられる日本軍と米軍の死闘…その結末は…
蛇足になるが、関川夏央と谷口ジローの名コンビによる『西風は白い』という傑作短編集があるが、その中で描かれるエピソードの幾つかは、本書を参考にしているのではないかと推測される。
松谷健二の作品
本棚登録 :
感想 :
