ザ・サークル (下) (ハヤカワ文庫NV)

  • 早川書房 (2017年10月14日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784150414221

作品紹介・あらすじ

エマ・ワトソン、トム・ハンクス主演、2017年11月10日全国ロードショー「ザ・サークル」原作。〈サークル〉によりメイの家族も救われ、すべては順風満帆と思えた。しかし〈サークル〉が推進する各種の運動に、メイは違和感を覚えるようになり……。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

テーマは、デジタル時代における社会のあり方とその影響です。本書では、主人公メイが所属する「サークル」が描くユートピア的な世界と、その裏に潜む不気味さが巧みに対比されています。読者は、サークルが目指す社...

感想・レビュー・書評

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  • 上巻に続き下巻も読了しましたが、下巻は一気に読了できました。ネタバレになるのでストーリーには触れませんが、映画とは異なるストーリー展開ですので、映画をご覧になった方でも本は十分楽しめると思います。上巻のレビューにも書きましたが、本書は不気味さとユートピア感を同時に感じることができる不思議な本です。あるページでは不気味さが勝つけれども、別のページではユートピア世界が生まれる期待感を持ちます。おそらく読者の中には、ユートピア感が勝ち続けるような人がいるのかもしれません。つまり本書で書かれている世界の何が悪いのか(むしろ素晴らしいではないか)と本当に感じる読者もいるのだろうということです。そこが本書の面白い点です。

    私は不気味さ、空恐ろしさの感覚が勝ちました。まさにデジタル時代の全体主義社会、マイノリティの意見は封殺される世界です。本書が面白かったもう1つの点は、このディストピア像を生み出す動機が、必ずしも権力欲だけではないことです。ネタバレになりますのであまり詳しく書きませんが、3人の「ワイズマン」の中には、「心の底から」サークル社が目指す社会像が素晴らしいと信じている人もいる、ということで、実はこのような人こそ最もたちが悪い存在でしょう。権力欲や金銭欲から自分の目指す社会を作ろうとする場合は、早晩その意図を見透かされますが、心から良かれと思っている人、強い信念で話す人は、かなりの影響力を社会に与えられるからです。デジタル時代のディストピア像は、オーウェルの描いた「1984年」のような国家監視主義社会だけではなく、本書で描かれているような、国民相互監視主義社会のシナリオもあるんだぞ、ということでしょう。前者のディストピア社会が実現するかもしれないのが中国だとすれば、後者のディストピア社会が実現するかもしれないのが米国なのかもしれません。

  •  サークルの目指す完全化は、完全化を望まない人のことを視野に入れていない不完全なものでした。

     メイは自分で過ちを正す機会を、捨てました。
    『愚かな』とただ思い、メイのランクが人間性をどんどん失っている数字に思えました。

  • それなりのゾワゾワ感は味わえましたが、結末は予想できてしまう感じでした。

  • よき社会、よき会社のサービスにしようと思いが全体主義的なディストピアを築くというお話。1982年のように政府が主体なのではなく、私企業が主体になっているところが面白い。これを読んだ後はググるのも心配になってくる。

  • ディストピアへの過程の話 下巻
    どんどんのめり込む主人公にどれだけ引き返して欲しいと思ったことか。

    自分の情報を提供することと引き換えに受けているサービスは既にいくつもあり、どこまでが許容範囲でどこからがこのディストピアへと繋がるのかは難しいところ

  • 情報全体主義は、少なくとも一部のコミュニティでは現実になりつつあるだろうし、デジタルネイティブなんかだとそのことに違和感すら覚えないような気がする。
    自分はぎりぎりデジタルネイティブには該当しないんじゃないかと思ってるけど、それでも必要以上に知ることを求めているような気がするし、個人の透明化にも多少の親和性を持ってるような気がする。
    小説としては星三つくらいだけど、考えるタネ的に捉えると星四つ。下巻は翻訳の違和感が比較的少なかったような。
    180515

  • これは、ユートピアを目指す正義感に満ち溢れた善良な人々によって作られたディストピア世界を描いた小説。邪悪な人は誰一人出てこない。己の正義を一切疑わない人が世の中の大多数を占めた時、それはある種の暴力となる怖さがこの小説に満ち満ちていて恐ろしかった。

    特に印象的だったシーンは、気になる人に関するネット上の情報を集約させることのできるサービス「ラブラブ」によって主人公の情報が集約され、それを大衆に晒される場面でたいへん鳥肌がたったのだけど、それに対して晒した側が「ただしあれらの情報をネットにアップしたのは誰でもない自分自身でしょう?」というようなことを言った時、ぐうの音も出なくてゾッとした。確かにその通りだ。

    '10年代のディストピア小説、フィクションながら確かなリアリティーがある。これからもこの世界観がフィクションであり続けられるか?

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著者プロフィール

作家、編集者。両親を早くになくしたがために幼い弟をひとりで育てることになったいきさつを書いた青春小説のような回想録『驚くべき天才の胸もはりさけんばかりの奮闘記』(文藝春秋)でデビュー。文芸雑誌の編集や社会活動に積極的にかかわりながら小説も手がける。『王様のためにホログラム』『ザ・サークル』(以上、早川書房)は映画化もされた。

「2019年 『あしたは きっと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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