老いた男 (ハヤカワ文庫NV)

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  • 早川書房 (2020年9月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (528ページ) / ISBN・EAN: 9784150414702

作品紹介・あらすじ

元工作員の60代の男は、犬とともに静かな生活を送っていた。だが彼の元に暗い影が……ベテラン作家のエンターテインメント小説

みんなの感想まとめ

元工作員の男が、静かな生活から一転、追跡者に狙われる緊迫した逃亡劇が描かれています。彼は35年ぶりに国から追われる身となり、愛犬や新たに出会った仲間と共に困難に立ち向かいます。シンプルなストーリーなが...

感想・レビュー・書評

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  • 古本で何気なく買っておいたけれど、これは少し思いがけず最高で、犬が愛おしくもなる一冊だった。
    冒頭にある、動物管理局から引き取った黒くて大きくて毛むくじゃらの兄妹犬デイヴとキャロルの描写、かれらと老いた男(オールド・マン)の暮らし、イヌ(作中の表記は何故かカタカナなのだった)への愛、イヌからの愛。すべてが愛おしく描かれていて、もうそこだけでこれは素晴らしい小説だろう、だってこの作者もイヌを愛しているから、と勝手な想像で思っていたりして。
    しかしその直後、そんな愛のある生活を脅かす過去に追いつかれ、逃走を余儀なくされてしまう。逃走はもちろんイヌたちと一緒にはじまり、かれらに助けられもするのだけど、更なる逃走のためにイヌたちと一時期別れなくてはならなくなってしまう。ああ。ここからは捻じ曲げられ利用された過去を否定し、イヌたちとのこれからも続くはずだった未来に戻るための逃走の日々、そういう物語になった。わたしの中では。文章には書かれなくとも主人公はいつだってイヌのことを忘れてはいない、そう想像しながら読んだ。せつない。
    はたして彼はイヌたちと再会できるのか、そのスリルよりも不安が大きくなり過ぎて、最後の方のページを先に読んでしまったり(というのも読書の仕方のひとつだ)もしたけれど、改めてそのシーンに辿り着いたときにはしっかり泣いていた。やはり素晴らしい物語というものは、そのラストシーンに至るまでに必要なことが過不足なく書かれていて、それを読み続けることで(既に最後の頁を読んでいたとしても)感じることが出来るものがあるのだな、と当然のことを鼻を啜りながら改めて思ったりもした。

    この小説にはそれ以外にも幾つかの物語も描かれていて。
    主人公の逃亡中に出会う、夫に裏切られ離婚し一人暮らしの孤独な中年女性、年齢よりも大分若くみられる黒人の特殊工作員。主人公と出会うことでそれぞれ、彼女は自ら決断をする、せざる得ないことで逃亡という前進をし、彼は自らの信念によって「主人」に従うことをよしとせず、「ボーイ」から「マン」になる。
    そして、かれらとの出会いを経て逃亡中の主人公にも変化が訪れる。過去を否定しながらの逃亡から、未来を取り戻す、肯定するためについに攻勢に出るのだ。それぞれがそれぞれのやり方、決断によって人生をコントロールする為に成長する物語。そんな風にも読んでいた。
    特に老いた男が未来のために変化、成長する、というのはかれが主人公だということを別にしてもとても印象的だ。先日読んだポール・オースターの『サンセット・パーク』からこの小説の主人公と同世代のモリス・ヘラーの言葉をもう一度引いてみれば、人は常に「不可避の滅びと、持続する生の可能性との境目にまたがっている。全体として、状況は寒々としているが、希望を持たせてくれる徴候もいくつかある。希望とまでは言わずとも、諦めと絶望に屈してしまうには早すぎる」ということだろうか。
    人には生きている、その「境目」にいる限り常に未来があるし、成長することも出来るし、希望の徴候も探そうと思えば、ある。「諦めと絶望に屈してしまうには」常に「早すぎる」。そんなことをまた信じたくなったのだった。そして、そんな人生の傍らにイヌがいれば、それはもう全部OKになる、かもしれない。そんな人生とまだ見ぬイヌのことを思っている。「おじいちゃん(オールド・マン)っていうのは、イヌを飼うものよ」というこの小説のはじまりの一言を真剣に受け止めておくべきかもしれない、とも思っている。わたしがオールド・マンになったときにも傍にイヌがいてくれれば良いのだけれど。

  • どこかで信頼できる書評家が推奨していた。百戦錬磨の元特殊部隊工作員が35年ぶりに国から追われる立場になり逃亡する物語。シンプルなんだけど、ちゃんと飽きない工夫が素晴らしい。主人公がスーパーマン的に強いのはアレとして、飼い犬とか一緒に逃避行することになる彼女とか、彼を追う立場のはずが途中から味方になってしまう魅力的な青年工作員とか。話が荒唐無稽であっても登場人物とか場所とか物とか細かいディテールがしっかりと組み立てられ描かれていれば、ストーリーは立体的に動き出すものだなぁ、とあらためて感心。

  • 任務中にアメリカ政府と対立した工作員が行方をくらませて三十五年が経った。妻を亡くし、今はイヌたちと静かに過ごす彼だったが、何者かの襲撃でその平穏は破られる。男は敵を倒し、名前を変えて逃走するものの、更なる追跡の手が迫る……。なぜ今になって攻撃が始まったのか。事態の裏に潜むのは一体――? エドガー賞受賞作家による、州を越えて国を跨ぐ老境の男の逃亡生活を描いた冒険アクション小説。

    どこが老いた男なのか。若々しい活躍が楽しめる。

  • 過去を隠し政府から逃れて生活している特殊工作員が、過去からの追跡者が近づいていることに気づき、再び逃走を開始するとともに、新たな人間関係を作り、追跡してくる敵と原因との対決に向かう物語。
    迫り来る敵との緊迫した追跡劇、反撃のアクション、交流する人たちとの愛憎劇。
    映画にしたら面白い!と思いながら一気に読んだ。
    ただ今までの詳細な心理描写や人間関係の物語はなんだったんだというくらい、ラストが淡々と締め括られている。
    逃走することになった原因は無くなったが潜伏生活は、引き続きしているというニュアンスだが、小説中に関係した人たちとの結末が分からず終い。
    大団円という感じではないのが残念であり物足りない感じ。

  • 過去に政府の仕事をしていて、トラブルで結果的に政府の金を持ち逃げしてしまい、何十年も偽名を使い、逃げ回っていた男。そろそろ引退する年齢だし、と思いきや、いきなり命を狙われてバタバタする。というあらすじ。なんか聞いたことある作者名だし、読ませ方などはうまいんだろうけど、金を湯水にように使い、ご都合主義の話の流れについていけなく、どんびきというか感情移入できないんだよね。色々トラブル抱えてんのにリア充って、今の世の中にオワコンなんですよ。最初は飼い犬二匹がかわいいのでなんとか我慢できるが、それ以降はひたすらしんどかった。

  • 主人公の犬デイヴとキャロルは180ページで主人公の娘に預けられてからは終わりに近い518ページまで登場せず。
    頻繁に登場するアメリカンジョークにはなじめないし、また「イヌのエサ」という表現は原作がそうなのか翻訳のせいか、ともかく不愉快。

  • ほんに、しゅるしゅるっと読めてしまう。

  • 手練れ感満載、しゅるしゅるっと。

  • ジジイ無双。

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