虫づくし (ハヤカワ文庫 NF 143)

著者 :
  • 早川書房
3.78
  • (10)
  • (10)
  • (14)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 111
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150501433

作品紹介・あらすじ

二本足で立ち、額に前肢をかざして夕日を眺めるアリ、ダニの一種で、あらゆる音を聞いてしまうキクムシを始め、ナンキン虫の呼称をめぐる外交問題、たむしによってもたらされる人々の実存的不安等、生物学の未確認情報を満載した異例の研究論文を収録。著者は、「虫とは何か」という根源的な問いを軸にありとあらゆる虫を詳細に研究、博物学の手法で本書を構成した。総論では、私たちの内にひそむ虫的性質についてまで、つつましくも大胆不敵に言及する。真実とナンセンスの巧妙なすりかえに、思わず笑いがこみあげる超科学エッセイの決定版!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • タイトルからしてムシズが走るようだけど、表紙の絵に惹かれて購入。虫と古典文学の関係(ただ表紙の絵からなんとなく推察)について書いてあるのかな・・・だとしたら頭の足りない私には手に追えないだろうななんて思いきや、ページをめくればのっけから郵便局の地下室に住む男の話に始まっている。その男が死んだ後に遺した虫についての原稿を読み取ろうとするのだけど何語で書いてあるのか皆目分からず終いにはその地下室の男の立場に立ち、彼だったら「その虫についてどう考える」かイメージし時には原稿をろくすぽ見ずに解読してまとめたなんて書いてある。おいおい・・・。

    肝心の虫に関する考察も突拍子ないホラで埋め尽くされている。シモネタあり、言葉遊びあり、何でもありだ。それを大真面目な学術書っぽくどこそこの大学のT博士によると、なんて調子で書いてあるから余計おかしい。堅っ苦しくて文字を追いかけてるだけでも精一杯なのに、ニヤッと笑いたくなる部分が出てくるので、途中で放り出すこともできずにのろのろ読み続けてしまう。

  • くだらなくておもしろい。でも、こののりに途中で飽きてくるかも。

  • 嘘つき過ぎるw
    ついついもののけづくしも買ってしまったではないか!

  • べつやくれい氏の父上で脚本家。なぜハヤカワで虫エッセイ?と思って買ったが、イントロからいきなりSF。本編も論文をパロディ化したSFをまじえたドタバタ(早い話がデタラメ)で、驚き。しかもかなり調べてから書いている厚みを感じる。時々言葉をこねくり回して実験的になったり、注釈で全く無関係の話を展開したりと、こういう作風を筒井康隆氏以外で読むことがあるとは思わなかった。娘れい氏も大いに影響を受けていることも実感。シュールレアリスティックなイラストも含め、読みごたえあり。

  • 最初「???」と思ってたけど、2、3編読んで、おもいきり別役ワールドにはまった。面白すぎ。真面目なおちゃらけ。書いている時楽しいんだろうな~。癖になりそうです。

  • うらやましい作品だ

  • 劇作家・別役実のつくりだした「づくし」シリーズ、第一作にして虚構の金字塔。とんでもない奇書でありながら麻薬のように人を惹きつける、至高のでたらめ。最高です。特に最後の、『一般に虫的兆候と呼ばれている。』という、いきなり主語のないじつに不思議な書き出しで始まる「総括」は、死ぬまでにぜひ一度読んでほしい。

  • フェイクの霊峰、づくしシリーズの一作目。

全9件中 1 - 9件を表示

著者プロフィール

1937年、旧満州生まれ。早稲田大学政治経済学部中退。東京土建一般労組書記を経て、1967年、劇作家になる。岸田國士戯曲賞、紀伊國屋演劇賞、鶴屋南北戯曲賞、朝日賞など受賞多数。2020年3月3日逝去。

「2024年 『増補版 言葉への戦術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

別役実の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三島由紀夫
フランツ・カフカ
宮部みゆき
遠藤 周作
谷崎潤一郎
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×