ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで (ハヤカワ文庫NF スティーヴン・ホーキング著)

  • 早川書房
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レビュー : 96
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150501907

作品紹介・あらすじ

この宇宙はどうやって生まれ、どんな構造をもっているのか。この人類の根源的な問いに正面から挑んだのが「アインシュタインの再来」スティーヴン・ホーキングである。難病と闘い、不自由な生活を送りながら遙かな時空へと思念をはせる、現代神話の語り部としての「車椅子の天才」。限りない宇宙の神秘と、それさえ解き明かす人間理性の営為に全世界の読者が驚嘆した本書は、今や宇宙について語る人間すべてにとって必読の一冊である。

感想・レビュー・書評

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  • 筋萎縮性側索硬化症という難病を抱えながらも、宇宙の謎を追求し、世界に影響を与える程の知識の深さは尊敬する。自分がいかに恵まれている環境下なのに努力を怠り、誰かに良い影響を与え、何らかの結果を出し切れていないのが恥ずかしくなる。

  • 単行本発売の頃は、テレビの解説番組はいくつかあったけれども、本を読むほどの関心はなかった。文系人間としては当然の反応だろう。文庫本発売の時は時期が悪かったと思う。阪神大震災とオウム事件の真っ最中であって、文庫本が出たことすら知らなかった。今回氏の死去の報を受けて、やっと私はこの本を手に取った。

    数式のない理論物理学の本。氏が出来得る限りわかりやすく書いた本。しかしだからと言って、物理の点数が50点より上に行ったことのない私に理解出来たかと言うと、否、というしかはない。それでも驚いたことがある。「たいへん愉しめた‼︎」ということである。

    この本は私流に一言で言うと「宇宙の歴史書」である。だとすると、私の守備範囲だ。

    文献歴史学はとりあえず置いておいて、考古学視点から日本史を見ると、歴史を一年に換算すると、大晦日の午後に文献史が始まる。人類史を見ると、大晦日の紅白歌合戦の辺りで文献史が始まるだろう(と、いかにも物知りのように書いたが根拠調べていない。だいたいそんな所というだけ)。地球史で見れば、果たしてどうなるのか?戦争なんて細かいことをしているのは、今さっき始めたことだから、気の迷いだったと言えるだろう。

    ホーキング氏は、さらに進めて宇宙の始まりから語り初めて、宇宙の終わりを予測する。そこから更に進めて「我々はなぜここにいるのか?」という根本問題に答えようとする。

    解説者池内了氏は「ホーキングは、優れた現代神話の語り部」だという。私もそう思う。弥生時代の農民が、見たこともない金属を振り上げた巫女の言葉を、その言葉の意味をわからぬままに有り難がり信じたように、ホーキング氏の、この長い祝詞は、ちょっとした古代体験だった。

    2018年4月7日読了

  • ホーキングが一般向けに宇宙を語った初めての本。訳者あとがきや書評によると、天才の力量で難解な宇宙の理論を明快に解き明かしているとのことだが、やはり難しい。結局、全て読み込むのは諦めてしまい、最後は斜め読みになってしまった。それでも、宇宙が始まりを持つ存在で膨張していることの論証、完璧な正確さで粒子の位置と速度を観察することはできないという不確定性原理、全ての質量が中心に引き寄せられ最終的には密度および重力が無限になる天体崩壊の仕組みなど、部分的にでも興味深い知見は得られた。

    ホーキングは、宇宙が「どのように」できたのかに留まらず。宇宙が「なぜ」できたのか、存在するに至ったのかという科学が未だ応えられていない存在理由の問題に究極的には取り組もうとしている。やはり、宇宙の法則と我々の存在には不可分な関係がある。自分も願わくば宇宙の理論を突き詰めた上で、我々の存在意義・理由を問う哲学に昇華したかったものだと改めて思った。自らの才能や性格的にその道は選べなかったが。かのウィトゲンシュタインも、宇宙理論と我々の存在の不可分な関係、その宇宙理論の難解さを感じていたようで、「哲学に残された唯一の任務は言語の分析である」と述べているらしい。彼でさえも宇宙理論に立脚した哲学を諦めていたのだ。ホーキングのいうように、今やアリストテレスからカントの時代とは違い、宇宙理論は専門家でない哲学者には理解が困難なところまで高度化・精緻化してしまった。専門家でない我々はもはや蚊帳の外なのだろうか。しかしホーキングは、完全な宇宙の統一理論を見いだせれば、それは専門家だけでなく多くの人に理解されるものになるであろうと述べる。そしてその時、宇宙がなぜ存在するのか、我々はなぜ存在するのか、という哲学の究極命題が解き明かされ、創造主の意思に辿り着き、人間の理性は完全な勝利を収めるだろうと。

  • 天才物理学者の本が理解できるか不安だったけど、すごく分かりやすかったです。ホーキングは無神論者だと思っていたけど、思ったより神という言葉が出てきたのが意外でした。

  • ホーキング氏逝去と映画『博士と彼女のセオリー』観賞をきっかけに読書。

    「一般層向け」と謳いながらも内容は相当難解(かの有名な「E=mc2」以外数式を排しているのは有難いところか)。素人にとってはその分読み応えがあり知的好奇心がくすぐられる。ハードSFの理論的元ネタ満載だ。

    宇宙創成に関する相対性理論の「古典的理論」の理論破綻に対して、エントロピーといった熱力学の思考も援用しつつ、無境界時間や虚時間の概念を発想し、量子力学への論理的帰結させ、ビッグバンという大いなるロマンを生み出した理論物理学者たちの頭脳にはただただ感嘆するばかりだ。しかもこれを数式を持って説明していると思うと頭がクラクラする!

    ホーキング氏は特異点定理でその名を知られるが、そこに至る相対性理論と量子力学、熱力学その他諸々の背景知識の豊富さはやはり天才の名に相応しい。相対性理論と量子力学の統一理論が発見されるのは相当先であろうが(そもそも両理論の誤りが指摘され刷新の可能性もあるが)、人間の知への飽くなき好奇心と探求心そして可能性にワクワクさせられる本であった。

  • 宇宙の始まりから終わりまで、時間と空間の概念など、今では専門的でわかりにくい宇宙論を数式や特別な知識なしで理解できるよう試みた本。でも、やっぱりちょっと難しい。この本を読むに大事なことはただひたすらイメージすること。全部わかろうとしなくてもいい、ちょっとだけ宇宙の神秘に近づけるそんな本。

  • かなり今更感満載なのですが、
    先日放映された林先生の痛快!生き様大辞典で
    ホーキング特集をやっていたため、
    気になって買ってしまった本を読み終わりました。

    宇宙の真理というテーマは、
    いつまでたっても色褪せぬ魅力的なテーマです。
    タイムマシンやどこでもドアは開発しうるのか否かは、
    宇宙の真理を解き明かすことにかかっている、
    とも言えると思うんですよね。

    で、読み終わった感想なのですが、
    ホーキングさん自身が真理にたどり着いてない中、
    なんとか一般大衆にもわかるように、
    今の宇宙に関する議論を説明してくれてるのですが、
    やはりそれでも遠い。あまりに遠すぎます。
    超弩級の天才であるホーキングさんと
    一般人、しかも文系の自分との隔たりが
    ここまで大きいのかと愕然としました。

    しかしなんとなーく、おぼろげながらに、
    この宇宙の正体がイメージできるようになりました。
    これまではイメージすらできなくて、
    ただ広がり続けている、ということくらいしか
    知らなかった宇宙の姿を
    もう少しだけ細かくイメージできるようになった、
    という感じですね。

    で、結局いちばん感銘を受けたのは、
    3次元プラス時間の中(つまり四次元)という条件が
    有機体を生命たらしめるためには
    およそ必須不可欠だろうと考えられる、
    という点です。
    四次元よりも上の次元では、
    その制約の弱さに、かような複雑な有機体は
    生成し得ないということのようです。
    鈴木光司さん著のらせん~バースデイの展開は
    難しそうだなぁということに得心し、
    少し残念にもなりました。

    まぁでも観測できないから存在しない、
    というのは人間の論理であって、
    観測できなくても存在するものがあるかもしれない、
    ということを証明する悪魔の証明はできないわけで。
    そこに一縷の期待をして生きたいとは思います。
    やはり観測できないものを感じてこそ、
    人生なのではないかなぁと勝手に思ってますのでね。

    最後に、膨張し続ける宇宙がいずれ収縮に向かう、
    という説があまりにも虚しいので、
    (その場合、いずれあらゆるものはリセットされるので)
    別の説を勝手に妄想したので備忘がてら書いておきます。

    宇宙は宇宙外の極大質量の物体からの強烈な引力によって、
    全方位から引き伸ばされ続けているとは考えられないかな、
    というものです。
    その極大物質は全宇宙の全方位に存在しつつも
    一つの物体として質量を持つという
    空間を超越したものであると仮定します。
    そして宇宙からの距離は無限大に遠く位置すると。
    そうすれば、宇宙はいつまでも膨張をし続けられるわけで、
    いつか終わりが来るということには
    ならないかもですねぇ、などと妄想しました。

    もしくは宇宙を包摂する超宇宙空間のようなものの中に、
    我等のいる宇宙のようなものが複数存在して、
    お互いに引き寄せ合い、膨張させあっている、
    というのも妄想できますね。
    この場合、宇宙に張力が存在した場合、
    いつか破裂してしまう危険性、
    宇宙同士が膨張の結果ぶつかった場合、
    かなりの衝突エネルギーが発生してしまう危険性が
    考えられますが、宇宙がリセットされるよりは
    前向きな考え方かなぁなんて思います。
    ま、なんの理屈もないただの妄想ですけど。

    …とまぁこういう妄想を繰り広げられるくらいには、
    宇宙を少しだけわかったような気にさせられるという
    素晴らしい本です。

  • 私たちの存在する宇宙はどのようにして、そしてなぜ生まれたのか、そもそも宇宙はどのような構造をもつのか?当時、「現代のアインシュタイン」と呼ばれ、存命する科学者で最も有名であったホーキングがこの壮大な謎に挑んだのが「ホーキング、宇宙を語る」である。多くの現代科学は専門的すぎて、すべてを理解するには大学などでの専門的な教育が必要となる。その中でこの著書では、宇宙誕生のビックバンからブラックホールに至る専門的で難解なことが専門家ではない人向けに書かれている。そのため、一般の読者が離れずに楽しめるようなホーキングの工夫がちりばめられている。一つの使用につき、売り上げを半減させるといわれる数式は基本的には排除されていて、唯一 E = mc² という数式が使われている。それがアインシュタインで有名な数式であるというのも少し面白い。さらには、知識をわかりやすく記述するだけではなく、科学者と老婦人のやり取りに始まる、ユーモアあふれるエピソードや偉人である科学者たちの描写がちりばめられている。そうはいっても、やはり宇宙の話は難解で理解不能と思う節はいくつかあったが、一般向けということもあるので順を追って一つずつ読み進めればきっと理解する楽しみに出会えるので、ぜひこの著書をお勧めたい。 (地球惑星科学コース 3年)

  • 『博士と彼女のセオリー』を見ていたので、冒頭「ジェーンに捧げる」で胸熱。

    というのはおいといて、素晴らしく面白い本だった。専門家でなくても読める本をということで書かれているが、本当に私でも興味深く最後まで読み進めることができた。
    ヴァチカンに呼び出され、イエスズ会の宇宙論会議に出て、神の創造の瞬間を否定する様な内容を発表したけれど、法王に気づかれなかったので、尊敬するガリレオみたいにならなくてよかったとか、ユーモアあふれるところもある。

    やっと量子力学のイメージがつかめた。あくまでイメージ。時間に関することと、弦理論に興味を持ったので、これは関連書を読んでみようと思う。『三体』にも通じるしな。特異点、気になる。

    宇宙に関して知ると、仏典の読み方にも影響あるかも。無量寿経の講義と絡めて考えるとすごい広がりあるんだよなあ。

    科学道100冊 2019はこちら
    https://kagakudo100.jp/lineup

  • 神話を読んでるような感じ

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著者プロフィール

スティーヴン・ウィリアム・ホーキング
1942年1月8日-2018年3月14日
イギリスのオックスフォードで生まれる。1957年、物理と化学を学ぶためにオックスフォード大学ユニバーシティカレッジ入学。大学卒業後はケンブリッジ大学大学院、応用数学・理論物理学科に入学。大学院入学後の1963年に「筋萎縮性側索硬化症」(ALS)と診断され、当時あと2、3年の命と宣告されたが、途中から病の進行が弱まったこともあり、精力的に活動を続けてきた。
1963年にブラックホールの特異点定理を発表し世界的に名を知られた。1967年論文「特異点と時空の幾何学」でアダムズ賞受賞。1974年に 「ブラックホールの蒸発理論」発表し、同年に史上最年少でイギリスの王立協会会員(FRS)となった。1977年ケンブリッジ大学の教授職を務め、1979年にはケンブリッジ大学のルーカス記念鋼材教授職に就任。1991年にタイムトラベルの不可能性などを説いた「時間順序保護仮説」を提唱。
1990年、1993年、2001年と度々来日して大きく報道されており、日本で最もよく知られる世界的科学者の一人でもあった。

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