ワンダフル・ライフ バージェス頁岩と生物進化の物語 (ハヤカワ文庫NF)

  • 早川書房 (2000年3月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (608ページ) / ISBN・EAN: 9784150502362

みんなの感想まとめ

生命の進化と多様性についての深い考察が展開される本書は、特にカンブリア紀に焦点を当て、バージェス頁岩からの化石を通じて奇妙な生物たちの物語を紐解きます。読者は、目が五つあるオパビニアや、さまざまな独特...

感想・レビュー・書評

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  • 表紙の“奇妙な生き物“は、オパビニアという。目が5つにノズル上の吻(口)。こうした“奇妙な生き物“が湧きまくった時代が“カンブリア紀“。急激に生き物の種類が増え、今の人新生に繋がっていく。奇妙さを何故感じるのか。この時期に何故進化が複雑化したのか。色々知りたい。

    …と、フェアじゃないので補足すると“奇妙な生き物“はカンブリア紀だけではなく、現代にも多数存在する。奇妙な人間がいるという皮肉ではなく、実際にいるキモいやつ。顔面イソギンチャクのホシバナモグラとか、ツノゼミなんかも異様だ。

    カンブリア紀とひとことで言っても、先ずは大量に化石が見つからないと明らかにならないため、それが見つかった場所と時代から動物群は分類される。エディアカラは、謎の柔らかな生命。シリウスパセットから、原始的な本物の動物が生まれ、澄江でカンブリア爆発。バージェスになり、現代系統への多様化という連続した進化の段階を示す。

    本書が取り上げるのはバージェス頁岩がメインだが、キモさの兆候は中国澄江の化石層から既に見られる。「ザ・カンブリア」のよくあるイメージは大体この辺からのようだ。

    ブリティッシュ・コロンビア州にあるバージェス頁岩という発掘場では、後に繁栄した節足動物の四大グループすべての原始的な代表種の化石が見つかるほかに、二〇種類を超す節足動物の基本デザインをそなえた化石種が見つかっている。

    ー バージェス頁岩をめぐる物語は生命史のなかでおそらくもっとも特筆されるべき物語となる。どのようにしてそれほどの異質性がそんなにも急速に起源したのだろうか。そしてそのうちの基本デザインだけが存続したのはなぜなのだろうか。この二つの疑問が本書の主題である。

    で、ここから始まる。冗長ではあるが、ワクワク感が堪らない。イラストも楽しい。あの奇妙な先輩たちが、多分、そこらにいるオジさんオバさんに進化したのだと思うと胸熱。まさにワンダフルライフである。

  • おもろいから500ページは思ったよりもスラスラ読めるけれど、最近「頭のいい人がパーでも分かった気になるように簡潔に面白おかしく書いてくれた親切な本=離乳食本」を読んでたせいか長くてムズい。でもおもろい。

    「現動物界の門は代表的7つ。バージェス化石動物15-20はそれぞれ独立した門。」
    「節足動物は現存の3グループと絶滅の1グループ。バージェスはこれらの原始的代表化石と20を超す基本デザインを持つ。」
    「異質性ピーク」
    「悲運多数死」
    「偶発性」
    「複雑な複数因子によって切り抜けた生存組。但し絶滅時生存可能性を高めるある仕組みは最初の進化原因とは無関係の偶発なのでは(白亜紀末に哺乳類が生き残ったのは小さかったからかもだが生き残るために小さかった訳ではない)」

    表現として好きなのは「スティーブンキングは馬鹿げた進化と呼ぶ。私はそれをダーウィニズムと呼ぶ。」ってやつ。

    冒頭作者が逆円錐の進化図をヤイヤイ言うてたのも納得。
    古生物好き、進化生物学好きって人にオススメ。
    あと「輪廻」とか「天国」とか信じてない人も楽しく読めると思う。

  • カナディアン・ロッキー山脈で発掘されたバージェス頁岩。それらをカンブリア爆発の物語。ダーウィンの進化論とは異なる(しかし相容れないわけではない)非運多数死という偶発性を最上位に置いた生命系図の解釈が大変面白い。
    はじめに進歩の梯子図と多様性の逆円錐形的増大の誤認を説く。ついつい進化の必然性や因果関係や進歩に理由と目的を求めてしまう我々に対し、バージェス頁岩は多様性ではなく異質性に基づく門の取捨選択の偶発性というオプションを提示する。確率という要素が生物進化にに働いていることは量子力学に通ずるものがあり興味深い。
    現存する四種の門を圧倒する多種多様な豊かな門外生物の化石たち。マルレラ、アノマロカリス、エクマトクリヌス、ピカイア、オパビニア、などなど。目が5つある生物?!なんと好奇心を刺激する話であろう。
    これらを粘り強く想像力豊かに再発掘しバージェス動物群として世に出したハリー・ウィッチントン氏だけではなく、バージェス頁岩を発掘し保存に努めたチャールズ・ウォルコット氏(解釈の方向性は間違っていたもののその理由説明も含め)に一章を割き功績を称えている点も良い。
    20世紀以降の科学分野だとどうしても物理学や医学といった華々しい功績と発展があった領域に注目があたってしまうが、生物史学と地質学という領域における地道な粘り強さと創造性が堪能できる一冊である。
    なおタイトルの「ワンダフル・ライフ」は映画「素晴らしき哉、人生!」より拝借。約600ページの大著を端的に示すセンスの良いワードチョイス。

  • 著者の人は書く本が面白いといふ評判は聞いてた。
    でカンブリア紀の生物学は、ちゃんとしたものでなくて、アレナをっさんのせいで停滞してたと言ふアカデミズムのいやぁな黒歴史が展開して、面白いけど、うぁぁな感じ。
    ハルキゲニアの復元図とか「進化」続けてるけども、はい。

  • 一般人のうちでも、それなりに活字を読む気がああって、専門的なというか、実に理系っぽい言いまわしに耐えられる人だけがついてこれる世界。みたいな。いやしかし、何故に長々と語るのか。言いたいことはトヨタ式でA4で1ページにおさめろって言われてないのか。
    というわけで頑張って読むわけだけど、化石の世界も深いというか、そこから進化論やら科学的解析法やら帰納法やら、勉強にもなる。いや本筋は古代生物なんだろうけどね。
    写真とか復元予想図とかあるのは良いよね。だいたい素人が化石だけ見せられても分からんし。

  • 分量が多くてちょっと疲れてしまった。限られた化石から体系を考え出すのは難しそうだ。

  • 子どもがカンブリア紀にハマってたので自分もハマって調べてたら行き着いた本
    バージェス頁岩はただカンブリア紀の生物がたくさん見つかったとこという認識だったが、生物の軟組織も化石になっておりとても珍しく更に、進化の歴史認識を変える大発見だとは知らなかった
    今まで逆円錐型に生物の多様性が増しているのは当たり前だと思っていたが、実はバージェス頁岩の時代の方が解剖学的設計パターンは多かったと言うのは衝撃だった
    これが、30年近く前の本なのにあまり広まっていないのが不思議
    人間の直感に反するなのかな?

  •      -2008.03.20

    副題は「バージェス頁岩と生物進化の物語」。カナダのバージェス頁岩に見出されたカンブリア紀の動物群を詳細に紹介しつつ、進化のシナリオに偶然性の関与が大きいことを解く93年初訳の文庫化本。自然陶太の作用を最大限に重視する漯進的進化論者のドーキンスに対して偶発性も重視する断続的進化論者グールドの代表作とされる。

  •  バージェス頁岩を学ぼうと本著に行き着いた。
     1909年に発見されたバージェス頁岩はカンブリア紀の生命の多様性爆発であまりにも有名だ。発見したチャールズ・ドゥーリトル・ウォルコットはその研究で、「ウォルコットの靴べら」と評されるほど、多種多様な化石となった生物たちを原生種の進化系統に押し込んでしまったという。1970年代になってやっとその研究が見直され、絶滅した系統を含め、進化系統の考え方に修正が加えられた。
     「ワンダフル・ライフ」、この簡潔明瞭な書名からは想像できないほど内容は非常に濃く難解、一般向けの啓蒙書だと思って気軽に取り掛かると火傷するので注意が必要だ。
     化石から読み解く古生物の難しさが伝わってくる一冊だ。

  • ダラダラと長い。
    読んでいてだらけてしまい、読了に半年かかりました。
    面白くなかった。

  • この本の魅力は何より、ブリューゲルや杉浦茂が描くような「奇妙奇天烈生物(weird wonders)」が、5億500万年前に生きて動いていたという事実そのものである。マリオン・コリンズの復元図や古生物学者自身が描いた細密な標本図は美しく見飽きない(「自然界の美は細部に宿っている」)。NHKアニメ「ピカイア!」ではアノマロカリスをはじめとするバージェス動物群の姿にほんとうにわくわくしたものである。にんげんは昔からヘンな生きものが大好きなのだ。

    「ゆっくりと慎重にことを起こすことをよしとする古生物学者」というのもよかった、こういう業界の雰囲気を知るのが、業界本の楽しみのひとつである。

    「とくに、正確を期して新たに復元されたそれら生物の常軌を逸した奇妙さがすごい。」

  • 「ワンダフル・ライフ」スティーヴン・ジェイ・グールド著・渡辺政隆訳、ハヤカワ文庫、2000.03.31
    603p ¥987 C0145 (2021.04.27読了)(2021.04.05拝借)(2000.07.22購入)
    副題「-バージェス頁岩と生物進化の物語-」

    【目次】
    序言および謝辞
    1章 期待の図像を解読する
    2章 バージェス頁岩の背景説明
    3章 バージェス頁岩の復元―新しい生命観の構築
    4章 ウォルコットの観点と歴史の本質
    5章 実現しえた世界―“ほんとうの歴史”の威力
    文庫版のための訳者あとがき
    図版クレジット
    文献目録

    ☆関連図書(既読)
    「ダーウィン先生地球航海記(1)」チャールズ・ダーウィン著・荒俣宏訳、平凡社、1995.06.23
    「ダーウィン先生地球航海記(2)」チャールズ・ダーウィン著・荒俣宏訳、平凡社、1995.10.02
    「ダーウィン先生地球航海記(3)」チャールズ・ダーウィン著・荒俣宏訳、平凡社、1995.11.20
    「ダーウィン先生地球航海記(4)」チャールズ・ダーウィン著・荒俣宏訳、平凡社、1996.01.20
    「ダーウィン先生地球航海記(5)」チャールズ・ダーウィン著・荒俣宏訳、平凡社、1996.02.23
    「種の起原」チャールズ・ダーウィン著・堀伸夫・堀大才訳、朝倉書店、2009.05.10
    「ダーウィン『種の起源』」長谷川眞理子著、NHK出版、2015.08.01
    「新版ガラパゴス諸島」伊藤秀三著、中公新書、1983.04.25
    「ガラパゴス博物学」藤原幸一著、データハウス、2001.10.25
    「さよならダーウィニズム」池田清彦著、講談社選書メチエ、1997.12.10
    「失われた化石記録」J.ウィリアム・ショップ著・阿部勝巳訳、講談社現代新書、1998.03.20
    「NHKスペシャル 生命大躍進」生命大躍進制作班著、NHK出版、2015.07.10
    (「BOOK」データベースより)amazon
    1909年、カナダで5億年前の不思議な化石小動物群が発見された。当初、節足動物と思われたその奇妙奇天烈、妙ちくりんな生きものたちはしかし、既存の分類体系のどこにも収まらず、しかもわれわれが抱く生物進化観に全面的な見直しを迫るものだった…100点以上の珍しい図版を駆使して化石発見と解釈にまつわる緊迫のドラマを再現し、歴史の偶発性と生命の素晴らしさを謳いあげる、進化生物学の旗手グールドの代表作。

  • 2020.07.25 スゴ本オフで紹介を受ける。
    http://naokis.doorblog.jp/archives/sugohon_July_2020.html

  • 私が推薦する書は、スティーブン・ジェイ・グールド著『ワンダフル・ライフ バージェス頁岩と生物進化の物語』である。本書は、カナダに位置するバージェス頁岩から産出した化石小動物群にまつわる古生物学、さらには進化の解釈にフォーカスした書物である。初学者が読むには少々難解な内容も含まれているため、最低限の地球科学、特に古生物学を学んだことがある者に強く推奨したい一冊である。

    本書を推薦するにあたり、是非とも注目していただきたい点は四点ある。
    第一に、バージェス頁岩から発見された生物に関する記述の情報量の多さである。一度はある古生物学者によって誤って定義された彼らが、後々三人の古生物学者の手によってその正体を現し、ベールを脱ぐ様子が事細やかに描かれている。これは著者の友人でもある古生物学者当人達へのインタビューを初めとした、膨大な、そして詳細な記録によって描かれている。
    第二に、古生物学者個人のエピソードである。本書では、古生物の解釈に携わった人々の人格や内情が本人達の言葉も引用して描かれている。つらつらと平坦に書き連ねられがちな自然的事象を取り扱う文章に、波が生まれる。時間的間隙があり、優秀すぎるが故に私たちからすれば遠い存在である彼らの繰り広げる人間ドラマによって、読者は親近感やリアリティを覚え、さらにはその時代にいるかのように錯覚することになるだろう。これは普通の科学書籍では味わえない感覚である。
    第三に、マリアン・コリンズの復元画を初めとした、100点以上の珍しい図板の多さである。古生物の種類一つ一つについて丁寧な復元画が記載されており、実際に論文中で使われていたもの等も使用されている。また最低限の知識しか無い読者でも理解できるように、丁寧なキャプションが施されている。これによって、文章だけではなかなか想像しがたい姿形をしているへんちくりんな生き物たちの、イメージによる認識が容易になることだろう。
    第四に、筆者の展開する進化に対する解釈である。バージェス頁岩への解釈を通し、進化とはどのようにして行われてきたのか、という生命の主題について私たちは明確なメッセージを得ることができる。詳細は是非とも本書で確認していただきたいため書きかねるが、著者が何度も提示する「偶発性」に関する話の展開は非常に読み応えがあり、思わず感嘆してしまうほどである。
    本書は「バージェス頁岩」と「生物進化」という大きな二つのテーマを掲げていながらも、正確かつ詳細な情報にあふれる、熱量のある一冊となっている。是非とも目を通していただきたいと切に願う。 (地球惑星科学コース 3年)

  • 1

  • 古生物ファンにはたまらない内容
    化石や進化論のスポットライトはやはり恐竜以降がメインとなっており、カンブリア爆発期の生物群紹介や研究方法が詳しく記されている貴重な本
    後の発見や研究により、作者の主張は一部覆っているが、間違えっていても科学者の考え方に触れられるのは面白い
    グールドvsドーキンスで有名な作者だが、亡くなられてしまったのは非常に残念

  • 国立科学博物館 2015年7月7日(火)〜10月4日(日)
     生命大躍進 −脊椎動物のたどった道−

    2015/9/29 行きました。 面白かったですよ!
     ⇒ URLはこちら https://blog.goo.ne.jp/pasobo-arekore2005/e/a3bdaa7177c692f4fe38606064155517
     『「生命大躍進」展 その1〜4』 〜 Myブログ「パそぼのあれこれフリーク:Part2」

    ⇒ URLはこちら https://blog.goo.ne.jp/pasobo-arekore2005/e/ae9d7f847ada17b796486e0456a51e48
     『「生命大躍進」展へ行こう』 〜 Myブログ「パそぼのあれこれフリーク:Part2」

    展示の目玉の一つが、カンブリア紀の バージェス頁岩動物群 です。

    見に行く前に この本を読もう!

    本書は、1993年4月刊行の本の文庫本。
    もはや古典です。ということは、科学的には古すぎ・・・。
    作者自慢の写真・図版も白黒なので、イマイチ。

    サブタイトル「バージェス頁岩と生物進化の物語」のとおり、作者の心意気?がこもった内容です。

    専門家やサイエンス・ライターには読んでおくべき本かもしれないが、
    序言、1章まで読み進んで 今回は中断です。

    こちら↓を読んで、本書が必要だったら また読むことにします。

    エディアカラ紀・カンブリア紀の生物 (生物ミステリー (生物ミステリープロ))
    土屋 健 / 技術評論社 ( 2013-11-12 )
    http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4774160849/seaapteacucom-22/ref=nosim

    2015/07/05 予約 7/11 借りて読み始める。7/16 中断。

    『ワンダフル・ライフ―バージェス頁岩と生物進化の物語』

    内容 :
    1909年、カナダで5億年前の不思議な化石小動物群が発見された。
    当初、節足動物と思われたその奇妙奇天烈、妙ちくりんな生きものたちは
    しかし、既存の分類体系のどこにも収まらず、しかもわれわれが抱く生物進化観に全面的な見直しを迫るものだった…
    100点以上の珍しい図版を駆使して化石発見と解釈にまつわる緊迫のドラマを再現し、歴史の偶発性と生命の素晴らしさを謳いあげる、進化生物学の旗手グールドの代表作。

    著者 :  スティーブン・ジェイ グールド
    1941〜2002年。ニューヨーク市生まれ。ハーヴァード大学教授として長年にわたり古生物学、進化生物学研究に従事。著書に「ダーウィン以来」「ワンダフル・ライフ」「パンダの親指」他。

  • 原書名:Wonderful life

    期待の図像を解読する
    バージェス頁岩の背景説明
    バージェス頁岩の復元―新しい生命観の構築
    ウォルコットの観点と歴史の本質
    実現しえた世界―"ほんとうの歴史"の威力

    著者:スティーヴン・ジェイ・グールド(Gould, Stephen Jay, 1941-2002、アメリカ・ニューヨーク市、古生物学者)
    訳者:渡辺政隆(1955-、サイエンスライター)

  • この書籍では、それまでの生物進化説では説明できない生物が発見されたことによって、著者によって解説・敬意されています。

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著者プロフィール

【渡辺政隆(わたなべ まさたか)】
サイエンスライター。日本サイエンスコミュニケーション協会会長。2019年より東北大学広報室特任教授、2021年より同志社大学特別客員教授。『一粒の柿の種』『科学の歳事記』などの著作のほか、『種の起源』など訳書多数。

「2023年 『知の統合は可能か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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