レナードの朝 (ハヤカワ文庫NF)

制作 : Oliver Sacks  春日井 晶子 
  • 早川書房
3.70
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本棚登録 : 107
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (662ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150502379

作品紹介・あらすじ

脳炎後遺症のために自分の意志で動くことも話すこともできず、凍りついたように同じ姿勢を取り続ける患者たち-破壊的な病に自由を奪われた彼らだったが、奇蹟の新薬によって驚異の「目覚め」を経験し、じょじょに人間的な生活を取り戻していく。だが、この薬には知られざる「副作用」があった…20人の患者それぞれの奇妙な症状と人生を深い洞察力で描き、人間の尊巌に迫るサックス博士の代表作、新訳決定版で登場。

感想・レビュー・書評

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  • 1960年代に開発された「L-DOPA」という新薬に関するドキュメント。嗜眠性脳炎の後遺症でパーキンソン病などの症状をもつ患者に対しの投与を試みた際の反応や経過について20の症例が記録されている。3部構成で,かなりのボリュームだけど,とにかく2部の「目覚め」の詳細な記録は凄まじい。新薬への喜ばしい経過,そして下降する薬の効果。著者であり医師のオリヴァー・サックスは,患者ひとりひとりに対して同じように喜び,そして葛藤する。
    驚くべきは,同じ病状の患者であるのに,薬に対する反応のどれ一つとも同じものがないということ。そこには,それぞれの患者の人格が垣間見える。生まれ育った環境,そこで育まれた性格,ものの考え方,捉え方,感情,その人を形成する様々な要素が,薬への反応に影響しているようだった。
    この本を読んで,映画『レナードの朝』があることも知ったので,ぜひそれも観てみたい。

  • 難病であるパーキンソン病の患者と、その病気の画期的な治療薬と目されたL・ドーパ
    この病と薬に救われ、苦しめられ、翻弄された患者たちの姿を、オリヴァー・サックス博士が描きだします。

    単に「可哀想な患者が薬で救われて~」では決してない。その薬の効き方も、投薬後の人生も、まるで違う、個々の患者に向き合ってきた記録です。
    自らの内面に閉じこもってきた患者たちが解放され、そして爆発し、今度はその反動も受けるような。ある意味で病気に依存してきた患者が、次は薬に依存する。L・ドーパはまるで覚せい剤のようにも思えます。

    医学とはなんなのか、病とはなんなのか、というサックス先生の問いは重い。
    そして、難病と回復と、再度の重病化を経験した患者たちの生きる姿勢は、強さを描いていると思うのです。

    本作を映画化した後日にもあります。映画も観たい。
    疑問は深まるばかりです。

  • 2013.10.24(木)¥105。
    2013.10.24(木)。

  • 現在、こんな「実験」は許されているのだろうか。

  • 脳炎後遺症の患者がL-DOPAという薬を投与されることによって、「目覚め」を経験する。
    かなり長い本だが、没頭してあっという間に20の症例を読んでしまった。
    脳死との違いは何なのか分からないけど、衝撃的かつ興味深い話だった。
    オリヴァー・サックスの他の本も読んでみたい。

  • 人間は、身体のどこにいるのだろう? たぶん脳を中心とした神経系の中に「いる」のだと思うが、もし台座としての神経系が調子が悪くなったら、「いなく」なってしまうのだろうか? いや、そうではないかもしれない、と柄にもなく考えた。

  • 米国には、先天聾の人たちが多い町がある。さらに、そうした人たちだけのための大学もある。先天聾の多いところでは、手話が自然発生する。歴史的には、耳が聞こえる人が、聞こえない人のために人工的に「作った」手話もあるが、そういう手話は定着しない。
    ところで手話は、いったい言語だろうか。サックスは、こうした主題について、襲来の医学がきわめて不十分な知識しか持っていないことに気づく。私が自分で考えても、そういう主題について、教育を受けた覚えは持っていない。医学は個人の治療の学であって、治療に関係のない方面は、医学からは外れがちである。

    サックスは、「自然の結果の多くは二重のやりかたで説明できる」とする、ライプニッツを引用する。この二重とは、早い話が機械論と形而上学とである。「このちがった道すじをたどって思索する人びとは、たがいに罵り合ってはならない」。そうライプニッツはつけくわえる。そこでサックスは言う。
    「もしこの考えかたが正しく理解されているなら、なにも問題は起こらないであろう。ところが、形而上の問題を機械論でとらえようとしたり、世界をシステムであるとみなしたり、個別にあるものを類型化しようとしたり、印象を分析したり、実在を抽象に還元しようとしたりするときに愚かなまちがいが忍び寄る。これが過去三百年間の狂気、私たちを含め、これほど多くの人間がみな駆り立てられてきた狂気なのだ。ニュートンやロック、デカルトに代表される思想は、医学や生物学や政治や産業などにかたちを変えて息づいている。人間を機会に、児童装置に、操り人形に、ただの一覧表に、あがく敵に、遺伝情報に、システムに、反射運動にひきずりおろすこの考え方こそ、こんにちの医学文献の多くをこれほど実りなく、つまらない、人間や現実からかけ離れたものにしているのである」。

  • 嗜眠性脳炎の後遺症の患者の症例と、著者自身による人生や、病気についての考察が書かれてる本。

  • あの名画の原作。
    医者としての目で描かれた医師と患者のふれあいと医療の問題点を示すもの。
    映画を見た人も、まだ見ていない人にもお勧めの一冊。

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