ロリの静かな部屋: 分裂病に囚われた少女の記録 (ハヤカワ文庫 NF 263)
- 早川書房 (2002年2月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (502ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150502638
作品紹介・あらすじ
「こいよ、あばずれ。おれと一緒に地獄へこい」-精神病棟の静寂のなか、頭の奥から悪魔の囁きにも似た「声」が響く、他の誰にも聞こえない声が…17歳の夏、"優等生のロリ"が突如病魔に襲われた。苦悩と錯乱の毎日。だが彼女は負けなかった。勇気と希望をもって病に立ち向かい、ついには心の平安を取り戻したのだ。ロリ自身が綴った貴重な体験日記と、家族や友人、医師の証言をまじえて描いた感動の闘病ドキュメント。
感想・レビュー・書評
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三葛館闘病記コーナーWith T||493.76||統合失調症
元保健看護学部 土橋まどか先生 『図書館報 みかづら』11 号(2008)より
『印象に残っている本を思い出すと、大学時代に読んだ『ロリの静かな部屋』がある。著者のロリが統合失調症にかかった経験をさかのぼり、日記として綴ったものである。家族や友人、また医療関係者の証言も交えてあり、外から見てロリがどのようだったのかも知ることができる。病によって、とてつもなく大きな心の闇を抱え、その闇の暗さや恐ろしさがロリの心情として、緻密に描かれており、それでも懸命に生きようとする姿に衝撃を受けた。最後の章に、ロリが自分の幻聴体験を郵便配達員に話す場面がある。そこで、彼は、いろんな声が聞こえることについて「すごい」と賛嘆する。彼にとって、ロリは病人ではなく声が聞こえる個性を持った人なのだ。そしてロリは、自分の人生を振り返ってみて、発病する前の自分に戻りたくないと断言する。多くの人に助けられ、人生をやり直すチャンスであったからと。私は、この本から先入観にとらわれず「純粋に、ありのままに」相手を理解することの意味を教わった。』
和医大OPAC → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=49191詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自分ではどうしようもない閉塞的な苦しさを感ジマス。。
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精神分裂病(今は統合失調症と言いましょう)の実体験が、切々と綴られています。社会復帰して、きちんと自分の経験したことを語れる方は、そう多くないと思います。貴重な本!身近に闘病者がいたら、ぜひアナタが読んでください。