シャドウ・ダイバー 深海に眠るUボートの謎を解き明かした男たち (下) (ハヤカワ文庫NF)

  • 早川書房 (2008年7月9日発売)
4.19
  • (11)
  • (10)
  • (6)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 76
感想 : 9
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (344ページ) / ISBN・EAN: 9784150503413

みんなの感想まとめ

歴史の深淵に眠る謎を解き明かす過程を描いたこの作品は、レックダイビングを通じて人間の尊厳や命の重みを考えさせられるストーリーです。ダイバーたちが沈没したUボートの正体を追い求める中で、彼らは単なる歴史...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 上巻では、謎の沈没船の正体をつきとめることに興奮していたが、下巻は重みが違った。それは歴史的な価値だけでなく、その船とともに沈んだ人々に光を当て、家族の元へ思いを届けることにも繋がるのだとわかった。

    何度も潜る過程で、亡くなった人へのコーラーの態度が徐々に変化する中、私はまだ彼ほどに亡くなった人への敬意やその遺族のことを思えてあげられなかった。でも、エピローグでコーラーが遺族と実際に会った時の遺族の反応を読んだ時に、考えが変わった。それまではなんとなく歴史の登場人物のような遠い存在だと思っていたのが、自分と同じように家族を持つ実在した人間だと認識できた。愛する人が誰にも見つからず海の深くに眠っていて、それが時代を超えて発見されたことは奇跡だと思ったし、嬉しかった。

    チャタトンからは、何事も事前準備が重要であることを学んだ。彼は何度潜る時も、新しい場所でさえも、必ずビデオを回してまずは状況を観察することに全力を傾けた。なにも触らずにその場を去る自制心も素晴らしい。そのおかげで、このUボートのみならず、数多くの沈没船の名前を明らかにできたのだと思う。コーラーからは、人の命の扱い方と尊厳の姿勢を学んだ。彼がいなければ、Uボートの正体判明後、そこで亡くなった戦士たちの家族の元へ、思いを届けられることはなかった。彼はとチャタトンは遺骨に敬意を払っていた。とても人間らしい感情だと思ったし、彼らがこの船と乗組員をあきらめずにいてくれて本当によかった。

    このUボートが沈没した理由と推測されている「逆戻り魚雷」の恐ろしいこと。敵艦に向けて放った魚雷が自分をめがけて戻ってきて、その接近音も聞こえてくる。逃げ場のない船内の中で地獄すぎる。10代、20代の若者をはじめとする多くの人間が犠牲になった戦争。半分以上の確立で死ぬことが決まっている潜水艦勤務なんて、誰が望むのか。そこまでして国という土地を守ることに意味はあったのか。命を無駄にせずに済む解決方法は他になかったのか、当時の人間に聞きたい。

  • 今まで、ドイツ兵についてあまり考えたことがなかった。なんとなく、ドイツ兵=ナチスというイメージだった。ドイツ兵も、戦争いやだっただろうなあ。
    命がけのダイビングかぁ。RPGで気軽に冒険者なんて言うけど、本当の冒険者って、こういう風に命賭けられる人であって、普通は真似できないと思う。

  • 「SHADOW DIVERS」の翻訳(2008/07/15発行)。

  • 2010年4月18日読了。知られざるUボートの謎を解く命がけの男たち…うーんロマン!

  • 何年にもわたる調査の結果、軍の記録改ざんの発見を含め、様々な状況証拠から沈んでいるUボートの艦名は特定される。しかし、決定的な「証拠」を特定するために、さらに複数年に及ぶ命の危険を賭した潜水により、ついに艦名をしるしたタグを発見するまでの経緯。ドイツ側への調査もふまえ沈んだUボートに乗船していた乗組員達の生い立ち、出航の様子までもが書かれている。面白い。

  • ついに発見した沈没Uボートの素性が明らかになる。
    ダイバー達はUボートの乗組員の遺族の家族のひとたちに会いにはるばるドイツに行ったりもする。
    最後は結構感動的。

  • ニュージャージー沖に沈んでいるUボートの艦名を特定するためにレック・ダイバーたちが奔走する。(ねたばれ)。Uボート艦内にあった遺品に記された名前の船員は、ジブラルタル沖へ向かうようにドイツ軍司令部が指令を出した後に消息を絶っているUー869の乗組員だったことから、まさかニュージャージー沖に沈んでいるUボートが869のはずがない……と本件調査の主役であるダイバー、コーラーやチャタトンたちは考えていた。しかしアメリカの国立公文書館で「最高機密」扱いの資料である、U-869とドイツ軍司令部とのエニグマ通信傍受・解読の記録を発見し、実は、何らかの不都合でU−869は司令部からの通信を受信しなかったか、受信しても無視したかしてニューヨークに向かい(当初の指令ではニューヨーク近辺が哨戒作戦の目的地だった)、そこでおそらく逆戻り魚雷によって自沈したのではないかということがほぼ間違いないとコーラーとチャタトンはつきとめる。しかしチャタトンは、沈船が絶対にU−869だという物証が必要だと、きわめて危険な命がけのダイブに挑み、U-869のタグのついた部品箱を回収する。
    彼らが調べたU-869のノイエルブルク艦長をはじめ乗組員や遺族の逸話も胸を打ち、本当にあんな馬鹿(ヒトラー)が国防三軍の最高司令官というのは誰にとっても不幸なことだったとあらためて思った。深度60メートルでの危険な作業や致命的な事故のくだりが出てくるたびに背筋が寒くなる。U-869調査過程で3人が死亡したが、なかでも一番危険なはずのチャタトンが無事であったのは、●綿密な潜水計画をたてて、自分の潜水を予め反復してイメージし、計画外のことは、自分からは基本的にはしない(不慮の、想定外のことは起こることがあるにしても)。自分が計画外のことをやろうとしたら(遺物をもうちょっと集めてから戻ろうとか)、それは窒素酔いのせいだと思えるように訓練をする。●不慮の事故にあっても落ち着いて対処する。たとえば100キロぐらいの鋼鉄がのしかかってきて身動きがとれなくなって、さらに空気の残量もギリギリという状態でも冷静でいる。(わたしにはぜったいに無理)。
    レック・ダイビングのスリルと歴史を解き明かす知的面白さ、濃いタイプの人たちの人間ドラマなどが盛り込まれ、たいへん面白いノンフィクションだった。

全7件中 1 - 7件を表示

ロバート・カーソンの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×