悪霊にさいなまれる世界〈上〉―「知の闇を照らす灯」としての科学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 早川書房 (2009年7月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150503567
感想・レビュー・書評
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インチキ、偽科学はいつ、どこにでもはびこっている事を改めて痛感。
唯、筆者のいる欧米では、キリスト教、悪魔、UFO、宇宙人といった形で現れ、性的な「悪行」を残していくことが多いことは、知識や解説で頭では理解できるが、感覚としては理解しがたい。文化的、社会的背景が大きな役割を担うところである。UFOに関して言えば、日本でもたまにテレビ等で特集をする事があるが、多くは海外の情報であり、ここに記載されているものが多く出ている。今回解説された事で、テレビ上での少ない情報からの判断から、もう少し大きな視点で見れる事が出来嬉しく思う。
やはり、似非科学と科学の違いは反証にあり。この面で科学は万能ではないが、大きな目で見れば信頼に足るものではないだろうか?
トンデモ話検出キット
・裏づけを取れ
・議論のまな板にのせろ。
・仮説は複数立てろ
・身びいきするな
・定量化しろ
・弱点をたたき出せ
・オッカムのかみそり。同等の仮説が2つ以上あるなら単純なものを選べ
・反証可能性を考えろ詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
《目次》
第一章 いちばん貴重なもの
第二章 科学と希望
第三章 月の男と火星の顔
第四章 異星人
第五章 欺瞞と秘密主義
第六章 幻覚
第七章 悪霊に憑かれた世界
第八章 真の光景と偽の光景の区別について
第九章 セラピー
第十章 ガレージの竜
第十一章 悩みの都市
第十二章 ”トンデモ話”を見破る技術 -
「カール・セーガン(2000)『人はなぜエセ科学に騙されるのか』新潮社」と全く同じ内容の本で訳者も同じ。
翻訳が少し修正されていて、下巻の訳者あとがきが新たに書かれているくらいの違いしかない。
なぜ人はエセ科学に騙されてしまうのか、なぜエセ科学は許されてはいけないものなのか、そしてエセ科学に振り回されないための科学的態度とはどういうものなのかについて書かれた本。
エセ科学というものはとてもお手軽である一方、科学のような懐疑的なものというのは売れない。
例えば、UFOに関連するミステリーサークルを作ったのは自分たちだと名乗り出た男たちがいたが、その話はお金にならないのであっさりと受け流され、いまだにミステリーサークルはもてはやされている。
UFOや悪魔などの超常的な存在を信じる人たちは、彼らの体験談がどれも似通っていることが真実の証だとするが、それらは皆が共有する文化や知識からひねり出されたものであるということに目を向けない。
また、彼らの体験談というのは個人の記憶にしか基づかないものであり、信ぴょう性がない。
なぜなら、記憶というのは不確かなものだからだ。
他人や自分の思い込みによって記憶が汚染される可能性があるし、汚染されたとしてもそれを確かめて正しいものに修正することは不可能だ。
こういったエセ科学には当然宗教も当然含まれており、彼らは自分たちの教義に対して懐疑的な目を向けることをしない。
では、エセ科学に振り回されないためにはどうしたらいいのか。
詳しくは12章に書かれているが、いくつか目に付いたものを挙げる。
まずは裏付けをとり、権威主義にとらわれない仮説を複数立てて、それを検証すること。
その際実験を行うのなら、
・対照実験:新薬とプラセボ薬それぞれの投薬結果の比較
・変数の分離:どの要因が作用したのかはっきりさせるために、一つ一つの変数ごとに調査する
・二重盲検法:新薬の実験の場合、患者にも医師にも誰に新薬を投与したのか知らせずに実験を行うことでバイアスを排除する
などの方法が有効。
議論を行うのであれば、使ってはいけない方法がある。
・対人論証:議論の内容ではなく、論争相手を攻撃すること
・証拠の不在は、不在の証拠にあらず
・相関関係と因果関係の混同:相関関係があるからと言って、それが因果関係でもあるとは限らない
とても勉強になる本ではあったが、上巻は1章2章そして12章に重要なことが書かれているため、そこだけをじっくり読んで、あとはさらっと読み流してもいいと思う。
残りの章にはエセ科学の実例が書かれているのだが、UFOやキリスト教関連などのアメリカ人にとって身近な話なので、日本人にとっては理解しがたく、そもそもがエセ科学なので覚える必要もない。
もちろんわずかな例を挙げて議論するよりは豊富な実例があった方がいいのは確かだし、魔女裁判などの歴史的に重要な事例も扱っているのだが、あまりに多いので読むのが少々苦痛だった。
とりあえず下巻に進む。 -
全体的に、トンデモ情報に惑わされるなということが書いてあるのだが、カールセーガンにはもう少し前向きな明るい話を期待していた。
第2章の科学と希望はとても良い章だった。彼の科学への愛を感じた。 -
悪霊にさいなまれる世界〈上〉―「知の闇を照らす灯」としての科学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
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¥
mmsn01-
【要約】
・
【ノート】
・新書がベスト -
だいぶ前から積ん読になっていたものをフォトリーディング。
高速リーディングにて読了とした。 -
発生した問題を楽なほうに解釈せず、自分を甘やかさず、
真実を説明するのに最も適した解を探す不断の努力をせよ、
その努力だけが人を救う。
また、そのためにまず本書で人間がいかに
信じやすく騙されやすいかを知るべし。
、ということだと解釈した。
が自分としてはあまりぐっとこなかった。
ひとつひとつの章が、このテーマでこれだけのページを
かける必要があるのか?と思ってすこし読み飛ばしたのが
よくなかったのか・・? -
科学的な考え方とは、どういった考え方なのか?
私は一応理系の大学を出ているのに
こういった考え方をまったく身につけてこなかったんだなと
30間近、この本に出会って大いに反省しました
油断すると、いつの間にか騙されちゃっていて
思考能力や財産を吸い尽くされてしまう情報が跳梁跋扈している世の中
残念ながら、それは
ぼーっと生きていたらダメな世の中なのです
一瞬でもいいから立ち止まってみて、自分で考えてみないと…