悪霊にさいなまれる世界〈下〉―「知の闇を照らす灯」としての科学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (419ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150503574

作品紹介・あらすじ

古代の神話から魔女狩り、そしてニセ科学の跳梁…反科学、反理性の傾向は歴史を通じてさまざまな仮面をつけて現れる。本書ではUFOによる誘拐譚、ミステリーサークル、偽の記憶症候群など、一見雑多な現象に通底する反理性的傾向が鮮やかに結びつけられ、そうした傾向の危険性が鋭く指摘される。自分の頭で考え、懐疑の心を持ち続けることの重要性を豊富な実例を紹介しながら説く、「科学界の良心」による渾身の一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 上巻の話に続いて、どうやって科学を普及させていくかについて書かれている。
    13章
    話の内容としては、11章までの話の流れと同じなので、12章よりも前でいいと思うが、上下巻に分かれる都合上、下巻にはみ出てしまった感じか?
    プラセボ的な効果があるように、「思い込み」は科学的にも多少の力を持っているが、元々の原因を取り除く手段としては効果的ではない。

    14章
    シャーマニズムや神学、そしてそれに対する量子力学について、どちらも理解できないとき、その違いはどこにあるか?
    その答えは、たとえ理解はできなくとも、量子力学がきちんと機能することは証明できるということだ。
    著者はこう書いているが、科学に疎い私は、「その証明方法も理解できない点でエセ科学と共通しているんだけどな」と少し思った。

    15章
    科学によって真実が明らかになることによって生じる不都合もあるのではないか?という主張に対する反論。
    真理や過去の過ちを見据えている方がずっといい。

    16章
    核という科学の罪について。
    科学の普及に当たっては、こういった問題についても目を向けていかなければならない。

    17章
    結構重要な章。
    懐疑的な態度はとても重要ではあるが、「はじめに懐疑的な結論ありき」になってはならない。
    科学の核心は、一見すると矛盾するかにみえる二つの姿勢のバランスを取るところにある。
    一つは、どれほど直観に反する奇妙なアイデアであっても、新しいアイディアに対しては心を開くという姿勢。
    もう一つは、古いアイディアであれ新しいアイディアであれ、懐疑的に、かつ徹底的に吟味するという姿勢である。

    19章
    科学を普及する上での課題の一つとして、哲学者のジョン・パスモアの言葉を引用している。
    「科学の初学者は、人文学の初学者とはちがって、天才とじかに接触することがないのである。」

    ここから先はエッセイ的な面が強くなり、アメリカの政治や教育や愛国心などについてまで話が広がっているので、当初の主張に対して少しまとまりがない印象を受けた。

  • フォトリーディング。
    高速リーディングで読了。

  • いわゆる先進国であってしても宇宙の誕生であり、人類の誕生については、宗教的なバイアスを含んだ認識をしているところが多い。
    そんな中でダライラマの真理への素直な態度、教義が科学的反証を試みられれば、それを受け入れる用意がある。たとえそれが教義の核心部「輪廻転生」であっても。ただしそれは反証が難しいと付け加えられたが。
     科学が人々の生活をより良くするものだという認識は持たれているが、科学に実験が重要であるということと同様に、人々の生活への改良について実験が重要であるということを認識されていることが少ない。共産主義も民主主義も実験である。よりよい未来のために実験を実験が必要なのである。もちろん個人においても。

  • 「悪霊にさいなまれる世界(下)」
    著者 カール・セーガン  訳者 青木薫
    出版 早川書房

    p164より引用
    “物事をとことん考え抜く習慣が必要なのだが、
    それを身につけるには訓練と練習が必要だからだ”

    惑星科学者である著者の生前最後の著作の文庫版。
    下巻ではトンデモ話と少し離れて、
    政治や文化等広範に話題を取り上げています。

    上記の引用の後にさらに
    “懐疑する精神も不思議さに驚嘆する感性も
    鍛え上げなくては使えない技術である。”
    と続きます。
    物を考える為の訓練と言うのが、
    子供のうちはイマイチピンと来なかったことを思い出しました。
    今でもピンと来ているかどうか、
    訓練をこなせているかどうか自分に対して疑問。
    中学や高校の頃に出会いたかった一冊です。
    これから科学を目指す方や懐疑的な考えを身に付けたい方に。

  • 上巻に比べると、疑似科学の批判よりは、科学的な思考法の大切さや、疑うことの意味を説くのにほぼ全ての章を費やしている。
    アメリカ(及びヨーロッパや旧ソ連)の科学史にもふれる内容で、なかなか読み応えがある。

    カテゴリは「科学・数学・物理」に分類したが、読み進めるのに特別な専門知識は必要ない(どちらかといえば、科学が苦手な人向けの本ともいえる)。
    文章も読みやすいので、気負うことなく開ける本だ。

  • 科学・迷信・政治
    自分は分かっているという姿勢で
    世界を疑うのではなく
    自分が分かっているのかという姿勢で
    世界を疑う。

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