スノーボール・アース: 生命大進化をもたらした全地球凍結 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 早川書房 (2011年10月7日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150503758
作品紹介・あらすじ
およそ6億年前、地球はぶ厚い氷に覆われていた。その氷が解けたとき、爆発的な進化のドラマがはじまったのだ-。想像を絶するこの気候変動とはいかなるものだったのか?多細胞生物の一斉出現との関係とは?地球史上最大の謎を解く鍵として、いまなお論争をよぶ「全地球凍結仮説」。その証拠を求め、極寒の北極から灼熱の砂漠へと駆け巡る研究者たちのあくなき探究をビビッドに描きだす。毎日出版文化賞に輝いた傑作。
感想・レビュー・書評
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この10年で急激に知られるようになった全地球凍結仮説の生い立ちから今日に至るまでを詳細に描いたドキュメント。
仮説自体の内容もさることながら、地質学者とはどういう人種なのかという点も、本書の見どころだと思う。
地質学は、過去に起こった一回きりの出来事を解明しようとする学問である。したがって、地質学者は、その宿命として、自らの学説・仮説について、再現性のを問うことができない。その点について、人によっては、「彼らのやっていることは果たして科学と言えるのだろうか」と思われるかもしれない。しかし、近年では、そんな地質学の世界に他の分野の科学者も多数参画するようになっている。きっとこれから、ますます興味深い事実が明らかになっていくだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
全球凍結。カンブリア爆発の前に地球が全て凍ることがあったという仮説。
図表が無いので星三つ。
アイスロック、地磁気分析、露頭岩石、火山活動、二酸化炭素、温暖化、大陸移動。
7~4回あった。
多細胞動物に進化して爆発的に種類が増える原因がよく分からない。温度差、酸素濃度、etc.
光スイッチ仮説との繋がりは?
地質学が意外と面白い学問で、まだ論争が続いている。 -
756円購入2011-11-18
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"最高におもしろかった本。
今私たちは、ガリレオがまさに地動説を唱えた時のように、スノーボール・アース説が提唱された時を生きている。
今まで常識として教えられていたこと、事実だと信じていた事柄が、実は違っていたかもしれないというのだ。
地球の全てが氷に覆われていた時期が複数回あったかもしれないという説。
今の常識では、地球は氷河期という時期はあったが、今とさほど変わらない気候がしばらく続いてきたといわれている。ところが、そうではなく、実は地球は過去に数回全てが氷で覆われたときがあったというのだ。地質学、気象学、生物学、進化論など多くの分野を巻き込んで、地球は氷に覆われていた時期があったかもしれないという仮説を唱える学者が複数人いる。
氷河期なんてレベルではなく、赤道近辺含めて気球すべてが氷に覆われていたというのだ。しかも、その変化がきっかけで複雑な構造をした生物が誕生したかもしれないとまで言われている。
この本では、地質学者の日常が語られる。退屈な日常とは感じられないエキサイティングな光景が目に浮かぶのは、筆者の力量だ。小説のような物語を読むように、どんどん引き込まれる。
今後も本書に登場する学者の発表する論文を追っていきたい。NHK特集とかでもやっているかなぁ?" -
読んでおいて損はない
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非常に面白い。科学者の辿った人生を臨場感のある文章で描いている。引き込まれた。
野外巡検はタフで健康な人に向いている。あと好奇心のある人。 -
■『スノーボール・アース: 生命大進化をもたらした全地球凍結』読了★4.5(5点満点)
地質学・古生物学モノ5冊目。
この30年ぐらいまさに今も議論が続いている赤道まで含めた全地球凍結したという「スノーボールアース仮説」の本。
新たな発見、大胆な発想、地質学者の激しい議論の応酬など、「地質学」に対する静的なイメージが覆る一冊。
地球の歴史がにかなり詳しくなってきた。マーケターだけどねw -
約7億年前の地球に表面全体が凍結するほどの氷河時代があったとする「全地球凍結仮説」を、学界の中心舞台に引きずり出した地質学者たちの記録を記したノンフィクション。
本仮説が現れるまでは、地球が凍結するほどの氷河期は過去になかったと考えられていたが、その理由は、仮に地球全体が凍結するようなことがあったら、凍結した地表が太陽光の大半を反射してしまい、二度と溶けることはないと考えられたことと、約40億年前に誕生した地球生命が、現在まで生き延びられるはずはないと考えられたことであった。
しかし、登場する地質学者たちは、カナダ北極圏、スバールバル諸島、ナミビア、南オーストラリア、ロシアなどで、過酷な気候や蚊、クマ、ゾウ、毒ヘビなどの脅威と戦いながら、仮説と証拠を積み上げ、それまでの常識に風穴を開けていく。
その結果、現在では、全地球凍結こそが原生生物の大量絶滅とそれに続く跳躍的な生物進化をもたらしたと考えられているという。
「全地球凍結仮説」の解説書としてよりも、それまでの常識を覆す科学的革命に一生をかける研究者たちのサイエンス・ドキュメンタリーとして、楽しめる一冊である。
(2012年1月了) -
「カオシデ石に三ジュ白」(カンブリア、オルドビス、シルル、デボン、石炭、二畳、ジュラ、白亜)地質年代をこのようにして覚えた学生時代。そのカンブリア紀よりも前の現在から約7億年前、地球は前面凍結していただと?
しかもそのおかげでカンブリア紀の生命大爆発が引き起こされたというではないか。
どうやら新しい仮説らしいが、それを解明する事実がいろいろと見つかっているそうだ。
そして今から2億五千万年後、再び大陸はパンゲアとなり地球は凍結するという予測。
それまで人類は生き延びているのか、疑問ではある。