ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

  • 早川書房
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レビュー : 175
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150504106

作品紹介・あらすじ

直感的「速い思考」と論理的「遅い思考」による人間の意思決定メカニズムを徹底解剖。

感想・レビュー・書評

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  • 人間の思考には直感的で速い思考"システム1"と熟慮熟考で遅い思考"システム2"がある。

    それぞれのシステムの特徴と、それによって引き起こされる判断エラーを解説!!

    なるほどと感じる例が多い反面、今の私では少し難しいと感じてしまうことも…

    ただ、複数回読んで頭に叩き込む価値のある本だと思いました(^^)

  • ホームズの思考術にあった速い思考と遅い思考(ホームズシステムとワトソンシステム)の元ネタはダニエル・カーネマンのファスト&スローだよなあ、と思い本棚から取り出し出だし少し読んでみた。ワトソンシステムの例が書いてある。考えてみれば普段の生活はほとんどワトソンシステムに任せている。だから、思いもしない事があると、自然な対応が出来ずミスしてしまう、という事になるんだな、と。ホームズは「見る事と観察する事は違う」と語っているけれど、少し日常を観察する事を意識してみよう。

    ↓以下、丸ごと引用
    『近所の人がスティーブのことを次のように描写しました。「スティーブはとても内気で引っ込み思案だ。いつも頼りにはなるが、基本的には他人には関心がなく、現実の世界にも興味がないらしい。物静かで優しく、秩序や整理整頓を好み、細かいことにこだわる」。さてスティーブは図書館司書でしょうか?それとも農家の人でしょうか?
    スティーブの性格が図書館司書のステレオタイプとピタリと一致することは、誰もがすぐに思いつく。だがこの質問に答えるためには同じくらい重要な意味を持つ統計的事実があるのだが、こちらはまず間違いなく無視される。
    あなたはアメリカでは男性の私を1人に対して農業従事者は20人以上いると言う事実を思い出したであろうか。農家の人がこれだけたくさんいれば物静かで優しい男は図書館で座っているよりもトラクターを運転している可能性の方が高い。ところが実験の参加者はこうした統計的事実を無視し、ステレオタイプと類似性だけを問題にした。彼らは難しい判断を下すにあたり、似たものを探して単純化ヒューリスティック(大げさに言えば近道の解決法)を使ったのだと考えられる。このようにヒューリスティックに頼ると答えには予測可能なバイアス(系統的エラー)がかかることになる。』p15

    何か問題や課題が与えられた時、いかにすでに自分の脳内にある、取り出しやすい、慣れた材料で物事を判断しているか!って事ですね。単純化!サポメ課題本の失敗の科学にも単純化の例が書いてあったし、先日ひっつじーさんが紹介してくれた【心配学】でのリスクとリターンの見積もり間違いの話にも通じるなあ。今日は自分がどれほど単純化しているか、意識してみよう。

  • 人間は自分が思うほど、自分の意思決定について理解していない。プライミング効果、アンカリング効果、ハロー効果、バイアス、ヒューリスティクス等さまざまな影響を大いに受けて意思決定はなされている。

    直感的予測は平均回帰を無視しており、バイアスがかかるので、必ず修正が必要だということは忘れずにいたいと思う。

    基準率→直感的予測→平均回帰(基準率に寄せていく)

  • 人間の行動がいかに非合理的で環境からの影響を容易に受けてしまうのか、そして人間の思考がインスタントな因果関係に飛びつきやすく、統計を扱うのに向いていないかを示す名著中の名著。本書に書いてあるバイアスを全て回避することは難しいが自分の下した判断がいかに即時的で揺らぎやすいものかを知るだけでも価値のあることだろう。何度も読み返して、血肉化したい。
    高度な専門的知識を持ってしても未来は不確実性が多すぎて、因果関係では到底説明がつかないことばかり。であるなら、統計の力に頼り、チェックリストを活用することによって、バイアスから少しでも解放される努力をした方が良い。

  • 2002年、ノーベル経済学賞受賞のダニエル・カーネマンによる大作。

    前々からこの本の評判は聞いていたものの、内容が重厚そうで中々チャレンジできなかったのですが、
    学校の指定教科書になってしまったので、強制的に読む機会を得ました。
    結果としては、大満足のとても面白い内容、もっと早く読んでも良かったと思わせてくれる本でした。
    内容の割には読みやすく(決して簡単で軽い本ではないですが)、
    一度読み始めると次の展開が気になって仕方なくなってしまう本でした。

    簡単に内容を紹介すると、著者は人が頭の中で思考するとき、
    速い思考(「直観」のようなもの)と遅い思考(「熟考」のようなもの)の2パターンがあると主張しています(主張というより、比喩を用いて説明しているという感じ)。
    この2つはときに、人の決断・判断を誤らせることがあり、
    どういったときに人は間違った決断・判断をしてしまうのかを
    様々な心理学の実験や統計的な知識を用いて解説してくれます。
    代表的なものが色々なところで言われているヒューリスティック・バイアスでしょう。
    この本を読んで実践できれば、そういった間違いを減らす可能性が高まるでしょう。
    (といっても、実践するのは結構難しい。。)

    欲を言えば、彼の主張を脳科学の観点から補足できれば、より魅力的な&知的好奇心を刺激される内容になったと思われます。
    (誰か脳科学者の方に本の開設をしてもらいたいです。)

  • 意志決定のために思考回路には2つあって
    システム1:類似性で判断するファスト
    システム2:論理的に判断するスロー
    が順に起動するという話。
    たったこれだけだが事例が多く非常に納得性がある。

    以下そのとおりだなと思う抜粋。
    ・笑顔をつくってみるといい。ほんとうに気分が良くなるから
    ・飛行機事故は大々的に報道されるので飛行機の安全性を過小評価しがちになる
    ・「ビジョナリー・カンパニー」での卓越した企業と
     ぱっとしない企業の差はかなりの部分が運による
     (←これには「身もふたもない」と笑ってしまった)

  • 社会心理学のゼミ試対策で上だけ読んだが、この本がとても充実していたためこれで良いじゃん?と思ってしまってそのゼミに入るのをやめた。めちゃ面白い…!

  • 本書を購入したのはずいぶん前のことで,手元には紙の書籍のほうが本棚の中で長く眠っていたのですが,このままではこの本を一生読むことがなさそうだと思い,思い切って電子書籍を買い直すことにしました。

    本作の著者であるダニエル・カーネマンは心理学の研究者の中で唯一ノーベル賞を受賞した非常に高名な人物です。彼の研究については離散的にいくつかの成果を知ってはいたのですが,どうしてもこの分厚い書籍を手にとって読もうと言う勇気が湧いてこず,おずおずとした状態でこれまでの日々を過ごしていました。

    読めば面白いのは間違いなし,選んだ先に新たな視界が開けるであろうということはよくよく想定はついていたのですが,何故だか手に取ることができない。楽しみすぎてそこに近づくことができないという不思議な現象を数年間も味わっていました。

    行動経済学の提唱者でもあるカーネマンが本書の中で解説する多くの研究は,そのどれもが非常に興味深いものでした。読めば読むほどハマっていってしまう。それは読む前から想定がついていたのですが,それにしてもなぜこれまで長い間こんなに良い本を読まなかったんだろうという不思議な後悔を持ちつつも,多くのことを学ばせてもらったという感謝に満たされた読後感でした。

    ということで虫食い的に色々知っているつもりであったカーネマンの業績を,システム1とシステム2という,無意識と意識の世界,もしくはモジュールと実行系の世界から,系統的にしっかりと知ることができたという状況に自信を持ちつつ,下巻という未知の海原へとさらに向かっていきたいと思います

  • 意図的な数量制限が効果的なマーケティング手法になることはご存知だろうか。例えば、あるスーパーマーケットが定価から10%引きで販売した。

    数日間は、「お1人様12個まで」の張り紙が出され、残りの数日間は「お1人様何個でもどうぞ」の張り紙に変わった。

    すると制限されていた日の平均購入数は7缶で、制限なしの日の二倍に達したのである。

    数量制限を設けることで、品物が飛ぶように売れていく様子が想像され、買い物客は急いで買い溜めしなければ、という気にさせられたことだろう。

    そして「12個」という表示が、いい加減に選ばれたとしても効果は変わらないだろう。

    ここでは「アンカリング効果」も適用されている。「アンカリング効果」とは基準値を設定することで、そのことを想像しやすくする効果がある。

    例えば、「あなたは環境汚染のためにいくら寄付しますか?」という質問があるとする。この時に「いくら」ではなく「5ドル以上寄付するつもりはありますか?」と質問したとする。

    その結果、平均20ドルの寄付額になった。しかしここで、もし「400ドル以上寄付するつもりはありますか?」とする。

    そうすると面白いことに平均143ドルの寄付額が集まった。

    つまり、逆を考えれば提示された金額が高めに設定されていれば、私たちはかなり値切れたと思っても実は全然値切れていない可能性がある。

    そういった時に効果的な対処法は、高すぎる金額に対して、低すぎる金額を提示するのではない。

    憤慨して、その場を立ち去る素ぶりを見せたり、自分はその金額では交渉を続けるつもりはないという姿勢を見せることが大事である。

  • 面白かった。今までおかしいな、と思っていたことが晴れる感じ。下巻も楽しみ。

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著者プロフィール

心理学者。プリンストン大学名誉教授。2002年ノーベル経済学賞受賞(心理学的研究から得られた洞察を経済学に統合した功績による)。
1934年、テル・アビブ(現イスラエル)に生まれへ移住。ヘブライ大学で学ぶ。専攻は心理学、副専攻は数学。イスラエルでの兵役を務めたのち、米国へ留学。カリフォルニア大学バークレー校で博士号(心理学)取得。その後、人間が不確実な状況下で下す判断・意思決定に関する研究を行い、その研究が行動経済学の誕生とノーベル賞受賞につながる。近年は、人間の満足度(幸福度)を測定しその向上をはかるための研究を行なっている。著作多数。より詳しくは本文第2章「自伝」および年譜を参照。

「2011年 『ダニエル・カーネマン 心理と経済を語る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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