ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

制作 : 村井章子 
  • 早川書房 (2014年6月20日発売)
4.27
  • (85)
  • (63)
  • (29)
  • (2)
  • (1)
  • 1290人登録
  • 65レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150504106

作品紹介

直感的「速い思考」と論理的「遅い思考」による人間の意思決定メカニズムを徹底解剖。

ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • ホームズの思考術にあった速い思考と遅い思考(ホームズシステムとワトソンシステム)の元ネタはダニエル・カーネマンのファスト&スローだよなあ、と思い本棚から取り出し出だし少し読んでみた。ワトソンシステムの例が書いてある。考えてみれば普段の生活はほとんどワトソンシステムに任せている。だから、思いもしない事があると、自然な対応が出来ずミスしてしまう、という事になるんだな、と。ホームズは「見る事と観察する事は違う」と語っているけれど、少し日常を観察する事を意識してみよう。

    ↓以下、丸ごと引用
    『近所の人がスティーブのことを次のように描写しました。「スティーブはとても内気で引っ込み思案だ。いつも頼りにはなるが、基本的には他人には関心がなく、現実の世界にも興味がないらしい。物静かで優しく、秩序や整理整頓を好み、細かいことにこだわる」。さてスティーブは図書館司書でしょうか?それとも農家の人でしょうか?
    スティーブの性格が図書館司書のステレオタイプとピタリと一致することは、誰もがすぐに思いつく。だがこの質問に答えるためには同じくらい重要な意味を持つ統計的事実があるのだが、こちらはまず間違いなく無視される。
    あなたはアメリカでは男性の私を1人に対して農業従事者は20人以上いると言う事実を思い出したであろうか。農家の人がこれだけたくさんいれば物静かで優しい男は図書館で座っているよりもトラクターを運転している可能性の方が高い。ところが実験の参加者はこうした統計的事実を無視し、ステレオタイプと類似性だけを問題にした。彼らは難しい判断を下すにあたり、似たものを探して単純化ヒューリスティック(大げさに言えば近道の解決法)を使ったのだと考えられる。このようにヒューリスティックに頼ると答えには予測可能なバイアス(系統的エラー)がかかることになる。』p15

    何か問題や課題が与えられた時、いかにすでに自分の脳内にある、取り出しやすい、慣れた材料で物事を判断しているか!って事ですね。単純化!サポメ課題本の失敗の科学にも単純化の例が書いてあったし、先日ひっつじーさんが紹介してくれた【心配学】でのリスクとリターンの見積もり間違いの話にも通じるなあ。今日は自分がどれほど単純化しているか、意識してみよう。

  • 私たちの内的な決定機関には二つのシステムがあるということを、様々な実験から検証し提言する内容。ノーベル経済学賞を受賞した著者なので、内容は決して難しく書かれていないが、検証の緻密さ精密さはくどいほど。しかし目から鱗の大変面白い内容だった。

    ファスト&スローとは、簡単に言えば「直感」と「理性」といったところだろうか。私たちはあることに直面した時、自身にとって最善の方を選択しようとするし、状況と前提に合わせた回答を用意しようとする。しかしその選択の大部分は理性によって吟味されたものではなく、前提とされた状況や経験によってゆがめられている。「直感」はあるフレームがあり、それにのっとったものをストレスなく選び取ろうとする。「理性」は直感が選び取ったものをもう一度フィルターにかけて自己に問い直すような役割を果たす。しかしこの「直感」は大変揺れやすく、「理性」も直感のブレの幅に結構影響を受けてしまう。

     行動経済学に初めて触れた気がするが、この検証は結構恐ろしい。特に宗教者にとっては足元がぐらぐらする思いだ。信仰が個別的であり、自身の経験と直感にかなりの比重がかかっていることは自明である。マインドコントロールという言葉は使いたくないが、構造主義の賜物というのか。メタゲームの先に信仰は見えるのか、人生の課題でもある。

    17.12.5

  • 人間の思考方法というべきか、思考しているようで思考させられているというべきかわからないが、この思考のシステムを考慮することにより自分のシステムの癖であったり相手のシステムの癖がわかり、それを利用することにより社会は成立している。

  • 考える力とは、何か?深く知りたい人におすすめの一冊です。

    どうすれば考える力を鍛えることができるのか?
    そのヒントを知るためには、その本質を知る必要がある。人間の思考には、癖があります。癖があるからこそ、その癖が悪く出ないために学ぶ必要があり、強く意識を持つ必要があります。

    思考には早い思考(直感)と遅い思考(熟考)があります。この2つの思考の違いについて、色々な事例や研究結果を通じて学ぶことができます。
    心理学者にしてノーベル経済学賞受賞の著者による面白い一冊です。

  • 人間の行動には2つのシステムが関与する。
    自動的に高速で働き、努力は全く不要か、必要であってもわずかであるシステム1,
    複雑で困難な知的活動に注意を割り当てるシステム2.
    最小努力の法則とは、ある目標を達成するのに複数の方法が存在する場合、人間は最終的に最も少ない努力ですむ方法を選ぶ。

  • ”意志”がどのように決まるか、という命題に関してあらゆる角度から、様々な文献、心理実験の結果をベースにアプローチがなされている。
    上巻だけではその結論が出てはいないが、いかに我々が”意志”や”客観””主体”と思っているのが曖昧で偏ったものであるかが良くわかる。

    そして、その内容もさることながら文章がとても分かりやすくユーモアまであり読んでいて本当に楽しい。下巻が楽しみ。

  • ノーベル経済学賞を受賞した著者による、行動経済学の本。
    多彩な実例を基に、数々の事実を明らかにしています。

    なかなか読み応えのある本でした。
    下巻にも期待です。

  • 上巻では、人の二つの認知システム「システム1(自動システム)」と「システム2(制御システム)」について多くが語られる。
    実際にこうした脳機能が存在しているわけではないが、人間の心理をわかりやすく説明するためにあえて学術的に不適切な「擬人化」を使ったというところが、この本が広く一般に受け入れられている理由だろう。
    ノーベル経済学賞を受賞した心理学者だからこそ、こういう不適切な説明が許されている感もある。
    この本では、なぜ擬人化が人にわかりやすいかについてもさりげなく説明している。
    擬人化は萌え文化の専売特許ではないということだ。
    これを読めば、人の心理「システム1」と「システム2」が愛おしく思えるに違いない。この世で起こるアホな事件、アホな自分にも、きっと寛容になれるはずだ。

  • 行動経済学に関する本。上下巻あって長いですが、難しいようなら他のもっとお手軽な本で慣らしながら少しずつ読んでみてもいいかもしれません。

  • 人間が意思決定を行う際、じっくり考えればわかるものも過去の経験則などから直感を駆使してしまうことにより、非合理的な選択を行ってしまう等といった行動経済学に関するあらゆる事象を平易な文章で記載しており、とても勉強になりました。
    但し、分量が非常に多く、頭を駆使する必要があるため、読み進めるのに相応の時間が掛かります。
    面白い内容ではあるのですが、長期戦は必至であるため、挫折してしまう方も多いかもしれません。

全65件中 1 - 10件を表示

ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)のその他の作品

ファスト&スロー (上) Kindle版 ファスト&スロー (上) ダニエル・カーネマン

ダニエル・カーネマンの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
シーナ・アイエン...
J・モーティマー...
トマ・ピケティ
三浦 しをん
有効な右矢印 無効な右矢印

ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)に関連するまとめ

ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)はこんな本です

ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする