ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

制作 : 村井章子 
  • 早川書房
4.27
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本棚登録 : 1471
レビュー : 76
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150504106

作品紹介・あらすじ

直感的「速い思考」と論理的「遅い思考」による人間の意思決定メカニズムを徹底解剖。

感想・レビュー・書評

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  • ホームズの思考術にあった速い思考と遅い思考(ホームズシステムとワトソンシステム)の元ネタはダニエル・カーネマンのファスト&スローだよなあ、と思い本棚から取り出し出だし少し読んでみた。ワトソンシステムの例が書いてある。考えてみれば普段の生活はほとんどワトソンシステムに任せている。だから、思いもしない事があると、自然な対応が出来ずミスしてしまう、という事になるんだな、と。ホームズは「見る事と観察する事は違う」と語っているけれど、少し日常を観察する事を意識してみよう。

    ↓以下、丸ごと引用
    『近所の人がスティーブのことを次のように描写しました。「スティーブはとても内気で引っ込み思案だ。いつも頼りにはなるが、基本的には他人には関心がなく、現実の世界にも興味がないらしい。物静かで優しく、秩序や整理整頓を好み、細かいことにこだわる」。さてスティーブは図書館司書でしょうか?それとも農家の人でしょうか?
    スティーブの性格が図書館司書のステレオタイプとピタリと一致することは、誰もがすぐに思いつく。だがこの質問に答えるためには同じくらい重要な意味を持つ統計的事実があるのだが、こちらはまず間違いなく無視される。
    あなたはアメリカでは男性の私を1人に対して農業従事者は20人以上いると言う事実を思い出したであろうか。農家の人がこれだけたくさんいれば物静かで優しい男は図書館で座っているよりもトラクターを運転している可能性の方が高い。ところが実験の参加者はこうした統計的事実を無視し、ステレオタイプと類似性だけを問題にした。彼らは難しい判断を下すにあたり、似たものを探して単純化ヒューリスティック(大げさに言えば近道の解決法)を使ったのだと考えられる。このようにヒューリスティックに頼ると答えには予測可能なバイアス(系統的エラー)がかかることになる。』p15

    何か問題や課題が与えられた時、いかにすでに自分の脳内にある、取り出しやすい、慣れた材料で物事を判断しているか!って事ですね。単純化!サポメ課題本の失敗の科学にも単純化の例が書いてあったし、先日ひっつじーさんが紹介してくれた【心配学】でのリスクとリターンの見積もり間違いの話にも通じるなあ。今日は自分がどれほど単純化しているか、意識してみよう。

  • 何度か読まないと多分理解できない。人がどのように物事を認識し、理解しているかを分解して説明している。

    人の仕組みを理解することで、あらゆることに転用が可能になる。名著。

  • 私たちの内的な決定機関には二つのシステムがあるということを、様々な実験から検証し提言する内容。ノーベル経済学賞を受賞した著者なので、内容は決して難しく書かれていないが、検証の緻密さ精密さはくどいほど。しかし目から鱗の大変面白い内容だった。

    ファスト&スローとは、簡単に言えば「直感」と「理性」といったところだろうか。私たちはあることに直面した時、自身にとって最善の方を選択しようとするし、状況と前提に合わせた回答を用意しようとする。しかしその選択の大部分は理性によって吟味されたものではなく、前提とされた状況や経験によってゆがめられている。「直感」はあるフレームがあり、それにのっとったものをストレスなく選び取ろうとする。「理性」は直感が選び取ったものをもう一度フィルターにかけて自己に問い直すような役割を果たす。しかしこの「直感」は大変揺れやすく、「理性」も直感のブレの幅に結構影響を受けてしまう。

     行動経済学に初めて触れた気がするが、この検証は結構恐ろしい。特に宗教者にとっては足元がぐらぐらする思いだ。信仰が個別的であり、自身の経験と直感にかなりの比重がかかっていることは自明である。マインドコントロールという言葉は使いたくないが、構造主義の賜物というのか。メタゲームの先に信仰は見えるのか、人生の課題でもある。

    17.12.5

  • 思考システムには、早とちりなS1と面倒くさがりなS2がある。私たちは、S1が先に働く事で主観によるバイアスがかかり判断を誤る事がある、S2で熟考すればわかるけどS2は面倒がる。ただこの事を意識し大事な局面ではS2を働きやすくする工夫(リラックスや余裕のある時間の確保等)をすると少し合理的に考えられるようになったように感じる。

  • よくわからなかった。名著みたいだが、挫折本

  • 〜私たちの「意思」はどのように決まるのか?
    そして「直感」はどれほど正しいのか?〜
    直感的、感情的な「速い(ファスト)思考」システム1
    意識的、論理的な「遅い(ロー)思考」システム2
    本のカバーより。

    何をどう使っているのか、
    何が入り込んでいるのか、
    認知のこと、バイアスのこと、錯覚のこと、
    面白いです。読み進め中。

  • 行動経済学と認知心理学の面白さ、可能性を詰め込んだ本。私達が日頃合理的に下している(と思っている)意思決定がどれだけいい加減なものであるかを教えてくれる。AIと人間の本質的な違いを考える上でも多いに勉強になる。

    個人的には星6つをつけたいレベル。

  • 2018/05/24 購入
    2018/08/24 読了

  • 2018/05/06読了。

    面白い実験や問題が各章毎にあり、自分がいかに直感に頼っていたかそしてその直感はあまり当てにならないという事を思い知った。
    序盤に出てきたバラバラな用語が中盤以降何度も、それも組み合わせて事例の説明に用いられている様になっている。著者は読者に対してこれら用語への「認知容易性」を高めようとしたのかな。

    印象に残っているのは第7章、「自分が見たものが全てだ」という思い込みが判断と選択に影響していて判断に必須の情報が欠けていてもそれに気付かない、という話。当たり前の事なんだと思うけどこのバイアスは怖い。
    一目、異常のない状態や分かりやすい状況を見たときに隠れた因子に気付かず事態を悪化させてしまうという事は、時に致命的なミスに繋がるだろうと思う。

  • 行動経済学と意思決定論できちんと一冊読むならこれってやつ。当たり前なんだけど、理論化されると目から鱗になる。
     こういうところが、認知心理学の醍醐味なんだよなぁ。


     人には本能がつかさどるシステム1と理性がつかさどるシステム2がある。というお話。この二つのせめぎあいで、いろんな錯覚やら認知のゆがみをしてしまう。それを解説している本である。


     結局は、謙虚であれ。システム1も2も完璧じゃないなら、己を過信することなかれ、科学を過信することなかれ、謙虚に生きようってなるね。うーん、仏教に収斂していく…。まぁどんな宗教とかにも当てはまるか。さっすが年季が違うぜ。

     

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著者プロフィール

心理学者。プリンストン大学名誉教授。2002年ノーベル経済学賞受賞(心理学的研究から得られた洞察を経済学に統合した功績による)。
1934年、テル・アビブ(現イスラエル)に生まれへ移住。ヘブライ大学で学ぶ。専攻は心理学、副専攻は数学。イスラエルでの兵役を務めたのち、米国へ留学。カリフォルニア大学バークレー校で博士号(心理学)取得。その後、人間が不確実な状況下で下す判断・意思決定に関する研究を行い、その研究が行動経済学の誕生とノーベル賞受賞につながる。近年は、人間の満足度(幸福度)を測定しその向上をはかるための研究を行なっている。著作多数。より詳しくは本文第2章「自伝」および年譜を参照。

「2011年 『ダニエル・カーネマン 心理と経済を語る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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