続・100年予測 (ハヤカワ文庫NF)

  • 早川書房 (2014年9月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784150504168

作品紹介・あらすじ

大好評『100年予測』の著者が描くリアルな近未来! 震災後の日本に贈る特別序文付。

感想・レビュー・書評

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  • 原題は「The Next Decade」とあり、内容も2011年からの10年間のアメリカを中心とする世界の動きを記述しているところから、正確には『10年予測』とすべきであろう。
    正直『100年予測』ほどのインパクトはなかった。

  • これからの国際情勢を読み取る上で必須となる情報が盛り沢山。必然的に日本の進むべき方向も見えてくる。

  • 今回の予測の範疇は10年でした。2011年から10年くらい。答え合わせもできますが、前作に比べると現実的な内容が多かったように思います。

  • 邦題は100年予測の続編という感じだが、内容を読むと原題のTHE NEXT DECADEのほうがしっくりくる。2011年時点の内容という点に留意。

    ・地域勢力を均衡させるための、アメリカ政策の三原則
     ①世界や諸地域で可能なかぎり勢力均衡を図ることで、それぞれの勢力を疲弊させ、アメリカから脅威をそらす
     ②同盟を利用して各国間の揉め事(対決や紛争)の負担を他国に担わせる。その見返りに経済的利益や軍事技術、必要ならば軍事介入を約束して、他国を支援する。
     ③軍事介入は最後の手段(勢力均衡が崩れ、同盟国が問題に対処できなくなったときのみ)。

    以下は日本に関係する部分の記載で気になったところ。

    〇「氷河型」「地震型」の社会
     ・「氷河型」社会(アメリカなど)
      氷河が動くように変化が絶えず、社会、政治体制がつねに少しずつ変わっている社会。一つのできごとがいきなり社会を一変させることはない。
     ・「地震型」社会(日本)
      さまざまなできごとが起きても、長い間にわたってほとんど変化が見られない。しかしその間、国内体制や対外関係では、水面下で圧力が高まっており、突如として体制が瓦解し、大変革が起きる。

    〇日本社会に「地震」が起きるとき
     ・3.11と中東情勢が重なったことで、日本は自国の運命がアメリカの手に握られており自分でコントロールできない事に気付いた。
     ・日本にとって、これは到底耐えられない。しかし日本は「地震型社会」なので、殆どの他国よりも耐えることができる。圧力が高まってもしばらくは耐え続けるが、圧力が臨界に達すると、社会は地震に見舞われ、地殻変動を経験する。
     ・これが起きるのは、日本の政治文化が国の必要を満たさないのではないかという疑念が生じたとき。換言すれば、このうえない脆弱性を自覚し、政治構造がこの脆弱性に対処できないと悟ったとき。

    〇日本経済の衰退
     ・ 日本経済を動かしているのは、企業連合(ケイレツ)と政府の非公式な協力関係(企業連合に非常に大きな自由度を与えている)。国民が郵便貯蓄に預けた資金を日銀と都市銀行経由で日本企業に低金利(アメリカに比べ)融資したことで優位性を確保した。しかし国民は多額の資金を貯める必要から消費を控え、内需は低迷した。
     ・また、アジアとの競争が激化した際に値下げ攻勢をかけたことで利益圧迫・収益低下が起きた。この時成長資金を借入に依存したためますます返済困難となった。
     ・日本企業は定年までの終身雇用の伝統(『一種の社会契約』)を尊重し、成長を犠牲にして完全雇用を維持した。これにより国の中核的利益を守りとおした。

    〇次の10年
     ・出生率低下により、債務と人口動態が日本に重大な危機をもたらしている。
     ・次の10年には、経済モデルの転換を迫られる。これは中国も同様だが、日本には、中国とは異なり貧困にあえぐ10億の国民がいないという圧倒的な強みがある。日本は必要とあれば社会不安を起こさずに、乏しきに耐えることができる。
     ・日本の根本的な弱点は、産業に必要なすべての天然資源が不足していること。資源調達に問題が生じれば、国内で賄うという選択肢をもたない日本が、ふたたび強硬姿勢をとる可能性は高い。

  • この本は100年予測というタイトルでありながら、近10年、アメリカがとるべき施策の提言と言う印象をうけました。と思ったらThe Next Decadeというタイトルですので、こっちの方が正確なんじゃないかと思います。
    アメリカ観点から見ると一国が勝ち組にならず、中東でイランとトルコとイスラエル、ヨーロッパでロシアとドイツが組まないようにする、太平洋地域で中国と日本を均衡化させるというのは理にかなっている気がしますね

  • 文庫化でタイトルを変えるとはひどい. この本,もともとは「激動予測」という名前で単行本で発売されていた本.現代は"The Next Decade"で,アメリカの今後10年を予測する内容. なんだよ~,激動予測は読了していたのに,新作だと思って買っちゃったじゃないか. 激動予測の前の作の「100年予測」は地球規模の今後100年を予測するもので非常に面白かった.それに対し,「激動予測」はアメリカ中心の直近10年がテーマということで,日本人からすると,面白いながらも前作ほど夢中になるものではなかった.

  • 邦訳のタイトルとは異なり、アメリカの 2010 年代の世界戦略についての提案を述べた本。
    戦略としての正しさについては納得がいく内容ですが、流石にトランプ大統領の出現までは予測できなかったんだなぁ。(^^;
    とは言え、逆にトランプ大統領がこの本を読んでいる可能性があって、一部の戦略が実現されつつある気もします。
    そう思えば、結構正しい予測だったんだなぁ。
    ここまで正しいものを出版してしまって良かったのか疑問に感じないでもありませんね。(^^;

  • 続・100年予測「ハヤカワ・ノンフィクション文庫」

  • 今後10年にしぼって帝国アメリカがどう動くべきか、を提言した本。
    特に日中の部分が興味深い。

  • アメリカが中国よりも、むしろ日本を仮想敵国(将来の武力衝突)として扱っているところに驚く。まあ驚くと言うよりやっぱりかなというかんじかな。

  • 題名が『続・100年予測』とあるので、『100年予測』の続編と思い読み進めるとどうも書いてある内容が合わない。原題を調べてみると『The Next Decade』…次の10年!?
    前作が話題になったのでそれに乗っかっちゃったのか、期待していた内容と違い肩透かしを食らう。
    内容はアメリカを中心とした比較的最近の話題をベースに短期的な予測についての記載となる。まったく無関連な本として読むほうが良さそう。

  • ・日本では小さな変化を起こすのは難しいが、とてつもなく大きな
     分裂や変容が、一気に起きることがある。

    ・日本がゆっくりと変化することはない。
     日本の変革は、地震から生じる。

    ・アメリカは、北東アジアの真の強国、日本に焦点を移すだろう。
     日本は世界第三位の経済大国であり、地域最大の海上軍備を擁する国。

    ・大統領は、制度であり個人でもあるという点で他に類を見ない機構。

    ・ロシアは、長期的には弱い国。

    ・西太平洋地域の最大にして長年にわたる敵対関係は、中国と日本。

    ・日本の工業国としての存立は、アメリカがシーレーンの安全を
     確保してくれるかどうかにかかっている。

    ・中国が弱体化すれば、日本は思うまま力を誇示できるようになる。
     アメリカの対日戦略は、中国が分裂しないよう手を打つこと。

    ・アメリカが日本と戦争になった場合、韓国、オーストラリア、
     シンガポールが重要な同盟国となる。

    ・海洋を制する者が、最後には国際貿易を制する。

    ・アメリカ大統領の行う決定や突然の政策変更によって影響をうけ、
     しばしば被害を受けるのは、むしろアメリカ以外の国の一般市民。

  • 2010年代に起こる可能性のある,世界各国間で関係や情勢の変化を論じ,その上でアメリカはどう振る舞うのが望ましいかを考察する内容.アメリカが世界経済の1/4を単独で占め,世界の海洋を支配するに至ったことはすなわち,アメリカが事実上世界帝国になってしまったということを意味しており,従ってアメリカは大統領が主導する下に国として,すなわち国を構成する一人ひとりの国民というレベルで,今後10年の間にその事実をはっきりと受けとめ,それにふさわしい思考とそれに基づく行動をとるよう「成熟」する必要があると説く.
    大局的に見ればこれからの10年は,冷戦終結から今に至るまでの,一貫した戦略のない「堕落した」外交政策の埋め合わせをしながら,各国を近隣で拮抗する勢力を持つと常に対峙させておくことが肝要だとする.
    前の「100年予測」と比べると,ドイツやフランスの立場に対する評価がやや変わっており,特にドイツはロシアに対峙する勢力ではなく,むしろ同盟を築いてアメリカの覇権を脅かす可能性がある勢力と見なされている.また,「100年予測」では,南米に脅威が出現する可能性は無いと述べていたところを,本書ではブラジルが地域覇権国となり,大西洋対岸のアフリカを指向して海軍力を増強する可能性に,長期的な視点から言及し,これを防ぐためにアルゼンチンと協力的関係を築くことを提案している.
    なお,著者のサイト(https://www.geopoliticalfutures.com/)のコラムによると,著者はTrump大統領が,既存の国際関係や二国間協約によってアメリカの行動の自由が奪われたり,またそれに基づいてアメリカが打つ手を他国に見透かされたりすることを嫌っていること,その上で国際社会の中での道義的責任から離れて,アメリカ自身の利益にかなう外交政策を取る必要があり,また地域レベルの紛争は可能な限り,当事国や近隣国の負担によって解決されるべきだと考えていることを,好意的に評価しているようである.こうした考えの現れとして,共和党の候補者が決まっていなかった段階で既に,「こうした見方は彼ではないにせよ,未来の大統領の誰かしらが履行するだろう」と述べている.
    一方で,彼の侮辱的な発言は国内の分裂を助長するものとして危惧しており,特にベトナム戦争で捕虜になったことのある共和党のMcCain氏について「彼は英雄ではない,私は捕虜にならない兵士を好む」と発言したことについては,大統領の決定に基づいて前線で戦う兵士の戦意を傷つけると警鐘を鳴らしている.

  • 前作「100年予測」でロシアのウクライナ侵攻が当たったので地政学に興味が出ていたところ早川文庫で発見。前作に劣らず興味深い話が多い。ただ、アメリカが本当にこんな戦略で動いているとしたら日本ももう少ししたたかでないとだめかもしれない。この本でも中東のごたごたやテロはアメリカ大統領の戦略ミスだと書いてあるが迷惑な話。今の候補者は大丈夫なのか?

  • 日本語のタイトルは「続・100年予測」となっていますが、書かれている内容は原題の通り、直近の10年間に起こることを予測した本です。日本語訳の出版が2011年なので、2010年から2020年までの予測です。

    前作は100年予測が主題であったので、2020年の動きよりも、それ以降の動きについて詳しく書かれていましたし、私もそちらに興味を持って読みました。今回は私が勤務している業界にも影響してくる内容ですので、前作とは違った気持ちで読むことになりました。

    アメリカが安泰なのは変わらないようですが、それはブレトンウッズ体制以来続けてきた世界の警察官を辞めることになって、荷を下ろせたことによるのかも知れません。そのために世界各地で動きが活発になるようです。

    以下は気になったポイントです。

    ・今日の世界システムはアメリカを中心に回っている、第一次世界大戦までの時代に、イギリスが中心だったのと同じ。100年予測ではアメリカの長期的な強さを論じたが、今回(10年予測)では、アメリカの弱さを書く。この弱さは長い目で見れば問題にならず、時間がその殆どを解決する(p25)

    ・アメリカは、1970年代に中国に手を差し伸べたように、イランと折り合わなければならない(p30)

    ・ドイツは、欧州近隣諸国より、ロシアとの方が利害が一致するという結論を出しつつある(p31)

    ・欧州が臨戦態勢に入る中、連邦議会と国民は中立維持を望んだが、ルーズベルトはフランスへの武器売却、イギリスには商船のアメリカ海軍による護衛を確約し、中立に違反した(p50)

    ・軍事介入は、勢力均衡が崩れて、同盟国が問題に対処できなくなったときにのみ、最後の手段として使う(p57)

    ・ローマ共和国が倒れた原因が、クーデターではなく、市民・外国人から帝国の首都にわたった巨額の賄賂であったことに異論の余地は無い。(p61)

    ・条約、使命、予算、そして正式な宣戦布告には議会の承認が必要だが、軍隊の指揮権は大統領だけにある。(p65)

    ・アメリカは2001年9月にタリバン拠点を空爆したが、ロシアの支援する反タリバン組織・北部同盟と取引を行ったこと。(p101)

    ・オスマン帝国は、1453年にコンスタンチノープルを征服し、16世紀にはアレキサンダー大王の手に落ちた領土の殆どを掌握していた。北アフリカ、ギリシア、バルカン半島、地中海東海岸(p134)

    ・イランは核保有国になる恐れがあり、トルコは強大な地域勢力と化して、イスラエルとの緊密な軟系を改める可能性がある(p162)

    ・中東における三対の均衡とは、アラブ(シリア・レバノン・エジプト・ヨルダン)対イスラエル、インド対パキスタン、イラン対イラクである(p165)

    ・トルコはアメリカがどのような行動を取ろうと、今後10年以内にイランに対抗する力を持つ。中東最大の経済国で、ロシア・イギリス以外では、欧州最強であろう(p180)

    ・ソビエト連邦の崩壊後は、共産主義者がつなぎとめていた広大な帝国が分解し、ロシア政府に残ったのは、帝国の中心部であったモスクワ大公国(とシベリア)だけだった。ロシア連邦は弱体化したが、それでも永らえた(p185)

    ・ロシアは1世紀以上前から、欧米に比肩する産業大国を目指していたが、プーチンはけっして追いつけないことを悟り、天然資源の開発・探査に重点をおく戦略へ転換した(p188)

    ・アメリカの河川は、農村地帯と食料の流通拠点となる港を結びつけるが、ロシアの河川は障壁にしかならない。ロシア皇帝、帝政ロシアの鉄道債、スターリンでさえ、この問題は解決できなかった(p197)

    ・ポーランドには、第二次世界大戦初期にドイツの侵攻を受けた時、イギリスとフランスがドイツからポーランドを守るという約束を反故にしたという暗い影がある(p205)

    ・ドイツに何が起ころうと、アメリカにとって、バルト海の出口を塞ぐデンマークとの緊密な二国間関係を維持することが重要。ノルウェーも、ノールカップ岬がムルマンスクのロシア艦隊を阻止する拠点になるので意味がある(p208)

    ・新大陸発見以来、欧州は4つの地域に分かれていた。大西洋ヨーロッパ、スカンジナビア、南東ヨーロッパ、ロシアである(p216)

    ・1900年当時には、世界に帝国が12個あった、アメリカ・ベルギー・イギリス・デンマーク・オランダ・フランス・ドイツ・イタリア・日本・ポルトガル・ロシア・スペイン(p220)

    ・EUは二つの目的があった、1)西ヨーロッパを限定的な連合として統合、ドイツとフランスを結びつけることで、ドイツ問題を解消して戦争の危険を軽減する、2)東欧を欧州社会へ呼び込むための器(p225)

    ・アメリカでは、南北戦争によって、連邦政府が主権を、なかでも外交問題では絶対的主権を持つことが認められた。連邦が勝利したことで、個々の州が主権を有すべきという、脱退した南部連合国の主張は退けられた、EUは連合型モデルが健在(p226)

    ・NATO会議では、イラク戦争でアメリカ軍を支援するトルコへの防衛支援をアメリカが要請したとき、圧倒的多数の国が黙認したが、ドイツ・フランス・ベルギー・ルクセンブルクが反対した。NATOは全会一致である(p238)

    ・中国の人口の殆どが東部の沿岸から700キロ以内の地域に集中していると考えると、島のイメージは的を射ている。人口がこれほどまでに集中しているのは、水が手に入りにくいから。380ミリが人口を維持するために必要な最低限の降水量だ(p253)

    ・日本は原材料を安定確保するために、日本は強大な海軍力を必要とした。アメリカは日本に対する防衛手段として、海軍力を拡充することで日本の安全保障を脅かしていた。この相互威嚇の帰結が太平洋戦争であった(p255)

    ・中国には世帯年収1000ドル未満の人口が6億人、一家族が一日3ドル未満で暮らしている計算となる。さらに4.4億人が2000ドル未満。中国の8割が、サハラ以南のアフリカと変わらぬ貧困のうちに暮らしている(p259)

    ・結束の固い日本社会は、成長を犠牲にして完全雇用を維持したことで、10年を無駄にするどころか、国の中核的利益を守り通した、しかし次の10年は公的・民間部門の債務を際限なく増やして完全雇用をする方法はとれなくなる(p263)

    ・インドには中央政府があるものの、国を構成する各州が独自の法律をもっており、その一部が経済発展の妨げになっている(p277)

    ・次の10年は、アメリカが他の問題に気を取られるため、アジアの二大強国(中国と日本)は、外部勢力の影響をうけず、独自の道筋を歩むだろう(p280)

    ・アンゴラはブラジルと同様、ポルトガル語を母国語をとしている。ブラジルが南太平洋を支配するだけでなく、アフリカ沿岸部に配置することもあり得る(p291)

    ・もし1800年に分別のある人に、200年後に北米を支配している国はどこかと尋ねたら、メキシコと答えただろう。先進国、軍事力も強かった。(p293)

    ・アメリカは、メキシコの違法移民と、麻薬の不正輸出という、ふたつの問題に直面している。根底にあるのはアメリカの経済システムがそれを求めているという事実である。不法入国するのは仕事が確実に見つかるから(p295、297)

    ・メキシコ移民が流入している地域は、かつてのメキシコ領土であることが多い。メキシコ人は移住しても、本国との結びつきを断つとは限らない。異文化に適応する必要はほとんどない(p296)

    ・麻薬の利益率の、妥当かつ控えめな推定値は90%、400億ドルの違法取引は360億ドルの利益をもたらす。1300億ドルの合法的輸出の利益(130億ドル)の3倍にも上る(p299)

    ・アメリカにたどり着く前の麻薬は原価が非常に安いため、貨物を欧州しても貿易額にはほとんど影響ない。すぐに補充される(p300)

    ・アメリカがとるべき最良の戦略は、移民の流入を全力で阻止していると見せかけて、こうした取り組みが確実に失敗するように取り計らうこと、これがアメリカがとってきた不法移民戦略(p301)

    ・カナダのどこかの州がアメリカの敵対勢力と結びつくのはアメリカは許さない、起こり得るシナリオは、ケベック州が独立したとき。(p306)

    ・次の10年に影響を及ぼす2つの問題は、人口動態と科学技術である(p321)

    ・有用なロボット開発には、長い間発展が見られない2つの重要分野での技術的ブレークスルーが不可欠、マイクロプロセッサとバッテリー(p325)

    ・次の十年で、合流しつつある二つの技術が行詰るだろう。1つが通信革命、2つめが破壊的なデジタル技術である。(p326-329)
    ・デジタル技術で必要なのは、攻めの姿勢をとり、データを利用して現実に働きかけ、変えること(p330)

    ・問題は、脱塩にも、水の輸送にも、とほうもないコストと莫大なエネルギーが必要であること。このエネルギーは、現在利用可能な技術では、得られない。宇宙太陽光発電など、新しいアプローチが必要(p335)

    ・10年という短い時間枠では、一人ひとりの個人、政治権力を握る個人が下す決定が重みをもつ、これは100年という長い範囲での将来シナリオ作成ではほとんど考慮されなかった。(p361)

    2016年2月21日作成

  • アメリカは、好き嫌いにかかわらず、既に帝国となっている。また、大統領がこの帝国を共和制の要素を残せるかどうか、重要であると書かれているが、そのように、個人に重大な決定がゆだねられているならば、民主制でなく、独裁制に近いのではと思ってしまう。これでは、ローマが帝国制になった3頭政治のころと同じと思ってしまう。このように重要な決定が個人にゆだねられるようになると独裁制に移行してしまうことは、歴史を見ると避けられないのではと思ってしまう。私は、前作のほうが好きであるが、

  • 読了。
    前作が抜群に面白かったので、思わず手に取った本作。前作と異なりアメリカ目線で今後の10年を占う。そもそも原題が"The next decade"なので100年予測ではない(笑)。此処でも(中長期的に)日本は地政学的に大陸に進出せざるを得ない、との論。アメリカの基本的な行動原理が、アメリカ帝国覇権を脅かす地域大国を作らないようにする、という点にあるので、日本は将来アメリカとも再び衝突する。そうならないよう、アメリカは時間稼ぎをせねばならない、と説く。

  • 影のCIAの異名もあるシンクタンク創始者の著書

    いやぁ、影のCIAの異名はだてじゃないですね。2010年の本で、それから5年経過しているわけですが、見てきたのかと思うような内容にビックリ。

    安保法案が強行採決された今、著者はどのような未来を描くのか気になります。

  • あまり予測ではないです。
    希望のようです。

  • アメリカの視点から、至近10年程度の近未来において、世界で懸念となりそうな材料を解説する、シンクタンクのレポートみたい。The Next Decade.
    ロシアとドイツが親しいという関係図が、ノンポリ、地政学センス皆無の我々にはツボ。
    また、当然の指摘であるが、日本の制約条件は資源に乏しく世界経済に組み入れられることなしには成立しない国家であること。よってシーレーンの確保が生命線であり、アメリカに依存するか自前で確保するかは選択の問題だが、効率面ではアメリカ依存が必然である。

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