さっさと不況を終わらせろ (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

  • 早川書房
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本棚登録 : 86
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150504236

作品紹介・あらすじ

不況時に政府や中央銀行がやるべきことは何か? 安倍晋三首相に影響を及ぼしたという、クルーグマンが語る不況脱却のための完全解

感想・レビュー・書評

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  • 不況を完全に脱出するためには、財政出動とインフレターゲットを導入した金融政策のポリシーミックス政策をやれ、具体的には財政赤字を気にせずに、インフラ整備や雇用対策といった、大規模な政府支出と政府支出を支える大規模な金融緩和政策をしろというクルーグマンの政策提言が本書。

    本書の話題は多岐にわたるが、クルーグマンの一般向けへの不況の経済学講義とアメリカ経済学会ギョーカイ裏話がおもしろかった。クルーグマンはフリードマンを経済学者としてはリスペクトしているが、ルーカスは嫌いなようで。しかしルーカスはニューケインジアンのクリスティーナ・ローマーの分析を「クズ経済学」呼ばわりと性格の悪い奴である。

    訳者の山形浩生とリフレ派の人たちは、クルーグマンの考えは昔と変わってないと言っているが、やはり政府債務を気にして、金融政策が主で財政政策が補助だった90年代のクルーグマンと、今のどちらかと云えば財政政策が主で金融政策が補助であるクルーグマンとでは、ある種の「断絶」があると思う。

    欠点としては、本書でのクルーグマンは、もったいぶった回りくどい言い回しが多いのでクルーグマンの本にしては読みにくい、2000年代後半の世界危機から数年経っているせいか、当時の危機的な状況がなかなか思い出せない、日本人にはアメリカのサブプライムローン関係の知識があまりないので中盤にかけての話がちょっと解りづらいと個人的には感じられた。

    訳者の山形浩生の訳者解説は、さすが日本でのクルーグマン紹介の第一人者だけあって非常に有益。追加された文庫版解説は安倍政権がクルーグマンの提言と違い、今は緊縮財政気味で、こちらが思っていた以上にはデフレからの回復が遅いせいか少し鼻白む。

    追記:向こうのニューケインジアンは、大恐慌時に大規模な金融緩和政策は恐慌からの脱出には役に立つが、恐慌からの回復にはやっぱり政府支出を大規模にやらないと駄目だねと考えてるのね。勉強になった。

    評点:8点/10点

  • 経済の本を買うのは難しい。

    当たり前だが、内容が悪ければ文庫にはならない。
    かといって文庫になった時点では内容がやや古くなっている。

    でも買って正解。
    「なんかインチキくさいタイトルだなあ」と1年ほど見過ごしていたが、
    「もっと早く読んでおけばよかった」という気持ち。
    喧嘩腰の書き方するだけはある内容。

    110p
    イデオロギーが間違っていても修正しない理論はおもしろい。さすが。

    310p
    (不況に対して)対策が小さすぎるリスクは、対策が大きすぎるリスクよりずっと大きいのは明らかだ

  • 経済が下降ないし停滞している時は、短期的に政府の赤字が増えてでも金を掛けて立て直したり支援する必要がありますよね、という議論。
    新自由主義が席巻して久しい中で、政府に必要な役割をこなさせるべくケインズ派がまだ活躍してるのは、ある種の希望と言っていいだろうか。前からなんとなく、銀行屋や"財界人"ばかり助けられたりいい顔されたりするのを白眼視してたけれど。

  • 再読したい一冊。

  • ※メモ

    【きっかけ】
    文庫になったので、ちょっと時間は経っているが、経済の動きを(ある一面から)見るため。

  • アベノミクスの理論的背景ともなる理論が非常に分かりやすく解説されている。 また、筆者も随所に述べている通り、最後は政治的局面での決断が必要であり、そうした点においてもアベノミクスのこれまでの成功は評価出来るではないだろうか。

  • クルーグマンの主張を知っているので目新しさはない。
    金融政策と財政政策が重要という内容。
    ただ、アメリカでも日本と同じように、(経済学の)理論的でない言説が強い影響を持っているのは知らなかった。

  • 原題:End This Depression Now!
    著者:Paul Krugman
    訳者:山形浩生
    カバーデザイン:加藤賢策
    単行本(早川2012年)の文庫化。

    【メモ】
    ・早川書房のページ
     http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000012618/author_KAgyo_KU_1298/page1/order/
    ・サポートページ
     http://cruel.org/books/enddepression/

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著者プロフィール

NY市立大学教授。2008年、ノーベル経済学賞受賞。
イェール大学で学士号を、MITで博士号を取得。イェール大学、スタンフォード大学、MITで教鞭をとったのち、プリンストン大学経済学部教授。1982~83年には1年間大統領経済諮問委員会(CEA)のスタッフも務めた。主な研究分野は国際貿易。収穫逓増と不完全競争に焦点を置いた「新しい貿易理論」の創始者の1人である。国際金融、特に通貨危機の問題にも取り組む。1991年、アメリカ経済学会のジョンベイツクラーク賞受賞。日本語への翻訳書多数。

「2019年 『未完の資本主義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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