「無限」に魅入られた天才数学者たち (ハヤカワ文庫NF 数理を愉しむ)

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  • 早川書房 (2015年8月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784150504427

作品紹介・あらすじ

人の理解を拒む無限の謎と、その秘密を垣間見て精神を病んだカントールらの数奇な生涯

みんなの感想まとめ

「無限」という概念に挑む数学者たちの壮大な物語が描かれており、特にゲオルク・カントールの生涯が中心に据えられています。彼は「無限」を実在のものとして捉え、集合論を築き上げるという前人未踏の業績を残しま...

感想・レビュー・書評

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  • 捉えどころのない「無限」という概念に果敢に挑んだ数学者たちを描いている。その中心人物が、集合論を築き上げたゲオルク・カントールである。

    カントールは「無限」を実在するものとして捉え、体系化するという前人未踏の領域に踏み込んだ。その背景には彼自身の信仰が深く関わっている。彼はルター派のキリスト教徒として生涯を送ったが、同時にユダヤ的な要素も見え隠れする。ユダヤ人が迫害を避けるために支配的な宗教に同化する歴史を踏まえると、彼の精神的基盤は一筋縄では捉えられない。

    その象徴ともいえるのが、彼が「無限の階層」を表すために選んだ記号である。彼はその記号に、ヘブライ文字「アレフ」を採用した。数学的な革新と宗教的・文化的背景が重なり合うことで、カントールの「無限」は単なる数学的発見を超えた意味を帯びていると感じられる。

  • ハヤカワNF文庫の「数理」を愉しむシリーズの1冊であり、手に取った書籍である。(2021年6月に一度読んだが、2026年2月に再度読み返した。)
    「無限」という概念が古代ギリシャで発見されてから、ルネサンス期に数学として組み込まれていく過程、および、その組み込むに当たって発生していた課題の紹介も踏まえて、紹介した書籍であり、後半はカントールやゲーデルの生涯を追いながら、無限の概念の根幹に当たる連続体仮説や選択公理の課題が紹介されている。
    正直、後半の実際に議論されている内容についてはなかなか理解が追い付かないところが多々あり、詳しい人に質問したいと感じながら、分かる部分を読み進めた感じであった。

  • 410-A
    文庫

  • 「無限」を追求した数学者の物語だ。特に19世紀の数学者ゲオルグ・カントールを中心に話しは展開され、集合論と無限を巡る理論の追求は迫力があった。数学の書物を読むたびに感ずるのは、数学の持つ同時代性だ。ピュタゴラスやアルキメデスなどの古代ギリシャやローマからルネサンス期のガリレオ、16世紀のデカルト、17世紀のフェルマー、パスカル、ニュートンなど、現代の数学と関連深く、同時代的に語られる。この種の書物が数学ど素人にも面白く感じられる所以はここにあるのではないかと思う。

  • 頭脳明晰でありながら神経質で激しい気質を持つゲオルク・カントールは、自らの提唱した「カントールの連続体仮説」に魅入られ、そして苦悩を強いられた。彼は精神病を患い、入退院を繰り返した末にやつれ果てて死んだ。これは彼の生来の気質によるものなのか、彼ら天才数学者たちを狂わせる力が、「無限」に秘められているのか。

  • 無限、という、それこそ無限に妖しい光を放つ世界に踏み入れ、そこにはまっていった天才たちの生涯、そしてその功績を追った本。
    学問としての数学が好きでなくても、翻訳者の青木薫氏による読みやすい日本語で、何となく理解できた感じで読み進められる一冊。

  • 請求記号 410.2/A 12

  • 登場人物は無限とは何かを考えた、古代の人から現代の最新の人まで。無限に関する知のバトンをたどる物語です。特に、真ん中の”実無限”を発見したカントールに関する記述が多い。数学的な思考をたどることは(読みやすさへの配慮でしょう、)最小限に抑えつつ、彼らの人生にも焦点を当ててます。

    原題はthe mystery of the aleph。なるほど、あとがきにもあるが、これはアレフとカントールが主役なのだな。日本では宗教団体が使ってて嫌なイメージが付いていますがアレフ( {\displaystyle \aleph }\aleph )とはヘブライ語の第一文字で、数学的には”一番小さい無限”をあらわす記号とのことです。

  • 『無限』について、どんな種類があるか。
     その証明方法がエレガントです。
     直感に反するので、騙されてるような気がするのですが・・・

    ◇整数と有理数では、どちらが数が多いか。
     考えるまでもなく有理数だと思うのですが
     何と、整数と有理数では"同じだけ"あるのですね。
    工夫すれば、全ての有理数は、整数と一対一の対応付けができますので。
     「整数の無限」と「有理数の無限」は、同じだけなのです。
     これは、とっても不思議な感じがしますね。

    ◇無限+無限=無限
     無限×無限=無限
     ということですね。

     結局、無限とは1種類なのか?
     というと、そうではないです。
     有理数より無理数の方が、数が多いです。
     (当たり前のような気がしますが、証明できることがスゴイ)

    ◇さて、有理数より無理数の方がどれだけ多いか?
     こんなことがわかってしまうのが驚きです。
     無理数の数=2の∞乗なのですね。
     10の∞乗と言っても同じことなのですが。。。
     (有理数の数を"∞"で表してます)
     指数演算を使えば、無限は次の階層に到達する
     ということですね。

    ◇ここまでで、無限にも2種類あることがわかりました。
     同様にして、もっと大きなサイズの無限は、どこまででも
     無限に増やしていけます。
     しかし、この2種類の無限の間に、中間サイズの無限があるのか?
     「有理数の無限」と「無理数の無限」の間に、
     中間サイズの無限は存在しない
     というのが、"連続体仮説"というものですね。

    ◇本書は、その"連続体仮説"に挑んだ数学者達(といっても2名かな)
     の物語です。
     この難問に挑んだ数学者は皆(といっても2名)、精神を病んでしまうのですね。。。

    ◇結局、"連続体仮説"は今の数学体系の中では決定不可能、
     正しいとも正しくないとも証明できないことが知られています。
     こんなところで、不完全性定理と関連してくるとは

  • イベントで読んだ本。
    普段自分じゃ絶対読まない分野(笑)

    数学者・ゲオルグ・カントールの生涯をメインに書かれた「無限」に魅せられた数学者たちの本。
    いや~難しかった(T△T)
    数学が大の苦手な私には専門用語と数式が…キツイ、キツイ、キツイ
    数学って奥が深いんだな、と思ったけどやっぱ私には……・゚・(ノД`)・゚・。
    でもそれ以外は歴史の教科書、
    世界史を読んでる感覚で面白かった(^_-)-☆

    数学は超、超、超、苦手だけど
    歴史は大好きなのよ(〃艸〃)ムフッ

    映画とかドラマで観たら面白いかも?

    しかし「無限」に階層があるなんて!!Σ(- -ノ)ノ

  • 無限に狂わされた人たちのはなし

  • カントールと無限。現代集合論の基礎を築き上げた彼は、その生涯において精神の病に苦しむことになる。数学の体系においては真とも偽とも証明できない命題があることを示したゲーデル。彼も同じく精神の病にかかる。

    無限集合というのは不思議だ。直観に反する「無限集合はそれ自身よりも小さなもの(真部分集合)と、ある意味において、”同等”になりうる」ことをガリレオが発見したと言われると「なんでだ」となる。そしてその後、ボルツァーノやワイエルシュトラスが可算無限と連続体の違いに着目した仕事を行う。そして、カントールが有名な対角線論法によって無限はひとつではないことを示す。どちらも無限に存在するのだが、有理数の無限と実数の無限は次元が異なるとする考え方だ。そして、カントール自身が「我見るも、我信じず」とした、n次元の連続空間と一次元の直線は同じだけの点が含まれるということも示した。さらには、無限の階層の系列を構想し、それをℵ(アレフ)と呼んだ。このような革新的な観点を嫌って対立したのがクロネッカーで、この対立がカントールの立場と精神的状況の悪化を招いたという(残念なことだ)。そして、カントールが自ら考案した連続体仮説への取り組みによって、さらにその精神が蝕まれていく。

    ゲーデルは、その名を知らしめることになる不完全性定理を証明した後、カントールを悩ませ続けた連続体仮説に目を向ける。そして、連続体仮説が真であっても偽であっても公理系の中では矛盾しないことを示すのである。そして時を同じくして、まるで無限に魅入られることで正気を失っていったかのごとく、精神を病んでいく。最終的にはコーエンによって連続体仮説は集合論の公理系の中では真であるとも偽であるとも決定不能な問題であることが証明される。このあたりの物語はなかなかに面白い。「数学の本質は、その自由性にある」という言葉が、カントールが教授および患者として長く過ごしたハレの町に置かれた彼の成した仕事を讃えるレリーフに刻まれている。かくも自由とは空恐ろしいものなのかもしれない。


    カントールは、「数学は、その存在を正当化するために物理的世界を必要としない」と言ったという。しかし、カントールがその基礎を築いた無限についての理論は、もしかしたらマルチバース理論について何かを語るための理論的なツールになるのかもしれないと、ふと思った。多くの数学理論が、産まれた当初はそんなことは少しも考えられていなかったにも関わらず、実際のこの物理的世界に適用されたように。量子的多宇宙論では、無限に関する理論を必要としているように思うのだが、どうなんだろう。


    ※ 連続体仮説 <https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%A3%E7%B6%9A%E4%BD%93%E4%BB%AE%E8%AA%AC >

  • めちゃめちゃめちゃめちゃめちゃめちゃめちゃおもしろい。無限とその宗教的文脈にまつわる多彩な知識に触れられることも魅力だし、何よりそこには登場人物やそういった背景すべてが影響し合っていく壮大なドラマがある。やがて、ゲオルク・カントールの人生を中心に、一旦の物語は収束していく。映画化したら絶対おもしろい。

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著者プロフィール

(あおき・かおる)
翻訳家。1956年、山形県生まれ。Ph.D.(物理学)。著書に『宇宙はなぜこのような宇宙なのか』(講談社現代新書、2013)。訳書に、S・シン『フェルマーの最終定理』(新潮文庫、2006)、ハイゼンベルク他『物理学に生きて』(ちくま学芸文庫、2008)、J・スタチェル編『アインシュタイン論文選「奇跡の年」の5論文』(ちくま学芸文庫、2011)など多数。2007年、数学普及への貢献により日本数学会出版賞受賞。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

「2023年 『科学革命の構造 新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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