千の顔をもつ英雄〔新訳版〕 下 (ハヤカワ文庫NF)

  • 早川書房 (2015年12月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784150504533

作品紹介・あらすじ

古今東西の神話・民話に登場する英雄たちの冒険を比較・分析し、その基本構造と共通性から人間の心の深層に迫る神話論の決定版

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

人間の心の深層に迫る神話論が展開されており、古今東西の神話や民話を通して「英雄の物語」の基本構造が示されています。著者は、キリスト教圏や仏教圏の逸話を取り上げ、神話の普遍性を探求することで、読者に新た...

感想・レビュー・書評

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  • 【注】上下巻を通しての書評です。
    世界の神話・民話を分析し、物語の基本構造、いわゆる「英雄の物語(ヒーローズ・ジャーニー)」を提示したことで名高い本書。
    キリスト教圏だけではなく、仏教圏の逸話も多数紹介されており、興味深く読めるのだが、私にとって少々長かった。
    堅い言葉で表現すれば「比較神話論」なのだから、気軽に読んで、冒頭に記した以上のことを知ろうというのはムシが良すぎたようだ。

  • 下巻は神話のランダムな引用が多く読みづらさを感じたが、最後の「エピローグ 神話と社会」、中でも「3 現代の英雄」では、は著者の執筆動機が感じられて興味深かった。

    「社会的単位は宗教の教えを運ぶものではなくなり、政治的・経済的組織となった」
    「現代的な理念というのは、≪中略≫物質的優位と資源を求めて熾烈に競争する世俗国家の理念である。」
    「高度産業化社会の内部では、儀礼、道徳、芸術といった人類の遺産の最後の痕跡さえ完全に消えてしまった。」
    「私たちは現在、≪中略≫二つの岩がぶつかり合うという、恐ろしい光景を目の当たりにしている。魂は、どちらの岩にも接触せずに、岩の間を通り抜けなければならない。」

    1949年という執筆年を考えると、「二つの岩」とは資本主義社会と共産主義社会であろう。
    二つの経済システムが、唯物論的豊かさと、大量殺戮のための科学技術発展競争に明け暮れた時代に、その競争の外側から、人間精神の荒廃を見つめる人たちがいた。
    筆者もその一人だったのだろう。
    上記の記述からは、近代化への違和感や神話を失うことへの危機感が感じられる。

    自然科学の発展は、自然の神秘を天文学や物理学、生物学の中に納めた。
    そのあとで、「人間そのものが、最高の神秘である」とう結びは美しいと感じた。

    エピローグに共感したものの、一方で神話の内容には今一つ馴染めなかった自分こそが、キャンベルが懸念した近代化の産物でしかないという自覚がブーメランのように戻ってきた。
    トルストイが感じた、「自分は間違っていないが、一方で不断に道徳的過ちを犯している」という苦悩にも似ているのではないか。
    いつの時代も異なる段階において「近代化」は存在し、人間に光と影を投げかける。
    改めて胸に刻みたいと思う。

  • 神話学の名著が明らかにした、世界の神話に共通する構造を通して、自らを成長、習熟させる物語を描くための方法とは何か。まさに、自己成長をもたらす旅である

  • 原文が難しいのか翻訳の問題なのか、抽象的で僕のレベルでは理解できない箇所が多数でしたが、神話の英雄は旅に出て何かを手に入れて帰還するものだということは分かりました。
    クーフーリン、イシュタル、マルタ、アルジュナ等、FGOで知ったキャラが沢山出てきます。

    ジョージルーカスは『千の顔をもつ英雄』からインスピレーションを受けてスターウォーズの脚本を書いたということですが、この本は分かりやすいマニュアル本ではないので、やっぱりジョージルーカスの想像力(創造力)が凄いんじゃねえかということを思いました。

  • 神話などに登場する英雄について、宗教を横串にして解説した本。ひとつの宗教だけでも大勢の英雄がおり、エピソードも多い。それを、西洋から東洋まで、日本の古事記なども含めて、共通点を明らかにする。大勢の英雄の共通点について語る都合上、個々の英雄については、読者が前提知識を持っていることが前提になっているようで、宗教や神話のエピソードに明るくない人は読むのに苦労するかもしれない。私は、まずディテールは横において、横串で英雄を知り、詳細は類書を読むことで、古代から人間の心を揺さぶる英雄について知ろうと思う。これからの読書の出発点にもなり得る本である。

  • 世界中の神話を例に出し、だいたいこんなパターンだよーていう話。

  • 2024/1/8 読了

  • TRPGをやらなくなってほどなく落描きをしなくなり、妄想力(ちから)が枯れてゆくのを自覚しながら止めもしなかった。以来二十余年、もはや妄想力は容易に発動せざるものと成り果てていた。
    MtGはマナという行動ポイントがあり、マナは土地などのマナソースから生産される。本書はマナソースである。読むそばからマナ(妄想)が湧いてくる。枯渇したと思っていたマナは、失われてはいなかった。活性化するための刺激が足りなかったのだ。

    第一部四章の冒頭の図。神話解釈の書を創作技法へと飛躍させたのはこの図であろうか。

    ル=グウィンも読んだのだろうかと、ふと。

  • かのスターウォーズの製作に影響を与えた本。
    確かに英雄の神話のプロットを丁寧になぞっている。というか、世界のファンタジー作品は底流として、この本に解説される英雄伝説に擬えて描かれているのでは、と錯覚を覚えてしまった。

  • 20世紀のSF作品に多大なる影響を与えたという著書。
    面白いが難しい。

  • 英雄のサイクルにはバリエーションがあり、時間の混乱、死との遭遇・逃亡、神との結合、父との確執・克服、当時流行していたユングなどの夢分析の援用が多い。

  • 神話のパターン・ランゲージを分析により抽出した力作。

  • 原書名:THE HERO WITH A THOUSAND FACES

    第1部 英雄の旅(承前)(帰還;鍵)
    第2部 宇宙創成の円環(流出;処女出産;英雄の変貌;消滅)
    エピローグ 神話と社会

    著者:ジョーゼフ・キャンベル(Campbell, Joseph, 1904-1987、アメリカ、神話学)
    訳者:倉田真木(翻訳家)、斎藤静代(1957-、翻訳家)、関根光宏(翻訳家)

  • 物語の勉強のために

  • 下巻読了

    あまりにも有名な神話構造の型を、ストーリーテリングの母型として学ぼう!という本にするには勿体なくて、イニシエーションの不在が現代人を幼稚なままにし、、、、
    みたいなとこが大事よね

  • やっと読み終わった。難解だった。エピローグが一番、読みやすかったです。

  • No.939
    1. 目的

    2. 得たこと

    3. アイデア

  • 少し前、「99.9−刑事専門弁護士−」という、日曜ドラマがあり、刑事事件専門の弁護士を松本潤が演じるものだった。
    そこで、「真実は人の数だけあるが、事実は一つだけ。僕は、それが知りたいんですよ」そんな言葉が幾度か登場し、いつも思っていたことだけに小気味よかった。名探偵コナンなら、「真実は一つ」といっちゃうんだけどもね。


    しかし、英雄物語は、真実が一つであるかのようにふるまう。


    「英雄物語」という神話の共通点は、円環状の旅にあり、行きて帰りし物語の中に同じ要素を含んでいる。
    そうしたことを、より、構造として分解し、示したのが下巻だ。


    世界各国、日本のものも例外なく採話し、研究した共通点を、精神分析の手法で解釈しているが、あとがきによると、当時のフロイト、ユングの理論を援用しながら、一辺倒ということでもないらしい。


    もちろん、「英雄」といえど、男性だけではなく、女性もいる。アマテラスなどは、その代表だ。
    他の英雄としては、ブッダやアブラハムなど、代表的な宗教から民族の伝承まで網羅している。


    旅に出た英雄は、そこで、何らかの力を得、帰還する。
    帰還したものが英雄なのであり、獲得する力にしろ、内在していた力の放出にしろ、何らかのイニシエーションを経て、力を持ち帰る。


    しかし、現代に至り、そうした英雄は姿を消す。
    「みんなの神」が存在しえず、真実を個人が所有するようになった。
    『ヴェーダ』は謳う。「真実はひとつ。人はそれにたくさんの名前をつけて語る」と。
    しかし、「神々はすべて死んだ」のであり、千の顔を語られてきた英雄も、活躍すべき社会を失い、英雄でいられなくなった。
    キャンベルは、英雄の存在意義を「精神的に意味あるものを現代世界にもたらすこと」だと述べている。


    英雄譚は、真実を追い求める物語なのだろう。
    真実を共有し得ない社会の心の結びつきは、どんな英雄が実現してくれるのだろうか。






    下巻の方がずいぶん読みやすかった。
    やっぱり、翻訳は大事。


    某サイトより転載

  • 下巻ではモノミスの残り、現世への帰還の部分と、第二部と
    して宇宙・世界に関した神話伝説を寄り深くさぐっていく
    「宇宙創成の円環」を掲載。第一部に比べて散漫な印象の
    第二部はやや捉えにくい部分もあるが、それでも素晴らしい
    内容だったと思う。エピローグも必読である。

    スター・ウォーズやハリウッド映画との関連は今さら触れる
    必要は無いだろう。英雄譚は人の内部に宿っている。

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著者プロフィール

【著者】ジョーゼフ・キャンベル
Joseph Campbell/1904年-1987年。アメリカ生まれの神話学者。比較神話学や比較宗教学で知られる。1934年よりサラ・ローレンス大学教授を務めた。著書に『千の顔をもつ英雄』上下(平田武靖・浅輪幸夫監訳、伊藤治雄・春日恒男・高橋進訳、人文書院)、『宇宙意識 神話的アプローチ』(鈴木晶・入江良平訳、人文書院)、ビル・モイヤーズとの共著『神話の力』(飛田茂雄訳、ハヤカワ文庫)、『ジョーゼフ・キャンベルの神話と女神』(倉田真木訳、原書房)など。

「2025年 『英雄の旅 ジョーゼフ・キャンベルの世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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