かたち――自然が創り出す美しいパターン1 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

  • 早川書房
4.11
  • (6)
  • (10)
  • (2)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 134
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (467ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150504618

作品紹介・あらすじ

豹やシマウマ、熱帯魚の柄はなぜ決まる? 細菌や結晶、動植物から銀河のかたちまで、万物の形状の謎に迫る話題作。解説/近藤滋

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • なぜ対称性の破れから自発的なパターンがうまれるか、ここを手がかりに、物理的・数学的・化学的な世界でみられるパターン発生の現象をみていく。
    それによって、微生物にあらわれる結晶のような構造や、シマウマやキリンの模様、蜂の巣や、胚の発生におこっているようにみえる対称性の破れとパターンの生成を説明できるのではないかと探る。
    生物にみられるそういう構造を、ダーウィニズムに任せて、自然がそれを選んだなんて「適応」で説明してしまって満足するのではなく、そうあるべき物理的、力学的理由があるはずだ、としたダーシー・トムソンという人の指摘と構想に添いながら、それを現代科学でわかってるものによって更新するような構成。

    最終的には、実際にそうなのかはわからないけども、よく説明できる、というモデルまでは辿り着いているようだ。かなり納得がいくし、めちゃくちゃ面白い。
    BZ反応なんかは、ネットで調べると動画が出てくる。これはまさに生命を感じてしまう化学反応。
    勾配、反復、そんなものが本質的なんだ。

    驚くべきは、アラン・チューリング。ダグラス・ホフスタッターだろうがロジャー・ペンローズだろうが、アルゴリズムと知性の差について考えるには、チューリングを必ず引用することになるが、まさかこんなところでまでチューリングが出てくるとは。チューリング波、知りませんでした。
    ナボコフが出てきたのにも驚いた。このあたりは著者の読ませ上手なところか。

    とにかくまぁ面白かった。3部作のひとつめということで、残り2冊に取り組む。

  • 自然界に現れる模様や構造の生まれるしくみと、同じしくみが意外な、別々の現象の要因となっていたりすることが書かれている。かなり広範に扱われているので、視野が広がるかも。
    おしむらくは、ところどころ、何を主張したいのかわからない歯切れの悪さがあることか。最終章では、研究結果による断定ができないからと、あいまいな言い方ばかりでてきて、少し読むのが辛かった。

  • タイトルにある通り、遺伝子を超えたところに生命の形を生み出す力があることを示す話。ダーウィンの考えていた淘汰だけでは今の生物群は起こらなかったということがわかる。

  • サイエンス本、といってしまうには深すぎる一冊。

    タイトル通り「かたち」そしてさまざまなパターンについて語られている。

    ダーウィンの説に沿いながらも、
    そこに奥深い考察と知識が折り重ねて解説する。
    読み出したら止まらない。

    印象に残ったのはp310、マルサスの『人口の原理(人口論)』とダーウィンの説とのつながり。p397のヘッケルの優生学についての解説。

    生き物たちのかたち、生き物の模様(パターン)と物理の関係、
    これは続編も買わないといけないな。

  • なかなかぶ厚い本で、科学の細部まで書いてあるので時間がかかる本だが、名著である。

    この本の主張は進化論や遺伝子でわかった気になってはいけないということである。こうした説明の根底には物理・化学的基礎があるということである。

    第一章は、形態学の祖であるダーシー・トムトンや、ドイツで進化論を優生学として展開したヘッケルなどの業績が書いてある。
    第二章は、泡がテーマ、蜂の巣がどうして六角形で充塡されているのかという問題があつかわれている。
    第三章は、波がテーマ、BZ反応によってできるターゲット(的)模様とらせんなどが、鉱物にもあらわれると指摘している。
    第四章は、動物を体表にあるシマと斑である。チューリング・パターンや反応ー抑制モデルについて。
    第五章は、素数ゼミなどの野生のリズムを論じている。
    第六章は、植物の葉のつきかたについて論じている。フィボナッチ数列があらわれるのはいいとしても、その力学をどう説明すべきか、化学的な拡散モデルと物理的な収縮モデルが提示されているそうだ。
    第七章は、胚の分裂をあつかう遺伝子の話しなのだが、こうした遺伝子はルーターであって、「こういう眼をつくれ」とプログラミングされているわけではないことが書かれている。自然はありあわせの道具で動物のからだを形成するとしている。

    中田力『いちたすいち』にも脳が熱対流で形成されるという理論があったと思う。とくにチューリングの理論が示唆的だった。物の形をみるとき、どうやってできあがったのか、化学物質の拡散で考えてみるのは楽しい。

全8件中 1 - 8件を表示

著者プロフィール

1962年生まれ。オックスフォード大学とブリストル大学で学位を取得。「ネイチャー」誌の編集に従事。『クリティカル・マス』(未訳)で2005年度アヴェンティス賞を受賞。邦訳に『生命を見る』など。

「2018年 『音楽の科学 音楽の何に魅せられるのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

フィリップ・ボールの作品

かたち――自然が創り出す美しいパターン1 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×