がん‐4000年の歴史‐ 上 (ハヤカワ文庫NF)

制作 : Siddhartha Mukherjee  田中 文 
  • 早川書房
4.26
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本棚登録 : 165
レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150504670

作品紹介・あらすじ

古代エジプト人を悩まし、現在も年間700万の命を奪う「がん」。現役医師が患者や医学者らの苦闘を鮮烈に綴る名著。解説/仲野徹

感想・レビュー・書評

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  • 野地澄晴 徳島大学 学長ご推薦

     がんは誰しもかかる可能性のある疾病である。日本人の2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで死亡していると言われている。地球全体では700万人以上の人ががんで亡くなっている。がんとの戦いの歴史を書いている本である。文庫本としては厚く、しかも上下に分かれている本であるが、読み始めると止められなくなる本である。著者は現在、米国ニューヨーク市のコロンビア大学医学部の助教授で、医療センターの医師である。この本の執筆により、2011年にピューリッツァー賞を受賞している。現在、がんの治療はプレシジョン・メディシンの時代に突入し、遺伝子の変異に基づいた治療が行われているが、ここに至る長くて悲惨ながんとの戦いが素晴らしい文脈で語られている。まさに、ノンフィクションの最高傑作であろう。この本により、がんについての知識が得られるが、魅力的な本の書き方を学ぶこともできる。

  • 大切な人が脳腫瘍になった。

    彼の病気の根本を知りたい。
    知らないことには戦う武器がわからない。

    何がなんでも彼の腫瘍が暴れだす前に武器を探してみせる!

  • 死すべき定めもそうだったが、インド出身の医師は、ストーリーテリングの才能があるのかもしれない。

  • 本の帯より引用…(鳥越俊太郎氏)
    「現役のがん患者も 将来のがん患者も がんの正体・治療法は知りたい。それがここにある。救いと絶望。興奮の書だ」

    海外のノンフィクション部門で数々の賞を受賞しただけの内容です。
    翻訳者の田中文氏は、医師でもあり、医療専門用語もありますが、きっと正確な翻訳をしているのだろうと想像します。

  • がんの歴史。今では間違いだと判明している医療法、医者の間での確執、思い込みで何十年も遅れる研究など、読んでいて辛くなることも多いが、それを調べて文章にまとめあげた作者がとにかく凄い。
    がん患者の一年は健常人の一生にも劣らないほど意味を持つとの表現が本書中に出て来るあたり、がん治療の過酷さともどかしさを感じます。
    あと、緩和ケア(本書中では緩和医療)が1970年代に広がった記載があるが、それまではどのよあな壮絶な最期を迎えていたんだろうと想像するだけで脳が考えることを拒否してしまいます。
    がんという、誰にでもなり得るのによく分かっていない(人と話をすることもない)分野が今どこまで来ているのか俯瞰するに最適な本でした。

  • おびただしい数の文献を読み漁ってある分野の歴史叙述を編み上げる人がたまにいますが、本書の著者もその一人です。文庫の上下巻として発刊されていますが、巻末には数十ページにおよぶ原註と参考文献のリストがついています。その記述はアメリカを中心として、とくにこの2世紀の間に徐々に加速してきたがん治療と研究における成功と挫折を、鳥瞰しては急降下しまたそこから急上昇して・・・というふうに往復運動をしつつ描き出していきます。

    医者であり学者であり、かつまたおそらく大変な読書家でもある著者のもとで、「がんの歴史」は個々の患者たちが体験した圧倒的な病の経験とゆっくりと統合されていきます。予想だにしなかった寛解後の日常のなかから病を振り返る元白血病患者や、薬剤耐性となったがんの再発に遭遇し自身の人間としての生の尊厳を守ろうとした今は亡き消化器系のがん患者の描写は印象的です。。。

    それにしても。上巻の後半の記述を読んでいて、20世紀末も後半にいたってなお、外科的にも化学療法的にも、がん治療というものはかくまで狂気じみたもの、根絶のためには身体の「がん以外」の部分までをも跡形をなくさせ死の淵に追い詰めていこうとするものだったのか、とだいぶ引いてしまいました。

  • パピルスに記録された時代からのがんと人の4000年の歴史。
    上巻を終わったあたりで既に20世紀後半にあり、がんの研究は急速に進展していることの表れかと思う。
    その時代時代で、リードする医師の考えから治療の方針が大きく振れている様子が著わされていて、まだまだこれからの時代に於いても新たな発見から変遷していくのだろうと感じた。

  • 面白いです。本のサイズが普通の文庫本よりちょっと大きいのでブックカバーつけられないのが難点。

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プロフィール

シッダールタ・ムカジー(Siddhartha Mukherjee)
がん専門の内科医、研究者。著書は本書のほかに『病の皇帝「がん」に挑む——人類4000年の苦闘』(田中文訳、早川書房)がある。同書は2011年にピュリツァー賞一般ノンフィクション部門を受賞。
コロンビア大学助教授(医学)で、同メディカルセンターにがん専門内科医として勤務している。
ローズ奨学金を得て、スタンフォード大学、オックスフォード大学、ハーバード・メディカルスクールを卒業・修了。
『ネイチャー』『Cell』『The New England Journal of Medicine』『ニューヨーク・タイムズ』などに論文や記事を発表している。
2015年にはケン・バーンズと協力して、がんのこれまでの歴史と将来の見通しをテーマに、アメリカPBSで全3回6時間にわたるドキュメンタリーを制作した。
ムカジーの研究はがんと幹細胞に関するもので、彼の研究室は幹細胞研究の新局面を開く発見(骨や軟骨を形成する幹細胞の分離など)で知られている。
ニューヨークで妻と2人の娘とともに暮らしている。

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