がん‐4000年の歴史‐ 下 (ハヤカワ文庫NF)

制作 : Siddhartha Mukherjee 
  • 早川書房
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本棚登録 : 276
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150504687

作品紹介・あらすじ

古代エジプト人を悩まし、現在も年間700万の命を奪う「がん」。現役医師が患者や医学者らの苦闘を鮮烈に綴る名著。解説/仲野徹

感想・レビュー・書評

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  • ガンとの戦いの歴史が過酷であったことが分かる。以前と比べると原因が分かってきて、治療法も進んでいるが、今もって途上であることに変わりはない。
    専門用語や人物が多くて、必ずしも理解しきれてはいないが、おおまかな流れを掴んだことでよしとする。

  • 4000年の歴史、という邦題サブタイトルは実はちょっと問題含みで、実際はほとんどのエピソードが直近200年程度に集約されてる。

    けどそれ以前、がん研究未開の時代にも天才はいるんだよね。4500年前、エジプトのイムホテプは明らかに乳がんをさすと思われる病変についての記録を残し、「治療法はない」と短く書き留めた。それをもって「がん 4000年の歴史」の歩みが始まる。

    20世紀が過ぎ去った紀元前500年、胸のしつこい病変に悩まされたペルシア女王のアトッサはギリシア人奴隷の進言を受け入れ、彼に我と我が胸を切り落とさせた。その処置の予後は記録されていないものの、死んだという記述もないことから、その気高い女王は多少なりとも自らの余命を勝ち取ったようにも推測できる。

    がんという遺伝子病、つまり人類の宿命的病気と、個人(医療関係者や患者)との関係にフォーカスした作品だけに、何人もの気高い患者、天才的な医師の、崇高な戦いと成功と失敗の記録に触れることができる。
    唯一無二の本だと思った。翻訳もよくて、意味の取れないような箇所は上下巻を通じて1、2箇所。これはこの手の書籍では奇跡のように小さい数字。

    強いて改善点を挙げるなら、翻訳者の方が謙虚すぎるのか、ぜひとも翻訳者注が欲しいところでたいてい沈黙してる点。読者は言葉の意味をけっこう頻繁に検索しなきゃならない。
    あと下巻末の用語解説、アルファベット順のままじゃ日本語読者は使いようがないだろ。(笑)アイウエオ順にしてよ。田中文さんの判断で並べ替えるなら誰も苦情は言えないはずだ。

    でもほんと、難癖つけようったってそれくらい。
    著者の医学的造詣と小説家的構成力、卓抜なストーリーテリング力。そして翻訳者の見事な日本語力。
    充実の医療史ドキュメンタリーでした。☆5!

  • 紀元前から現代まで、4000年にわたって人々を苦しめてきた「がん」。古代エジプトの医師イムホテプが「治療法はない」と述べたその腫瘍を、医聖ヒポクラテスは「カルキノス(「カニ」)」と名づけ、19世紀の外科医は「あらゆる病の皇帝」と怖れた。患者、医師たちの苦闘のドラマを通して、謎めいた病魔の真の姿を浮かびあがらせ、ピュリッツァー賞ほか各賞を総なめにした傑作ノンフィクション

  • 医学部分館2階書架:QZ201/MUK/2:3410163254
    https://opac.lib.kagawa-u.ac.jp/webopac/BB50279805

  • (上下巻感想)
    「がん」に仕事で携わる妻に触発されて、読書。

    がんの物語。
    がんという名前が存在しなかった時代から、がんの機構が解明されつつある現代まで。
    治療方法と社会状況の変化を、登場人物達の物語として著述。

    個人的な願望でも、社会的な要請でも、がんの解決への道を切り開いてきたのは、当事者たちの熱意。
    当事者たちの熱意と失望が、テーマごとに綴られる。
    事実を連ねてるだけなのに、小説と同じくらい感情が鮮明。
    最後まで圧倒的な熱量と冷静な事実を感じながら読みました。

    著者の本業は医者。
    前世でどんな功徳積んだらこんな大作を成し遂げられるんでしょうか。

    内容としては、研究データの分析について、疫学と一緒に発展して行ったくだりが特に面白かった。

    科学史は、おもしろい。
    この本が科学史の範疇に入るのかは、分からないけど。

  • 「科学ノンフィクションは売れない」と解説で仲野さんも書いておられるけど、わたしのように「がんとは何か」が解っていない人、万人に読んでもらいたい内容。専門用語と生物の基礎知識はいるけれどストーリー仕立てで読みやすかった。

  • がん専門のフェローシップ中にがん患者に接し、がんという病を知るうちに、がんと人間の闘いの歴史を辿りながら、ガンの正体を解説するがん研究の本を書いていた筆者。
    そもそもがんとはどういう病気なのか?
    一体いつかは人間はがんという病と闘い始めたのか?
    そしてどんなふうに闘ってきたのか?一体勝ち目はあるのか?
    単なる学術的ながんの解説だけでなく、がんに対する治療方法の研究史でもあり、がんの治療研究を推し進めた活動家たちの物語でもある。
    時折その闘いの記録として挿入される、がん患者の生き様も心を撃つ。

  • 上巻には、著者 シッダールタ・ムカジー氏へのインタビュー、下巻に大阪大学大学院 医学系研究科 仲野教授の解説が付記されています。

    私も身内にがん体験者がおり、本に出てくる抗がん剤の名前を見ると、当時を思い出します。
    抗がん剤は時代と共に改良されてきているようですが、やはり投与されている本人には辛いものだと想像します。

    しかし、本書を読み進めていくうちに、なぜ外科手術後に抗がん剤を投与するのか、また、なぜ複数の抗がん剤を投与するのかが、少しですが理解できました。

    この本に出合えたことは、プラスでした。

  • 後半は遺伝子治療などの最近の話題にも踏み込んでいきます。
    がんの歴史、とにかくすごい本を読んだという気で満載。

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著者プロフィール

シッダールタ・ムカジー(Siddhartha Mukherjee)
がん専門の内科医、研究者。著書は本書のほかに『病の皇帝「がん」に挑む——人類4000年の苦闘』(田中文訳、早川書房)がある。同書は2011年にピュリツァー賞一般ノンフィクション部門を受賞。
コロンビア大学助教授(医学)で、同メディカルセンターにがん専門内科医として勤務している。
ローズ奨学金を得て、スタンフォード大学、オックスフォード大学、ハーバード・メディカルスクールを卒業・修了。
『ネイチャー』『Cell』『The New England Journal of Medicine』『ニューヨーク・タイムズ』などに論文や記事を発表している。
2015年にはケン・バーンズと協力して、がんのこれまでの歴史と将来の見通しをテーマに、アメリカPBSで全3回6時間にわたるドキュメンタリーを制作した。
ムカジーの研究はがんと幹細胞に関するもので、彼の研究室は幹細胞研究の新局面を開く発見(骨や軟骨を形成する幹細胞の分離など)で知られている。
ニューヨークで妻と2人の娘とともに暮らしている。

「2018年 『不確かな医学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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