進化とは何か:ドーキンス博士の特別講義 (ハヤカワ文庫NF)

制作 : 吉成真由美 
  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150504823

作品紹介・あらすじ

花とハチの関係、DNAの複製機能、脳の錯覚……世界的に著名な生物学者の講義を『知の逆転』の著者が編集・翻訳。解説/吉川浩満

感想・レビュー・書評

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  • 「進化は、長い時間の中の幸運の積み重ね」

    高校時代に「生物」に苦手意識がありましたが、予備知識がなくてもサクサク読めました。
    いまいる生物はそれぞれ自然と人為的行為によって進化しており、なお成長し続ける。
    人間が大きな脳をもてたのはなぜか? 創造力、言語、テクノロジーか相互作用することで、特異な発展を遂げてきた。
    生命体の生きる理由は、自分の子孫(DNA)を遺すこと。
    人間だけが生態系のトップにいるのではなく、それぞれの生物が自然の淘汰にあいながら、各々の生態系のなかでトップに君臨している。

    とてもイメージしやすく進化論を学ぶことができました。

  • 「利己的な遺伝子」の著者として知られる,イギリスの進化生物学者,リチャード・ドーキンスが行った日本での数回の講演をもとにして書かれた一冊.

    一般人向けに,わかりやすい例を多用しつつ進化,生物の本質に関して丁寧に説明されている.生物の素晴らしい性質をたくさん紹介しているため楽しく読める.それでいて進化に関しては明確に著者の分析が与えられている.

    ドーキンスは無神論推進者としても知られており,その思想がふんだんに本著の中で垣間見ることができる.そもそも宗教が社会において全面に出てこない日本社会の住人としては想像がつきにくいがかなりはっきりとした態度で,宗教の非論理性を述べており,その論調も読んでいて面白い.

    本著で印象的だったのは以下の一文

    > DNA は世代を下って流れる川のようなもの.DNA の川は私たちを通って,同じ姿のまま未来に向かって流れていく.

    生物はあくまで DNA を伝搬するための乗り物であり,その本質は種の生存のために変化を続ける DNA であるととれる.今のコロナ禍ではっきりと,ウイルスの変異種の出現が続き,感染力を高めたりワクチンへの抗体を身につけたりしている状態を見ることでそれがはっきりと確認できる.

    進化とは直接関係がないが,人間が地球を統治している時間が,地球,さらには宇宙の時間スケールで考えるといかにちっぽけなものかも説明している章がある.毎日の仕事に追われると,自分その狭い周辺が世界の全てであるよに錯覚すべきだが,あくまで自分という個体はホモサピエンスという種の DNA の 1 媒介者であることを忘れたくはない.

  • 橘玲著『「読まなくてもいい本」の読書案内』で本書を知った。科学的にモノを考えることは、無神論へと発展することを理解できた。卵と鶏のどちらが先かは、進化論を理解すれば単純なことだった。『利己的な遺伝子』も『神は妄想である』も読みたい。

  • 面白いので、生命の進化に興味がある人はぜひ。
    感覚的に把握できないことを、例えで分かりやすく伝えるのが上手。
    1000年遡るのをを1歩(1m)とすると、アウストラロピテクスの時代までは3km、初期の哺乳類までは65km、魚が陸に上がってきた時代までは500km…とか!
    一歩で平安時代まで戻っちゃうのに、500km先って…途方も無さすぎる。

  • ドーキンスのエッセンスが凝縮されていて既書と比べて格段にとっつきやすい。一日で読み終えてしまった。

    時間スケールをわかりやすくするため、地球や進化の歴史を一年や一日に例えたりすることがよくある。しかし本書のように、距離で表すのは新鮮だった。
    1mで1000年遡るとして、紀元0年からはじめる。
    1mでダビデ王の頃、3mでピラミッド建設の少し前。
    ホモ・ハビリスまでは2㎞、初期の哺乳類は65㎞、生命の起源・最初のバクテリアまでは3500㎞、とこんな具合だ。

    また、第3章が白眉。
    実を言うと著者の『盲目の時計職人』を読みかけのまま長いこと放置してしまっているのだが、この章で全部説明しきっているのではないかと思うほどよくまとまっていた。
    「(進化途中の)半分の眼が一体何の役に立つのか」という創造論者に対する反論は実にシンプル。
    「半分の眼でもないよりマシ」と。ここの証明は鮮やかだった。

  • "われわれは、色彩に満ち生命にあふれかえっている素晴らしい惑星で目を覚まし、しばらくして再び目を閉じなければならない。"(32ページ)
    折に触れて思い出すドーキンスの言葉。本書は著名な進化生物学者であるドーキンスが子供向けに行った特別講義を文庫にしたものである。
    私は進化学が好きだ。長い時を経て命を繋いできた地球上の全生物を尊いものと感じさせてくれる。また、人間が生物の頂点であるという驕りから私たちを解放する。
    本書からはドーキンスの自然への愛を感じることが出来る。それは、私がこの本を気に入っている理由の一つである。

  • タイトル通り、進化とはどのように行われてきたのか、知るために読んだ本です。
    進化というのは非常に長い年月をかけて、登る山のようなものだという例えがわかりやすかったです。
    高いところ高いところに自然選択によって登ろうとするが、一度自然選択によって登った山は降りれない(ないよりあったほうがいいため)この例として、オウムガイの目が例示されてます。
    とても面白かったのですが、翻訳がですます調だったのに、急にそうで亡くなったりと、少し違和感がありました。

  • ミッシングリンク 錯覚 脳 顔の像

  • 無神論者として、徹底的に冷静なのがイイ

  • 講義をまとめた本
    ・自然選択によって形状が変化してきた
    ・デザノイドという、自然選択の結果、生み出されたデザイン
    ・人間の脳やコンピュータの発達など進化は急激に起こる

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著者プロフィール

英国の進化生物学者。世界的ベストセラー『利己的な遺伝子』で知られる。ほかの著書に『盲目の時計職人』『神は妄想である』『遺伝子の川』『進化とは何か』など多数。

「2022年 『これが見納め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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