重力波は歌う――アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち (ハヤカワ文庫 NF)

制作 : 田沢 恭子  松井 信彦 
  • 早川書房
3.29
  • (1)
  • (5)
  • (9)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 91
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150505097

作品紹介・あらすじ

2016年2月、「重力波直接観測」の報に世界が沸いた。立役者たちの知られざる人間ドラマを、貴重な直接インタビューを交えて描き出す

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 「重力波は歌う」ジャンナ・レヴィン著・田沢恭子・松井信彦訳、ハヤカワ文庫、2017.09.25
    335p ¥842 C0144 (2018.10.22読了)(2018.09.15購入)

    【目次】
    1章 ブラックホールの衝突
    2章 雑音のない音楽
    3章 天の恵み
    4章 カルチャーショック
    5章 ジョセフ・ウェーバー
    6章 プロトタイプ
    7章 トロイカ
    8章 山頂へ
    9章 ウェーバーとトリンブル
    10章 LHO
    11章 スカンクワークス
    12章 賭け
    13章 藪の中
    14章 LLO
    15章 フィゲロア通りの小さな洞窟
    16章 どちらが早いか
    エピローグ
    謝辞
    訳者あとがき
    解説 想いを乗せて、重力波は歌い続ける  川村静児

    内容紹介(amazon)
    2017年ノーベル物理学賞を受賞!
    (ライナー・ワイス、キップ・ソーン、バリー・バリッシュの3氏)
    物体が運動したときに生じる時空のゆがみが光速で波のように伝わる現象「重力波」。
    100年前にアインシュタインが存在を予言しながら、これまで観測されていなかったこの波動を、米国の研究チームがついにとらえた。
    ノーベル物理学賞を受賞した歴史的偉業の裏には、どんなドラマがあったのか?
    天文学の新地平を切り拓く挑戦の全貌を関係者への直接取材をもとに描き出す、出色のサイエンス・ドキュメンタリー。
    受賞者たちの人柄をかつての同僚・川村静児教授(東京大学宇宙線研究所)が振り返る文庫版解説を収録。

  • 現在の最も注目してる科学研究を知ると思う
    *図書館の所蔵状況はこちらから確認できます*
    http://opac2017.lib.kitami-it.ac.jp/webopac/BB50112849

  • まさにビッグサイエンス。アインシュタインが1916年にその存在を予測した重力波を検出するための実験装置LIGOの計画から、2016年の初観測まで至るドキュメント。面白い。

  • -

  • 直訳的で分かり辛い・・

  • ノーベル賞を受賞したアメリカチームがその偉業を達成するまでに、どんなことが起きていたのか、世界中の研究者たちもまた何を目指していたのか、ドラマチックに語られる。
    重力波が測定された今となっては、重力波測定を目指す研究の結果がこれからの宇宙の解明や物理学の進展にどれほどの可能性をもたらすかが明らかに思えるが、実際にそのプロジェクトを始める時には、成功するのか、成功する見込みがどれほどあるのか、それは経費と時間的にペイするのかを説得し納得させるのは難しい。予算を同様に欲しがっている様々な分野の研究者にしてみれば費用がかかりすぎだろう!と喧々諤々意見が出るのは確かにわかる。「研究者と研究者の理想と理想のぶつかりあい」というものが、非常にリアルに描かれていて、こんなすごい偉業でも、こんな大変なのだなあと、なかなか驚かされた。

  • つい最近ノーベル物理学賞で話題になった重力波に関するノンフィクションである。

    重力波の物理学的な理解というよりも、それを観測するための観測装置や観測所に携わった人の歴史が中心である。

    重力波は、Einsteinが発見した相対論から導くことができるある種の波動である。
    近代物理学は、すべて場(Field)と呼ばれる空間を基礎としており、粒子が場を通じて相互作用していると理解する。
    つまり、電荷通しが直接力を及ぼしているのではなく、各電荷が場を形成し、その場を通じて各々の粒子と相互作用しているというように定式化するのだ。

    たとえば、電子を空間の1点において、それを動かすと電子が作る場は変化することとなる。この場の変化は電磁波と呼ばれ、われわれが観測できる形となる。
    このロジックで、重力を媒介する粒子(これを重力子と呼ぶ)を仮定する(重力場を想定してもいい。現在、重力子は未発見の粒子であるので、重力場を仮定したほうが自然ではある)
    この重力子(重力場)が動くことがあれば、上の議論と同じように何かしらの波が発生するのではないかというのが、重力波である。
    問題は、重力は電気よりもずっと小さいので、重力場が少し変化した程度では小さすぎて観測できないのだ。

    ということで、観測するためにはスケールが大きい対象が必要である。この場合はブラックホールが最適だ!
    非常に重い物質が動けば動くほど発生する重力波も大きくなるのだ。

    重力波を観測した設備をLIGO(Laser Interferometer Gravitational-Wave Observatory)重力波望遠鏡と呼ぶが、この観測装置が観測した重力波はブラックホールの衝突で発生した際のものであり、その大きさは地球到達時になんと地球が1mm動くくらいの重力波である。
    超絶精度である。
    1mmなんて近くに電車が通っただけで、飛行機が上空を通過しただけ簡単に変位するくらいである。
    実際はレーザー干渉計で1辺数キロで変位を見ているので、もっと小さい変位と(約10^−18 m)なる。

    これを検出する装置の発明は、まさにノーベル賞受賞にふさわしい快挙である。
    本書を読むと研究開発や予算の確保でいろいろな物語があったのだと伺うことができる。

  • 重力波は歌う、その波は時空を歪めながらはるか遠くへ伝わる。その微かな声を聞くために苦闘した科学者たちの、好奇心と喜び、嫉妬や憎悪、怨嗟が渦巻く物語。多くの関係者へのインタビューから残酷な真実に迫り、それでも前へ進んだ人々を描いて感動的だ。

  • 請求記号 441.1/L 57

  • 原題:Black Hole Blues and Other Songs from Outer Space
    著者:Janna Levin(1967-)
    訳者:田沢恭子(1970-)
    訳者:松井信彦(1962-)

    【版元】
    ISBN 9784150505097

    ノーベル物理学賞最有力候補と目される偉業の舞台裏
    物体が運動したときに生じる時空のゆがみが光速で波のように伝わる現象「重力波」。100年前にアインシュタインが存在を予言しながら、これまで観測されていなかったこの波動を、米国の研究チームがついにとらえた。ノーベル物理学賞も確実視される偉業の裏には、どんなドラマがあったのか? 天文学の新地平を切り拓く挑戦の全貌を関係者への直接取材をもとに描き出す、出色のサイエンス・ドキュメンタリー。解説/川村静児。



    【簡易目次】
    第1章 ブラックホールの衝突
    天空の“音”を記録する試み

    第2章 雑音のない音楽
    雑音のない音楽を求めて
    ナチスを逃れ、ベルリンからニューヨークへ
    シェラック盤の背景雑音はどうしたら消せるのか
    時空の「録音装置」をつくる
    恋に落ちて始めたピアノが人生を変えた
    MIT 20号棟の思い出
    一般相対論を教えながら学ぶ
    「物体間で光線を往復させて重力波を測定する」というアイデア
    1.5メートルの「プロトタイプ」干渉計
    結果を出さないリスクに耐える
    立ち消えるプロジェクト
    ドイツチームに水をあけられて

    第3章 天の恵み
    - 70年代のボヘミアン
    - ジョン・ホイーラーとの出会い
    - ホイーラーと核兵器開発
    - 核兵器の科学から出たブラックホール
    - 相対論的天体物理学の黄金時代
    - とらえどころのない”重力波”に狙いを定める
    - 重力波とは何か、本当に存在するのか?
    - ワイスとソーンの邂逅
    ソヴィエトから来た男

    第4章 カルチャーショック
    倹約を旨として
    - いつでも渦の中心にいる男
    - ヒューズ=ドレーヴァー実験で名を馳せる
    - 「スズメの涙」ほどの予算で干渉計をつくり上げる
    - 周囲を振り回す「科学界のモーツァルト」
    - 鬼のいぬ間の洗濯
    - 好条件か、居心地のよさか
    人間心理を読み違える

    第5章 ジョセフ・ウェーバー
    - 「ニアミス」に翻弄され続けた先駆者
    - われ、銀河系の中心に「音源」を発見せり
    - フリーマン・ダイソンの「重力装置」に勇気づけられる
    - 雨後の筍のようにつくられ始め「共鳴棒」
    - 否定的な結論の蓄積
    - 「偽りの信号」の烙印

    第6章 プロトタイプ
    - カルテクの〈40メートル〉に潜入
    - 〈40メートル〉は誰のものか?
    - 「干渉計」はだれのアイデアだったのか?
    - L字形をした「光の通路」

    第7章 トロイカ
    - 「重力波探し」は終わったテーマではない!
    - その道は必ずや巨大プロジェクトに通じる
    - 救世主、アイザックソン
    - 「ブルーブック」提出される
    - 7000万ドルのプロジェクト
    - MITとカルテクの合同成る
    - ドレーヴァーとワイスの間の「緊張」
    - LIGOの誕生――奇妙な「トロイカ」の結成

    第8章 山頂へ
    - パルサーが発見されるまで
    - ブラックホールが実在することの裏付けとなる
    - なぜ「暗黒」に注目するのか?
    - 成し遂げられた重力波の「間接検出」

    第9章 ウェーバーとトリンブル
    - ウェーバー、ソーンに自分語りをする
    - 「身を引け」と勧めたフリーマン・ダイソン
    - ウェーバーと連れ添った女性

    第10章 LHO
    - 黒魔術の心得
    - 世界最大のチャンバー
    - 42キログラムの透明な鏡
    - 虫の問題
    - ビームパイプを完全踏破する
    - エゴは棚上げに
    - 問題はトロイカによる管理体制にあり!?

    第11章:スカンクワークス
    学務部長を解任された人物
    ボイジャー・ミッションのリーダーの座を譲る
    問題解決に秀で、問題を起こすことに長けた人物
    ヴォートのLIGO計画書、国立科学財団を動かす
    議会承認を目指す長い闘い
    Observatoryという名称がよくない?
    政治的な駆け引き
    カルテクの実験家には寝耳に水の「LIGO始動」
    権威嫌いの「スカンクワークス方式」
    消えないナチスの影

    第12章 賭け
    - 物理学者は賭けがお好き
    - 日々高まっていった、「重力波あり」のオッズ
    - LIGO建設に見合う「確率」はどれくらいか
    - 第1世代のLIGOがカバーする領域では足りない
    - 最終的には「自然の恵み」待ち

    第13章: 藪の中
    - LIGOグループに生じた亀裂
    - 相反する証言
    - 常軌を逸した規則を課せられて
    - ドレーヴァー外し
    - 個人攻撃の犠牲者か、プロジェクトの障害か?
    - 「黙ってろ」――-財団担当者を怒鳴りつける

    第14章 LLO
    - アメリカ南部の観測所
    - 干渉計を口説く手管の持ち主
    - バス、ワニ、林業会社
    - 撃ち込まれた銃弾
    - コーナーラボへ「這い出す」
    - 第2代統括責任者、バリー・バリッシュ
    - 3億ドルの予算を得て、息吹き返したプロジェクト
    - キリスト教原理主義者との諍い
    - 1000任以上からなる国際コラボレーションへ

    第15章:フィゲロア通りの小さな洞窟
    - 〈小さな洞窟〉での一夜
    - 科学者はクライミングウォールの取ってや丸石のようなもの
    - 現場のポスドクたちによる検出時期予想
    - 基本法則との直接対話はいかにして行なわれるか
    - いかにして雑音の中から音を聴き分けるか
    - 休む間もなく回り続けるローテーション

    第16章:どちらが早いか
    - ヴォートのその後
    - ワイス、復権したドレーヴァーを案じる
    - 最初の科学運用での検出を目指して

    エピローグ
    - 2015年9月に飛び込んできた”音”
    - 「これは訓練じゃない」
    - デイヴィッド・ライツィーからの「極秘情報」
    - 背中から下りたサル
    - ブラックホールは重力波の歌をうたう

    謝辞
    LIGO科学コラボレーションおよびVIRGOコラボレーションのメンバー
    訳者あとがき
    情報源に関する注

全11件中 1 - 10件を表示

ジャンナ・レヴィンの作品

重力波は歌う――アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち (ハヤカワ文庫 NF)に関連する談話室の質問

重力波は歌う――アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち (ハヤカワ文庫 NF)を本棚に登録しているひと

ツイートする