誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち (ハヤカワ文庫NF)

  • 早川書房 (2018年3月6日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784150505189

作品紹介・あらすじ

オタク技術者、大手レーベルCEO、田舎の工場労働者。CDが売れない時代を作った張本人たちの知られざる物語。解説/宇野維正

感想・レビュー・書評

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  • 身近な音楽ストリーミングサービス。
    書いてあるのは私自身も消費者として経験がある音楽の変遷でしたが、出てくる言葉に懐かしい気持ちになるのと同時に、あの頃、こんな壮大な物語が同時進行していたという事実に驚きました。
    テクノロジーの進化により確かに音楽はタダで聞けるものになってしまったかもしれませんが、一方でタダにしないのもまた消費者なのかなと思います。
    何事においても、エンドユーザーにリテラシーがなければ、そこは無法地帯になってしまいます。
    自分のせいで自分の好きなものが消えてしまわないように、考えてみてほしいものです。

  • 音楽業界を震撼させ、音楽ビジネスのあり方を180度転換させた、楽曲データの不法アップロード横行現象の顛末を綴ったドキュメンタリー。

    本書の軸は3つあって、1つ目は、キーテクノロジーである音楽データ圧縮技術mp3の開発・規格争いの敗北・爆発的普及の物語。2つ目は、グローバルな音楽市場を牛耳り、ラップミュージックのヒットCDで荒稼ぎする巨大音楽会社の右往左往の物語。そして、「インターネットの海賊界を支配した音楽リークグループの中で、史上最強の流出源となった、ある工場労働者の物語」(訳者あとがき)。

    欲にまみれた音楽業界や音楽機器メーカーの蠢きが生々しい。その中にあって、金稼ぎを目的とせず(むしろ持ち出しでサイトを運営し)、楽曲の魅力にのめり込むでもなく、作品を発売前にいち早く入手することや、レアものを含む楽曲の網羅性、そして「その作品がマーケットに及ぼすインパクト」にしか興味を示さないネット海賊たちの異質な行動原理には驚かされた。音楽業界やクリエーターたちに甚大な被害をもたらした犯罪者達には違いないのだが、悪役っぽさはあまり感じられない(最大流出源のグローバーは明らかにこそ泥だが)。

    むしろ、音楽業界や機器メーカーが既得権にしがみつく姿、欲まみれの動きの方に醜さを感じてしまう。その意味で、大企業の政治力が技術の優劣に優先し、規格競争に敗れたmp3が、敗れたが故に(結果的に違法コピー横行の大きな原動力となる形で)爆発的に普及したことは、ブランデンブルクらフランフォーファーの技術者たちに大きな富をもたらしたことも含めて痛快事と言えるんじゃないかな(不謹慎?)。MPEGとフィリップスの罪(というか貢献)、大きいな(笑)。魅力ある技術は力では封じ込められないんだな。

    すったもんだの揚げ句、CDから低額サービスのストリーミング配信へ、ビジネスの仕組みが大きく変わらざるを得なかった音楽業界。本書からこの辺りの裏事情を知ることができた。読み応えある良書だった。

    本書に、それこそたくさんのラップ・ミュージックやラッパーが出てくるが、全く知らない名前ばかり。ちんぷんかんぷんだった。YouTubeでお世話になっている洋楽ミュージックビデオのVEVOの由来も知ることができた。モリスの英断だったんだな。

  • 非常によくできたノンフィクション。
    素晴らしいジャーナリズム。
    内容はもちろん、文章自体も面白くて、最後まで飽きずに読める。

    かつて、P2Pファイル共有ソフトなんかで、音楽ファイルを違法に入手できた時代を経験した世代としてはゾクゾクする内容だと思う。
    (不特定多数の人が違法アップロードしてるんだと思ってたけど、ある一人の男がそのほとんどをアップロードし、世界の音楽業界を変えてしまっていたという話とか)

    メインの男3人、それぞれ違った形で音楽業界を大きく変えた人たち。ただいずれも偶然やタイミングの一致が大きな要素だったなと思う。

    映像コンテンツも同じような背景の中でネットフリックスが現れて世界が変わったし、雑誌やマンガもこうなっていくだろうし、そんなダイナミックな時代を生きてるんだなと。

  • 怖いわー。現在の音楽業界が辿った道を【mp3開発者】【音源流出者】【音楽業界側】の視点で描いたノンフィクション。
    音楽業界と流出者の主張は、最初の音楽との出会いが違法ダウンロードな世代にとっては論点ですらなく、作中に出てきた【現在、もっぱら主要な顧客はダウンロード出来ない世代だ】に震える。本屋大丈夫かよ!?電子化すれば必ず起こりうる事(違法ダウンロード)なのに今はメリットばかりが喧伝され【無料で読める】事になれた顧客を育てているんじゃないのかなー。紙を買う層と買わない層が存在している限り本屋は無くならないと信じてきたのが、これを読んでぐらついた。踏ん張ってるけど。
    すぐに書店に置き換えて暗くなるが、80年代からのアメリカ音楽の歴史としても楽しめる。2000年以降はヒップホップ大目ですがそれがまたティーンの好みにも合い一気に音源のMP3化が進んだのだろう。歴史の転換期ともいえる1990年代後半からCD屋をやっていて(まさに絶頂期と下降期!ヤパー!)思い出すのは、「ワーナーミュージック」の注文書には毎回各アーティストの新譜から1曲づつ収録されたサンプルCDが閉じ込みで封入していて、それこそ発売1か月以上前には末端のCD店で音源が存在していた。本書でも描かれる「流出マニア」達の中にネットの海に流した奴が居なかったとは限らない。だってMP3音源ですべてが事足りるなんて全く思いもしなかった。MDが消え去るなんて思いもしなかったように・・・
    「売り上げが落ちた原因が違法ダウンロードでは無い」
    アメリカは広いね。国もココロも。
    そんな意見に「3日前に初めてラジオで流れた新曲。もちろんCDは発売されていない。もちろん、その曲も落とせる」
    本書には音楽業界だけでなくスティーブ・ジョブズや酒造大手シーグラム社会長にFBIと様々な人物が現れる。どれも音楽を守ろうと蠢いている。音楽という巨大産業がぶっ潰された後から何が生まれるのか?アメリカでも日本でもすでに新しい何かが芽生えている。新しいカタチが何であるのか見極める前に「そもそもどうなのよ?」で読んで欲しいのである。趣味の欄に「音楽鑑賞」としているキミタチに。

  • とても面白く読めたノンフィクションです。
    私の年代だとCDをショップに行って足で情報と
    パッケージを買っていた年代ですが、
    今は無料や定額制で聴き放題。明らかに音楽のリスニングスタイルが変わっています。その時代を
    生きた人たちの物語が書いてあります。
    面白いです。

  • 面白かった。近年の音楽ビジネスとMP3の開発・普及秘話、インターネットの普及とトップリーク集団RNS。
    才能ある芸術的で良い音楽性がヒットするわけではなく、音楽業界によるマーケティングや販促でセールスを伸ばしていくのは消費経済には共通しているようだ。
    ノンフィクションならではの面白さが十分に発揮されている。映画化の話しはどうなったのかな

  • mp3を開発した男、ネットに音楽を違法アップし続けた集団、違法アップにより売上が落ち対応を余儀なくされた音楽業界。3つの視点から音楽が無料になるまでの歴史が語られるノンフィクション本。最高に知的好奇心がくすぐられる面白い本だった。

    初めてCDを圧縮せずにPCにコピーしたら700MB近くもあってビックリしたことを思い出した。それをmp3に変換すると100MB以下になるけど、音質は変わってるように感じない、じゃあ残りの600MBはどこに消えたのか。そんな昔の疑問も解決してスッキリ。何気なく使ってる技術にもドラマがあるんだなと。

    あと客が聞きたくない曲も買わされる音楽アルバムは「強制的抱き合わせ販売のいい例だった」とか書かれてて笑った。久しく忘れていたけれど今思うと確かにその通りだなー。日本はCDレンタルがあったけど、アメリカだとCDはレンタルできなかったっぽい?だからアメリカじゃMDも流行らなかったのかな。

  • もう、ほとんどエンタメ、ほとんどサスペンスなのに、内容はドキュメンタリー。

  • MP3がデファクトスタンダードになったのは技術的な優位性のみで決まったと思っていたが、背景にここまで複雑なドラマがあったのかと関心と、技術畑にいながら知らなかったことに恥を感じた(笑)
    なーんか結局、音楽のためになったのかはいまだにだれもわからないかな。。

  • ブランデンブルクがmp3を産む過程
    ビットの配分、このプロセスを反復させることで音声ファイルのサイズを好きなだけに小さくできる(音質は下がる)
    mp3はmp2と比べて優秀なはずだったが、人脈や企業の意図、強い力を持つmp2に負け続けた
    MPEGによるフィルタバンクの強制のせいで
    希望を持った勝負にも政治力を使われ敗戦
    リンデの協力を得るも、mp3は売れず
    フィルタバンクの強制から脱却したmp3に代わる、次世代エンコーダAACの開発に注力する
    彼らはアングラでmp3が不正ファイルを生み出していることに気づいていなかった
    それを知った彼らは著作権侵害を決して許せない
    ブランデンブルクは競争市場について理解し始め、携帯電話やHDTV向けにAACを売り込み、混乱を生まないため家庭用音楽ユーザーにはmp3を売り込んだ
    結果としてブランデンブルクは暗闇を抜けMPEG、フィリップス/MUSICAM連合も権威を決定的なものとしてみなすようになった

    グローバーの工場勤務
    CDを盗み発売前の音楽をパーティの主催者がDJをしていた
    グローバーはIRCのウェアーズの板で長時間過ごすようになった
    のちにmp3という新しい板にたどり着いた
    さまざまなものを圧縮してコピーするこのサブカルチャーはウェアーズシーン、シーンと呼ばれる
    シーンはソフトウェアから音楽に移りつつあり、メンバーはmp3に熱狂していた
    NetFraCk(最初に工業規模の不正コピーを行った)はフラウンホーファーが開発したL3encエンコーダを使って世界初のデジダル海賊音楽グループCDAを立ち上げた
    グローバーは本格的に海賊行為を始める
    ドッカリーに招かれカリがリーダーのシーンに入る
    カリはグローバーがユニバーサルに侵入することを期待して採用
    グローバーは工場からCDを盗み出す方法を編み出して、世界一の流通元となった
    カリがリークを焦ってしまい、工場からの流出がバレてしまう、危険を感じたグローバーは一度アングラから脱却
    管理職に昇進して、警備体制も弱まっていた
    カリとグローバーはよりを戻し、取り決めを結んだ
    すぐに最強となり、過去をも超えていたが、取り締まりも厳しくなったどんどんRNSに近付いていく
    ピンクパレスの管理者エリスはオーディオブックを流出し、ハリーポッターを敵にしたのち、逮捕
    RNSが終わって、平穏な日常を取り戻したグローバーは衝動に駆られ、再びシーンへ
    しかし、ついに警察に突き止められてしまう

    モリスは先見の明に素晴らしいものがあり、ギャングジャンルを明るみにしてバズらせた
    クビになるが再びエグゼクティブとして復活
    ブロンフマンは飲料業界からエンタテイメント事業に転身
    海賊版が売上減少に影響するのは、音楽業界がファンのニーズに応えられていないから
    つまり、ヒットを出し続ければCDを買ってくれる
    ナップスターの登場
    音楽業界は海賊版との戦いでP2Pのファイル共有は追いやれたが、mp3は店頭に残った
    ナップスターのサーバーは閉鎖されたが直前にダウンロードが殺到し、皆が自宅のコンピュータに膨大なファイルを溜め込むことに
    ハブキャッププロジェクトにより素人ばかりが訴えられ、多額の賠償金を払わせることに
    本格的にFBIとの協力でRNSを探すもしばらくは成果を上げられず
    遂にAPCの残党からRNSにコネを持つレイズに出会い、RNSのメンバーのインターネット通信を傍受した
    モリス イノベーションを起こす
    Vevoで広告費のかかる動画を利益源と変えて、YouTubeでも人気のチャンネルになった 

    結局グローバーは有罪となったが、チョウやカシーム(カリ)は陪審による方の無視で無罪となった
    有罪とは分かってるんだけどそれは正義ではないとして法律を覆した

  • 14. 海賊版のmp3の大半は、少数の組織されたグループから発信されていた

    19. ツビッカーは「音響心理学」の父と呼ばれる人物だ。音響心理学は人間がどのように音を認識するかを科学的に研究するものだ

    20. ツビッカーが発見したのは、人間の耳はマイクのように機能しないということだった。耳は適応型の器官で、自然選択によって①言語を聞き取って解釈し、②大型の肉食動物から身を護るための早期警戒システムとして働くようになっていた

    22. 音楽CDは、1秒のステレオサウンドの保存き140万ビット以上も使っていた

    39. 歴史を振り返れば、19世紀末に起きたAC対DCの「電流戦争」から1980年代のVHS対ベータ闘争まで、最高の技術ではなくもっとも腹黒い者が勝利を手にしてきたことは明らかだった。エジソンからソニーまで、自分たちの規格をうまく宣伝し、賢くライバルの裏をかいた者が利権を手にしてきた

    68. 「曲がり角の向こう側を見る」

    70. 「人生の秘訣は正直さと公平さだ。そのふりが上手にできれば、この世界で成功できる」

  • mp3の開発、ファイル共有(海賊行為)カルチャー、そしてCDの凋落の全てが絡み合った音楽業界の歴史的転換点の物語。

    当時のナップスターやビットトレントの裏側で起こっていた事件を深く知られる。その時代に青春を送った自分としては、個人的な興味と物語の面白さがガッチリとハマった。

  • だいぶ遅ればせながらだけど、読んだ。とんでもなく面白かった。産業、テクノロジー、人が絡み合いうねりを産んでいく。90年代後半から2000年代前半はまさに自分が一番音楽にのめり込んでた時期。業界はこんな激動の時代を迎えていたのか。もちろん本書に登場する色んな固有名詞を耳にしてはいたけど、のほほんとしてたもんだな〜。

  • 東2法経図・6F開架:760.9A/W79d//K

  • インターネット黎明期に一世風靡したいわゆる「割れ」文化についての世界的な騒動を描いたノンフィクション。

    立場が異なる三人の主人公を据え、それぞれに視点を切り替えながら進む展開には臨場感があったし、主に音楽の違法アップロードにまつわる話題が扱われる中で例示されるアーティスト達が個人的な世代にも合致していて、当時の空気感が懐かしくもあった。

    しかしこの本で一番ツボなのは、
    リンプビズキットが話題に上がるたび、作者が嫌いなのか死ぬほどディスり散らすところ。

    ノンフィクションルポモノなのに、そこは自我だすんかいwみたいな。

  • mp3の成り立ち、及びナップスターに始まる違法ダウンロードサイトの隆盛について。前半のmp3がmpegに勝利した経緯や、発売前のリークのほとんどがプレス工事から直で漏れていた、それも一人の工員の手によって、というのが非常に興味深かった。

  • 2016年初版なので、ちょっと古いけど… その分、今のシーンがひとつの答えとして楽しめました

    ・mp3を生んだドイツ人が既得権益に抗うベンチャー魂

    ・そのデジタルデータの魅力に取り憑かれ、なんでも金で解決する資本主義に対抗してインターネットでのユートピアを目論むパイレーツ

    ・ワーナー〜ユニバーサル〜ソニーと渡り歩き、伝説の王国を築きあげたミュージックマン、ダグ・モリス

    この3つの物語が交わることなく、ひとつの結論に向かっていく

    それは、音楽が未知のテクノロジーと出会った試行錯誤であり、配信サービスが確立するまでの答えの見えないカオス

    今の覇者が決してゲームチェンジャーなのではなく、夜明け前のイノベーターたちこそが変革者であり先駆者であると

    邦題は犯人探しが大好きな日本人向けに「誰が(=who)」になってますが、原題は「how」であり、コンテンツがどう時代に右往左往させられたのかがよく分かるミステリー風ノンフィクション

    おもろかった

  • 一昔前(?)のmp3等を用いたファイル共有の話。
    色々とニュースがあった記憶はあるけど、裏側でこういう事があったんだなぁと面白く読めた。

  • Mp3の生みの親の天才技術者のカールハインツ・ブランデンブルク、CD工場から音楽を盗みネットにリークするグループRNSのデル・グローバー、記録的なヒットを飛ばし業界No.1の最強音楽エグゼクティブのダグ・モリスの群像劇。

    それぞれ接点のない3名が、良い意味でも悪い意味でも音楽業界に絶大な影響を与えていく。音楽データ圧縮の進化、CDからmp3への販売方法の変様、P2Pのファイル共有ソフトによるコンテンツの無料配布の効率化による著作権侵害、ミュージックビデオによる広告収入……そして本書には記載がないが、SpotifyやApple Musicへのサブスクリプションへとプラットフォームは洗練されるとともに、音楽市場規模の衰退していく。ノンフィックションだが、ミステリー仕様でかなりワクワクしながら読めた。

    また、メインの3人以外にも海賊たちを追うFBI、ファイル共有サイトの運営者といったmp3に翻弄された人々のお話も心にグッときた。

    個人的な話になるが、情報系の資格試験の勉強をしているときにMPEGのコーデックの種類ありすぎてうざいと思っていた。しかし、本書のMP2とMP3の戦いの歴史を見てみると規格化するに当たって色々な思惑が交差してとても面白かった。同様にコーデックうざいと思う方は読んでみてほしい。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/768065

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