誰が音楽をタダにした?──巨大産業をぶっ潰した男たち (ハヤカワ文庫 NF)

  • 早川書房
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本棚登録 : 214
レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150505189

作品紹介・あらすじ

オタク技術者、大手レーベルCEO、田舎の工場労働者。CDが売れない時代を作った張本人たちの知られざる物語。解説/宇野維正

感想・レビュー・書評

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  • 非常によくできたノンフィクション。
    素晴らしいジャーナリズム。
    内容はもちろん、文章自体も面白くて、最後まで飽きずに読める。

    かつて、P2Pファイル共有ソフトなんかで、音楽ファイルを違法に入手できた時代を経験した世代としてはゾクゾクする内容だと思う。
    (不特定多数の人が違法アップロードしてるんだと思ってたけど、ある一人の男がそのほとんどをアップロードし、世界の音楽業界を変えてしまっていたという話とか)

    メインの男3人、それぞれ違った形で音楽業界を大きく変えた人たち。ただいずれも偶然やタイミングの一致が大きな要素だったなと思う。

    映像コンテンツも同じような背景の中でネットフリックスが現れて世界が変わったし、雑誌やマンガもこうなっていくだろうし、そんなダイナミックな時代を生きてるんだなと。

  • 怖いわー。現在の音楽業界が辿った道を【mp3開発者】【音源流出者】【音楽業界側】の視点で描いたノンフィクション。
    音楽業界と流出者の主張は、最初の音楽との出会いが違法ダウンロードな世代にとっては論点ですらなく、作中に出てきた【現在、もっぱら主要な顧客はダウンロード出来ない世代だ】に震える。本屋大丈夫かよ!?電子化すれば必ず起こりうる事(違法ダウンロード)なのに今はメリットばかりが喧伝され【無料で読める】事になれた顧客を育てているんじゃないのかなー。紙を買う層と買わない層が存在している限り本屋は無くならないと信じてきたのが、これを読んでぐらついた。踏ん張ってるけど。
    すぐに書店に置き換えて暗くなるが、80年代からのアメリカ音楽の歴史としても楽しめる。2000年以降はヒップホップ大目ですがそれがまたティーンの好みにも合い一気に音源のMP3化が進んだのだろう。歴史の転換期ともいえる1990年代後半からCD屋をやっていて(まさに絶頂期と下降期!ヤパー!)思い出すのは、「ワーナーミュージック」の注文書には毎回各アーティストの新譜から1曲づつ収録されたサンプルCDが閉じ込みで封入していて、それこそ発売1か月以上前には末端のCD店で音源が存在していた。本書でも描かれる「流出マニア」達の中にネットの海に流した奴が居なかったとは限らない。だってMP3音源ですべてが事足りるなんて全く思いもしなかった。MDが消え去るなんて思いもしなかったように・・・
    「売り上げが落ちた原因が違法ダウンロードでは無い」
    アメリカは広いね。国もココロも。
    そんな意見に「3日前に初めてラジオで流れた新曲。もちろんCDは発売されていない。もちろん、その曲も落とせる」
    本書には音楽業界だけでなくスティーブ・ジョブズや酒造大手シーグラム社会長にFBIと様々な人物が現れる。どれも音楽を守ろうと蠢いている。音楽という巨大産業がぶっ潰された後から何が生まれるのか?アメリカでも日本でもすでに新しい何かが芽生えている。新しいカタチが何であるのか見極める前に「そもそもどうなのよ?」で読んで欲しいのである。趣味の欄に「音楽鑑賞」としているキミタチに。

  • とても面白く読めたノンフィクションです。
    私の年代だとCDをショップに行って足で情報と
    パッケージを買っていた年代ですが、
    今は無料や定額制で聴き放題。明らかに音楽のリスニングスタイルが変わっています。その時代を
    生きた人たちの物語が書いてあります。
    面白いです。

  • 技術的な話はチンプンカンプンで一度挫折しかけたが、やっぱりどうしても気になって我慢して読んだところ、何となく何が起きていたのかわかったような気がする。どの程度理解できているかは自信ないけど。

  • MP3技術による音楽産業の変革というものを
    現象 → 構造 →(本質?) と、流れが捉えやすく描写されていたように感じた。登場人物全員が革命の一端を担っている。面白い。

    当時莫大な資金と影響力を持っていたレコード会社も、民衆の「音楽はタダで聴きたい」という執念と技術の前に抗えずに衰退するのは痛快。正攻法じゃなかったとしても、今の音楽環境を作ったのはハッカーなんだな。 

    そこで真っ先に正攻法でitunes作ったジョブスはやっぱ最強。まじ官軍。

    一つの社会現象を追ったケーススタディとして大変興味深かった。オヌヌメ。

  • 評価大の書籍ながら、評価が難しいなあ。
    でも結局、当時の主要メンバーは彼らなんだろう。真相は実は結局分からない。
    本書の話以外でも、例えば日本でもWinnyが問題になったり、海外でもいくつか共有ソフトが流行ったし。Adobeのソフトコピーも色んな手でパスワードが作れたりとか。
    音楽アルバムは多分彼らがぶっ潰したんだろう。
    けど当時出回ってたブートレグのライブ音源とかはどこからやって来たんだろうね。今や貴重だなあ。どこにいったろうか。

  •  mp3、具体的には効率的な音声圧縮技術の登場と、インターネットによる拡散と音楽産業の凋落について、その当事者とともに取り上げた本。
     IRCやナップスター、LAMEなど、私にとっては懐かしいキーワードだった。一方で、アーティストやアルバム名はいまいちピンとこない。
     著作権を背景にした金取合戦が嫌いな私にしてみれば、マーケットを操作し、書籍並みの価格調整を憚らず金儲けに邁進していた音楽業界が、コピー競争や泥棒によって凋落していく姿は痛快劇に映る。まるでねずみ小僧ではないか。
     ネットに流れた音楽データは、海賊版として駆逐されてしまっているのは仕方がない。残念なのは、これらアーカイブの枯渇である。この本を読んで、音楽はアーカイブがほとんどないことに気付いた。ネット上にタダで流れている情報は雑多で、本性がよくわからないものが多く、確かで整理されているものは金を払って手に入れるしかないものだが、音楽は金を払ってすら手に入らないのだ。
     私は、音楽は時間芸術であり、時間芸術は生活を通り過ぎるものだと思っている。通り過ぎてしまったからこそ、もう一度出逢いたいと強く思うものである。だからこそ、CDとして売り出された曲だけでなく、ライブ、カバー曲、果てはラジオパーソナリティーの鼻歌に至るまでのアーカイブが求められ、作られたのではなかろうか。そのような活動は、商業ベースではありえない。通り過ぎた音楽を取り戻したい感情が精力的なアマチュアリズムを生み、「シーン」を形作ったのではないだろうか。

  • 音響心理学

    mp3の技術は、MPEGやフィリップスによって潰されそうとしていた(政治...!)

  • 田舎の工場で発売前のCDを盗んでいた労働者、mp3を発明した技術者、業界を牛耳る大手レーベルのCEO…。音楽産業を没落させた張本人たちの強欲と悪知恵、才能と友情に迫った群像ノンフィクション。

    最初のうちは訳分からなかったけどだんだん面白くなってきた。

  • マクルーハンのメディア論に書いてあったこと、そのまんまだと思いました。

    「相互交換の手段、人間の相互交流の手段は、すべて加速によって改良をみる。すると、こんどは、速度が形態と構造の問題を強調する。古い編成はこのような速度を考慮してなされてはいなかったから、人々が古い身体的形態を新しいより速い運動に適応させようとするとき、自身の生命価値が流出しているように感じ始める。」

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