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Amazon.co.jp ・本 (432ページ) / ISBN・EAN: 9784150505394
作品紹介・あらすじ
NYで活躍する記者が明かした極貧の少女時代。夢見がちで勝手な父母への怒りと愛のはざまで苦悩しつつ自立していく姿が胸を打つ
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
困難な環境で成長する少女の物語が描かれています。極貧の家庭で育った主人公は、計画性のない両親との関係に苦悩しながらも、自立を目指して奮闘します。親の無計画さがもたらす不安感や、社会保障に対する母の意見...
感想・レビュー・書評
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2019年9月読了。
映画を観た後なのでかなりの部分を斜め読みした感じだが、映画には描かれなかった「より過酷な生活実態」が書かれているように思う。
112ページ
「父も母も計画的な生活というものをまるで理解していなかったので、いつも月末が近づくと金に困っていた。」
→親が計画的であればあるほど子供は無軌道に流れ、親が無計画であればあるほど子供はそんな無鉄砲な親の生活に恐怖を抱く。と安易に一般化はできないだろうけど、親に固定収入がないことは確実に子供に不安感を与えるとは言っても良いのではなかろうか。
274ページ
「社会保障は子どもに精神的ダメージを与えて自立できなくする悪い制度だと母は反論した。」
→根強い「自己責任論」とでも言おうか。確かに社会保障にカバーされること=自活できない人と定義づけられるみたいなところはある。本当に必要とする人には必要な保護を与える、そしてそのような人を温かく迎える寛容な社会が望ましいとは思うものの、いざ自分がその立場に置かれたらどんな反応をするか、予測が付かないところがある。
359ぺージ
「嘘だと思うかもしれないが、世の中にはここよりずっといい仕事の口があるんだ。きみはいつかそんな仕事に就くだろう。だが、それにはまず大学を出なきゃな」
→大学の社会的効用みたいなことを考えると、それまで属していた親の庇護とか、地域的な関係性からいったん引き剥がされて、(基本的には)自分が選択する(学力を基礎とする)別の社会に入っていくことができること。今時はそうでないのかもしれないし、むしろもっと早い段階で自分から別の社会に飛び込んでいく人もいるのだろうけど。
371ページ
「大学を中退して両親の暮らしを手助けしようかと、私はしばらくのあいだ真剣に考えていた。父と母が路上生活をしているというのに、自分は私立の立派な大学に通って教養を身につけるという贅沢をしている。これは、途方もなく身勝手で、絶対に間違っているように思えた。」
→「住む世界を変える」ということに対する強力な後ろめたさ、というか。ただ、この著者は(色々な葛藤や問題はあったものの)やがて住む世界を変える両親(正確には父は亡くなっているので母親)とも非常にうまく生活しているように作中からは推せられる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
訳者あとがき
「真実はつくられた物語よりも深い感動をもたらしうる。」
「心の奥底に封印してきた過去に向きあうのは、ひどく苦しい作業だ。それが誰にも知られたくない重荷であり、他人の目には悲惨に映る体験であればなおさらのこと。けれど、艱難辛苦を乗り越えて、幸せにたどりついた人間が綴る真実の物語は、読み手の心を強く揺さぶり、深い余韻を残してくれる。」
まさに。
だから私はノンフィクションが好きなんだ、と改めて実感した。
そして最後の解説は残念ながら、恵まれた環境で生きてきた人間がなんとか想像力を働かせて書いたような偽善的な印象で、憤りを感じるものだった。
たとえば
「…だが本書を読む人はみな、どんなにひどい男であり女であっても、子どもにとっては親は親であり、愛し愛されたい対象であることを、痛みとともに思い知るだろう。」
この一文なんかは特に、親ガチャに成功した(少なくとも失敗しなかった)脳内お花畑人間がそれらしく書いたものでしかないと感じる。現実の悲惨な親子関係はそんなに美しいものではない!
ただこの駄文にも1箇所だけ、鋭い気づきが書いてある。「幼少期の記憶が非常に鮮明な人が私の知人にもいる。そのうちの何人かに共通するのは、すべてをよく見、注意深く聞いて覚えておかないと生き延びることのできなかった子ども時代を送ったということだ。世話を焼いてくれる大人がいなかった、ネグレクトからのサバイバーである。」
これは確かに実体験として同感。的確な表現だと思う。
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なけなしのお金を浪費し、計画性もなく、あちこちを転々とし、子供の生活を犠牲にする…どうしようもないダメ親っぷり
そして、まだ子供であるがゆえに、そんな「親」のそばで劣等感に苛まれながら日々を凌ぐことしかできない幼少期
いくら努力してもダメ親に足を引っ張られる子供、
今風に言うところの "親ガチャ" に大失敗した子供。そして思春期になると、一刻も早く親元から離れて重荷から解放されること(少なくとも共倒れから逃れること)を目指して実行していく…
程度の差はあれ、過去の自分とそっくりで
読みながらイロイロ思い出されて辛かった。
P288でジャネットがハイスクールにあがったところから一気に心が大人になり、自立していく。
訳者あとがきの言葉を借りれば、やがてジャネットは、自分たちきょうだいが両親のせいで苦しい生活を強いられているという現実を認識し、なんとかしてそこから脱出しようと決心する。
「この女が自分の母親だなんて思いたくもなかった」
「母のようにだけはなるまい」
「…そう心に誓い、教科書を手に家を出た」
「私はどうしていいかわからなかった。親にできるかぎりのことをしてやりたいという気持ちもあれば、もう縁を切りたいという気持ちもあった」
まるで自分が書いたみたいで共感しかない。重荷でしかない親によってさんざん苦しめられてきた自分の過去、生き延びるために親を見捨てる罪悪感と闘った日々のつらさがよみがえり、涙なくしては読めなくなった。
そんな親でも見捨てない主人公の気持ちは私には理解できないけれど、読み物として非常に良い。
★5つではぜんぜん足りない。
ただし、恵まれた環境で生きてきた人が読んでも
真の理解はできないだろう、まるでフィクションのように他人事として理解したつもりにはなれても。
たとえば「食卓に食べ物を載せることなんて、すごく簡単なんだ、本気でそうしようと思えば」
この言葉に込められた想い、真の意味を、どれだけの読者がちゃんと理解できるだろうか。。
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こちらは2019年5月発売のハヤカワ・ノンフィクション文庫版。
河出書房新社の『ガラスの城の子どもたち』(2007年1月発売)と同じ原作なのでご注意。 -
言ってしまえば物語で、自分とは無縁だからそんなことが言えるのかもしれないけど、きらいな人は1人もでてこなかった。正直で、好きな本だった。
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