ヒトの目、驚異の進化 (ハヤカワ文庫NF)

  • 早川書房
4.10
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本棚登録 : 370
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150505554

作品紹介・あらすじ

市街から文字に至るまで、人類の文明はすべて「見られる」ために誕生した!? 目がヒトを語る、視覚科学の新境地。解説/石田英敬

感想・レビュー・書評

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  • 最近、五感についての話をよく読む。
    そういう意味では、呼ばれた本だったかも。

    訳を通して読むので、やや回りくどい部分もあるのだけど、豊富に図表が載せられており、照合しながら読んでいくのが面白くなってくる。

    「はじめに」では、視覚の持つ超人的な力「テレパシー」「透視」「未来予見」「霊読」の四つの能力を取り上げていくと述べられる。

    ここで、えっ、コレってそういう系の本なの?と臆せず進めて欲しい。

    第一章では、テレパシーとして人が色を知覚する能力について取り上げる。
    人にとって、ベースとなる色、つまり肌色は意外にも意識されていない。
    だからこそ、そこに色味が伴うことには敏感で、それがどのような心理、健康状態かを察知できる。

    体温の例で、36度と37度なんて大した違いではないのに、人にとってはその違いを大きく感じるという話にも、なるほどーと思わされた。

    第二章は、透視。
    ここでは、人の目がなぜ前向きについているかを考えていく。
    確かに横向きの目の動物は多いし、後ろ向きに目があったら便利なのに、と思わなくもない。

    目が前向きに付くことで、障害物の向こうを補足しながら見ることが出来るという利点があるらしい。

    第三章は、未来予見。
    と言いながら、現在を知覚するために起きる神経的遅れを、未来予見という形でカバーするという話。
    ただ、ここから派生する錯視の話が面白くて、なぜ人は錯視を起こすのか、まできちんと言及されている。

    第四章は、霊読。
    ここでは、文字の成り立ちについて述べられるのだが、この文字のカタチと、自然界に存在するカタチをパターン化すると、その出現頻度が一致するという検証がされている。

    ……これ、ヤバくないですか?

    すべての文字が三画以内で書けることと、いろんなモノのカタチが符号することは、数学的匂いがするなぁと思ってワクワクしながら読んだ。

    予想以上に発見の豊富な一冊だった。

  • 視覚に関するなぜ?を説明する本です。とても面白く、新しい発見に満ちています。

    「どういう」仕組みか?に対する説明ではなく、「なぜ」そのような仕組みなのか?に対する説明がなされている点に、本書の特徴があります。
    そしてその説明が軒並み突飛で、今まで学校で学んだことを覆すようなものなのです。

    「なぜ人間の目は色が見えるのか?」に対しては、
    「同族の感情を読むため」

    「なぜ人間の目は前向きについているのか?」に対しては、
    「障害物の向こうを透視するため」

    「なぜ人間の目は錯視するのか?」に対しては、
    「未来を見通すため」

    「なぜ人間の目は文字を読めるのか?」に対しては、
    「目が認識しやすい形を文字に採用したため」

    どれもこれも突飛なアイデアです。

    しかも驚いたことに、本書はこれらの仮説を、データを用いて実証的に示しているのです。突飛なだけでなく説得力も充分に備えています。

    学術論文をもとにした著作とのことで、非常に堅固な論理で組み立てられています。
    しかしそれでいて難しくなく、すらすらと読める名著です。

  • テレパシー、透視、未来予見、霊読といった超能力のように思われるものが実は人間の目には容易く、日常的に行われているという目からウロコの内容。キャッチーで、目を引くテーマに終始せずに、確かな学術的証拠や実験データを豊富な図やグラフでわかりやすく提示されており非常に読みやすい。本書を読めば、普段私たちがどれほど不可解で不思議な能力を使っているのか実感する。文字通り本書を読めば誰しも普段の世界の見え方が一変するだろう。

  • こりゃあすごい本を読んじゃったな。ヒトの視覚認識に関する教科書が書き変わるような定石破りの仮説が目白押し。目のウロコは4枚落ち。開き両王手の飛車角取りだ。
    著者は冒頭でこんな事を言う。ヒトの視覚は四つの超人的な能力を持っている。テレパシー、透視、未来予見、霊読(スピリットリーディング)の能力だ。人々は我々が持ち合わせるこれらの能力に気づいていない。と。胡散臭いなー。これを読んだ誰もが感じるだろう。だがこれは、著者の大袈裟にとぼけてみせる独特のユーモアだ。それどころか、まんざら大袈裟でもない。著者も最後に自ら言っている。「私は知識や考えを(そして、、エンターテイメントも少しばかり)紙の上に載せている。」と。少しどころではなくハイスペックエンターテイナーだ。人々がデフォルトで持ち合わせている超人的な能力のしくみが解き明かされていくさまは、サスペンス映画でも見ているような、恐怖すら感じる仮説だ。
    ヒトが色覚を得たのは森の中で果実や若葉を見分けるためだったのではないだって!?両眼が前を向いているのは立体視のためじゃないって!?錯視の大統一理論!?文字の大統一理論!?NHKスペシャルはこれを4回にまとめて、教科書は書き換えなきゃならない案件だな。
    ※少し内容に入ります↓
    Mixilience
    白人と黒人の肌の色のスペクトルはほぼ同じだそうだ。それなのに人間は肌の色に敏感だ。これは自分の肌を基準とした肌色の微妙な差異を見分けるために進化した目の機能のために、他人の肌がより違って見える。肌の色に敏感すぎるからだそうだ。この事を多くの人が了解していれば良い。日本人には多いだろうが、少なくとも私は、肌の色が大きく違う人と接することに慣れていない。でも多くの外国人と接する機会は日に日に増え、これからも増えるだろう。様々な人種の中に混じっても、翻弄されず流されず隣人は仲間だと思える自分を取り戻す力を持とう。それをマジリエンスと呼んでおこう。
    AR
    左右の目から脳に伝わる情報は目の位置によるズレの分若干違う。それらを脳で統合して、片方の目だけでは見られない部分を補完し合って視覚を作る。これを著者は透視と言っている。
    そして目に光の情報が入ってから、視覚が生まれるまでには0.1秒かかる。つまり0.1秒前を見ることになる。特に運動時は視覚が遅れては困るので、現在を見るために未来を予見するように脳で処理される。これが未来予見の能力である。
    これほもう、ヒトの目は自然のAR(拡張現実)ゴーグルをしているようなものじゃないか。
    本書の原題は、The VISION rEVORUTIONだ。解説でこのように綴っているが、原書の表紙はREVORUTIONのRの一文字だけ赤く色が違っている。それでこの邦題になっている。私なら「シン革命」とか「シン・カクメイ」にして、遊ぶところじゃないかと思った。
    character
    昔、木目の中に顔を見たり、壁の染みに動物を見ていて親を驚かせた。その理由が少し分かったような気がする。速読をする人は、文章全体を眺めるとか、文章を写真のように見るなどして、全体を分かって読んでいるらしい。それもまんざら嘘ではない気がしてきた。速読はとうとうできなかった。How to本をゆっくり読みすぎたかもしれない。
    著者はヒトの使う文字を19の文字素に分けた。著者曰く、これは文字の周期表だ。地球環境に生活するヒトが発明した文字なら、世界中の全ての文字はその文字素から成る。ヒトが物の形を認識するとき、輪郭を基本的な要素に分けて形をとらえる。その目で、物を見るように文字もとらえているらしい。自然を分節化し、音を分節化して言葉をつくるように自然から形の要素を切り取って文字を作った。文字の起源は数字らしいけど、文字が発明されるより前から自然を読んでいたんだ。このキノコには毒があるとか、この虫は食べられるとか、このような窪地に水があるとか。自然を読む目を使って自然を代替する文字を読んだようだ。文字を発明したからと言って、パソコンのように文字を読むためのドライバーを脳にインストールするわけではなく、あくまでも自然を読む目を使って文字を読んだ。だからその目でうまくとらえられるように文字の方を進化させたのだという。
    本書には映画「マトリックス」のエピソードが出てくる。本書を読んでいると、今まさにマトリックスの世界に居んじゃないかという錯覚を起こす。あの"起きていてもまだ夢を見ているような感覚"。白昼夢。だってヒトの目はありのまの現実を見ていない。脳の中の監視モニターの前で現実だと思い込まされている映像を見ている。
    ちょっと飛躍したようだ。目からウロコが落ちすぎて幻惑した。
    #マークチャンギージー #whyを問う #柴田裕之 #金井良太 #下條信輔 #北岡明佳 #錯視

  • 今まで当たり前に思っていた目の機能の可能性を感じた。個人的には最後の言葉のパートが好きで、書き言葉は死者と話すことでもあるんだな。発送が面白い

  • そもそも人間の目による知覚は正確ではないというのが、なるほどやっぱりか。

    色覚→肌の血の量酸素量の微妙な差=感情や健康が分かるため

    目が二つとも前を向いている→左右で見ることで遮っているものを透明化する(葉に遮られても向こうが見える)

    錯視→「現在」を知覚するために前進した0.1秒後を予測している

    文字→自然の形に近いと認識しやすい

  • アメコミのヒーローのような超人的な能力を、見方によっては人は既に持っているのだぞ、という趣旨から始まり、目(と文字)がいかに進化し、能力を獲得して今の我々の顔にハマっているのか、ということが書かれている本。

    個人的にはテレパシーの一章が一番興味深かった。次点で未来予見。
    円城塔さんがこの本のSF風書評を、「小説案を5つ」というタイトルで投稿していたので、SF好きな人はあわせて読むと楽しめると思う。

  • 理論神経科学者のマーク・チャンギージーが、人の「目(視覚科学)」に関する独自考察を論じた一冊。感情を読むテレパシーの力、未来を透視し予見するする能力、人が文字をうまく処理できる理由だったり、人の視覚が持つ「力」が写真・図解を交えて大胆な仮説をもとに語られる。第2章の透視能力の部分、結構簡単に実践できる内容で、ゲームの画面を交えてシンプルに(透視の力の)説明がされていて、こういう仮説を読んでいると科学は本当に面白いと感じれる。

  • 視覚についての新たな視点。大変興味深く面白く読ませていただいた。この本を読むことで見ることの視座が変わる。

  • 本題前の導入が長く、思考実験の解説も冗長で読みづらい…!実験や調査結果からの考察もややこじつけのように感じる…
    端的にまとまっていれば面白く感じたかも…

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著者プロフィール

カリフォルニア工科大学の特別研究員、レンセラー工科大学の准教授を経て、現在、2AI Labsの主任。邦訳書に『ひとの目、驚異の進化――4つの凄い視覚能力があるわけ』(インターシフト)がある。

「2013年 『<脳と文明>の暗号 言語・音楽・サルからヒトへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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