遺伝子―親密なる人類史―(下) (ハヤカワ文庫NF)

  • 早川書房
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (592ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150505721

感想・レビュー・書評

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  • 上巻はダーウィン、メンデルから遺伝子組み換えや遺伝子クローニングまで、これまでの歴史を振り返っていたが、下巻は遺伝子診断、遺伝子治療の未来について展望を語る。
    人間の特性のほとんどが、複数の遺伝子と環境の複雑な相互作用の結果であり、すべての遺伝性「疾患」はゲノムと環境のミスマッチによる。病気の解決のために遺伝子を変えるより、環境を変える方が簡単な場合が多い、という著者の主張に納得。

  • オーディブルはシッダールタ・ムカジー『遺伝子 親密なる人類史 下巻』が今朝でおしまい。『がん』に続く傑作医療ノンフィクション。国家による強制が最悪の結果をもたらした優生学がいまは形を変え、個人の自由意志に基づく遺伝子選択の問題にすり替えられて、新優生学あるいはリベラル優生学となって人類に新たな難題を突きつける。進化は多様な組み合わせによってもたらされるのに、遺伝子プールの多様性を特定の方向に収斂させようという試みは、近い将来、手痛いしっぺ返しを人類にもたらすだろう。取り返しのつかないポイント・オブ・ノー・リターンを越えてしまう前に、人類はその過ちにブレーキをかけることはできるのか。暗澹たる気持ちになる。

  • 遺伝子上では、人類が遺伝子と出会うまでの過程が面白かった。本著「下」では、遺伝子と病気を主なテーマとして書かれており、「上」に比べて個人的には読み劣りしてしまった。

  • 本書は遺伝子の発見から現代の遺伝子編集技術に至るまでの歴史的な旅を描いている画期的な作品です。遺伝子の複雑な科学的知見を、誰にでも理解できる言葉で解説する筆致は抜群です。特に、遺伝子操作の倫理的な側面についての議論は、未来の科学と人類の方向性についての重要な問題提起となっています。未来の科学と人類の運命についての理解を深めたい方にお勧めの作品です。

    植沢芳広

    https://kensaku.my-pharm.ac.jp/opac/volume/273162

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/768039

  • 下巻は、少しだけ時代を遡って、遺伝子多型に関する話から。この分野において、crispr/cas9がいかに衝撃的だったか。改めてSFが直ぐそこに近づいていることを感じた。


  •  上・下、読みました。遺伝子の歴史の本です。
    過去、遺伝子とはこう考えられていて、だんだん色々分かってきて、現在はここまでできる。将来はこうなっていくだろう。まで、記されています。

     個人的には「ある遺伝子があると、ストレスに弱いが、同時に支援を受けた時に花開く。」のような、知識を求めていたので、冗長に感じました。ただ、それでも内容は面白いですし、読んで損はないでしょう。

     遺伝子について学べば学ぶほど、現在の社会で言われている「優秀」というのは、狭義な意味なのだと痛感しています。教育者の一人として、自閉症や多動症と言われる発達障害は、個性の一部として認められる社会になって欲しいなぁと。それらを異常と見なし、無理やり常識に当て嵌めたり、薬を服用させたりするというのは大人のエゴだと。私は考えています。

  • ヒトゲノム計画の完了を経て、遺伝子診断や遺伝子治療など現在に至る現況。科学的な解説のみならず社会科学的な観点からも大きな紙幅を割いて論じている。文庫版解説では社会的大問題となっている新型コロナウィルスとPCR検査、ワクチンといったタイムリーな話題の解説もあります。

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著者プロフィール

シッダールタ・ムカジー(Siddhartha Mukherjee)
がん専門の内科医、研究者。著書は本書のほかに『病の皇帝「がん」に挑む——人類4000年の苦闘』(田中文訳、早川書房)がある。同書は2011年にピュリツァー賞一般ノンフィクション部門を受賞。
コロンビア大学助教授(医学)で、同メディカルセンターにがん専門内科医として勤務している。
ローズ奨学金を得て、スタンフォード大学、オックスフォード大学、ハーバード・メディカルスクールを卒業・修了。
『ネイチャー』『Cell』『The New England Journal of Medicine』『ニューヨーク・タイムズ』などに論文や記事を発表している。
2015年にはケン・バーンズと協力して、がんのこれまでの歴史と将来の見通しをテーマに、アメリカPBSで全3回6時間にわたるドキュメンタリーを制作した。
ムカジーの研究はがんと幹細胞に関するもので、彼の研究室は幹細胞研究の新局面を開く発見(骨や軟骨を形成する幹細胞の分離など)で知られている。
ニューヨークで妻と2人の娘とともに暮らしている。

「2018年 『不確かな医学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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