カラハリが呼んでいる (ハヤカワ文庫NF)

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  • 早川書房 (2021年8月4日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (704ページ) / ISBN・EAN: 9784150505776

作品紹介・あらすじ

若き日のディーリア・オーエンズと夫が、美しく過酷なカラハリの自然と暮らした研究の日々を綴る、ネイチャー・ライティングの傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 今年のベスト3に入る一冊。
    若き動物生態学者夫婦が、カラハリ砂漠の動物たちを追って過ごした7年にも亘る日々の記録。分厚い本だが、動物が好きなら夢中で読めるだろう。
    日中50℃にもなる荒野で熱中症と闘いながら、アナログな機器と身体を使って動物を探し、書いて記録し、来るかわからない補助金を待つ。でも好きなことをやる人たちってなんでこんなに幸せそうなんだろう。
    そしてまた、野生の動物が垣間見せてくれる、自然のバランスの凄さ。王者ライオンとの絆、悪者イメージの強いハイエナの驚くべき社会的行動、妻になつく小鳥たち。飢えの最中にあってもコロニーの幼獣に餌を運ぶ雄ハイエナの行為を「運ぶ者が自分の血を絶やさないためにおこなう投資にすぎない」と説明しているが、利他的な愛情によるものと著者が見ていることは明らかで、胸を打つ。
    共著であり、夫側のダイナミックな筆致も楽しいが、妻側の丁寧な描写は、この人がのちに『ザリガニの鳴くところ』をものすディーリア・オーエンズであることを考えると超納得だ。
    すでにこのとき、旱魃と乱開発でふたりが守ってきたキャンプの地はだんだんズタズタになっていく。冒頭の、獲物を追って疾走するチーターが人の作った柵に激突死する場面から心を裂かれる思いだが、これは70年代の記録であり、すでに描かれた自然も動物も失われて久しいのだろうが、今からでもできることがあるならば、何かしなくてはと強く考えたのでした。

  • 『ザリガニが鳴くところ』を書いたディーリア・オーエンズが夫マークとともに描いたアフリカ、カラハリの滞在記。
    ライオンやカッショクハイエナの貴重な観察記録であり、青春の記録でもある。白人としての限界も感じるところもあるが、心打たれる描写も多かった。
    読み終わって、そこはかとない悲しみにとらわれる。失なってしまったものの大きさ。もう二度と戻れない楽園。

    本の中で、ボーンズやスターは永遠の命を得る。

  • 本というより文献。オーエンズ夫妻が行ってきたカラハリ砂漠でのフィールドワークの記録。ザリガニの鳴くところから派生して読んだが、まさに原点。命懸けの研究結果を読ませてもらった。ここまで素晴らしい研究をされていた方だったとは。だからこそ書けた作品であったと納得。長いのでこの手の内容に興味がないとなかなか読み進めるのは大変なのが正直なところだが、目の前でカラハリ砂漠を見ているような気分になれる。

  • 素晴らしかった。
    「ザリガニの鳴くところ」がとても良かったので、その著者が書いた本と知り購入。「ザリガニ〜」の原点はここだったのかと納得した。

    ボツワナのカラハリ砂漠での7年間にわたるフィールドワークの記録。と一言で言ってしまうには勿体ないほど壮大で、文明にまみれた今いる世界が本当に同じ地球なのか?と錯覚する感覚に陥いる。ライオンやカッショクハイエナの生態、著者との信頼関係、カラハリ砂漠の気候や生態系、とても深く考えさせられる。そして、よく著者は生きてたな…とも笑。

    コロナ禍でどこにも旅行に行けない中、広大なカラハリ砂漠にトリップできて没入できる本だった。

  • 過酷過ぎる環境で調査に身を捧げる夫婦によって語られるカラハリの自然

  • カラハリの動物たちに負けず劣らず逞しい二人。

    途中全然続きが気にならず中断、その間に動物たちの群れと個々の名前を忘れ、誰がどの群れか、親か子か、時にはなんの動物かもあやふやなまま、謎の意地で読み進めた。

    断片的にいくつかの部分が印象に残っている。
    少し視点を変えてみることを促す人類学者の解説も、巻末にあって然るべき内容だと思った。
    地球ドラマチックが好きな人はハマるのではないか。

  • 「ザリガニが鳴くところ」のディーリア・オーエンズと当時の夫マークの共著。2人が1970年代にボツワナのカラハリ砂漠で野生動物の調査を行なった記録だ。若い2人が資金もなく事前の準備もほとんど無しで、人間世界から隔絶された砂漠の調査に飛び込むところはハラハラしっぱなし。正直死ななかったのは運の良さのお陰だろう。
    動物の話だけでなく、数ヶ月2人だけで砂漠で過ごすと他の人間との交流に尻込みしてしまう話とかは興味深い。ディーリアの語りでは、ライオンやブラウンハイエナたちがそれぞれ個性を持ち生きている様を丁寧な観察と筆致で描写されていて素晴らしい。過酷な環境で生きる動物たちはもちろんだが、同じ環境の中で根気良く地道な調査を楽しみながら続ける2人に感動した。

  • ザリガニが泣くところの筆者とそのパートナー マークによるカラハリ砂漠での野生生物(ライオン、ハイエナ、ジャッカルなどの)観察ノンフィクション。
     動物のことだけでなく、野外調査に付随する様々な問題、文明化の問題、調査にかかる費用をどう捻出するか、また野生生物をどのように保護するべきかなど、様々なことが語られる。たった二人で文明と隔絶した世界で、乾季に耐え、野火に耐え、何度も命の危険を感じながら、それでも野生生物を観察し、記録し、感動し、怒り、当惑しそして記憶するという類まれないエッセイになっている。
     人類の営みとは別に地球上の生物が進化してきたことをまざまざと感じることができる本。
     万人におすすめ。

  • なにもかもが圧倒的すぎて、尊敬の念しかない。

  • 『ザリガニの鳴くところ』が心に残った人へ。あの物語の背景にある自然観や、静かな観察のまなざしがどこから来たのか。その原点に触れられる一冊。

    本書は、マーク&ディーリア・オーウェンズ夫妻によるカラハリ砂漠での過酷なフィールドワークの記録。野生動物の営み、人間の介入、そして自然の残酷さと美しさ。そのすべてが、調査レポートのような端正な文体で綴られながら、ページをめくるたびにカラハリの風景が立ち上がってくる。

    研究者としてのまなざしと、作家としての感性。その両方をあわせ持つディーリア・オーウェンズの原点を示した本。

  • ザリガニの鳴くところの著者夫婦、実際に育った湿地のリアル。
    すごく綺麗で儚くて美しくて生々しかった。
    写真集ぽいところもあり。

  • ノンフィクションの冒険譚。
    個人的にはやはり、ボーンズが好きだった。
    骨を折るほどの怪我をして疲弊しきっているボーンズに簡易治療を施し、計2、3体ほどの餌も与え、その餌もあまり近くに置くと警戒されるので少し離れたところに置かざるおえないが、そこから自らの陣地の木陰までボーンズが運ぶ上で、傷が開くのではないかとドキドキしながら見守る様。そこから無事回復し、耳にオレンジのタグが付けられ、しばらく見かけなかったと思えば再会できたり、とてもドラマチックだった。
    挙句、最後はこれらの話を聞いて感動した人間により知らぬ間に殺されていた。ドラマチック。

    他、集団で子育てする様や、我が子を見捨てる者もいたり、オーエンズらが助けてやろうかとやきもきするも結局死んでしまった子供、現地で言葉の通じない助手を雇い、彼が飛行機に乗ったりライオンに触れたりして人間らしい反応を示す様、などなど、ドキュメンタリードラマを見ているようで、長すぎたが面白かった。

    ちなみに、ザリガニの鳴くところは未読。
    著者のディーリア・オーエンズ氏はカラハリでは20代、ザリガニでは70代での執筆らしい。年月と共に、カラハリ時代がどう影響してくるか、どんな話か、これから読むのが楽しみだ。

  • 学術書しかほとんど読まない中、小説というか、体験記?みたいなこの本に触れてみた。
    何というか、強い憧れや尊敬をただただ感じた。ものを振り払い、全てを捨てて、愛する人と二人、大自然に囲まれながら研究をする。難しくて、その分美しい。いやぁ。すごいですね。この二人は。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/768052

  • 50年近く前、夫婦でアフリカの野生動物たちのいるカラハリ動物保護区に野宿して、野生動物の生態調査した記録。様々なハプニングが襲い、一触即発のライオンの群れとの対峙、カッショクハイエナの群れ家族と子育ての記録、などリアルな描写に圧倒される。
    すべての動物たちは命の限り生きている、人間の密猟や狩猟の犠牲になっていること、胸が痛い。
    森林伐採、保護区に住む原住民の問題、野生動物たちの保護、共生の難しさ。

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